伊与原新のレビュー一覧
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伊与原新さんの3冊目
定時制高校のお話は、髙田郁さんの「星の教室」を思い出す。
年齢も抱える事情も様々な生徒たちが集まる夜の教室で、ちょっと風変わりな、数学と理科を教える教師。
理数系が苦手な私でもなるほどーと思える実験をしている。
生徒の色々な特徴を観察し、うまーく科学部に誘導された部員たち。
火星の重力を作り出して、火星特有のクレーターを作るとか、想像をはるかに超えた実験!
失敗を繰り返しながら奮闘する生徒たちの熱い思いに感動する。
学会だとか、ナバホ族とか懐かしく読ませてもらった。
余談ですが。
グランドキャニオン近くのアンテロープキャニオンに行った時、「アメリカ先住民の、インデ -
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小説というよりドキュメンタリーかもしれない。
猿橋賞という女性科学者に贈られる賞がある。
猿橋さんは地球科学者だった。
そのていどの情報しか持ったいなかったが
猿橋勝子さんの物語に、どんどん引き込まれた。
前半で描かれる戦前の危うい空気感は
まさに今と同じものを感じ、うすら寒い感覚になる。
地球化学者だったのですね。
雨水の中のSrなどの放射性微量元素の測定方法を確立し、原水爆実験がもたらす海洋汚染の実態を明らかにした。
アメリカではその測定方法に疑いをもたれたため、きわめて不利な条件下で単身測定審査会に臨み、その正確性を示す。
一人の人間、女性の生きてきた道にしみじみと尊敬の念を覚えま -
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ほんとに伊予原さんの作品は、どれも人に対しての目線がやさしい。
私の苦手な理系要素を駆使していても、その数的/理的視点さえも、人を想う温かさに感じ取ってしまう。
今作品も短編集といっていいと思うが、どれも人の描き方が秀逸で、何度も自分の胸の奥をグッと熱く締めつけられる。5つの物語全てその世界の登場人物に感情移入してしまった。
今の時代何かと殺伐として、何気なく生きていると忘れがちな人の間の通い合いを、いくつもの物語で提示されているようで、心が痛い。
スマホ世代の若者にこそ、この作家を読んでほしいと思う。人との関わりに疲れている子には、きっと心を潤してくれると思う。
もちろんもちろん、どの世 -
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夢中で読みました!
ストーリーを読んで共感するところが幾つもありました。登場人物それぞれが、運命の悪戯でどん底に叩き起こされようとも胸に秘めた自分や大切な人のために変わりたい、変えたい一心でたどり着いた定時制という空間の中で、様々な衝突や経験、理解、決心を重ねながら夢を現実として掴み取るために一生懸命に努力を重ねる姿に大きく心を突き動かされました。
自分もまだまだこれからだ、やってやるぞ!という気持ちになりました。
自分も就職してからいろいろな経験をしました。罵倒され、今ではパワハラとなるような発言を浴びせられながら、悔しい気持ちを起爆剤に、いつか見返してやるの負けん気で成長して来ました。
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「『自動的にはわからない』」(p.17)
「『火星の夕焼けは、青いんですよ』」(p.47)
「長袖Tシャツの袖口がずり落ちて、リストカットの跡がのぞいた。・・・傷跡を『オポチュニティの轍』と見比べる。佳純はやっと、なぜ自分がこの写真に心をとらわれているか、わかった気がした。」(p.114)「左腕に刻まれた傷跡をひと撫でする。この轍は、ここで終了。わたしは、新しく轍を作るのだ。」(p.129)
「もしかしたら、極めて個人的なはずの『その気になる』という現象は、何らかの機序でまわりに伝播するのかもしれない。」(p.275)「『人間はその気にさせられてこそ、遠くまで行ける』」(p.276)