越前敏弥のレビュー一覧
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ネタバレ面白かった。クイーンは旧訳のドルリー・レーンものを四苦八苦しながら読んで以来なので、新訳の読みやすさに感動しながら読んだ。
エラリイが偽名で滞在するライツヴィルで、借りた家の持ち主の家族の中で計画殺人が??という話だけど、クイーンらしくとてもフェアだし、手がかりは全て読者に示されていて、そこそこミステリ読んできた人なら、なんとなくの真相の大枠は掴めるのではないかなと思う。
本が梱包されていた件にしたって、エラリイには最終盤になってパットから聞かされるまでわからないけれど、読者にはもう最初から詳らかにされていたわけだし。
手紙にしても現在進行形のものではないだろう、とか、ジムが不在の三年のうちに誰か別の妻を持ったのでは、とか“姉”の正体だとか、察しはつくよね。“姉”殺しだって、この不可能性を見れば、読みなれた人ならすぐ真犯人にたどり着く。
でも、そこはそんなに問題じゃない。作者のクイーンは「ほらみなさん、作中のエラリイは知らなかったけど、みなさんには最初から明かしていたでしょう?」と言いたげで面白いけど、そこはそんなに問題じゃない。
私が読んでて面白かったのは、このフェアさもだけど、やはり、「ライツヴィルの町」自体が主人公と言えるこの町の物語。群衆のいやらしさ、陪審制の気味の悪さに圧倒されながら読んだ。
そして、クイーンが"パズル小説"から"人間ドラマ"に移行しようと買いたものと解説にあったけれど、それを目指しながら、やはりフェアな謎解きでもあるところ、さすがクイーンという感じで、おもしろい推理小説だった。すごくよかった。 -
Posted by ブクログ
テキサス州のスリー・リバーズ連邦刑務所から強盗犯オーディ・パーマーが脱走した。彼は4人の被害者を出した現金輸送車強盗の一味で10年の服役を終えてあと1日で出所という日に脱獄した。犯人グループは4人で強奪金額は7百万ドルだった。
オーディは裁判・服役中にもお金の行方は一切語っておらず警察・刑務官・囚人等がその在りかに興味津々だった。
オーディの兄カールは、定職に就かずドラッグと犯罪の常習者だったが、オーディは兄が原因で大学を中退させられ各地を転々としたが、兄や家族を慕って居た。賢く寡黙なオーディは、やがて最愛の人ベリータと知り合い駆け落ちする。
大金とあと1日で出所という日に、オーディに何が起きたのか自らの命を賭けてまでやりたかった事は、ベリータとの約束を果たす為だった。
本作は、2015年英国推理作家協会最優秀長賞(ゴールドタガー賞)を受賞した。著者のマイケル・ロボサムはオーストラリア出身1960年生まれ。 -
Posted by ブクログ
戦争で心を病んだフォックス大尉。父が母を毒殺したという過去が彼の心理に関わっていると思われ、父の無実を証明することが彼を救う手段になるのではないか、ということで相談されたエラリイ。十二年前の事件の細部を繙き、真実を明らかにしようとするミステリ。
描かれる事件は十二年前に起こった、一見単純に見える毒殺事件のみ。ということでミステリとしては地味なんじゃないか、読み進むための求心力があるのだろうか、などと思ってしまいましたが。それは杞憂でした。フォックス大尉とその妻の苦しみ、事件が町に落とした波紋、ライツヴィルという町の雰囲気、といった物語性が魅力的。そして丁寧に過去の細部を検証していく中で起こった変事とそこから導かれる事件解決への光明、と惹きつけられる要素は充分でした。
ベイヤードが犯人ではない、ってのはもう確実なんだろうなーと思いながら読んでいましたが(笑)。しかし真相が何だったのか。ほんっと最後の最後まで読めなかった。そしてこれが最適の解決だったのですね。