長沼毅のレビュー一覧
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本書は生物学の概説書というわけではないと思うが、ブルーバックスの『アメリカ版大学生物学の教科書』が思いっきり積読状態になっている自分としては、生物学を学んでいくための一つのアウトラインになってくれそうで読んでよかった。面白く、読みやすく、学びになった。
著者独自の表現なのか、生物学界でよく使われている表現なのかわからないけど(おそらく前者だろう)、「体内に海を抱える」(p.123- )という表現が詩的で良いなと思った。つまり、今まで海にいた生物が進化の過程で陸に上がるにあたり、皮膚を丈夫にして体内に水分を保持しやすくしたり、繁殖の際に胎児が浮かぶ羊水というシステムを準備したり、といったことを「体内に海を抱える」と表現している。わたしの中に海がある・・・と思うと、思考がオルドビス紀後(4億4370万年前)の海に拡がる気分になる。 -
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赤坂憲雄『ナウシカ考』を読んだのが2019年。
まさかの、宮崎駿と鈴木敏夫がこの本を読んでいて、「こんなこと考えて描いていない」「けれども、この本はおもしろい」と感想を述べている。
漫画版ナウシカが取り上げられるのは、扱っているテーマと今の状況に重なりがあるから。
でもって、ナウシカが行った最後の選択が、サラッと読むだけでは「よく分からない」からかもしれない。
「人類全体にとって重要な決断を、ナウシカ一人の直感で決めてしまってよいのか。」と長沼毅は語っている。
「シュワの墓所の科学力をうまく活用して、人間にとって劣悪な環境を改善し、人間性を向上させていくという物語の展開だったらよかったのに」と。
でも、私は、ナウシカは「直観」的に、それを選択してはいけないと分かったのではないかと、思っている。
川上弘美の「『人類が人類として精いっぱい生きる』ということと、『人類がいつかは滅びる』ということ」の両立を述べているように。
カタストロフィ後の世界を扱った物語として、パッと頭に浮かんだのは、ニアサー後のエヴァの世界、つまり第三村だった。
文明が後退し、限られた資源を共有しながら、脆弱な人間たちは生きている。
第三村が「シュワの墓所の超科学力」によって救われる結末は、やっぱり相応しくないと思う。
インタビュアーは敢えて、現実世界には「生命を操る技術」(たとえばワクチン)が必要とされていることを、何度も問いかける。
今の我々にはまだナウシカ的解答が出来なくとも、逆説的に?ナウシカが出した答えは、一つの古典に昇華したのだと思う。 -
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9人の最先端な科学者が、それぞれの専門領域から地球外生命あるやなしやを論じてくれる一冊。
「SFの世界でのお話に過ぎないと思われがちだった地球外生命は、いまや科学の最先端にある重要なテーマとなっています。」
光合成の成り立ちを延々と書いて地球外生命の話はちょっとだったり、
アミノ酸が非人為的にどうやって合成され得るかを延々と書いてみたり、
地球の極限環境の生命についてだったり、
色んな観点で、いないと思うよとか、いやいるよとか話を聞かせてくれる。
一見、地球外生命の話としては回りくどいようにも思えるけど、その実すっごく直接的に生命発生についての話になっていて、つまりすっごく面白い。
科学系ノンフィクションは、SFを読むのと同じ感じの楽しさがあるけど、これが本当にこの世界の話だっていうところが興奮ポイントですね。
事実は小説より奇なり、を、最先端科学ほどに地で行く分野もなかなかないと思います。
10年以上前に笹本祐一が、太陽系の外の惑星を望遠鏡で見つけた!っていうネタだけで一冊出していたけど、まさにそれと全く同じことがリアルタイムで起きているこの現状はエキサイティングです。
宇宙には、地球そっくりの惑星がたくさんあることがほぼ確かになってきたのです。
SF者の基礎知識、ドレイク方程式のいくつかの要素が埋まりつつあるのです。わー!
ここ3年(2012年基準)の系外惑星発見ラッシュで、
「かつては、まっとうなサイエンティストなら、『地球生物以外の宇宙生命体はない』と考える人の方が圧倒的に多かったろうが、(中略)宇宙のどこかに存在しても不思議ではない』と考える人が、むしろ多数派になりつつある。」
なんて面白い状況だと思いませんか? -
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生物学者や天文学者が集まったシンポジウムを土台にしたアンソロジー。「9の論点」とあるが、論点がはっきり9つあるんじゃなくて9人集まったから「9の論点」にしたみたい。
どちらかといえば物理学者に地球外生命肯定派が多くて、生物学者に否定派が多いらしい。しかし系外惑星が次々と発見されたり、太陽系内でも生命が存在しうる環境が見つかったりする中で、徐々に肯定的な見方が増えてきて、学問として成立するようになった。でも、まだ知的生命の存在までは簡単には考えられない。
フェルミのパラドックス:広大な宇宙には知的生命が他にもいそうなのに、誰も人類にコンタクトしてきていないのは何故か?
電波で何光年もの距離を通信するのはとんでもない大出力がいるので、電波以外の手段を使うのでは(by大石先生)
平凡原理:わたしたちは特殊な存在ではないと考える。他にも知的生命がいると考えるのが素直。
ドレイクの方程式:地球外に知的生命体がどれだけいるかを推定する。系外惑星の発見で、少しオッズが上がった。
生命の定義・・・定説はないが、、、
1.境界をもつ
2.複製をする
3.代謝をする
最初の生命はどんなものであったか?
DNA/RNAがないとたんぱく質をコードできないし、たんぱく質がないとDNA/RNAを作れないし。。。ニワトリ・卵問題
RNAワールド仮説:最初の生物は、RNAで体を作り、RNAで自身を複製したいたのではないか。
そんなことができるRNAを人工的に作る方向で研究が進む
RNAは反応性が高いので情報を保存するには不向き。ある程度高度な生命のデザインまで進化した時点で、うまいデザインを保存できるDNA生物にスイッチしたのではないか。
アミノ酸を熱すると出来るプロテノイドが、膜を作って生命にとっての境界になったとする説。そこからRNAワールドへ進む。
スタンリー・ミラーの実験。メタンやアンモニアがあれば放電で簡単にアミノ酸が生成される。化学進化。しかし、原始地球にはメタンやアンモニアがそんなに豊富には存在しなかった可能性が高いと判明。スターダスト(メタン、アンモニア、一酸化炭素、メタノール)に宇宙線があたると、アミノ酸の前駆体ができると判明。前駆体は分子量が大きくて安定してる。これが地球に降り注いで、加水分解されて酸で煮られてアミノ酸へ。
ホモキラリティ。宇宙空間で円偏光にあたって左手型が増えたのでは。
電波望遠鏡で星間物質にアミノ酸を探す研究も。糖とかの有機分子はけっこう見つかっている。
系外惑星の探し方。ドップラー法→トランジット法。人工衛星ケプラーにより2009年以降続々と見つかっている。ハビタブルゾーンにも。 -
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個体が生まれた後で獲得した形質は子孫には遺伝しない。すなわち個体が努力して首が長くなっても、それによって遺伝子の情報は変わらない。故にキリンの首が長いのは進化論の考え方では突然変異によるものとされる。長い首を持ってしまったキリンの先祖は実は苦労している。下草や水を飲むのも大変。生き延びるという意味では極めて不利な状況だったに違いない。少なくとも生きやすくなるという目的をもって進化したのではない。皆と同じことをしていたのでは生存競争には到底勝てない状況にあって、生き残るためには発想の転換が必要であった。下草から高木の葉を食べるというライフスタイルに変えた。自分のカタチに合った生き方を選択したわけだ。ライフスタイルを転換できた個体だけが生き残る。突然変異は全くランダム。皆と違う個体が生き残るには、新しく備わった特徴を活かすことが前提となる。生き残っている生物はすべて努力した祖先の末裔。皆と違った形質には不便なことばかりではなく、工夫しだいではそれを役立てることもできる。持って生まれたカタチで何とか頑張って生き延びる。これが進化の基本。人間も同様。自分に与えられた能力を良くも悪しくも最大限工夫して有効に活用した者のみが進化を許される。