伊与原新のレビュー一覧

  • ルカの方舟

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    ネタバレ

    所謂偏差値的に必要十分な人間、時に実績という名の運機に恵まれる人間だけで上澄みが構成されるように、多分に作為的に足切りされ続け出来上がる狭い世間は、小賢しく人間性の歪んだ我利我利亡者がのさばり、口裏を合わせ、不器用な人間が裏の事情さえ知られずに爪弾きに遭う悪環境の浄化を常とはしない。物語の始まりから終わりまで、国外からの組織的な悪意には触れられない処は多少ナイーブで理想郷的な面もあるのかもしれないけど、日本人社会の生来的な欠陥が描かれてると思いました。百地先生、小日向記者、弥生さん、有里ちゃんに栄光あれ。

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    2026年01月11日
  • オオルリ流星群

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    大人になった今、
    展望台を作るために
    高校の同級生が再集結する
    大人の青春小説

    『展望台づくりをきっかけに
    何十年越しに明らかになる、
    同級生たちの過去や抱えていた悩み』

    『人生の折り返し地点で、
    このままの生活でもいいのか?
    とつい考えてしまう葛藤』など、

    “目を背けたくなるような苦い現実”を
    “濁すことなく”描かれています。
    こういった普通の青春小説ではなかなか見られない
    描写がすごく好きです


    また、過ぎた青春をただ取り戻そうとするのではなく、
    “あの夏を超えてやろう!と展望台づくりに取り組む姿”にこれが大人の青春小説か!面白いなと感じました

    “大人になった今”だからこそ
    でき

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    2026年01月09日
  • 藍を継ぐ海

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    伊与原新さんのハートフルストーリーですね。
     五篇の登場人物にとって、生涯忘れることの出来ない感動の出会いと成長のドラマですね。もちろん科学を絡めて、より深く物語を飾っています。
     伊与原新さんの作品としては、かなり重い感じの構成ですが、主人公の感動を受け止める心理描写を考えると、読み手の共感が寄り添うようにつかめます。
     科学が自然に伝わりますね。

           目次

        夢化けの島
        狼犬ダイアリー
        祈りの破片
        星隕(ほしおつ)駅逓(えきてい)
        藍を継ぐ海

     伊与原新さんは、純文学に近くなってきていますね。この本に科学者は出てきません。研究者や工芸家

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    2026年01月08日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    星、地層、火山、雪など気象に関連する内容が多くとても面白かった。説明もわかりやすくて、興味の幅が広がった。雪早く降ってほしいなと。

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    2026年01月08日
  • 翠雨の人

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    研究者である著者でしか書けないであろう(言い過ぎ)、研究に向かう科学者たちの思考や姿勢が反映された描写は、同じ理系の者として深く理解できた。(工学部の森さんも同様のテイストを醸し出しているので、唯一無二とは言えないのが残念だが)。猿橋賞の名前だけは知っていたが、その設立に結びつく猿橋さんの話にはぐいぐい引き込まれた。

    特に印象に残ったのは、「(前略)核兵器とそれのもたらす災害について、誰よりよく理解しているのは我々科学者であり、科学者には等しくそれを全人類に伝える義務があります。科学者のもっと尊い職務は今や、人類の幸福と平和に貢献する事であり、科学を人間の殺戮と文明の破壊につかわせないことな

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    2026年01月07日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    まさにタイトルの通り、主人公に静かに寄り添う月のような存在が各話に出てくる。
    専門的な話も全く難しく感じずに、心にスッと入ってくる素晴らしい文体でした。

    寝る前に1話ずつ読み進めていきたい。
    もう一度読みたい素晴らしい作品でした。

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    2026年01月07日
  • 翠雨の人

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    猿橋賞で知られる猿橋勝子さんの、真っ直ぐな生き方を描く。
    とても面白かった。
    1人の人生を通して、戦争、敗戦、核を巡る世界の動きが浮かび上がる。女性活躍が議論されるいま、示唆するところは多い。

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    2026年01月03日
  • 藍を継ぐ海

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    直木賞受賞作、作者は知っていた。知ってはいたが、初読み。科学物と聞き、読むのを躊躇していた。
    しかし、読み易い。科学なのに読み易い。
    どの短編も興味深い。
    表題の「藍を継ぐ海」から読んでしまった。アカウミガメの話。ずっと赤ちゃんカメが海に向かうのを見てみたいと思ってきたが、本を読んで、やめておこうと思い直した。一生懸命生きようと努力している姿を興味本位で見てはいけないと思わされた。生きてほしい。どこの国の海でも構わないので、生き抜いてほしい。
    同じように命を繋ぐ話「狼犬ダイアリー」ニホンオオカミは100年以上前に絶滅したと言われているが、紀州犬とのハイブリッドがいるかもしれないという話。いい!

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    2026年01月03日
  • 宙わたる教室

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    お気に入りの伊与原さんの中でも
    この作品は一番良かったです!

    今ひとつ理解できない部分もありましたが(^-^;
    文系人間の私が楽しめる理系小説。

    年齢も環境も個性も異なる生徒たち
    全然仲良しじゃなくても
    それぞれが、この科学部に魅かれ
    同じ目標へと向かう姿が良いなぁ。

    青少年読書感想文課題図書になっているそうです。
    納得です。
    ぐいぐい感動させるタイプの作家さんではないのに
    胸にじんと来ました。
    出会えて良かった一冊です。

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    2026年01月03日
  • 八月の銀の雪(新潮文庫)

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    物語そのものの面白さはもちろん、科学にも興味が出る一冊。
    伊与原さんの作品は初めて読んだけどあったかくてスルスル読めるのにじんわり心に染み入ってくるような、そんな本だった。
    他のシリーズも時間を見つけて読みたいなぁ。

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    2025年12月30日
  • 翠雨の人

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    猿橋勝子さんのことを、この本を読んで初めて知った。

    戦前・戦中・戦後を科学者として力強く駆け抜けていった、このような日本人女性がいたことに、大変誇らしく思った。

    中高生の時にこの本を読んでいれば、私の生きる目標になっていたんだろうな。

    伊予原新さんが実験や科学についての記述も大変勉強になった。

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    2025年12月30日
  • 藍を継ぐ海

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    ネタバレ

    第172回直木賞受賞作。
    「夢化けの島」「狼犬ダイアリー」「祈りの破片」「星隕つ駅逓」「藍を継ぐ海」の5編。
    科学的な知見と舞台となる土地の歴史を融合させる中で、主人公となる人物の心情の変化を描いた見事な短編集。
    ベースとなる科学的な事象が単にアイデアとしてあるのではなく、物語の核となり、希望や勇気を与えてくれるものになっていることが素晴らしい。また、舞台となる土地は、長崎以外は過疎と言われるようなところだが、その歴史を掘り下げて丹念に描いており、思い入れも感じられる。

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    2025年12月29日
  • 青ノ果テ―花巻農芸高校地学部の夏―(新潮文庫nex)

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    序盤はありがちな、高校で部活を作る、のような青春小説のようでなかなか入り込めなかったのですが、地学部の活動が軌道に乗ってきた中盤以降は、自然に引き込まれていきました。
    宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』の舞台にまつわる謎と共に、転校生と仲間たちの隠れた繋がりも明らかになっていく。
    終盤の涙を誘う展開の連続に、読む人は耐えられるでしょうか。

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    2025年12月25日
  • 藍を継ぐ海

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    伊与原新さん初読。伊与原さんが膨大な労力を費やし、一話を執筆されたのだろうと感じた。おのずとじっくり時間をかけて読んだ。
    どれも短編におさまらない熱量で、物語のその後に想いを馳せる。
     

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    2025年12月23日
  • ルカの方舟

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    火星、隕石、生物
    というロマンのなかに、
    告発文、盗用、改ざん、パワハラ、大学の研究者の苦悩
    という生々しさもあり、
    殺人という
    ミステリーが混ざり、
    作者自身が大学の研究者だった経歴があるのでリアリティがあり、
    ともすれば、大学の人間関係のドロドロストーリーになりそうなスレスレのところで、
    スケールもあり、またロマンが帰ってくる。

    あー!こういうまとめになるのか。

    やっぱり伊与原新さんだなぁ。

    好きだなぁと、思った一冊。

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    2025年12月22日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    迷ったり悩んだりした時⋯とりあえず何か行動してみようかな!そんな気持ちにさせてくれる短編集でした、『山を刻む』が良かったです

    ⋯⋯⋯トレイル始めよ!

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    2025年12月21日
  • 宙わたる教室

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    伊与原新さんのハートウォーミング学園ストーリーですね。
     東新宿高校定時制の教師藤竹が、科学部を立ち上げる。
     様々な事情を抱えた学生たちの中から、目星を着けて、一人ずつ科学部に勧誘するが………?
     もう定時制を辞めようかと苦悩する、年齢も境遇もバラバラの学生たちだが、藤竹が相談に乗ると共に、自分が進める「火星クレーター」を再現する実験に誘い込む。
     藤竹の目的は何か?。
     謎を秘めて、学生たちの再生のドラマが始まる。

           目次

     第一章 夜八時の青空教室
     第二章 雲と火山のレシピ
     第三章 オポチュニティの轍
     第四章 金の卵の衝突実験
     第五章 コンピューター室の火星
     第

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    2025年12月19日
  • 翠雨の人

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     女性科学者に与えられる「猿橋賞」は知っていた。しかし、猿橋勝子さんの業績等はよく知らなかった。

     1920年生まれで、第六高等女学校を経て、帝国女子理学専門学校(現東邦大学理学部)の第1期生として入学した。在学中より中央気象台(現気象庁)研究部の三宅泰雄氏の指導を受け、卒業はそこに就職した。もともと彼女は物理が専門だったのだが、三宅に師事後は地球化学を専門とするようになった。

     戦後の1954年のビキニ水爆実験による「死の灰」による大気・海洋汚染の研究以後、三宅と大気及び海洋の放射能汚染の調査研究を行った。その研究成果は部分的核実験禁止条約成立に繋がることになる。

     東京大学から女性初

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    2025年12月18日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    短編集。どの短編集も読み始めてすぐにその世界に引っ張りこまれた。
    理系の作家さんのようで、天文、宇宙、、科学の知識が散りばめられている。散りばめられているというよりは、ストーリーにしっかり染み込むような形だったかな。

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    2025年12月15日
  • 翠雨の人

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    猿橋勝子さん、日本女子科学者の先駆者。戦中、戦後、科学の分野、いや女性へのステレオタイプをぶち破ってくれた。今でも女性の地位が確立したとは言えないが。研究とは、後継を育成する、持続可能な科学の発展。アメリカに渡り、道場破りごとくの実験検証。猿橋賞、猿橋女史の魂が続いている。

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    2025年12月14日