伊与原新のレビュー一覧

  • 藍を継ぐ海

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    優しい話の短編集。穏やかな気持ちになった。表題の作品はウミガメ保護の海岸を舞台にしたお話で心を揺さぶられた。都会から離れた海辺の町でたくさんの優しい人たちが周囲にいる、でも置いていかれそうで不安にもなる・・少し切ないけどそれぞれが生きている道が見えるような作品だった。

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    2025年11月28日
  • 宙わたる教室

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    宇宙が好きなので、ワクワクしながら読みました。
    学ぶとはを問い直してくれますし、いろいろ考えさせられる事が多いですが、楽しく読めます。
    「火星の人」読んでみよう。
    宇宙がテーマの本ではありません。念の為。

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    2025年11月27日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    傷ついた人達の再生の物語でした。
    なかでもエイリアンの食堂が冷たい心に少し日差しが差したような心地よい小説でした。
    エイリアンの食堂は、宇宙の話を通じて、母を失った少女の心に光が差す暖かい話でした。

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    2025年11月26日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    直木賞受賞作と比べると科学分が少なめですが、その分物語りの良いアクセントになっていて深みを感じられます。
    短編ならではの想像力を喚起して物語りの世界が広がっていく感覚が読後の余韻として味わえて良いですね。
    その中でも秀逸なのは「天王寺ハイエイタス」です。
    エルモア・ジェームスからボトルネック奏法に内田勘太郎で最後はロバート・ジョンソンとは。
    こんなところで、こんな素敵な音楽小説に出会えるとはびっくりです。

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    2025年11月26日
  • 藍を継ぐ海

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    自然の摂理と主人公の心情が重なったり交錯したりで、情景描写が美しく感じられた。海でゆっくりウミガメを眺めたい気持ちになった。

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    2025年11月23日
  • 藍を継ぐ海

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    初めましての作家さん。

    読み始め、肌感合わないかも?短編集で良かったな、、と思ったのが良い意味でハズレ、作家さんの熱量や新しい知識に触れるたびに引き込まれ、短編集だけど、総合的に一冊の作品となっていて素晴らしかった。

    巻末の参考文献からもわかるように、とても綿密に描かれたもので、その探究心や努力に圧倒された。

    作者の熱量で、実際にいろんな方の協力を得られ、より良い小説となったかと思うし、それがキャラクターにもよく現れてた。

    本来は、感情を揺さぶられる小説が好きだけど、新しい知識として得られる小説も、やっぱり読んで良かったと思える一冊でした。

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    2025年11月22日
  • 藍を継ぐ海

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    萩焼、狼犬、空き家、ウミガメ、隕石……
    離島や郵便局が閉局を迎える町など、北海道から九州までを幅広く舞台にした短編小説。
    決して一章一章は繋がってないけど、どこか懐かしく、ちょっと窮屈で、ゆったりと時間が流れるまちの様相はみんな共通。
    焼物の歴史や原爆の話など踏み込んだ部分もあるけど、とっつきにくさはなく、読みやすかった。

    小さな謎や強い思いが、周りを巻き込んだり、時を越えながら紡がれる物語。​

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    2025年11月20日
  • 磁極反転の日(新潮文庫)

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    嘘でしょー!という災害級の展開と、ミステリー要素があって、かなり読み応えがあるのだけど、地磁気極が伊与原新さんの科学者時代の研究テーマだったと知って、恐ろしくなっている。

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    2025年11月20日
  • 翠雨の人

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    雨にも色々な呼び名があります。
    この本のタイトルの「翠雨」とは、どんな雨なんだろうと思い、調べてみました。新緑の季節に降る、木々の青葉を濡らす雨のことで、夏の季語でした。雨が葉の緑色を翡翠のように美しく見せる情景が思い浮かぶ言葉でした。

    主人公の猿橋勝子は、大正九年生まれ。彼女は、雨はどこから降るのだろうと疑問をもつ子どもでした。家族の後押しと自分の納得できる場所を求めて、帝国女子理学専門学校へ行くことになりました。結果的にこの事が彼女の人生を決めたことになりました。

    始めは気象研究所に派遣され、研究者として歩んだ彼女は、微量分析の達人と呼ばれ、第五福竜丸事件や原水爆実験による放射能汚染の

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    2025年11月19日
  • 藍を継ぐ海

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    まず、いつも思いますが、伊与原さんは日本語が上手い。そして、伊与原さんの作品は、押し付けがましくないけど、ホッコリ希望が出てくる、というそのバランスの薄味的なところが何とも言えず好きですが、本作品は、少し味付け薄めすぎかなぁ。自分の心境のせいかもしれませんが。。。でも、今回もサイエンス知識の勉強にもなったし満足です。

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    2025年11月18日
  • オオルリ流星群

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    オッサンが読むとグッとくるけど…若い人が読んだらどんな気持ちになるのかな?…こんな素敵な出来事は高校生でなかったけどね(笑)…

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    2025年11月17日
  • 翠雨の人

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    ネタバレ

     水爆実験による放射能汚染を科学的に実証した女性科学者、猿橋勝子さんの伝記ですね。伊与原さんらしく、実験のあれこれを端折ることなく克明に描いています。
     男性に負けないような気概をもつ女性はたくさんいると思いますが、それと繊細な実験を行う技能を伴う人であったわけですね。日本側の数値がいかさまであると主張するアメリカに単身で対照実験に挑んだときの心境を考えると、あの時代にほんとうにご苦労だったことだろうと思います。毎朝海水を汲んで掘っ立て小屋の実験室で実験を行う姿は神々しさも感じます。
     これは朝ドラでやるんじゃないですかね。楽しみです。

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    2025年11月17日
  • オオルリ流星群

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    伊与原新さんのハートウォーミングストーリーですね。
    私設天文台をめぐる再生のドラマです。

     県立秦野西高校の三年生の夏に、オオルリのタペストリーを空缶で作った仲間が、四十五歳で集結する。
     きっかけは、国立天文台に勤務していたタペストリー仲間の山際慧子が、国立天文台を辞して秦野市に帰って来た事だ。友情を温めようと、同じくタペストリー仲間の伊東千佳と種村久志、勢多修の三人が慧子の歓迎会を開いた事から始まる。
     慧子は国立天文台の正規の職員ではなく、嘱託職員だったのが契約が切れて退職したと言う。しかし、自分のやり残した研究の為に、手作りの天文台を建てる計画を実行したいと言う。
     その話を聞いて、

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    2025年11月16日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    科学の知識と人間ドラマを融合させた作品集。
    直球の人情ものなのだが、言葉の一つ一つが胸に沁みる。感情の交錯の描写が丁寧。
    人生のままならなさを、科学的な視点から新しい世界が見えて状況が好転していくというパターンなのだが、これがとてもイイと思った。
    劇的なパワーのある作品ではないのだが、人の親切が”沁みる”。個人的に好きなのは、最後の「山を刻む」。家族に奉仕しなくてはならない疲れ切った主婦が、自分の趣味であった山登りの途中、教授と学生とであって…という展開。今の状況をかえようと何かを決意した主婦と、その主婦を応援するかのような最後の教授の言葉に、なぜか涙が出た。
    一期一会と言ってもいい出会いが何

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    2025年11月15日
  • 八月の銀の雪(新潮文庫)

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    伊与原新さんのハートウォーミングストーリーですね。短編集です。
     生活に疲れ、生きる事の難しさを抱えている登場人物の出逢いと人間模様を、科学を交差させて描く再生のドラマです。
     伊与原新さんは、科学を思考する人達に、科学を描くことの可能性を、この本でも証明されています。
     曰く「科学者にはロマンチストが多い」と言われますが、まさに科学は謎解きと奥の深い人間模様がありますね。

          目次

       八月の銀の雪
       海へ還る日
       アルノーと檸檬
       玻璃を拾う
       十万年の西風
     
     表紙装画と表題が違いますね。装画は「海へ還る日」を表しています。
     「月まで三キロ」から伊与原新

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    2025年11月13日
  • 翠雨の人

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    現実の固有名詞がよくでてくるなぁと思ってたら、最後に史実にもとづいたフィクションってあって、なるほど!ってなった。こんな原子力の研究をしていた女性がいたとは、全く知らなかったな。朝ドラにできそう。
    化学も物理学も全然縁がないし、研究とか実験の話の内容は全然わからんけど。この世界を紐解いていく研究者達が、ただただ平和のために世界をよくしていくためにその力を使える世の中であってほしいな。

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    2025年11月12日
  • 翠雨の人

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    新聞やテレビのニュースで「今年の猿橋賞は〇〇さんに贈られました」と毎年見ていて、「猿橋」というのはどんな人だとずっと思ってきた。その猿橋勝子さんという研究者について書いた本だと知って、飛びついた。大きな功績があり、名前だけが知られていて、どんな人であるかあまり知られていない科学者について、丁寧に、一般の読者にわかるように書かれたこの本は一読の価値がある。

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    2025年11月12日
  • 蝶が舞ったら、謎のち晴れ―気象予報士・蝶子の推理―(新潮文庫nex)

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    伊与原新さんの小説は好きなのですが、こちらは私がこれまで読んできた物と少し雰囲気が違って新鮮でした。

    天気予報が大嫌いな気象予報士・菜村蝶子と幼なじみの探偵・右田夏生が依頼された数々の謎を解き明かしていくストーリーなのですが、蝶子のキャラクターがぶっ飛んでいて笑えました。こんな気象予報士さんをテレビに出したらダメでしょ〜て思うけど小説の中では面白い。

    探偵右田夏生との力関係も一目瞭然。

    伊与原さんは、毎回科学の事を分かりやすく書いてくださるのですが、今回の気象に関してはちょっと難しかったです。それでもテンポ良く謎を解き明かしていくストーリー展開は楽しめました。また未読の本を見つけたら読ん

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    2025年11月10日
  • 翠雨の人

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    猿橋勝子さん。科学者として名前は知っていたが。1949年設立で200人ほどの会員がいる日本学術会議でさえ30年経って初めて女性会員。大変な先駆者だ。淡々とした評伝もいい。

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    2025年11月09日
  • 藍を継ぐ海

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    とても読みやすく文体が私に合ってる作家さんだと感じました。化学や天文、生物など理系の内容は苦手な事が多いのですが、理系的な事をテーマにしながらも人間の繋がりや歴史、芸術への視線もあり、心に響く作品でした。人に勧めたい作品です。直木賞納得です。

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    2025年11月08日