あらすじ
ある「こども食堂」での話。
今日は鍋にしようと、大人たちが鍋料理を作ったところ、高校生の女の子が「みんなで鍋をつつくって、本当にあるんだね」と言った。彼女には、その経験がなかった。みんなで鍋をつつくというのは、テレビの中でだけ起こるフィクションだと思っていた。スーパーマンが空を飛ぶように。
同様の話を、よく聞く。大学生のボランティアに会った中三生が「大学生って、本当にいるんだね」、簡単なクリスマスパーティをしたら「これって現実なのかなぁ」。中三生でも「偏差値」という言葉を知らない。高校生がテスト中に先生を呼び止めて「『氏名』ってなんて読むの?」と聞く。
「あたりまえ」の経験や知識が欠如している子どもたちが増えている。
この子たちが世の中を回すようになったとき、世の中はどうなるんだろうか?
このような状況に腐らず、諦めず、1ミリでも対策を進める人たちが、まだこの国にはたくさんいる!
「あの子はラッキー」で終わらせない。
1ミリを動かすどんな試みが巷に溢れているか。その諸相を紹介していく。
そこには、状況の厳しさと同時に、それに立ち向かう希望が示されるだろう。
子どもの貧困は減らせる。私たちの社会は、私たちの手で変えていける。
それは、たった1ミリに敬意を払う、私たち自身の姿勢から始まるはずだ。
貧困問題の第一人者が取材した、「解決」の最前線!
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Posted by ブクログ
なんとなく子ども食堂のことを知りたくて、この本に行き着いた。
実際はインタビューや実例をもとに、子どもの貧困の実情と、なぜそれが生まれるのか、をさまざまな角度から知ることができる。
漠然とボランティアとか、子供支援とか考えていた自分には、問題意識をシャープにできるすごい本だつたと思う。
実際、読んでいるうちに、こんなこともあるのか。こんなこともあるのか。と何度も頭を殴られた。
ぜひたくさんの人に読んでほしいし、自分のこれからの活動の指針にもなる気がした。
Posted by ブクログ
経済的な理由で塾に行けない子供たちを集めて勉強を教えることが将来の夢なのだが、湯浅氏の活動は大いに励みになる。自分一人ができる事はたかが知れているが、だからと言って何もしないでいるよりも、1mmでも前に進めることが大事だという事が再認識できてよかった。
そして著者の問題への向き合い方も参考になる。この本はこれまでの著作と違い、短い文章でテンポよく進んでいくのに違和感を持ったが、ヤフーニュースの再編集だと知ってその理由が理解できた。少しでも多くの人に読んでもらえるよう、媒体の特性に合わせて文体を変えていたのだ。そこまでするのか。
本当はこういう志の高い人にこそ国政を担ってほしいのだけれど、現場から離れた議員の活動には興味ないのかな。
Posted by ブクログ
子どもの貧困に立ち向かう仕事をしていて、心が折れかけたときに勇気をもらいました。
これだけたくさんの人が、真剣にとりくんでいる。
コップを1cm動かすところからはじめよう。
正解なんてないのだから。
Posted by ブクログ
貧困問題に立ち向かう社会活動家の湯浅誠氏の著書。1mmでも物事を前に進めていくことが重要という力強いメッセージが全編を通じて書かれている。貧困問題に関心が今までなかった人も、子どもの貧困というテーマであれば、なんとかしなければと感じることが多いと思う。今、日本の子どもたちに何が起きているのか知っておくことは大人の責務であると思う。そしてこの本はそのための本になりえている。
Posted by ブクログ
さすが実践家の本ですね。
参考になることが多いです。
正直なところ僕が生保をやってた頃はきっとこの人とは相入れないやろうなと勝手に思ってました。
でも福祉から離れて自分のやりたいことをもう一度見つめ直すとやはり先人として実践されているなという思いが先に立ちます。
子供の貧困をなんとかしたいと
自分のライフワークやと
そう思っている自分が実際やってる方の話を聞いて奮い立ちました。
さあこれからどうするか。
何をするか。
自問自答して行こうと思います。
まだ始まってもいないのでd(^_^o)
Posted by ブクログ
116ページ「個性を認めなきゃって言いながら、けなしてる大人。117ページの2行目「子どもがここの大学行ってくれたら鼻高々だわ」って思う自分がこっそりいたりする。って、思い当たるなぁ〜、悲しい。それからミヒャエル・エンデの「モモ」の一節の引用「将来の役に立つってことさ」これも痛いなぁ〜。ついそういう価値観に引きずられちゃんうんだよな、僕は。そして湯浅さんの「1ミリを動かす」「それは、たった1ミリに敬意を払う、私たち自身の姿勢から始まる」そうだよなぁ〜僕も、そんな気持ちにならなければ。
Posted by ブクログ
過度の格差は、社会にマイナス。
食べ物にも困っているほどの貧困は少ないが、居場所がない、当然の経験ができていない、教育が受けられないなどの貧困が存在する。
大人は子どもに寄り添って、心の栄養、心の中の何かを溜めていく。あるとき、子どもの頑張るエンジン、やる気スイッチが入る。それまで、様々な体験をさせ、後押しして、伸ばしてあげる。子どものなかにしか答えはないのだから、押しつけるのではなく、ファシリテーションとコーチング「引き出す」「認める」「伴走する」。
主体性と共動性を持たせる。
1mmを動かす試み。正解志向から、できることをできることからやる志向へ。
大人は時間がないのか。ミヒャエル・エンデの「モモ」に登場する時間泥棒に時間を奪われていないか。
Posted by ブクログ
この本では、第一章で相対的貧困率の数値等を用いて"子どもの貧困問題"の現状を具体的に示し、第二章〜四章からはこの問題に最前線で取り組む人々・団体(インフォーマル中心)にフォーカスする。
面白かったのはそのフォーカス先のセレクト。子どもの貧困問題への支援というとこども食堂が最も有名だろうし、実際、当書でもしっかりめに取り上げられていた。しかしそれだけにとどまらず、一見この問題とは直接的には結びつかなそうなDMMアカデミー等の取り組みも事例として挙げられていたのが、個人的にはかなり印象に残った。こういう枠に囚われない発想がほしいものだ。
福祉関係の本でいえばかなり読みやすい方だと思うので、『ケーキの切れない非行少年たち』を面白いと感じた人などにおすすめしたい。
Posted by ブクログ
子どもの貧困についての入門書。現場の人々の意見がところどころみられて参考になる。医療や教育よりも「モノ(テクノロジー)とカネ」という考え方に新鮮味を覚えるのと同時に「なるほどね」と思わず納得してしまいました。
Posted by ブクログ
貧困と格差の問題は理屈は理解できても感情的に腹落ちしてない人は多いのではないだろうか。ただ子どもの貧困は大人の貧困よりは理解が得られやすく、子ども食堂の広がりは、それと関係があるかもしれない。子どもが課題を抱えているというのは、その家族、地域、社会が何かしらの課題を抱えているということである。地域の縁が薄くなり、孤立している子どもが増えてきた。それは子どもだけか。高齢者や大人もそうではないだろうか。子どもの貧困対策は地域の再生、つまり誰もが生きやすい街づくりにつながる。本書は著者の思いを抑えつつ、全国、各地の取り組みをルポのように紹介し、私たちはこれからどうすればいいかを考える希望の種を著したものだと思う。
Posted by ブクログ
湯浅誠さんがネットニュースに書き連ねた文章をまとめた内容だけに、雑多なテーマが並んでいます。
これを一貫性がないと受け取るのか、バラエティに富んでいると見るのか、そこで評価が分かれると思いますが、私としては問題を表沙汰にすること自体に意味があると思うだけに、湯浅さんにはがんばってほしいです。
Posted by ブクログ
「だんだん」「わくわくエンジン」「明石市」の取り組み紹介が興味深かったです。
課題だけでなく、解決に向けての取り組みが挙げられているのがいいなと思いました。
「1ミリ」でも進めるために何ができるか。
そのことを話し合える人たちが集まれたら、そして行動に移せたら。子どもの貧困を取り巻く状況が変化していきそうです。
Posted by ブクログ
自己責任論と社会システム論を考える上で様々な取り組みが紹介されている。ほんのちょっとでも自分にできることを考え、行動するきっかけになる良書です。