伊与原新のレビュー一覧

  • 藍を継ぐ海

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    ネタバレ

    第172回直木賞受賞作。
    「夢化けの島」「狼犬ダイアリー」「祈りの破片」「星隕つ駅逓」「藍を継ぐ海」の5編。
    科学的な知見と舞台となる土地の歴史を融合させる中で、主人公となる人物の心情の変化を描いた見事な短編集。
    ベースとなる科学的な事象が単にアイデアとしてあるのではなく、物語の核となり、希望や勇気を与えてくれるものになっていることが素晴らしい。また、舞台となる土地は、長崎以外は過疎と言われるようなところだが、その歴史を掘り下げて丹念に描いており、思い入れも感じられる。

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    2025年12月29日
  • 青ノ果テ―花巻農芸高校地学部の夏―(新潮文庫nex)

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    序盤はありがちな、高校で部活を作る、のような青春小説のようでなかなか入り込めなかったのですが、地学部の活動が軌道に乗ってきた中盤以降は、自然に引き込まれていきました。
    宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』の舞台にまつわる謎と共に、転校生と仲間たちの隠れた繋がりも明らかになっていく。
    終盤の涙を誘う展開の連続に、読む人は耐えられるでしょうか。

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    2025年12月25日
  • 藍を継ぐ海

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    伊与原新さん初読。伊与原さんが膨大な労力を費やし、一話を執筆されたのだろうと感じた。おのずとじっくり時間をかけて読んだ。
    どれも短編におさまらない熱量で、物語のその後に想いを馳せる。
     

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    2025年12月23日
  • ルカの方舟

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    火星、隕石、生物
    というロマンのなかに、
    告発文、盗用、改ざん、パワハラ、大学の研究者の苦悩
    という生々しさもあり、
    殺人という
    ミステリーが混ざり、
    作者自身が大学の研究者だった経歴があるのでリアリティがあり、
    ともすれば、大学の人間関係のドロドロストーリーになりそうなスレスレのところで、
    スケールもあり、またロマンが帰ってくる。

    あー!こういうまとめになるのか。

    やっぱり伊与原新さんだなぁ。

    好きだなぁと、思った一冊。

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    2025年12月22日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    迷ったり悩んだりした時⋯とりあえず何か行動してみようかな!そんな気持ちにさせてくれる短編集でした、『山を刻む』が良かったです

    ⋯⋯⋯トレイル始めよ!

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    2025年12月21日
  • 宙わたる教室

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    伊与原新さんのハートウォーミング学園ストーリーですね。
     東新宿高校定時制の教師藤竹が、科学部を立ち上げる。
     様々な事情を抱えた学生たちの中から、目星を着けて、一人ずつ科学部に勧誘するが………?
     もう定時制を辞めようかと苦悩する、年齢も境遇もバラバラの学生たちだが、藤竹が相談に乗ると共に、自分が進める「火星クレーター」を再現する実験に誘い込む。
     藤竹の目的は何か?。
     謎を秘めて、学生たちの再生のドラマが始まる。

           目次

     第一章 夜八時の青空教室
     第二章 雲と火山のレシピ
     第三章 オポチュニティの轍
     第四章 金の卵の衝突実験
     第五章 コンピューター室の火星
     第

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    2025年12月19日
  • 翠雨の人

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     女性科学者に与えられる「猿橋賞」は知っていた。しかし、猿橋勝子さんの業績等はよく知らなかった。

     1920年生まれで、第六高等女学校を経て、帝国女子理学専門学校(現東邦大学理学部)の第1期生として入学した。在学中より中央気象台(現気象庁)研究部の三宅泰雄氏の指導を受け、卒業はそこに就職した。もともと彼女は物理が専門だったのだが、三宅に師事後は地球化学を専門とするようになった。

     戦後の1954年のビキニ水爆実験による「死の灰」による大気・海洋汚染の研究以後、三宅と大気及び海洋の放射能汚染の調査研究を行った。その研究成果は部分的核実験禁止条約成立に繋がることになる。

     東京大学から女性初

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    2025年12月18日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    短編集。どの短編集も読み始めてすぐにその世界に引っ張りこまれた。
    理系の作家さんのようで、天文、宇宙、、科学の知識が散りばめられている。散りばめられているというよりは、ストーリーにしっかり染み込むような形だったかな。

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    2025年12月15日
  • 翠雨の人

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    猿橋勝子さん、日本女子科学者の先駆者。戦中、戦後、科学の分野、いや女性へのステレオタイプをぶち破ってくれた。今でも女性の地位が確立したとは言えないが。研究とは、後継を育成する、持続可能な科学の発展。アメリカに渡り、道場破りごとくの実験検証。猿橋賞、猿橋女史の魂が続いている。

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    2025年12月14日
  • 宙わたる教室

    匿名

    購入済み

    序盤の一人一人の人間性への描写が細やかに書かれていてとても引き込まれました。
    特に長嶺さんは自分の祖父くらいの年齢層だったので長嶺さんの集団就職の話は昔話なのにどこか新鮮で夢中になって読んでしまいました。

    文字で詳しく説明されていますが重力可変装置という聞きなれない装置は想像がなかなか難しかったのですが
    ドラマで再現されており原作小説、ドラマ共にみるのがオススメです!

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    2025年12月12日
  • 宙わたる教室

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    小説を読んだあとに、すぐにドラマも観てます。
    小説で先を知ってるからこそ、少しのシーンでも涙が出ます。
    それほど、小説も良かったんです!!!
    最後は涙が止まりませんでした。
    誰もが生きてきた中でこの登場人物のひとたちと少しだけ同じような想いをしたり、感じたりすることがきっとあると思うんです。だからこそ、とても良かった。科学のことは難しいですけど笑、伊予原さんの小説、大好きです。

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    2025年12月08日
  • 磁極反転の日(新潮文庫)

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    伊予原さんの本領発揮の本でした。とても面白かったです。こんな地球の一大イベントの時代に当たったらすごいことですね。できれば避けたいですが。少し長めのエピローグも伊予原さんらしいと思いました。

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    2025年12月08日
  • 宙わたる教室

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    自身の過去の生い立ちやいま置かれている環境に苛まれることなく、純粋に地球科学への探究心から研究を続ける姿勢、そして研究活動を通じて人間としても成長していく生徒達の様子に感動しました。
    自分自身、大学では地球科学を専攻していたため共感できる部分も多かったです。伊与原先生だからこそ書ける小説だなと思いました。文句なしの星5つです。

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    2025年12月06日
  • 翠雨の人

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    ネタバレ

    100年ほど前に生まれ、物理数学の頭脳を持ちつつ、「その時々を辞本で洗濯して歩んできた」女性、猿橋勝子さん。
    これほどまでに胸を打たれると思わなかった。
    幾度も目頭が潤み、最後は胸に迫るものが。
    男性なら異なるだろうが・・・・女性が生きたこの時間、まして研究者学者の世界がいかに男性優位であったかは周知の事。
    信州諏訪、気象大学校から始まった研究と勤務の日々・・職場はもとより、10代からの付き合いの仲間がフィクションとはいえ、「そうであったろう」描き方が、非常に心地よい。

    三宅氏、奈良橋氏といった直接顔を合わす上司、同僚の言葉が作り物めいてなく、頁が進む。
    こういった優れた作品を読むと、個人的

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    2025年12月05日
  • 藍を継ぐ海

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    短編集なのにものすごく読み応えがあって、とてもおもしろかった。一つひとつの物語が心に響くだけでなく、専門的な知識もわかりやすく織り込まれていて、読んだ後の満足感が凄い。私の中の今年のBest5に入ること間違いなし。

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    2025年12月04日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    著者のインタビュー記事から興味を持ち手に取る。
    科学的な知識を散りばめながら、優しい文体で短編が進んでいく。
    読み始めたら止まらない。
    各短編ごとに雪結晶や素粒子、化石など異なる内容が扱われるが、冗長な説明などない。
    素晴らしい作品だった。

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    2025年11月29日
  • 宙わたる教室

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    ネタバレ

    定時制高校科学部のサクセスストーリー

    まず題材が面白いと感じた。
    定時制高校をモデルにした物語。
    事情や世代が様々な人々が垣根を越えて1つのダイヤモンドを目指すのには定時制というテーマは最適かつ重要だ。

    藤竹は実験と銘打ったが、「対象を信じる実験なんてない」と言った佳純が印象的だ。
    …どんな人間も、その気にさえなれば、必ず何かを生み出せる。

    人生こそ、自動的には分からない。
    科学と確率と情熱

    令和版ごくせん

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    2025年11月28日
  • 宙わたる教室

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    ネタバレ

    実話を元にした小説で、都立東新宿高校の定時課程に通う生徒と理科教師の藤竹が科学部を創設し、「火星のクレーター再現」の実験に取り組む。登場人物は様々な事情を抱えており、全員が科学好きなわけでもないが、そんな彼らだからこそ生まれたユニークな発想が面白かった。藤竹先生の押しつけない寄り添い方も素敵だったし、興味があることに夢中になる姿には力をもらえた。また、勉強は頭の良い人しかできないという思い込みが想像以上に強くあることに気付かされた。何歳でも夢中になれることがあるし、挑戦することの素晴らしさも感じられた。

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    2025年11月26日
  • 翠雨の人

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    理系小説の第一人者である伊与原氏の直木賞受賞後
    の一冊目の作品です。

    自然科学分野の女性科学者を表彰する「猿橋賞」を
    創設した、女性科学者の先達として道を切り拓いた
    猿橋勝子氏の生涯が描かれています。

    戦後、超大国が核兵器装備を進める中、核実験に
    よる大気汚染を正確な実験データに基に、超大国
    を相手に戦う姿勢に感動を覚えます。

    科学の分野では日本は世界レベルにあると言って
    いいのでしょう。

    その陰にはこのような先人たちの努力があったから
    こそなのだと、改めて尊敬の念を抱かずにはいられ
    ない一冊です。

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    2025年11月24日
  • オオルリ流星群

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    終章のラジオパーソナリティの声に合わせ、松任谷由実さんの「ジャコビニ彗星の日」を聴いてみた。歌詞の一つ一つと、これまでの物語がリンクして、終章の締めくくりまで、ずーんと熱いものがくる。

    ミドルエイジ・クライシスな心理状態にも共感できるミドルエイジな私。中年青春群像劇的な部分にもやられて、すっかり心つかまれました。

    伊与原新さんの作品は、初めてでしたが、他のもぜひ読みたいです。

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    2025年11月23日