伊与原新のレビュー一覧
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続編が出ていることを知らず、手にした時はきゃーと歓喜の声をあげてしまった。内容は期待を上回ったのはいいが、出先で読んでいたら涙が止まらず、マスクをしていたことを幸いに目を瞬かせてなんとか凌いだ。
藤竹先生が去った後の定時制に、訳あって入った生徒たち。佳澄ちゃんの起立性障害(だっけ)や岳人のような発達障害が原因で定時制に入っている人もいるということは前作で知ったが、外国にルーツを持つ子、持病、色々な事情で全日制に行けない人がいると知り、通信制を含めてオプションが広がっていくといいなあと思うばかり(なのに東京都の教育委員会は!って感じだが)。定時制に進んだかつての中学の同級生は今はどうしているのやら(当時の私の生きていた世界は狭かったなあ)。
メインキャラのさなちゃんが純真すぎるところは若干リアルさがないが(いや、こういう純真な子こそ中受を乗り切れるのか?)、どの子もそれぞれの長所で貢献できる姿が眩しい。悪い人は出てこないと安心して読んでいられるからこそ、ああきっとこの子も科学部に入ってくれるのねとワクワクしながら読めて嬉しかった。あーすでに続きが読みたい。続きでないかなあ。伊与原さん、3作目もお願いします!!!
(でも翠雨の人も良かったので、あれ系の伝記ものも読みたいです) -
Posted by ブクログ
「宙わたる教室」の続編。
医師になることを疑わずに難関高に進学した主人公は、同じ道を目指してきた友人が自殺をしたことにより自分も不登校になってしまう。生き方を問い直した主人公は高校生らしい生活をおくるために定時制高校に編入した。そこから物語が始まる。
今回はやんちゃ度は少しおとなしくなっているが、泣けてしまうような胸を熱くする場面は多々あった。
天文学者であるカール・セーガンの「Somewhere,something incredible is waiting to be known 」という言葉が登場する。
これはAIによると、「宇宙や科学の神秘、まだ見ぬ真実が私たちに見つかるのをじっと待っているという意味がこもっている」らしいが、僕はそれぞれの人間の中にも、まだまだ探求すべき何かが眠っているというふうに受け取った。そう、僕のなかにもまだなんかあるねん。知らんけど。 -
Posted by ブクログ
幾つになっても「好きなこと」に夢中になれるのは、本当に素晴らしいことだと感じました。
年齢やこれまでの経験、置かれている環境に関係なく、知りたいと思ったことを学び、仲間と一緒に挑戦していく姿がとても印象的でした。
何かを始めるのに「もう遅い」ということはない。好奇心を持ち続けることや、夢中になれるものを持つことが、人生を豊かにしてくれるのだと思います。
それぞれに事情や悩みを抱えながらも、自分の「やってみたい」という気持ちを大切にする登場人物たちに、自然と勇気をもらいました。
読み終えたあと、少しだけ新しいことを始めてみたくなるような、温かく前向きな余韻の残る作品でした。 -
Posted by ブクログ
科学用語がでてくるので一見とっつきにくいように思えるが、あくまで物語の一部として自然に挿入されているので、全く違和感なくむしろ物語の面白さを効果的に印象付けているように感じた。
個人的には『エイリアンの食堂』が推し。
水素のくだりは、少し極論に思たもののその循環は確かな事実であり、今後起こりうる不幸を悲しみ以外の方法で受け止める一つの捉え方として心に留めておこうと思う。
そのほかのストーリーも背中を押されるものばかりで、科学には実利的な側面だけでなく捉え方によっては人の心を動かすことができる一面もあることを実感した。
もし理科の教科書が小説風にまとめられている世界線があり、ややこしい計算方法や考え方が本書のように物語に織り込まれていたのなら僕も物理を好きになれたのかもしれない。。。 -
Posted by ブクログ
私は幸せを感じる能力が低い(つまりエンドルフィンの総量が低い)人間なんじゃないか──
そんな物語の滑り出しから、もうすべてもっていかれた。
感動を知らない自分が、感動を形作る作業に一歩引いて参加してます的な戸惑いを抱えつつも、あれ?ひょっとしてこれは、例えるなら24時間TVのドミノやってる的な内面スペクタクルもりもりの展開だった。
はい、冷めてますからねこちら。
まだやってるわ、ドミノ。飽きないねー視聴者も。
で、いざ私自身が参加したらきっと号泣鼻水全開隣の人に抱きつく拳突き上げる一人パニックでカメラからフレームアウト。
ありがとう。涙ハンカチこれじゃ薄くて受け止めきれない。
というようなオチを安易と想像させてくれる、本音のところドミノもうやめたらいいのに、とか嘲笑っていた自分がはるか遠くなる素敵作品だった。
はぁー。
明日からどうやって生きるの。
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「宙わたる教室」の続編。
前作から6年後の設定で、藤竹先生もいないということなので、まるっきり別物のお話?と思って読み始めましたが、結果、前作のメンバーがみんな登場してきましたねー。これは前作からのファンにはたまらないところ。
前作では様々な世代や国籍の人達のお話でしたが、今作ではどちらかというと、色々な考えを持った高校生達が敢えて定時制高校を選んで通っているというイメージ。
そこに、様々な事情を抱えた生徒達を巻き込んで科学部を再生していくというお話。
今作では、定時制高校が閉校して少なくなっている現実が描かれていました。その分、今は通信制高校などが多くなってきたのだとは思いますが、選択肢は多い方がいいと思います。
次作でも(続編があると大きく期待!)たくましく生き残っている東新宿高校定時制科学部の活動を読ませてもらいたいです(≧∇≦)
初期メンバーのその後や藤竹先生、さらにはMr.EXPL……知りたいことがますます増えてしまったラスト。続編、早くお願いします(ㅅ´ ˘ `) -
Posted by ブクログ
各章でそれぞれ違う生徒や人物が主人公を務める連作短編っぽい作り。学園青春モノにアレルギーがあるのでじっくり根気よく取り組もうと思っていたのだが、定時制で年代も育った環境も違う登場人物達は、思いのほか背景がしっかり人格に反映していて魅力的だった。
主要人物は大人ばかりだが、雰囲気はYAなので、読みやすいと思う。
要素だけ見ると、青春モノらしい雑然とした会話や展開がありそうなものだが、良い意味で裏切られた。ストーリー、会話、科学のバランスが良く、全体的に無駄な表現がない作品という印象。
この本は、傷を舐め合ったり、薄っぺらい友情を見せつけてきたり、「ほらほら可哀想でしょ?」「共感できるでしょ?」と馴れ馴れしく話しかけてきたりはしない。ページを進むうちに、どこか理系らしい素っ気なさと、見た目ではわからない整頓された構成が浮き彫りになってきて、内面を知るたびに好きになる。そういう作品だ。
一話目から教室内の人々の背中や顔が見えるので、どんな人なのか知りたい、という欲求がわくのも良かった。
不良の子から話が始まるので、テンションがやや落ちたが、数ページで「こいつ頭悪くないやんけ!」となって、楽しく読めた。
ちょっとしたことで躓いて、やる前から色んなことを諦めるようになっちゃうの、あるよなあ……。大人がきちんと見てあげられればいいんだけど。
生徒達は皆何かを抱えていて、一見バラバラに見えるが、「学校に通いたい」という意思は同じ。登場人物達は現実の苦さも知りつつ、かなり前向きなので、安心して読んでいい。
それにしても……、モデルにした学校があるとなると、現実っていうのも案外捨てたもんじゃないなと思わされる。
誰かが一途に光に向かって走っていると、その背中に光を見てしまうなあ。なるほど、課題図書になるわけだ……。なんとも清々しく、手元に残しておきたい本の一冊。