伊与原新のレビュー一覧

  • 宙わたる教室

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    自身の過去の生い立ちやいま置かれている環境に苛まれることなく、純粋に地球科学への探究心から研究を続ける姿勢、そして研究活動を通じて人間としても成長していく生徒達の様子に感動しました。
    自分自身、大学では地球科学を専攻していたため共感できる部分も多かったです。伊与原先生だからこそ書ける小説だなと思いました。文句なしの星5つです。

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    2025年12月06日
  • 翠雨の人

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    ネタバレ

    100年ほど前に生まれ、物理数学の頭脳を持ちつつ、「その時々を辞本で洗濯して歩んできた」女性、猿橋勝子さん。
    これほどまでに胸を打たれると思わなかった。
    幾度も目頭が潤み、最後は胸に迫るものが。
    男性なら異なるだろうが・・・・女性が生きたこの時間、まして研究者学者の世界がいかに男性優位であったかは周知の事。
    信州諏訪、気象大学校から始まった研究と勤務の日々・・職場はもとより、10代からの付き合いの仲間がフィクションとはいえ、「そうであったろう」描き方が、非常に心地よい。

    三宅氏、奈良橋氏といった直接顔を合わす上司、同僚の言葉が作り物めいてなく、頁が進む。
    こういった優れた作品を読むと、個人的

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    2025年12月05日
  • 藍を継ぐ海

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    短編集なのにものすごく読み応えがあって、とてもおもしろかった。一つひとつの物語が心に響くだけでなく、専門的な知識もわかりやすく織り込まれていて、読んだ後の満足感が凄い。私の中の今年のBest5に入ること間違いなし。

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    2025年12月04日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    著者のインタビュー記事から興味を持ち手に取る。
    科学的な知識を散りばめながら、優しい文体で短編が進んでいく。
    読み始めたら止まらない。
    各短編ごとに雪結晶や素粒子、化石など異なる内容が扱われるが、冗長な説明などない。
    素晴らしい作品だった。

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    2025年11月29日
  • 宙わたる教室

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    ネタバレ

    定時制高校科学部のサクセスストーリー

    まず題材が面白いと感じた。
    定時制高校をモデルにした物語。
    事情や世代が様々な人々が垣根を越えて1つのダイヤモンドを目指すのには定時制というテーマは最適かつ重要だ。

    藤竹は実験と銘打ったが、「対象を信じる実験なんてない」と言った佳純が印象的だ。
    …どんな人間も、その気にさえなれば、必ず何かを生み出せる。

    人生こそ、自動的には分からない。
    科学と確率と情熱

    令和版ごくせん

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    2025年11月28日
  • 宙わたる教室

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    ネタバレ

    実話を元にした小説で、都立東新宿高校の定時課程に通う生徒と理科教師の藤竹が科学部を創設し、「火星のクレーター再現」の実験に取り組む。登場人物は様々な事情を抱えており、全員が科学好きなわけでもないが、そんな彼らだからこそ生まれたユニークな発想が面白かった。藤竹先生の押しつけない寄り添い方も素敵だったし、興味があることに夢中になる姿には力をもらえた。また、勉強は頭の良い人しかできないという思い込みが想像以上に強くあることに気付かされた。何歳でも夢中になれることがあるし、挑戦することの素晴らしさも感じられた。

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    2025年11月26日
  • 翠雨の人

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    理系小説の第一人者である伊与原氏の直木賞受賞後
    の一冊目の作品です。

    自然科学分野の女性科学者を表彰する「猿橋賞」を
    創設した、女性科学者の先達として道を切り拓いた
    猿橋勝子氏の生涯が描かれています。

    戦後、超大国が核兵器装備を進める中、核実験に
    よる大気汚染を正確な実験データに基に、超大国
    を相手に戦う姿勢に感動を覚えます。

    科学の分野では日本は世界レベルにあると言って
    いいのでしょう。

    その陰にはこのような先人たちの努力があったから
    こそなのだと、改めて尊敬の念を抱かずにはいられ
    ない一冊です。

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    2025年11月24日
  • オオルリ流星群

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    終章のラジオパーソナリティの声に合わせ、松任谷由実さんの「ジャコビニ彗星の日」を聴いてみた。歌詞の一つ一つと、これまでの物語がリンクして、終章の締めくくりまで、ずーんと熱いものがくる。

    ミドルエイジ・クライシスな心理状態にも共感できるミドルエイジな私。中年青春群像劇的な部分にもやられて、すっかり心つかまれました。

    伊与原新さんの作品は、初めてでしたが、他のもぜひ読みたいです。

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    2025年11月23日
  • 青ノ果テ―花巻農芸高校地学部の夏―(新潮文庫nex)

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    花巻農芸高校という、宮沢賢治が教えた学校をモデルにした物語。深澤という転校生はなぜ花巻に来たのか、主人公壮太の幼なじみ、七夏を知っているのか、地学部に入って何がしたいのか。

    高校生にしては宮沢賢治や地学に知識がありすぎる三井寺や文緒という脇役に助けられながら謎解きが始まる。七夏はどこかに行ってしまい、壮太は怪我で鹿踊りのレギュラーからハズれ、才能ある他の部員の存在に怯える。自分には鹿踊りしかないのか、花巻に残るという選択肢しかないのか。そんな中、イーハトーブとはどこか、銀河鉄道の夜の舞台はどこか、地学部3人の巡見の旅が始まる。

    個人的には三井寺部長が、伊与原作品での舞台回し役である博学オタ

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    2025年11月22日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    第二回目伊与原さんブームということで、こちらの本。短編集で、人生に迷える人+行きすがりの理系(の特定の分野に詳しい人)という設定がもはや安定。まだ初期の本を読んでいないが、後書きでの逢坂さんとの対談を読むと当初は理系知識の謎解きトリックミステリー派だったということで、まあそれはネタ作りに疲れそうだなあと思ったので、この程度の軽いトリックが読んでいる側にも負担がなくてありがたい。

    一番よかったのはエイリアン食堂(だったか)で、読者からに反応もよいとのことに納得。つくばで食堂を営む父娘のもとに訪れる、非正規雇用?の学者さん。彼女が持っているルーペ(それを持っている限り自分の立ち位置を確認できる)

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    2025年11月22日
  • 翠雨の人

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    日本女性科学者の草分け的存在・猿橋勝子さんの
    伝記を読んでいるような気分。
    戦争が日常と隣り合わせで描かれていて、改めて「平和」や「科学」というものに考えや思いを巡らせる読書でもありました。

    アメリカのビキニ水爆実験で降った「死の灰」の分析など、女性が科学の世界で生きることが難しい時代に、放射能汚染の研究をされていた猿橋さん。
    今の暮らしがあるのは、こうして様々な分野で活躍する科学者がいてこそなんだろうな……。

    疑問を解き明かしたり、暮らしを豊かにするはずの科学技術が、誰かを苦しめるために使われるなんて悲しいし愚行としか言いようがない。
    今も当たり前の日常に歓喜する人々の描写には、ハッとさ

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    2025年11月22日
  • 宙わたる教室

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    伊予原さんならではのテーマの青春小説。青春小説って言っても全世代に刺さる内容だと思う。
    読破後に爽やかな気持ちになれるのがが良い。

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    2025年11月22日
  • 宙わたる教室

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    ドラマが好評だったと聞いて読んでみました。
    理系の頭をもたない私には想像しにくい記述もありましたが、面白かった。
    そしてそれがただのフィクションではなく、本当にあった話をフィクションに仕立てたとありびっくりしました。
    定時制高校に通う様々な年代、環境の生徒たちが起こした奇跡の物語。
    定時制の勉強でさえ落ちこぼれていた彼らが日本物理学会で認められたこと。
    宇宙開発にまで貢献する事になったこと。
    一人の教師、一人一人の学生では起こし得なかった奇跡はどんな科学変化で生まれたのか?
    勉強とは何か、学ぶとは何か、本質的なことを考えさせられました。

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    2025年11月21日
  • 藍を継ぐ海

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    直木賞受賞、短編五編
    萩焼、狼犬、原爆遺物、隕石、アカウミガメ
    それぞれ失われゆくはかないモノにまつわる人を描いている。
    地球衛星科学専攻という著者の背景を見てテーマについては納得。そこに人に対する温かな眼差しと信頼が加わり、心地よい。

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    2025年11月20日
  • 翠雨の人

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    読み応えある一冊!分析法とか少々難しいところもあったけど全く嫌悪感なく読めた。こうした面から科学をみれたらもうちょっとたのしめたのかな。

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    2025年11月19日
  • 翠雨の人

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    猿橋勝子さんをこのお話を読んで初めて知りました。女性が科学者として戦中戦後を生きていくのは、とても大変な時代に、その先駆者として生きてこられた姿は素晴らしいなと思いました。三宅博士との出会いが猿橋さんの人生に与えたものは大きかったんだろうなと思います。良き師に出会える大切さを改めて感じました。

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    2025年11月18日
  • オオルリ流星群

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    最後のあたりからは涙がとまりませんでした。
    誰かの行動がいずれ全く知らないひとたちにも繋がり拡がっていく。それとともに自分の気持ちも前向きになる。何歳になってもいつでも、それはできる、叶うもの。

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    2025年11月17日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    エイリアンの食堂は何度でも読み返したい。
    読んでいく中で次の展開が予想できず、ミステリーのような面白さがあった。

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    2025年11月16日
  • 宙わたる教室

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    『自分の好き』を突き詰めていくのに一生懸命な、先生や生徒たちの行動がとても励みになった。

    登場人物一人一人の背景や感情が細かく描写されています。

    環境は大事だけど、誰でも本気を出せば主役になれることが感じられる作品。

    最後は感動しました。

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    2025年11月15日
  • 宙わたる教室

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    素敵な話でした!
    元になった高校があるとのことでしたが、それぞれの人間模様も含めて面白い!是非、ドラマも見てみたい!

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    2025年11月15日