荻原浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
予科練の特攻隊員と現代の若者が入れ替わってしまうタイムスリップもの。
最終的に特攻は回天になるんだけど、最初から回天の練習生にしなかったのは「特攻」のイメージと「回天」の一般への知名度の問題だと思う。マニアの壁を考えなければ、最初から「回天」にするだろう。特攻隊員が現代に来たときに「異世界」であると少年倶楽部の小説から思いつく。当時から「異世界」という概念はあったのです。
で、この物語の仕掛けは、入れ替わるということで、同時並行で現代と太平洋戦争末期が描かれるます。この手法は使えるかなと思うのです。異世界転移したときに現代人が異世界に行くだけではなく、異世界から現代の方にもやってくる。等価交換 -
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Posted by ブクログ
荻原浩ってば、大ヒットメーカーですね。
これまで、「僕たちの戦争」「ハードボイルドエッグ」「明日の記憶」なんかを読んできましたが、この小説も読みやすい本です。
銀行員(だった)が主人公。
とある問題から銀行を辞め、タクシードライバーの職に就くがプライドを捨てきれずに、いつか転職を考えている。
しかし、そう甘くはなく、将来を夢見て、さまざまな妄想を繰り広げる。
現状に挫折し、将来の夢が見られなくなったら、今度は昔の妄想に耽る。だから「あの日にドライブ」
物語が進むにつれ、いつ良い事が起こるのか、という展開に期待するが、半分以上読み進めてもいっこうに主人公の人生は好転しない。
結局、最後まで妄想 -
Posted by ブクログ
表題作を含む8編の短編集。
DV彼氏から娘を守るためにボクシングを習い始める女性の強さと忍耐には、ぐっとくるものがありました。
反撃されないから強く出れる男って卑怯で哀れ。
表題作は、新婚旅行から帰って新生活がスタートしたばかりの新婚さん。
価値観も合うと思っていた旦那とまさかの食の好みの不一致。
これはなかなかつらいですね。
どっちが悪いとかでもないけど、ここまで合わないとしんどい。
早起きして出汁から作った和食を「俺朝はパンなんだ」で一蹴されるってつらい。
でも旦那から見れば、勝手に作られたとも言えるし、まぁ思いやりの問題か。
思い詰めた彼女が摂食障害になる様子は、とても共感できて苦し