湯浅誠のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
もやいの湯浅氏の本。
凄い現実にちょっとショックを受けました。
アメリカの医療保険の現実、今日本で起こっている非正規雇用労働者の現状などなど。。。
正規労働者にとって国の保障制度も崩れ落ち、経済もダメージを受けているこの状況は本当に厳しい。
しかし、非正規の方は厳しいってもんじゃない。もうダメというような状態。
恥ずかしながら僕は派遣村をはじめとするこの関連のニュースを見ていて、
彼らにも自己責任があるという認識をしていた。
しかし、それは違った。
ニュースを見ていた僕は彼らに比べると
職もあり、若干だが貯金もあり、困ったら駆け込める親がいて、
悩みを相談できる先輩、友人がいたという事実があったからだ。
これは本書で繰り返し主張されているが、
自己責任を問える状況にあった人が自己責任を問える状況にない人に、
自己責任だ!と言っていたわけだ。
僕という他人の発言てのはなんて無責任なのでしょう。反省。
非正規の方は本当に辛いと思う。
本書にはこの状況を打開するにはやはりそれなりの政策を打つしかない。
もしくは不正なことを行っている企業等を、
辛い思いをしている人が下から小さな反対を数多くのみんなを集めて勝負していくしかない。
というような形で締めくくっている。
会社でのんびり仕事しているやつを見ると腹が立つぜ! -
Posted by ブクログ
貧困に対するセーフティーネットが機能せずに、底が抜けたように、底辺まで落ち込んでいき、最後は犯罪に手を染めてしまう。しかもほんの少しの万引きや賽銭泥棒などだ。
逆に、刑務所に入れて欲しいという人さえいる。
貧困状態に至る5重の排除がある。
1.教育課程からの排除
2.企業福祉からの排除(非正規雇用故の社会保険からの排除)
3.家族福祉からの排除
4.公的福祉からの排除
5.自分自身からなの排除(何のために生きるのかがもはや見えなくなってしまった状態)
1から4までの排除の中で、自己責任論で自分のせいにされて自分を大切に出来ない状態になる。
「死ねないから生きているに過ぎない」
-
Posted by ブクログ
国内の貧困問題を自己責任と片付ける人が、権力者を中心に見られるが、本書はそのような自己責任論に一石を投じたものである。前半部分では貧困に至った人の事例をあげて、個々の努力には限度があることを指摘する。自己責任論は、ほかの選択肢を等しく選べたはずという前提があること、また、貧困はやむを得ずに選択するということ、ここを履き違えてはならないのである。
10年以上前に出版された本とはいえ、現代でも学べることがあり、「無関心」が貧困の最大の敵であるのは強く共感した。当時よりもSNSが普及したことで、隠れがちな社会問題を可視化できる世の中になったことはある意味進歩だと思う。しかし、本書で繰り返し訴えた「溜め」の領域は、依然として不十分なので、社会の強化、とくに昨今跋扈する新自由主義者に対抗するために、これからも訴え続けるべきである。 -
Posted by ブクログ
「自己責任論というのは、『自分は関係ないよ』という『社会的無責任論』である」、という考えに共感した異分野の湯浅さんと茂木さんが、パーソナルサポートの現場を回り、貧困の実情とその原因を探っていく本。湯浅さんの考えには声を出して「うんうん」と言ってしまうぐらい、今までなんとなくあった違和感を言葉にしてくれていた。また、脳科学という別の側面からその事実が裏付けられていくのがおもしろかった。
困りごとを抱えた人を支えていくことで社会全体が強くなるため、そういった人を切り捨てる考え方は全体にとってマイナスという捉え方が今まで自分にはないものだった。誰しも人権があるという価値観で支援者になることを決めたが、それは結果的に社会にとってどうかということまで考えていなかった。
「わかりやすいものは良くて、わかりにくいものは悪いもの」とい善悪のつけ方は、とても危険です。
2009年から民主党政権時代に内閣府にも参与し、政策を変える過程に人を納得させることの難しさを感じた湯浅さんの言葉はずっしりと重いものがあった。これから調整する立場の仕事に就く自分に意思がなくて、社会にとっての善悪がわかるだろうか。社会が持っている多様な意思を理解できるだろうか。そう思って、これから新聞を読みたいと思った。 -
Posted by ブクログ
本書は、「日本では、主権者であるはずの国民が主権者として振る舞っていない」という問題≒国民の政治への無関心を、政治不信を理由に無関心を正当化する一部の国民への批判や、無関心が故に生まれるヒーロー待望論の解説を交えつつ論じ、積極的な政治参加を促す啓蒙的な作品。
しかし、議論が基本的な国内における要因のみを考慮して展開されている点(例えば、著者は日本国民の政治離れの一因を議会制民主主義の特徴である合意形成までの議論の煩雑さに求めているが、同じく議会制民主主義を採用している国でも日本より政治への関心が遥かに高い国はあるのでは?と疑問に感じた)や、あくまで著者の貧困支援という経験に基づいた視点に立っているため提言(国民が議論できるプラットフォームの開設など)の実現可能性に疑問が残る点など、一般論として論じるには不十分だと感じた。
他方、ヒーロー待望論についての考察は興味深かった。作中ではヒーロー=切込隊長の資質として、①悪=既得権益を名指しする力、カリスマ性、②反対意見を無視する大胆さ、③即断即決力の三点を挙げつつ、その具体例として小泉元総理や橋本元大阪府知事を挙げていたが、2021年現在においては、河野行政改革担当大臣が上記の資質の全てにぴたりと当てはまっていると思われる。
そして、著者がヒーロー待望論の危険性として警鐘を鳴らす、ヒーローが何が既得権かを断定してしまうため、一度既得権の烙印を押されてしまったら議論が行われずに悪者扱いされてしまう可能性がある点についても、押印廃止の一件で問題になったとおりだと感じた。
-
Posted by ブクログ
まとめの章であるⅣが良かった。
貧困に陥った社会的弱者を自己責任で片付けず、一つの社会として、どういう救済?システムを組み上げることが出来るのか。
教育機会にしても、試験は公平さを掲げながら、試験を受けるまでの背景には、既に公平さを欠いた構造があるということ。
踏み外したら戻って来れない不安の中ではイノベーションは育たないということ。
そして、「一律」を遵守する日本のお国柄はそこから外れた人々を潰していくという。
最近読んだ本に、日本の「一丸」気質は、成長型社会においては驚異的な力を発揮したけれど、成熟型社会ではむしろ多様性を重んじなければならないとあった(何の本か忘れたけど)
この本でも同じく多様性(ダイバーシティ)の重要性について述べられていた。
これは、かなり個人的な感想だけど。
世界に出ると、都市の目立つ部分にホームレスがいたり、子供たちがわーっと寄ってきて、物を売り付けるという光景が見られる。
でも、そうした人に個人として幾らかのお金を渡しても、それは解決にならないとも言われている。
個人に出来ないことが、社会には出来る。
それが、茂木さんの言う「パブリックマネーも悪くない」なんだろう。
落ちこぼれても、社会復帰が可能な社会作りが出来れば、それはすごいことだと思う。
ただ、システムは一朝一夕には組み上がらないもので、その間に状況は刻一刻と変化する。
AIで仕事が変わるなんていう話は、最早あらゆる所から聞こえてくる。
今、目の前に一人の人がいた時に、自分には何が出来るんだろうと思った。
なかなか、難しい問題だと思う。