山本周五郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
樅の木は残ったしか読んだ作品はありませんでした。珠玉の短編集と思います。
以下、木村久邇則氏の解説から
満州事変から第二次大戦後、物資統制のため雑誌の統廃合まで行われた時代に作品は発表されたのだそうです。アンドレジット『大芸術家とは、束縛に鼓舞され、障害が踏切台となる。ミケランジェロのモオゼの窮屈な姿を考えたのは大理石の不足による。アイスキュロスのコオカサスに鎖ぐ沈黙。芸術は束縛より生まれ、闘争に生き、自由に死ぬ。』
下町もの ー「おたふく」◎「こんち午の日」「ちゃん」「落葉の隣り」
岡場所ものー「何の花か香る」
滑稽ものー「ひやめし物語」◎
平安朝もの一「牛」
武家もの一「山椿」◎「大炊助始末」「よじょう」◎
心理描写をつとめてさけ、会話と動作の完結な描写だけで、溢れる余情を与えている。
ラベルの名曲「ダフネとクロエ」が、単純な数小節のテーマメロディーを変化させることだけで華麗な交響詩となっていること、その手法の散文詩への応用。粘りのある文体、決して上っ面を流れ奔ることのなく、一行一行、読者に食い込んで行く量感。
本当の人生への対決 -
別物です。
椿三十郎と日日平安は別物くらいに考えた方が良いです。
そもそも、黒澤監督は、日日平安をもとに、コミカルな人情モノとして書いた脚本を、東宝の意向により、三十郎の続編に変えざるをえなかったそうです。
若い頃、それを知らずに読んで騙された気になったと同時に、あっと言う間に山本周五郎のファンになりました。
それくらい素晴らしい短編がつまった一冊です。
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購入済み
構成が良い。
年代を追って、作者山本周五郎の成長の軌跡が概観できる。
『宗太兄弟の悲劇』から『渡の求婚』までは年代順に時代劇、その後『出来ていた青』『酒・盃・徳利』という初期の異色作が置いてある。型にはまった人間描写しか出来ていなかった初期から、徐々にストーリーにユーモアが加わってきて、『渡の求婚』に到って円熟を得る、という具合である。初期の二作は、読むに値するかどうか疑問なくらいの出来だが、「名人にしてこの時代あり」という興味で読める。
この人の場合は、人間としての成長と、小説の円熟とが、ピタリと一致している気がする。差別意識や原理主義が減退するに従い、小説が面白くなる。芸術家の模範と言うべき人だろう。