伊与原新のレビュー一覧
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audibleで。5つの短編が入っている。
どの作品も、自然や歴史の大きな時間の流れの中で、短い人の生とのかかわりをえがいているようだった。人の短い時間では測りきれないなにか、でも、だからこそ大切にしなければならない祈りにも似た何か、がぎゅっと詰まっている感じがした。どの作品にも、自然科学的要素が含まれていて、とっつきにくさを感じる面もあるが、それがあるからこそ、人と自然の営みについて考えさせられ、納得し、自分の足元を見つめているような気分になる。耳から聴いたせいもあるが、広大な自然の中にぽつんと立っているような感覚に囚われる作品だった。 -
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ネタバレ3.5くらい
著者の八月の銀の雪が大変よかったので、みかけたこちらを読んでみた。
宮沢賢治については代表作しか履修していない。
ロードノベルなのかな?賢治を巡る旅を通して少年たちがそれぞれに何か掴んでいく。かつミステリの要素もあり、伏線回収もしっかりしてくれた。
ラスト、壮多に芯が通ったと感じさせる鹿踊りのシーンはよかった。
最初の表紙の感じと内容が思ったのと全然違って、不穏な感じから始まり、なかなかの読み応え
私は根っから文系人間なのだが、科学館がめちゃくちゃ好きであり、サイエンスに憧れがある。この著者の作品はなんだか科学館を思い出させる。さすが地球惑星科学の先生である。 -
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伊予原新氏の小説を読むのは2作目。津波の予知にかかわる人たちの挑戦の物語である。
センシティブなテーマなので、著者は慎重にリサーチをし、科学的な側面を出して書き進める。理系出身の著者ならではの視点が活かされている。当然ながら根っこには、東日本大震災の津波で亡くなったたくさんの人への思いがある。日本人が共有する痛みである。
大地震の後の津波の規模を正しく予知し知らせることができなかった失意から、政府の一機関である地震研究会を退職した主人公は、大学の研究室に拾われる。ベンチャー事業家やコンピューターの天才や地質学専門家などと組み、津波予知システムを作ろうとする。手作りの機械は本当に津波を予知できる -
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“猿橋賞”
毎年 自然科学分野で優れた業績をあげた女性研究者に贈られる賞。
ニュースで“猿橋賞”のことを聞くたびに 受賞された女性研究者の方をすごいと思い、女性として誇らしく思っていました。
しかし 肝心の“猿橋勝子”のことは まったく知りませんでした。
伊与原新の「翠雨の人」に “猿橋勝子”が描かれていることを知って 手にとりました。
大正9年生まれの猿橋にとって 理科系の大学に入り、気象研究所で地球化学の研究をすることだけでも その頃の女性にとっては 未知の道を歩む、開拓することだったろう。
理科系の著者によって 猿橋女史が 日本学術会議の初の女性会員になり “猿橋賞”を設立する