群ようこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
スズキ サチコ、キラキラネームとは対極にあるような名前。
どこかいるかもしれないあなたの物語、ということかもしれない。
サチコは常に受け身で、両親の言いなり。
私立の中学に入学(これは自分の努力と運で)すると大学までエスカレーター式、父のコネで大きな会社に入り、50代で自動的に(年功序列)係長となった。
親元から独立しようとした時も、父親が用意したマンションに住むことになり、これが元で兄夫婦との関係がこじれる。
両親が亡くなって初めて、自分は守られていたと気づく。
なんでも自分の力で手に入れなくてはいけない人たちに比べると、自分はズルい生き方をしてきたのだろうか。
ここからがサチコの本当の自立の始まりだった気がする。
箱入りだったのだなあ。
一方、中学からの友人のアケミは、自分で考えて道を切り拓き、上昇志向でバリキャリである。
それでも、ある意味自分とは対極の人生を送るサチコを否定することなく、海外に暮らし離れていても、いつも親身に相談に乗ってくれる。
ちょっとありえないほどの出来た人物だと思う。
しかし、そのアケミが長く友人であり続けることを選ぶサチコには、実はそれだけの価値があるのだと思う。
サチコの座右の銘は、宮沢賢治の『雨にも負けず』からの、「ホメラレモセズ クニモサレズ サウイウモノニ ワタシハナリタイ」
サチコは要領は良くないし、気は弱い、けれど「口数が少ないからって、何も考えていないわけじゃない」
父親のコネで入った大手の会社を早期退職した後も、労働することを選び、自分に与えられた仕事には出来うる限りの誠実さで応えた。
みんながアケミのように頂上まで出世できるわけではない。
サチコのような生き方をする人をも、決して否定しないのが群さんなのだ。
ーー「サッちゃん、平凡な人生をつつがなく過ごせるのが、人としていちばん幸せだと思うよ」ーー
オシャレにしか関心がないかと思っていた姉の、成熟した今(76歳)の言葉が深い。