あらすじ
うっかり足をすべらせたら、すぐさまどん底の生活にまで転げ落ちてしまう。今の日本は、「すべり台社会」になっているのではないか。そんな社会にはノーを言おう。合言葉は「反貧困」だ。その現場で活動する著者が、貧困を自己責任とする風潮を批判し、誰もが人間らしく生ることのできる社会へ向けて、希望と課題を語る。
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「まえがき」の時点で怖じ気付いて、本文を読むことを躊躇われた。実際ホラーより怖かった。今の自分はなんとかやっていけてるけれど、一歩踏み外したら転落しそうなので、困ったときの相談窓口など知ることができてよかった。貧乏と貧困は違うんだなとハッとさせられた。自分の持っている「溜め」が少ないと気付いたので、人間関係なり知識なり少しずつでいいから増やしていきたい。
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著者は反貧困ネットワークの事務局長で、特に「生活保護」の面から日本の貧困の実態や政策、「反貧困」の現状について書かれています。
最近(2009年現在)の好景気では上り調子なのに貧困が減らないといったデータに基づく説明があったり、貧困に苦しんでいる方々が如何に「ネットカフェ難民」に至ったかのようなリアルな暮らしぶりがかかれていたり。
普段我々が貧困にならずに済んでいるのは、様々なセーフティネットによって守られているからである。しかし貧困にあえぐ人たちは、それらにより救われていない。例えば生活保護の申請で役所に門前払いされたり、非正規雇用しかないため失業するとどうしようもなかったりする。ある人は仕方なく多重債務することになるが、過払い金を払い戻せるような法律家の「ツテ」はもちろんなかったりする。
こういった単なる金銭的な「貧乏」だけではなく、様々なつながりの不足が貧困からの脱出を阻んでいる、ということがよくわかる。
我々は、貧困は「自己責任」ではないと意識すべきであり、互いに足を引っ張りあって「底辺に向かう競争」をしてはならない。
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「暴走する資本主義」と合わせて読むと理解が深まると思う。より具体的なので理解が早い。
派遣社員などの労働条件に関しては以前より気にはなっていた。まさにその点に焦点を当てている。
結局、「ホームレス状態にまで追い込まれたフリーターたちの弱みにつけこんで食い物に」する「貧困ビジネス」企業は問題外としても、競争を勝ち抜くために企業が、人件費を調達費のone of themと考えるのは資本主義の仕組みからして当然の帰結である。だからこそ、その仕組みの欠点を補う仕組みが必要だと思う。ただ、庶民である自分は本著者のような方々の活動を応援することだけである。それでも多くの人がもっと関心をもてばいずれ大きなうねりになっていくと信じたい。
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昨年末に働きたくないブロガー(笑)のPhaさんのブログで、2014年に読んだ本で良かった本の1冊として紹介されていたので読んでみました。
かなり衝撃を受けました。良書です。
この本は2008年に発刊されており、その頃の僕は割と給与の良い会社で働いていた時期でもあり、世間で話題になっていた年越し派遣村やワーキングプアという言葉にピンときていませんでした。意味は理解できるものの、実感しにくいというか。
●3層のセーフティーネット。3つ目の生活保護は、非常に弱いセーフティーネットであること。2つ目のセーフティーネット(社会保険など)から漏れてしまうと、3つ目のセーフティーネットはいまいち機能していない為、一気に生活そのものができなくなる。
●貧困は自己責任で解決できる問題ではない。
貧困は戦争に繋がる大きな原因となる。
●富裕層から貧困層は見えにくくうまく隠されている。逆に貧困層から富裕層はテレビなどの媒体で見えやすい。
●「溜め」の考え方。これが個人的に一番衝撃的な考え方でした。僕はまだまだ恵まれている。
もっともっと勉強しなければいけないし、僕が社会に何ができるのか?真剣に考えたほうがいいなと感じました。
著者のその他の本も読んでみようと思います。
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日本で起こっている貧困について論じた本。貧困は自己責任なのか。いや、そうではないと著者は語る。
貧困に陥らないために国としては雇用、社会保証、公的扶助の3重のセーフティーネットが働かなければならないのに、一度これらの支援対象から外れるとまっさか様に貧困に落ちてしまう(このような社会をすべりだい社会といっている)。この仕組みこそが問題である。誰もが自分に尊厳をもって生きられる、何度でもチャレンジできる社会に向けて、日本の貧困というみえづらい問題に焦点を当てている点が本書の特筆すべき点だ。
・アマルティセン「貧困は、単に所得の低さというよりも、基本的な潜在能力が奪われた状態とみられなければならない」
・金銭的な生活基盤ができても、人間関係の”溜め”が増えなければ、総体的な”溜め”は増えない。
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新自由主義が押し付ける自己責任が、権力側の都合の良い言い訳として熟成、伴って弱者の救いの手が浅薄になっていく。生活保護や子ども食堂、本来の目的がすり替わる事象は尊厳を軽視する社会に堕ちていくことに気づかない。なぜか。私は大丈夫、あの人よりマシ、そこにも自己責任が通底する。この危うさは容易く分断や排除という狭小な心へと誘う。多様性や寛容という優しさの中に自身も含めた厳しさをいかに持続していくか。そこに民主主義というイデオロギーが包摂している。そう、私たちは常に岐路に立っている。どちらに進むか。間違ってもいい、パーフェクトじゃないヒューマンなんだから、訂正や謝意を伝えて更なる選択を試みよう。
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この本が出版されてから、かなり時間が経ってから読み終わった。
反貧困ネットワークは、依然活動しているようだが、以前のような見える形ではなくなった。貧困が解決している訳ではないだろうが、アピールがうまくなくなったのか、単にメディアが取り上げなくなっただけなのか。
著者も、一時期「時の人」となったが、最近は見かけない。これも、単に、こちらの情報感度の問題だけなのかもしれないが、これだけ、反貧困に対する知見と経験を持ち合わせている人が、表舞台に出てこないのはなぜだろう。何かあったのかもしれない。
今(2021/9現在)、メディアは自民党の総裁選一色である。申し訳程度に、野党の政策を報道する程度だ。野党もだらしがない。政権の批判ばかりが目立ち、主張する政策も「軸」が見えない、寄せ集め感がある。
著者のような人を、先頭に立てて、野党をとりまとめれば、アメリカで、サンダース旋風が巻き起こったように、日本の政界にも風が吹くのかもしれない。そんなことを感じた。
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貧困になってしまうのは自己責任の部分が多いと思っていたが、この本をきっかけに必ずしもそうではないと思った。貧困になってしまうには負のスパイラルにはまりこんでいく。貧困から脱出するには第三者の協力が必要であろう。個人では自信を損なわれ、行政と対等に手続きすることもできない。生活保護に関しては行政は特に厳しく対応するのが現状だと思う。
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湯浅誠を何か、と岩波新書から。内容が十年以上前で、活動の声は自分のようにぼんやりした者のところにも聞こえるようになった。それ以前、最前線の報告は迫力があります。「貧困」を、見えないように蓋をしてなかったことにするこの国の、国民の体質そのものを揺さぶる。貧困は困窮者救済だけの問題ではない、貧困が生産される「社会」は脆弱なもの。仰る通りで、湯浅さん、なんて立派な方なんだ(2019-11-08)
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著者は行動の人、現場の人なのだろう。説得力のある議論を展開しており、さらに「自分からの排除」に関するくだりと自己責任論の否定には熱い思いが感じられる。しかし企業に過度に雇用への責任を求めるとことは、家族に過度の責任を求めるのと相通ずるロジックがある。そこは反論したいところだ。
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貧困は、見えにくい。
ある層の人々からは、存在しないことにできてしまう。
その上に覆いかぶさる、自己責任論。
それを内面化することにより、セーフティーネットから落ちた人は、自分自身をも疎外する。
自分なんてどうでもいいんだ、となり、どうにもならないところまで自分を追い込んでいく。
こんな社会、何かがおかしい。
自分自身もちょっとしたきっかけで自分だって貧困層になりかねない、と思う。
とはいうものの、上記の自己責任論的発想から抜けきれない。
本書では、アマルティア・センの貧困論で、自己責任論の誤謬を指摘してくれる。
センによれば、生活上の望ましい状態(センの用語のでは「機能」)を達成する自由(同様に、こちらは「潜在能力」)が奪われている状態が貧困である、という。
だからいわゆる絶対的貧困ラインより上にいる人でも、例えば移動の自由がない状態であったり、教育を受けられなくてなりたいものになれない状態ならば、貧困だということになる。
「若いんだから、働けばいいでしょう?」
何社も応募しても、どこも不採用なのに、どうやって働くの?ってことだろう。
さて、本書の後半は社会活動として反貧困運動の組織化が論じられている。
困窮した人を助けるのは大事だけど、それだけでは限界があるからだ。
居場所を作ること、互助組織を作ること、法律家などと協力して、不当な処遇に異議申し立てできる体制を整える活動などが立ち上げられているとのこと。
本書を読むと、湯浅さんたちの活動により、大分状況は良くなったんだろうなあ、と思うけれど。
もう出版されて十年。
あれから、格差論争とか、学生の奨学金問題、ワンオペ勤務、ブラックバイト、そうして今は過労死・過労自殺も問題視されている。
そう考えていくと、本書では扱われている貧困の問題は、形を変えて今もまだ継続中、と思ったほうがいいのかも。
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この本を読むことで生活保護についての考え方が少し変わった。この本で書かれている”溜め”という言葉はかなりポイントが高い。確かに”溜め”がないと滑り落ちた時に這い上がるのは難しく、負のスパイラルに陥るかもしれない。。。自分は恵まれていると感じるとともに、1回の失敗で這い上がれない社会をどのように改善していくか考えられる一冊となった。
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著者は生活困窮者に対する生活相談を行うNPO法人〈もやい〉の代表を務める湯浅誠氏。
著者が貧困問題に取り組む上で独自に生み出した概念で、本書に紹介されているのが「すべり台社会」と「溜め」である。
第2章で、2007年3月25日付東京新聞に掲載されたセーフティーネットの三層構造を図示したものがオープニングで掲載されているが、その図の中に「ここから落ちた人はどうなっちゃうんだろう…」とつぶやく男性の姿が強烈に印象に残る。
この公的扶助のセーフティーネットからうっかり足を滑らせてしまったら、二度と這い上がれなくなる。このような現代の日本社会を著者は「すべり台社会」と名づけた。
また、第3章ではアマルティア・センの「潜在能力」に相当する概念を”溜め”という言葉を用いている。溜池の「溜め」である。
溜めとは、金銭であったり、両親や頼れる親族など人間関係であったり、自分を大切にできる精神的なものも含まれる。
貧困とは、これらの”溜め”がない状態を言う。
筆者はこれ以外にも、様々なデータや政治的な動きなどから、貧困問題は自己責任ではなく社会の問題だと言い切る。
終章では、反貧困運動を連帯させ、強い社会を目指そうと高らかに歌い上げる。
著者の高い精神力と正義感を感じるだけでなく、わが国の社会の暗部に直面する素晴らしい著作である。
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自分が思い込んでた事実がひっくり返される体験、貴重だと思う。いかに思い込みから逃れるかってのが、読書の一つの醍醐味だと思うし、だからこそ、そういう体験をできたとき満足が得られる。生活保護に対する偏見、間違いなく持ってました、僕。180度見方が変わるわけではないけど、ここに書かれていることを知っているのと知らないのとでは、生保の人について語る資格が違うと思う。思考の転換を迫られる、貴重な書でした。
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なんとも生きづらい世の中。
昭和三十年代は、貧乏してても、明るい希望があった。
現在は、その明るさやパワーが弱まっていると感じるのは、私だけだろうか。
著者の主張には、賛成できる点が多い。
特に「ここに、貧困がある」ということを認める事から、全ては始まるという主張にはうなづける。
自分にできる事は何か。
しっかり見つめたい。
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セーフティネットに広がる穴、すべり台社会。
生存権とは何か、福祉とは何か。
貧困の連鎖を止めるために何ができるのか。
人ごとではなく、僕ら自身の問題なのだと痛感しました。すごく考えさせられます。
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日本の「貧困」もここまで来ているとは。。。
目次
第I部 貧困問題の現場から
第1章 ある夫婦の暮らし
第2章 すべり台社会・日本
1 三層のセーフティネット
2 皺寄せを受ける人々
第3章 貧困は自己責任なのか
1 五重の排除
2 自己責任論批判
3 見えない“溜め”を見る
4 貧困問題のスタートラインに
第II部「反貧困」の現場から
第4章「すべり台社会」に歯止めを
1 「市民活動」「社会領域」の復権を目指す
2 起点としての〈もやい〉
第5章 つながり始めた「反貧困」
1 「貧困ビジネス」に抗して―エム・クルーユニオン
2 互助のしくみを作る―反貧困たすけあいネットワーク
3 動き出した法律家たち
4 ナショナル・ミニマムはどこに?―最低生活費と最低賃金
終 章 強い社会を目指して
「ワーキングプア」という言葉が少し前に話題になったが、著書を読むと、その深刻さが分かる。同じ日本に住んでいるとは思えない残酷な状況に、ただただ圧倒される。
著者は、「貧困」は自己責任では無いと主張する。自助努力で埋められる部分はあるにしても、例えば、幼くして、両親が病死してしまった男性の例を読むと、いくら自分でがんばったとしても限界を感じる。やはり、そこには、周りで支える政府及び地域のネットワークの必要性を感じる。
多くの人は、親の支援で学校を卒業し、高い学費を払ってもらって大学にも行き、その学歴を武器にして正社員になる。しかし、皆がそうなれるのではなく、一度、正社員へのレールをどこかで踏み外すと、現代の、セーフティーネットワークの脆弱な状況では、一気にその日暮らしの生活に落ちてしまう。
そう意味では、大学まで通わせてくれた両親、家族に感謝するとともに、親の立場となった現在、自分の子供を今後養育する責任の大きさを感じる。
正社員、派遣社員、フリーターと働き方は自由だと思う。しかし、社会人で何年か働いていると、給料や社会保障の面からたいがい正社員になりたいと思うようになる。企業としては、人件費削減の観点から正社員の枠をどんどん狭め、昔は皆が正社員で働いていた状況から、いつの間にか正社員が高嶺の花になり、正社員になれるかどうかで、生活水準に大きな差が生じてしまっている。
正社員も正社員で、首を切られるのが怖いから、サービス残業や見なし管理職のようなことを我慢して甘んじている。こう考えると、企業の責任の大きさを感じる。企業がいかに人材を大切にして育てる意識を持っているかにかかっていると思う。
企業の人材に対する扱い方と、社員のいい人材になるための努力の両輪によって、win-winの関係になるのだと思う。企業と社員の両社の歩み寄りによって初めて成り立つのだろう。
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貧困は自己責任であるとか、努力が足りないという社会的な風潮があるように思えますが、実はそういう事情ばかりではないということが具体的な数値やデータなどを基に語られています。
貧困とはどうしても発展途上国の問題なのではないかという認識が強く、自分また日本にはあまり関係のない話なのではないかと思っていました。
しかしそうではないんです。それをこの本で知る事ができます。
貧困に対しての見方が変わると思います。是非ご一読下さいな。
まだ理解しきれてない部分もあるので、読み返したいです。
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内容(「BOOK」データベースより)
うっかり足をすべらせたら、すぐさまどん底の生活にまで転げ落ちてしまう。今の日本は、「すべり台社会」になっているのではないか。そんな社会にはノーを言おう。合言葉は「反貧困」だ。貧困問題の現場で活動する著者が、貧困を自己責任とする風潮を批判し、誰もが人間らしく生きることのできる「強い社会」へ向けて、課題と希望を語る。
目次
第1部 貧困問題の現場から(ある夫婦の暮らし
すべり台社会・日本
貧困は自己責任なのか)
第2部 「反貧困」の現場から(「すべり台社会」に歯止めを
つながり始めた「反貧困」)
強い社会をめざして―反貧困のネットワークを
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貧困に対するセーフティーネットが機能せずに、底が抜けたように、底辺まで落ち込んでいき、最後は犯罪に手を染めてしまう。しかもほんの少しの万引きや賽銭泥棒などだ。
逆に、刑務所に入れて欲しいという人さえいる。
貧困状態に至る5重の排除がある。
1.教育課程からの排除
2.企業福祉からの排除(非正規雇用故の社会保険からの排除)
3.家族福祉からの排除
4.公的福祉からの排除
5.自分自身からなの排除(何のために生きるのかがもはや見えなくなってしまった状態)
1から4までの排除の中で、自己責任論で自分のせいにされて自分を大切に出来ない状態になる。
「死ねないから生きているに過ぎない」
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国内の貧困問題を自己責任と片付ける人が、権力者を中心に見られるが、本書はそのような自己責任論に一石を投じたものである。前半部分では貧困に至った人の事例をあげて、個々の努力には限度があることを指摘する。自己責任論は、ほかの選択肢を等しく選べたはずという前提があること、また、貧困はやむを得ずに選択するということ、ここを履き違えてはならないのである。
10年以上前に出版された本とはいえ、現代でも学べることがあり、「無関心」が貧困の最大の敵であるのは強く共感した。当時よりもSNSが普及したことで、隠れがちな社会問題を可視化できる世の中になったことはある意味進歩だと思う。しかし、本書で繰り返し訴えた「溜め」の領域は、依然として不十分なので、社会の強化、とくに昨今跋扈する新自由主義者に対抗するために、これからも訴え続けるべきである。
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貧困の実状をかいま見れる本。ただし、味方が一面的な気がするので、これが貧困のすべてだと思うのは抵抗がある。どうしたら良いかについても具体性が今一つなのは、何か狙いがあるのだろうか?
まずは、各人の頭が働くようにするにはどうしたら良いかを考えるのが良いのかと思っている。ドイツのワイゼッカー大統領の言葉に、「時間を確保して人々に考える時間を与えたい」という旨があるが、今の日本にもまさにこれが必要なのではないだろうかと、改めて思う。
Posted by ブクログ
「株主と大企業の役員だけが手取りを増やした」…規制緩和と弱肉強食で世の中が良くなっていくのなら何の問題も無い。ただ現実は各層のセーフティネットが全て破綻、作者が述べる"溜め"が機能しない世の中になっているのも事実。国家によって隠蔽されている貧困問題の一面を明確にする1冊。
Posted by ブクログ
すべり落ちていく仕組みとか、日本の貧困の現状は詳しく書いてあるんだけど、それでもいまいち身近なこととして感じられていない自分がいる。お上の人たちなら尚更そうなのかな。
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路上生活者やネットカフェ難民等の貧困に直面している人々を支援する“もやい”の活動を通じて、セーフティーネットが事実上崩壊している実情を自身の活動経験を踏まえて伝えている。
格差と貧困を隠そうとする政府や、生活保護への水際作戦と呼ばれる行政の対応、世間の目。そういったものを変えていくために、貧困問題に関わる団体、ネットワークがたちあがりつつあるということが書かれている。
学生時代に路上生活者の自立支援事業のアルバイトをしていた身としては、日本の底辺の一端を見たことで、ここに書かれていることは、嘘でも針小棒大でもないリアルなことだと実感できる。
この現実を受け入れなければ、いつまでも対岸の火事ではすまされないだろう。