山本周五郎のレビュー一覧

  • 将監(しょうげん)さまの細みち 山本周五郎名品館IV

    Posted by ブクログ

    沢木耕太郎氏が選んだ山本周五郎作品を含む。中でも「深川安楽亭」は宮部みゆき氏のエッセイ「平成お徒歩日記」でも紹介されていた味わい深い作品。悲しみを抱きながら月夜に独り酒を飲む男の描写が印象的で、この部分を何遍も読み返した。

    0
    2023年11月03日
  • さぶ

    Posted by ブクログ

    中学生の時に夏休みの課題図書として選んだ作品。
    当時は宿題の提出などに追われて、じっくり読めなかったので数年経って再読しました。

    男前でしっかりした栄二と愚図でのろまなさぶ。性格は正反対だけれどお互いがお互いを必要として、支え合って生きていく姿は素敵だと思いました。人足場に入った栄二は、面会に来るさぶを何度も拒むけれども、さぶはそれでも栄二に差し入れを持って会いにくる。そんなさぶの友達思いで純粋な姿も素敵です。さぶの優しさや人足場の仲間たちの栄二に対する優しさは「無償の愛」だと感じました。
    また、人生において大切だなと感じる言葉とか、人と関わる上で大事なこととか、作品が描かれたのは昭和で舞台

    0
    2023年10月16日
  • さぶ

    Posted by ブクログ

    高校の時の課題図書でした。10年近く経って再度読みました。物語序盤の英二の年齢(15歳)と物語終盤の英二の年齢(25歳)のひらきはちょうど私が初めて読んだ年代と今の年代で一致しています。昔読んだ時はは「こうも寄場での経験を経ると感情が変わるものなのか」と少し首をかしげていましたが、今では、命を失うかもしれない状況に一度陥ると、周りで支えてくれる皆に感謝する心が芽生える、という英二の境遇がなんとなく分かります。
    分かりやすいハッピーエンドの物語を最近読んでいなかったので良かったです。

    0
    2023年05月18日
  • さぶ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    愚鈍で真面目なさぶが主人公と思いきや、さぶの親友で頭の切れる、男前の栄二がメインの物語。無実の罪で安定した生活を追われどん底に叩き落とされた栄二は、人間不信となり復讐を誓い心を閉ざしてしまうが、さぶを始めとした他人の温かみに触れて更生していく。心に沁み入る金言が散りばめられている。

    0
    2023年05月03日
  • さぶ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    五瓣の椿とこれは好きで何度も読み直しています。えーちゃんかっこいい。若くて青臭いところもまたいい。さぶは真面目で優しくて思いやりが深いところがいい。初読では最後のどんでん返しで驚きと感動を味わえます。ぜひ一度読んでみてください。

    0
    2023年04月02日
  • さぶ

    Posted by ブクログ

    栄二とさぶ:信頼し合いお互いを頼りにする人間関係、栄二とおすえ:好きなあまり栄二に罪を被せそれを一生かけて償おうとした夫婦関係、どちらも素晴らしいと思う。最後はハッピーエンドに終わるから良かった。職人根性、もう一人の自分との対話、濡れぎぬを着せられたときにそれを良い方向に捉える前向きな態度、人足寄せ場は為になった、身に覚えのないことをされたときの対処法、周りの人のことを考えよ、再生、復活、リーダーとフォロワー、問うちから等色々なことを教えられた気がする。

    0
    2023年01月28日
  • 山本周五郎 電子全集1

    匿名

    購入済み

    よい

    名前や文学賞のタイトルになってる人という認識しかないですが、作品をたくさん収録していて読んでいて楽しいです。安価なことで気軽に買えるのが最高

    0
    2023年01月12日
  • 日日平安

    Posted by ブクログ

    黒澤続きで久々に手に取りました。
    あの母親と娘のやり取り、面白いんですよね、他がダメということではないんですが、あのシーン、すごく印象に残ってます。
    それはともかく、その原作含めて粒揃いだと思います。
    生きていると色んな事がありますが、真面目にやっていれば絶対に悪いことは無い、だから我慢するときは我慢する、それを見てくれている人は必ずいる、という作家の揺るぎなき確信に素直にうなずきます。
    でもそれぞれの作品には作家の巧妙な仕掛けもあり、色んな意味での一級品揃いの短編集です。

    0
    2022年12月02日
  • おたふく 山本周五郎名品館I

    Posted by ブクログ

    【あだこ】
    山本周五郎作品の一位が塗り変わった。
    あだこ。
    人は不幸や苦しみからしか学べないというけれど、ここまでの人柄になるまでにはどれ程の事があったのか。
    誠実に仕事をする。
    誠意を持って人と接する。
    日々の中で出来るようでつい疎かになってしまう時、怠けてしまいそうになった時、あだこを思い出したいと思ってしまう。
    荒れた庭の草むらの中からひょっこり立ち上がったあだこを思うと涙が出てしまう。
    福の神。あだこは福の神だ。

    どれも後味の良い爽快な物語だけれどコレは刺さった。
    山本周五郎を知って本当に良かったと思う作品だった。

    0
    2022年12月02日
  • さぶ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    秀作。
    時代物だけど、現代にも通じる人間劇。
    出来すぎた人のいいさぶ。こんな人はありえない。少し前の価値観を感じる。多様化する今、若い人が読んでも良いと思うだろうか。

    0
    2022年11月19日
  • 裏の木戸はあいている 山本周五郎名品館II

    Posted by ブクログ

    何度読んでもそのたびに、江戸時代の情景が光や影の様に眼前に広がり、想いを異なった形で伝えてくる。
    秀逸と思う。
    一時、江戸時代の鎖国が今の閉鎖的な日本人の原型を作ったのかなと感じ、嫌になった時間が有った。
    しかし、歳を重ねて人生を歩んでくると、嫌でも「自分に流れて居る血」は日本人そのものだし、自然の風景は人口の手になるモノ以外は縄文弥生時代からの山地。

     周五郎がが描く世界は ほんとにちっぽけ・・今のIC,ネット社会が生んだ利器の社会と比べるととるに足らない空間かもしれない。でも人間が持つ力は大きく変わっていないことに気づかされる。
    執念・怨嗟・憎悪・仁徳・孝養・・・ひとかけらの温もりが人の

    0
    2022年10月28日
  • さぶ

    Posted by ブクログ

    なんだかんだ言いながら土瓶さんとみんみんが薦めてくる本は全部読んでるひまわりめろんです(仲良しか!)

    そしてこの『さぶ』は土瓶さんとみんみんが共に薦めてくれた本、略して「土みん本」です
    ですがこの『さぶ』を手に取ったのはなにも「土みん本」だからというだけではありません

    そうです、近頃この『さぶ』を手に取る人の10人中15人は「山本周五郎賞って良く聞くし、確かに受賞作は秀作揃いだけど、その山本周五郎さんてどんな小説書いてたの?」って理由だと思うんですよね
    まぁ読んで見極めてやろうって上から目線ですよね

    赤いモビルスーツに乗ってる人の10人中23人は「見せてもらおうか山本周五郎の実力とやらを

    0
    2022年10月23日
  • 樅ノ木は残った(下)

    Posted by ブクログ

    壮絶な最後でした。上巻冒頭の暗殺以降、置毒やくびじろとの対決などのエピソードはあったものの淡々と歩みを進めていた物語が終盤に一転、怒涛の展開の中で多くの命が散って行きました。そしてフィナーレ、思いもよらない謀略が仕組まれ、本懐は遂げることができたものの待っていたのは悲劇的な結末。国のために侍はここまでしなければならないのか、自身の命や名誉のみならず家族の命や家の歴史までも捧げなければならないのか、凄まじい価値観が描かれていました。選挙の票のためならカルト宗教にも魂を売る、自民党安倍派の国会議員にぜひ読んでいただきたい本でした。船岡は家からそれほどは遠くはないので、そのうち城址公園の樅の木の下で

    0
    2022年08月10日
  • さぶ

    Posted by ブクログ

    去年の夏、沖縄の書店で「山本周五郎賞があるのに山本周五郎の作品が面白くないはずがない。」という文句に惹かれ購入した。なかなか読む気になれず放置していたが、1年越しに私は強く同意したい。

    江戸を舞台に、一人前の表具職人を目指す2人の男の子の成長を描いた作品だ。
    1人は弱虫で何事にも消極的なさぶ、もう1人は常に勝ち気でやや傲慢さが目立つ英二だ。対照的な2人だが、それが2人の強く結びつけ、不可分の関係であった。
    弱気なさぶを強気の英二が支え、共に成長していく王道ストーリーのよう構えてしまうが、実は正反対である。とある事件をきっかけに、英二はドン底まで落ちてしまい、何もかも自暴自棄になってしまう。

    0
    2022年07月12日
  • 樅ノ木は残った(下)

    Posted by ブクログ

    原田甲斐の選択の全ては、伊達家のため。
    自分を頼みとする妻子や自分を慕う家臣の、個々の生活も命さえも手駒として使わなければならない。
    甲斐が非情な独裁者ならどんなに楽だったろう。
    一人の人物にいくつも呼称があり、読み初めは確認作業をしながらなかなかページが捗らなかったが、いちいち気にならないくらい先が気になり出し、気付けばクライマックス。何という結末。
    去っていった者、死んでいった者、みな自分なりの忠義に生きた。大事なのか?伊達家がそんなに守るべきものなのか?と疑うのは現代だから。侍は疑わない。潔くも悲しい生き物に感じた。

    0
    2022年03月25日
  • 寒橋(さむさばし) 山本周五郎名品館III

    Posted by ブクログ

    あの国民的作家山本周五郎作品の沢木耕太郎セレクト版、全四巻中の三巻。作品も解説も絶品。

    落ち梅記、寒橋、人情裏長屋、なんの花か薫る、かあちゃん、あすなろう、落葉の隣り、茶摘みは八十八夜から始まる、釣忍、の九篇を収録。

    人情裏長屋と母ちゃんが有名であろう。私的には寒橋の切なさと感動が良かった。ついて良い嘘というものがある。

    0
    2022年02月27日
  • 裏の木戸はあいている 山本周五郎名品館II

    Posted by ブクログ

    国民的作家山本周五郎の珠玉の短編集。選者はあの沢木耕太郎。これが面白くないはずがない。様々なテーマ、舞台。山修の守備範囲の広さには驚かされる。

    直木賞ほか文学賞を全て辞退したという山本周五郎。没後50年が過ぎても今でも多くの作品を簡単に入手することごできる。作品数から言えば司馬遼太郎と並ぶ国民的な作家であろう。

    「ちいさこべ」「法師川八景」「よじょう」「榎物語」「裏の木戸はあいている」「こんち午の日」「橋の下」「ひとでなし」「若き日の摂津守」

    本書は、沢木耕太郎が4巻に9作品ずつ合計で36編の短編小説を選んだもの。さすがにいずれもレベルが高い。映像化するなら「ちいさこべ」が良くまとめられ

    0
    2022年01月31日
  • おたふく 山本周五郎名品館I

    Posted by ブクログ

    名人は名人を知る。紀行文、ノンフィクション作家が選ぶ文豪山本周五郎の珠玉の短編小説。

    本シリーズはあの沢木耕太郎の選んだ山本周五郎の短編小説。
    沢木は全集で全38巻、300編の小説から名作と呼ぶにふさわしい36編を選び4巻の名品館にまとめている。

    本書はその第1巻。あだこ、晩秋、おたふく、菊千代抄、その木戸を通って、ちゃん、松の花、おさん、雨上がる。の9編。

    半分ぐらいは一度は読んだことのあるものだったが、映画になった雨上がるを除き詳し筋は忘れてしまっていた。今回あらためて読み、新たな発見と感動が多数。

    山本周五郎の描く女性。そして貧しくとも懸命に生きる市井の人々。人それぞれの哀しみを

    0
    2022年01月26日
  • 菊月夜

    Posted by ブクログ

    流石の山本周五郎。期待通りの背筋が伸びる小説に加え、現代風エッセイのような短編、ちょっと笑えない皮肉に満ちたものなど、意外性というかバラエティに富んだ作品を楽しめる。幅の広さに驚くが、やっぱり時代物がいいなあ。

    0
    2022年01月07日
  • 小説 日本婦道記

    Posted by ブクログ

    奇遇にも愛媛県旅行中にこの一冊を読む。
    二十三年、は伊予松山でのお話。

    哀しくも美しい武家に生まれた女の話。
    平等叫ぶ現代では受け入れられ難いものも多いものの、自ら律するため、或いは過去の日本を知る縁として、良い一冊だと思った。

    初めて祖先の墓へまいるのに遊山を兼ねるのは不作法だと思う、
    糸車 p121

    0
    2021年10月14日