湯浅誠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昨年末に働きたくないブロガー(笑)のPhaさんのブログで、2014年に読んだ本で良かった本の1冊として紹介されていたので読んでみました。
かなり衝撃を受けました。良書です。
この本は2008年に発刊されており、その頃の僕は割と給与の良い会社で働いていた時期でもあり、世間で話題になっていた年越し派遣村やワーキングプアという言葉にピンときていませんでした。意味は理解できるものの、実感しにくいというか。
●3層のセーフティーネット。3つ目の生活保護は、非常に弱いセーフティーネットであること。2つ目のセーフティーネット(社会保険など)から漏れてしまうと、3つ目のセーフティーネットはいまいち機能して -
Posted by ブクログ
人格って、その人ひとりだけでできているわけじゃなくて、川の流れのようにたくさんの影響が集まってできている。だから、あなたという人は今まであなたが人生で出会ったすべての人の反映なんだということが、脳の研究の現場では、科学的にもわかってきたんですね。ということは、自分を高めたり、自分の命を輝かせるためには、人とつながらなくてはいけない。そういう意味においても、自己責任というのは、矛盾しているんです。・・・逆に言えば、ある人が少しうまくいかないのも、その人の責任ではなくて、その人が今までたまたまそういったつながりに出会えていなかった、というだけの話なんですね。
単にお金を支給すれば、セーフティネット -
Posted by ブクログ
日本で起こっている貧困について論じた本。貧困は自己責任なのか。いや、そうではないと著者は語る。
貧困に陥らないために国としては雇用、社会保証、公的扶助の3重のセーフティーネットが働かなければならないのに、一度これらの支援対象から外れるとまっさか様に貧困に落ちてしまう(このような社会をすべりだい社会といっている)。この仕組みこそが問題である。誰もが自分に尊厳をもって生きられる、何度でもチャレンジできる社会に向けて、日本の貧困というみえづらい問題に焦点を当てている点が本書の特筆すべき点だ。
・アマルティセン「貧困は、単に所得の低さというよりも、基本的な潜在能力が奪われた状態とみられなければならな -
Posted by ブクログ
「過激なタイトルだなあ」、と思った。
読み進むと、それは過激でも何でもなく、今アメリカで、そしてこの日本で現実に起きていることなんだと分かる。正直恐ろしくなった。
医療保険や教育の民営化の結果、医者が食糧配給をもらうまでに追い込まれ、教師は精神を病み職を離れる。にわかには信じ難いが、それがアメリカの現実だとすれば、日本で近い将来起こる事を想像することは難しいことではない。
貧困問題やワーキング・プアが語られるとき、マスコミも私達も、単に弱者救済すれば問題が解決すると考えている。
そこが殆どの日本人の思考を停止させ、己の身に今降りかかっている問題から目を逸らさせていることをこの本は気付か -
Posted by ブクログ
新自由主義が押し付ける自己責任が、権力側の都合の良い言い訳として熟成、伴って弱者の救いの手が浅薄になっていく。生活保護や子ども食堂、本来の目的がすり替わる事象は尊厳を軽視する社会に堕ちていくことに気づかない。なぜか。私は大丈夫、あの人よりマシ、そこにも自己責任が通底する。この危うさは容易く分断や排除という狭小な心へと誘う。多様性や寛容という優しさの中に自身も含めた厳しさをいかに持続していくか。そこに民主主義というイデオロギーが包摂している。そう、私たちは常に岐路に立っている。どちらに進むか。間違ってもいい、パーフェクトじゃないヒューマンなんだから、訂正や謝意を伝えて更なる選択を試みよう。
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Posted by ブクログ
この本では、第一章で相対的貧困率の数値等を用いて"子どもの貧困問題"の現状を具体的に示し、第二章〜四章からはこの問題に最前線で取り組む人々・団体(インフォーマル中心)にフォーカスする。
面白かったのはそのフォーカス先のセレクト。子どもの貧困問題への支援というとこども食堂が最も有名だろうし、実際、当書でもしっかりめに取り上げられていた。しかしそれだけにとどまらず、一見この問題とは直接的には結びつかなそうなDMMアカデミー等の取り組みも事例として挙げられていたのが、個人的にはかなり印象に残った。こういう枠に囚われない発想がほしいものだ。
福祉関係の本でいえばかなり読みやすい方だ -
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Posted by ブクログ
この本が出版されてから、かなり時間が経ってから読み終わった。
反貧困ネットワークは、依然活動しているようだが、以前のような見える形ではなくなった。貧困が解決している訳ではないだろうが、アピールがうまくなくなったのか、単にメディアが取り上げなくなっただけなのか。
著者も、一時期「時の人」となったが、最近は見かけない。これも、単に、こちらの情報感度の問題だけなのかもしれないが、これだけ、反貧困に対する知見と経験を持ち合わせている人が、表舞台に出てこないのはなぜだろう。何かあったのかもしれない。
今(2021/9現在)、メディアは自民党の総裁選一色である。申し訳程度に、野党の政策を報道する程度