あらすじ
日本を壊滅寸前にした震災から4年後、刑事崩れのヤクザ巽は不思議な少年・丈太と出会う。彼の出生の謎、消える子供達、財宝伝説--全ての答えが禁断の地お台場にあると知った二人は潜入を試みるが--!?
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なかなかのハードボイルドです。
今回は出てこないのかな?と思ったところに地震研究の教授登場。
社会構造の危うさと人の心の繊細さ、人間の優しさと強さ、可能性、理不尽なまでの致し方のない不平等など、日ごろニュースに接するたびに感じてしまう多くのことを物語とともに追体験できてしまいます。
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デビュー作だそうですが、私の伊予原さんの著作イメージとは全く異なるストーリーの小説でした。でも面白い。そろそろ直木賞受賞作を読もうかとも思いますが、期待し過ぎると肩透かしになることが多いんですよね。
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著者の作家デビュー作ということで興味があり、購入しました。
後半部分の展開には、やや強引かな~と思えるところがありましたが、これだけの大作がデビュー作とは凄いの一言です。
本書では、主人公の巽、そして物語のキーとなる丈太の人物描写が特に秀逸だと感じました。
主人公である巽の、社会的に弱い人を思いやる、情熱ある行動に胸を打たれました。
最後の場面では泣きそうになりましたね~
「月まで3キロ」や「宙わたる教室」のような作品とは、世界観が異なりますが、この作品のようなハードボイルド的な作品もいいですね。
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「宙わたる教室」で伊与原新さんを知り、面白そうだったこちらも読んでみました。
見事に、伊与原ワールドにはまった!
後半は特にハードボイルドな展開でハラハラ、ある登場人物の潔さにカッコイイ!と心の中でガッツポーズ。
和達教授の地震調査への熱い思いは、伊与原さんだからこそ書けたのかな?とも思ったり(伊与原さんは、絶対ロマン派の研究者ですよね)
東日本大震災が起こる前にこの作品が発表されていたことにも驚きました。
この物語に書かれていたようなことが現実のものとなってもおかしくないな、とリアルに感じる14年後の現在の日本。
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「月まで三キロ」を読み終えて、
伊予原新さんの本をもっと読みたいと思っていたので、
デビュー作のこの本を手に取りました。
日本の近未来を描いたミステリー作品で、
私はこれまで近未来ものにあまりリアリティを感じることができず、いまいち楽しみきれなかったのですが、
この作品は、どことなくリアリティがあり、ボリューム感のある本ですが、するすると最後まで楽しませていただきました。
情報や知識の裏取りがしっかりと丁寧になされているからだと感じます。
他の作品も読むのが楽しみです。
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謎の設定が弱いのだけども、キャラが生き生きしていて序盤は引き込まれるように読んだ。
が、中盤以降、ちょっと弛んでいる感じで辛い。
また、ミステリ、謎の要素が少し薄く、知りたいという面では訴求力になっていない。
2010年の時点で衰退した日本を想定して書いているのだけど、日本が先進国の地位から転落しているにもかかわらず、日本の国籍、パスポートが価値をもっていたり、未来の設定にザラツキを感じた。3等国になったらななったで、もっと徹底的に惨めな日本国を書いて欲しかった。
ひとりの人間の中にもうひとつの人格を作るというアイデアはSFではよくあるもので、電子技術、バイオ科学などで説明できる設定を作ることが可能であったがそこまではしていない。ここに、自分が書く場合の可能性の余地があるなぁと思った。
2010年の横溝正史ミステリ大賞なのだけども、選考者の意見の中では「悪人がいない」という意見が印象に残った。
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「藍を継ぐ海」「オオルリ流星群」と読み継いできて、「宙わたる教室」へ行く前に本作を手に取りました。BS番組「あの本読みました?」で伊与原新さんの特集を放送していたときに、本作が取り上げられて興味を持ったのがきっかけでした。既読作品とは全く違う作風で、ハードなアクションもある近未来ハードボイルドのような印象。東京で震災が起こったという想定での荒廃した都市の描写は、漫画「AKIRA」や「漂流教室」を思い起こしました。それでも、地震学や生物学、地質学などの自然科学の知識に裏打ちされた表現のところは、さすが伊与原さんらしいなと思いました。
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日本を壊滅寸前にした大震災から4年後。
巽が少年と出会ったのはスーパーの前だった。
店外に繋がれている犬の服を脱がせていて、買い物を終えて出てきた飼い主が警察を呼ぶと騒ぐ中、巽が「自分は警察だ」と名乗り出た。実は元警察なのだったが。
少年が住むのは地震で壊滅し、封鎖されたお台場。
少年と出会ったことで、巽は事件に巻き込まれていく。
私が思っていたのは震災後を生きていく人々の生活の物語と思っていたが、違った。
けれども壮大な物語には違いない。
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2022/4/19
えええええ~寅ちゃん…
それ以外はジェットコースターで分厚い本なのにするする読んだ。
震災前に書かれた本で、関東大震災が来て日本が崩壊した設定になっている。
震災前にその発想すごいよね。
そして日本はもうちょっと持ちこたえたよ。
今来たら危ないかもしれんけど。
予言書のようでもある。
でもこの本のようにならないように持ちこたえたい。
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伊予原新の旧作をさかのぼって読んでおこうと思い手に取った1冊。デビュー作とあってぎこちなさや荒っぽさも感じてしまうが。
そうか、伊予原新の最初の作品は、アクションハードボイルド小説やってんなぁ、今の作風である理系知識展開系の芽も見受けられるが、主人公や主要登場人物のほとんどは、肉体系かチンピラか文系。唯一地震学者が今の作品に出てきそうなタイプ。
大型地震で壊滅的な打撃を受けた東京臨海副都心を舞台に、経済的にも国際的地位を失いつつある日本と腐敗した政治、出生届を出せないまま無国籍となった在日外国人たちなどの問題を描いた小説なのだが、この作品が東日本大震災前に書かれていることに驚く…とはいえ、この作品の日本の方が現実よりまだマシな部分も多いことにため息もでるのだが。
アナキストであれ、ファシストであれ、自己正当化を権力を使って誇示しだすと人間は劣化し、周囲は大いに迷惑をこうむる…。きっとプーチンもそうなんだろうねぇ。