あらすじ
小さなチャンピオンたちが教えてくれること。生命とは何か? この根源的な問いに、私たちはいまだに答えることができない。ならば、極端な「エッジ」を眺めて考えてみよう。超高温、超高圧、高塩分、強放射線、強重力……過酷な環境をものともしない極限生物たちの驚異の能力と、不可解きわまる進化。そこには「不安定な炭素化合物」として40億年も続いた生命という現象の本質がある。(ブルーバックス・2013年12月刊)
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Posted by ブクログ
最強生物決定戦。極限の環境で生き残れるのは誰か。
「極限生物」と呼ぶらしいが、思いつきそうなのはクマムシである。クマムシは樽の状態になり、水分を0.05%まで減らし、トレハロースと言う糖分を体内に増やすことで命を保つ。しかし、クマムシの更に上を行くネムリユスリカの「乾燥アカムシ」というのがいる。温度、圧力、真空状態、放射線に対して強靭な生命力を見せる。また、超好熱性古細菌(アーキア)は122度の温度で生きる。チューブワームはミトコンドリアでも葉緑体でもなく、硫黄酸化細菌により栄養を作る。
大人の人間は、水が70%、残りの15%が炭素でできている。宇宙で炭素が安定的に存在できる状態は2つしかなくて、それは還元状態と酸化状態と言う両極端の状態。還元端の場合、メタン以上には還元が進まない。酸化端の場合、二酸化炭素でストップ。従い、この宇宙で炭素化合物が安定して存在するためにはメタンか二酸化炭素になるしかなくて、それ以外の炭素化合物はどれも不安定な状態だという。
ところが、地球生命と言う炭素化合物は、その体を多く占めているのは炭水化物で、これは本来不安定な状態なので長続きしない。そのまま置いておくと必ずメタンか二酸化炭素になる。地球の場合は酸素が多いので酸化が進む。つまり私たちが死ぬと、その瞬間から体の崩壊が始まり、分解され最終的に二酸化炭素になる。土の中に埋めた場合は酸素が少ないのでメタンになる。生ごみを埋めるとメタンガスが出る。我々は、やがて、二酸化炭素化かメタンに還る。
「生命の本体は脳ではなく遺伝子にある」「生命とは、端的に言ってしまえば、宇宙を早く終わらせるためのもの。自らの消滅を促しながら、それに手を貸している」本書が言うように、生命が生命とは何かを考える入れ子構造において、ぐるぐると考えさせられる内容だった。生命が円環する。その円環により、より効率的に、宇宙の終わりに到達するために。まるで、死ぬために生きる、という循環式のようだ。
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おもしろかった。
進化の本質は「結果オーライ」とのこと。とてもわかりやすい。
「きりんの首は、高いところにある葉を食べるために長くなった」というような、よくある目的論的な捉え方は間違い。
たまたま遺伝子の突然変異で首の長くなったきりんが高いところにある葉を食べることによって生き延びることができてきただけのこと。なるほど。よくわかった。
しかし生命が彗星からやってきたという仮説は大胆すぎやしないか。
内容のおもしろさに比べて、タイトルが軽い。もったいない。
Posted by ブクログ
目次
はじめに
第1章 「生命とは何か」とは何か
第2章 極限生物からみた生命
第3章 進化とは何か
第4章 遺伝子からみた生命
第5章 宇宙にとって生命とは何か
おわりに
いやー、コレ面白かった( ´∀` )
生命の神秘だなぁ.
オートクレーブの設定温度がなぜ123℃なのか、!と思った.
極限の状態で生きる細菌のその脅威の能力をみると、一見無駄に高い能力のようなきもするけど、ふと、今の地球の状態がこのまま永遠に続くわけではなくて、水がない世界になるかもしれないし、放射能ががんがん降り注ぐような世界になるかもしれないので、そういった極限の状態でも生き残ることができるようになっているのかなと思った.人間なんてよわっちいもんだ.
自分の考え的には、物理学者的だったなと思う.ある条件が満たされれば生命は誕生するもんだと思っていた.だから地球外にも生命体はいるだろうと思っていた.この考えは完全に覆されたわけではないけれど、そんな簡単なものではない、考えを改めた.宝くじを全部買うくらいの投資をしないと当たらないものらしい.おおぅ.
Posted by ブクログ
テレビ等で拝見する長沼先生そのままの、
非常に分かりやすくとても興味深い内容です。
この本読んでる間中、
ずーっと「へぇ〜!!」って言ってました。
地球には普段の生活からは思いも寄らないような極限環境があり、
そこに住む生命体は想像も出来ない様な仕組みを持って生きている。
そして、その耐性は自然の地球上では起こりえない圧力、重力、温度、放射線量などにも耐え得るものでした。
となると、
それらの生命体は宇宙から来た可能性が?
ってコトは、
地球外生命体の存在は確実にある?
なんせ面白い!!
中学生にはちょっと難しいかも知れませんが、
高校生や大学生レベルになれば充分理解出来る内容だと思います。
社会人になると更に面白いと思いますよ♪
こんなに楽しく面白い講義はなかなか受けれませんからね♪
Posted by ブクログ
極限環境で生きる生物をあれこれ紹介してもらうだけかと思いきや、生命とは何かという問いに対し、極限生物、進化、遺伝子について触れながら切れこんでいく。起源を追求していくと、確かに物理学っぽくて面白い。
先日、息子の小学校で講演いただきました。大人も子どもも楽しめる面白いお話でした。
Posted by ブクログ
何度かほかの本のレビュー欄にも書いていますが私は高校時代、物理化学が大の苦手でした。50歳も過ぎてブルーバックスを手に取るようになるとは…
これだけの情報化時代、生物学、生命学もどんどん進歩します。
今回学んだのは、生物が他の生物を取り込んだ事例は今まで二つ。生物細胞の中にあるミトコンドリアと植物細胞の中にある葉緑素。
そして3例目が深海で発見された。硫化物から有機物を合成する細菌を取り込んだチューブワーム。(チューブワーム自体は深海のドキュメンタリーで見たことがありますが、環形生物か何かだと思っていました。実際には口も排泄口もなく、どうやって生きているのが謎だった、と)
暗黒の世界で光合成と同じメカニズムが動いている。
ということで地球外生物、というと地球と同じような星を想像しますが、実際には水と熱さえあれば生命は発生できる(かもしれない)。有機物、水、火山の熱、という条件を満たす星は地球以外には、土星の衛星「エンケラドゥス」!と。
古代大気に雷を模した高圧電流を流すとアミノ酸まではできるがそれ以上はできない。一方、地球上の生物は圧力、温度、放射能被ばくなど、地球上ではありえない条件でも生きることができる生物がいっぱいいる。
さきのエンケラドゥスも衛星が土星の重力圏につかまって衛星になったと考えられており、案外生命の種は太陽系以外にあり、彗星に乗ってやってきたのかも、と。(宇宙空間でも死滅しない、というスペックになっているのではないか?)
大変刺激を受けました。
Posted by ブクログ
「生命とは何か」と問う時、「死」はけして切り離せない主題である。しかし、それはあくまで、生命はすべて「死」ぬということにおいてである。まさか、生命が「死」なないということから考えるとは思いもよるまい。「最強生物」と名高いクマムシ、そして実はそれより強いとされるネムリユスリカの乾燥幼虫の存在。他、摂氏122度の超高温、2万気圧の超高圧(地球上に存在しない)、濃度10%を越える高塩分(海水は3.5%)、毎時6000万シーベルトの強放射線(人間の法令で定められている上限は5万シーベルト)、40万Gの強重力(人間の上限は9G)、およそ信じ難い極限環境を、すまし顔でのさばる紛うことなき生命たち。著者の巻末見解、生命がエントロピー増大法則の中で、散逸構造をとりつつ、その増大を加速しているというのは慧眼。あらためて自己組織化の意味に思い馳せる。
Posted by ブクログ
タイトルの「死なないやつら」とは、高温や高圧、高放射能などの過酷な条件でタフに生き残る生物の事。これらを紹介するとともに、「生命とは何か」、さらに『「生命とは何か」とは何か』という事を考えさせられる本。生命の誕生はほんの偶然だという事から、今生きて家に住んで食事をして本を読んでいるという自分を不思議に感じた。
Posted by ブクログ
生命学って、生物学って。難しそうな問いを、身近な驚きから。究極の極限生物の性質とは、耐熱性でも耐寒性でもなく、「どこでも生きていられる普遍性」ということに納得。大腸菌が40万Gでも分裂を続けるという、およそあっても無駄な能力の実験がなんとなく心に残ってはなれない。
Posted by ブクログ
ある分野で最強の極限生物のカタログをつくりたくて、ひもとく。
・高温、低温、X線に耐えるクマムシ
・その上を行くネムリユスリカ
・メタノピュルス・カンドレリ:122度の高温
・大腸菌:2万気圧
・真空で生きるボツリヌス菌
・ハロモナス・ティタニカエ:鉄を食べる
・ハロモナス:30%塩水
・デイノコッカス・ラジオデュランス:6千万マイクロシーベルト
・ハロバチルス:2億5000万年生きている
・パラコッカス・デニトリフィカンス:40万G
・セキユバエの幼虫。石油の中で生きる。
Posted by ブクログ
「生命」とは何かについて、極限状態に生きる生物や進化の観点から考察した本。
生命は物理現象のように数式で説明されるものではなく、様々な極限環境に生きる生物から見出されるように、多様であり、複雑なものであることを理解しました。
エントロピーの法則、散逸構造の観点から、生命と宇宙の関わりを説いた筆者の生命観に感銘を受けました。
全体を通して読みやすく、生命への理解が深まる本でした。
Posted by ブクログ
著者の講演を去年聞いて面白かったので買ってみた。
新宿での全4回のセミナーをまとめたものなので、素人にも
解りやすく、極限生物から生物の起源まで幅広く面白い。
Posted by ブクログ
生命の誕生や進化・遺伝子などに関する現在の通説と作者の考えを、実際の生物を例に挙げながら紹介してくれる。動物図鑑を読むようなワクワク感を味わいつつも、生命について深く考えることができた。
Posted by ブクログ
タイトルとしてはいかがなものか。
生命とは何か、つか、生命とは何かという命題とは何か、と言う問題にこの薄い本で触れてるわけだ。
その命題に触れるために、自然環境では起こりえない異常なG、圧力、塩分、高温、低温で生き延びる、つか、繁殖できる生命と言うものに触れているだけだ。
そもそも、生命の定義とは何か動物と植物の違いは何か、その枠組みを実際超える生命が発見されていて、じゃあどうなんだ。
色んな視点から、生命、進化について論じて行く。面白くないわけがない。
テメエは生物学者の視点から語ってんだと言う論点も明確で、倫理的な問題とか、物理学的、宇宙論的な問題とも明確に知らんで、と言ってる態度も、心地よい。
Posted by ブクログ
「死なないやつら」というタイトルからつよい生き物辞典のような内容を想像してしまいました。
読みはじめると「生命とは」のような哲学っぽい内容が書かれていて「うわー」と思ったのですが(哲学苦手…)、第2章からはグングン読んでしまいました。
普段理科類の本は全く読まないし、この分野には疎いので、早くもクマムシとネムリユスリカの水分の話から驚き感動してしまいました。
無駄な能力を持つ生き物の話や遺伝子の不思議など読んでいると、もっと先のことを知りたくなるのでした。
地球上には不思議と奇跡がいっぱいですねー
このたび、新しい扉を開きました。
いい本でした。読んでよかったです。
Posted by ブクログ
本書は、私たちの常識では計り知れない極限状況でも生き残る生物(極限生物が著者の研究分野)を通して、生物とはなにか、進化とはなにかと言う事を考察した本である。生物の進化の頂点は本当に人間なのか、と言う事を考えさせられる本でもあります。
Posted by ブクログ
とてもわかりやすい。
ドーキンスの、「生物は遺伝子の乗り物に過ぎない」と言う言葉が非常に納得できた。
最初の2章はあまり興味が書かなかった。第二章は著者の生命観であり、第二章は微生物の話なのであまりイメージがわかず、極限に生きられると聞いてもあまりすごいなぁというような感想は抱かなかった。
Posted by ブクログ
「死なないやつら」
題名が面白い。興味をそそられる。
生命とは何か?をメインテーマに色々な切り口から様々に判りやすく生命学にアプローチする。
・「生命とは何か」とは何か
・極限からみた生命
・進化とは何か
・遺伝子からみた生命
・宇宙にとって生命とは何か
「極限からみた生命」が読み応えがある。題名にもなっているし一番面白い。高温に強い生物、低温に強い生物、真空でも生きていける生物、何故か放射能に強い生物。
進化論も大型生物に於いて実証出来ていないので、いつまでも~~論なんだ、進化学とは言えない、の理屈は面白い。(微生物レベルは実験室で確認出来るが、大型生物、例えば哺乳類が目の前で進化を遂げる、等の事象は確認しようがない。)
締めは「宇宙にとって生命とはなにか」を最終章としているが、ちょっと話を大きく拡げすぎて纏まっていない感じ。
びっくり生物の紹介に終わった感がなきにしもあらず。
でも軽い読み物として面白かったな。
Posted by ブクログ
122℃の高温,2万気圧の圧力,40万Gの重力,1440Gyのγ線,5000J/m2の紫外線,30%の高塩分,そんな極限環境下でも生き延びる地球生物を見つめながら,「生命とは何か」,「『生命とは何か』とは何か」を考える。
地球上の生命の起源はどこにあるのか。我々の知っている単一系統の生物の他に,宇宙に生命は存在するのか。植物と動物を生み出したのとは別の共生進化は起こるのか。こんな謎が解明されるのはずっと先なのかもしれないが,人類は着実に知見を深めてきている。
当初の企画では極限生物のカタログのようなものを構想していたそうだが,大風呂敷を広げたのは正解で,とても刺激的な本になっている。
Posted by ブクログ
高熱、高圧などの極限環境で生きる生物を手掛かりに、現在の地球生物引いては生命とは何か(とは何か)を概観。
生命の進化は目的を持って行われたのではなく、突然変異の結果たまたま生き残ったものが現在の生態系を作っただけと言ったことや、生命誕生の要件と地球外生命の可能性など興味深いことが平易な表現で綴られており面白く読めた。
上記のような内容なので極限生物の紹介本と思わせるタイトルは不適切。
Posted by ブクログ
夏に系外惑星とアストロバイオロジーの特別展をやるので、
その関連本を読み漁ってます。
長沼さんの本はワクワクしますね。
極限生物のアレコレは興味深く読めました。
でも、ますます生命がなんだかわからなくなってきた気もします(笑)
読みながら自分の頭でいろいろ考えられる本ですね。
Posted by ブクログ
①読んだことないジャンルで面白かった!生命って不思議だなー!
②生命の進化は突然変異!かつ生き残ろうと努力したもの!置かれた場所で咲く大切さ!
③生き物の定義を少しだけ知れた気がする!動物は細胞膜とミトコンドリア、植物はそれ+葉緑体!
Posted by ブクログ
極限環境に生きる生物を通して、生命とは何かを探求する本。最新の進化論の概説やドーキンスの利己的な遺伝子とからめた記述もあり、興味深い。
以下注目点
・環境に合わせて自分をデザインするのではなく、自分の形に合った生き方を選択する。
・進化の基本はもって生まれた形でがんばる。
・生き方を自分で選択することで、生き残っている。
・放射能の異常に強い細菌はDNAを4セット持っていて、放射能で傷ついても、残ったDNAとで多数決することで修復できる。
・今、地球上に生き残っているのは偶然の産物。
Posted by ブクログ
個体が生まれた後で獲得した形質は子孫には遺伝しない。すなわち個体が努力して首が長くなっても、それによって遺伝子の情報は変わらない。故にキリンの首が長いのは進化論の考え方では突然変異によるものとされる。長い首を持ってしまったキリンの先祖は実は苦労している。下草や水を飲むのも大変。生き延びるという意味では極めて不利な状況だったに違いない。少なくとも生きやすくなるという目的をもって進化したのではない。皆と同じことをしていたのでは生存競争には到底勝てない状況にあって、生き残るためには発想の転換が必要であった。下草から高木の葉を食べるというライフスタイルに変えた。自分のカタチに合った生き方を選択したわけだ。ライフスタイルを転換できた個体だけが生き残る。突然変異は全くランダム。皆と違う個体が生き残るには、新しく備わった特徴を活かすことが前提となる。生き残っている生物はすべて努力した祖先の末裔。皆と違った形質には不便なことばかりではなく、工夫しだいではそれを役立てることもできる。持って生まれたカタチで何とか頑張って生き延びる。これが進化の基本。人間も同様。自分に与えられた能力を良くも悪しくも最大限工夫して有効に活用した者のみが進化を許される。
Posted by ブクログ
普通なら全く読みませんが、日経新聞の水曜夕刊推薦図書コーナーで挙がっていたので読んでみました。
生物の神秘を生物学者である著者が説く。
生物は、むしろ環境に生きやすい生物よりも生きにくくてもそのデメリットをメリットに変える力のある生物だけが現代まで世代を繋いできていると説いています。
これは、人間社会における競争でも同じと思います。競争を勝ち抜くためには、勝てる力を持つことも大切ですが、デメリットを持っていたとしても、デメリットをメリットに変える力こそ最強の競争力と暗にいっておられるように感じました。
Posted by ブクログ
いろいろな極限生物の紹介は面白い.もともとそういう生物の博物学的内容だけの本を作りたかったらしい.本書はそれ以外に話を膨らませ,遺伝や生命自体についての問いかけといった一般生物論的な内容に半分以上をつぎ込んでいる.しかし,個人的には当初の狙い通りの本を読みたかった.要は専門のど真ん中,ということを期待したい.
Posted by ブクログ
普段はノウハウとか法律の本しか読まないため、敢えて全く仕事とは関係のないジャンルの本にチャレンジしてみた。
なお、きっかけは日経新聞の日曜版に書かれてあった書評から。
恥ずかしながら生命とか生物といった分野は大学受験の科目でしか勉強して以降は、本など一切読んだことがなかったが、過酷な環境でも死なない生物の紹介など、生物学の知識がほとんどなくても面白く読み進めることができた。
一番面白いと思ったのは進化に関する記述の「キリンは高い木の葉を食べるために首が長くなった」わけでなあいという部分だ。生物学の間では常識なのだろうが、てっきり生存競争の過程でそういう体型に変化していったとばかり思っていたので新鮮だった。
終盤は生命の根源にも触れられるが、この分野は突き詰めていくと「宇宙」に到達するのか。
余談だが、本書で引用される「情けは人のためらなず」という言葉について、僕も間違えた解釈をしていた。その点も踏まえて、少し賢くなれたような気がした。
Posted by ブクログ
好熱細菌は、コドンの冗長性をうまく使っているという話があり、興味深く感じた。DNAでは4種(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)の塩基が3つひと組でアミノ酸をコードしている。アミノ酸は20種類だから、4種×3bit=64種の可能性を考えると、コーディングには冗長性がある。たとえばCGCとAGAはそれぞれアルギニンを指すコドンであるが、G-C結合は水素結合を3つ持ち、化学的安定性が高い。そのため、超好熱細菌などにおいては、この冗長性が重要になってくる。また、放射線に対する強い耐性を持つ微生物が、4セットのゲノムを持ち、余剰分をエラーコレクションに使っているという話も興味深かった。
Posted by ブクログ
いずれにしても人類はもう、すべてを自然に任せることはできなくなっていると考えるべきです。ならばいっそのこと、その力を人類全体の発展に有効な方向に使うことを考えたほうがよいのではないでしょうか。
ホモ・パックス(平和なヒト)
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なぜ生物系・物理系・複雑系の人たちはよく「生命とは何か」を考え続けるかということをずっと疑問に思っていた。著者は「自分とは何か」という疑問とのつながりの中からこと疑問が生まれたようだ。
結局のところ線引き問題に還元されるのか?人類の有効な発展とは何か?極端な平和が争いを生むのではないか?ちょっと納得がいかない。途中から自分の興味範囲のアポリアと分化して、違う方向に進んでいくからである。
進化生物学、散逸構造、多系進化、捕食者ー被捕食者など、生物の比喩は確かに面白い。プリゴジンとダーウィン、カテゴライズの話あたりを読みたい。