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Posted by ブクログ
著者は反貧困ネットワークの事務局長で、特に「生活保護」の面から日本の貧困の実態や政策、「反貧困」の現状について書かれています。
最近(2009年現在)の好景気では上り調子なのに貧困が減らないといったデータに基づく説明があったり、貧困に苦しんでいる方々が如何に「ネットカフェ難民」に至ったかのようなリアルな暮らしぶりがかかれていたり。
普段我々が貧困にならずに済んでいるのは、様々なセーフティネットによって守られているからである。しかし貧困にあえぐ人たちは、それらにより救われていない。例えば生活保護の申請で役所に門前払いされたり、非正規雇用しかないため失業するとどうしようもなかったりする。ある人は仕方なく多重債務することになるが、過払い金を払い戻せるような法律家の「ツテ」はもちろんなかったりする。
こういった単なる金銭的な「貧乏」だけではなく、様々なつながりの不足が貧困からの脱出を阻んでいる、ということがよくわかる。
我々は、貧困は「自己責任」ではないと意識すべきであり、互いに足を引っ張りあって「底辺に向かう競争」をしてはならない。
Posted by ブクログ
「暴走する資本主義」と合わせて読むと理解が深まると思う。より具体的なので理解が早い。
派遣社員などの労働条件に関しては以前より気にはなっていた。まさにその点に焦点を当てている。
結局、「ホームレス状態にまで追い込まれたフリーターたちの弱みにつけこんで食い物に」する「貧困ビジネス」企業は問題外としても、競争を勝ち抜くために企業が、人件費を調達費のone of themと考えるのは資本主義の仕組みからして当然の帰結である。だからこそ、その仕組みの欠点を補う仕組みが必要だと思う。ただ、庶民である自分は本著者のような方々の活動を応援することだけである。それでも多くの人がもっと関心をもてばいずれ大きなうねりになっていくと信じたい。
Posted by ブクログ
昨年末に働きたくないブロガー(笑)のPhaさんのブログで、2014年に読んだ本で良かった本の1冊として紹介されていたので読んでみました。
かなり衝撃を受けました。良書です。
この本は2008年に発刊されており、その頃の僕は割と給与の良い会社で働いていた時期でもあり、世間で話題になっていた年越し派遣村やワーキングプアという言葉にピンときていませんでした。意味は理解できるものの、実感しにくいというか。
●3層のセーフティーネット。3つ目の生活保護は、非常に弱いセーフティーネットであること。2つ目のセーフティーネット(社会保険など)から漏れてしまうと、3つ目のセーフティーネットはいまいち機能していない為、一気に生活そのものができなくなる。
●貧困は自己責任で解決できる問題ではない。
貧困は戦争に繋がる大きな原因となる。
●富裕層から貧困層は見えにくくうまく隠されている。逆に貧困層から富裕層はテレビなどの媒体で見えやすい。
●「溜め」の考え方。これが個人的に一番衝撃的な考え方でした。僕はまだまだ恵まれている。
もっともっと勉強しなければいけないし、僕が社会に何ができるのか?真剣に考えたほうがいいなと感じました。
著者のその他の本も読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
日本で起こっている貧困について論じた本。貧困は自己責任なのか。いや、そうではないと著者は語る。
貧困に陥らないために国としては雇用、社会保証、公的扶助の3重のセーフティーネットが働かなければならないのに、一度これらの支援対象から外れるとまっさか様に貧困に落ちてしまう(このような社会をすべりだい社会といっている)。この仕組みこそが問題である。誰もが自分に尊厳をもって生きられる、何度でもチャレンジできる社会に向けて、日本の貧困というみえづらい問題に焦点を当てている点が本書の特筆すべき点だ。
・アマルティセン「貧困は、単に所得の低さというよりも、基本的な潜在能力が奪われた状態とみられなければならない」
・金銭的な生活基盤ができても、人間関係の”溜め”が増えなければ、総体的な”溜め”は増えない。
Posted by ブクログ
新自由主義が押し付ける自己責任が、権力側の都合の良い言い訳として熟成、伴って弱者の救いの手が浅薄になっていく。生活保護や子ども食堂、本来の目的がすり替わる事象は尊厳を軽視する社会に堕ちていくことに気づかない。なぜか。私は大丈夫、あの人よりマシ、そこにも自己責任が通底する。この危うさは容易く分断や排除という狭小な心へと誘う。多様性や寛容という優しさの中に自身も含めた厳しさをいかに持続していくか。そこに民主主義というイデオロギーが包摂している。そう、私たちは常に岐路に立っている。どちらに進むか。間違ってもいい、パーフェクトじゃないヒューマンなんだから、訂正や謝意を伝えて更なる選択を試みよう。
Posted by ブクログ
この本が出版されてから、かなり時間が経ってから読み終わった。
反貧困ネットワークは、依然活動しているようだが、以前のような見える形ではなくなった。貧困が解決している訳ではないだろうが、アピールがうまくなくなったのか、単にメディアが取り上げなくなっただけなのか。
著者も、一時期「時の人」となったが、最近は見かけない。これも、単に、こちらの情報感度の問題だけなのかもしれないが、これだけ、反貧困に対する知見と経験を持ち合わせている人が、表舞台に出てこないのはなぜだろう。何かあったのかもしれない。
今(2021/9現在)、メディアは自民党の総裁選一色である。申し訳程度に、野党の政策を報道する程度だ。野党もだらしがない。政権の批判ばかりが目立ち、主張する政策も「軸」が見えない、寄せ集め感がある。
著者のような人を、先頭に立てて、野党をとりまとめれば、アメリカで、サンダース旋風が巻き起こったように、日本の政界にも風が吹くのかもしれない。そんなことを感じた。
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