伊与原新のレビュー一覧
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破天荒な気象予報士菜村蝶子と幼馴染の冴えない探偵右田夏生がひも解くミステリー。蝶子の人物造形が無茶苦茶面白い。大学院を出て、民間の気象予報会社に勤める蝶子は、いやいやながらテレビ放送のお天気お姉さんになる。ところが、ぶっきらぼうで歯に衣を着せない喋りぶりや、最後のバタフライ効果張りのとんでもない御神託などで、視聴者の人気が大爆発。そのままのつんけんした乗りで夏生に言いたい放題。夏生が持ち込む5つの謎を二人で解いていくのだが、気象のことが謎を解く手掛かりになるのだ。最後の「標本木の恋人」はなかなか感動的だ。いいねえ。ソメイヨシノは、コマツオトメとオオシマザクラの交配によって生まれたという可能性が強いという。コマツオトメは、ソメイヨシノによく似ているが、開花が少し早いそうだ。
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夢化けの島、狼犬ダイアリー、祈りの破片、星隕つ駅逓、藍を継ぐ海の5編からなる短編集。
この人の作品は美しいと思う。それは単なる情景描写だけでなく、主要な登場人物の心情、行為行動が美しいと感じられるからだと思う。そしてそれは、登場人物たちの育ち、生き様から生じる寂しさや悲しさが優しさとなり、背景などと相まって美しい心情、行為になるのではないだろうか。
とにかく、この5編に描かれている情景は美しく、悲しい。そしてこの5編の主人公も回りの人たちも寂しく優しい。と感じた。
特に「藍を継ぐ海」は壮大な風景を想像させ、ウミガメの壮絶な生き様は主人公のこれからの人生を連想させてくれる。本当に美しい小説だと思った。 -
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【中秋の名月に読みたい最高のご褒美】
9月25日は十五夜!✨
月にちなんだ本を読もうと思い手に取った。
読み進めると、短編集だと気付き「やっちまった!」と思わず天を仰いだ。…が、これが最高のご褒美だった。( ꈍᴗꈍ)
ここのところ天気がずっと雨だったせいか、昨日はやけに月が綺麗に見えた。虫たちの奏でる音楽の粋なサービスもあり、最高のシチュエーション。♪♫
タイトル通り月をはじめ、科学や自然をモチーフにした物語。
作中の「月ってね、地球にいつも同じ面を向けているんですよ」この台詞が凄く深い言葉だなと思った。弱いところや泣いている姿を見せたくない。心配させたくないから笑顔でいよう。と優しさと思いやりに満ち溢れている。時には自分を苦しめてしまうかもしれないけれど、月のようにいつも変わらず大切な人を照らしたい、そんな強さと優しさは諸刃の剣のよう。
この短編集に登場する人々はみな、人生に挫折したり、大切な人を失ったりして、「手の届かない場所」遠くのものに想いを馳せている。✨
どの物語もラストは霧が吹っ切れたように「もう一度歩き出そう」と前向きになっていくのが心地良かった。
読後、胸がじわーっと熱くなって、余韻がじわじわと体中に染み渡っていく。このまま物語の中にひたっていたい、そんな気持ちにさせられる。
秋の夜長に読む贅沢な1冊だった。♪ \(^ω^\ )
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* 五つの短編集。タイトルの藍を継ぐ海は5つ目の最後の話だった。
* どの話も、今は過去の延長線上にあると言うことを感じられた。
* 好きだったのは「祈りの破片」と「藍を継ぐ海」。
* 「祈りの破片」は、長崎の原爆投下後にその影響を研究者としての使命で記録してくれていた人と信仰への迷いを持った神父さんの残したものの意味や背景を辿っていく話。養育院にいた孤児の子が死に行く際に隣の子にマリア像が彫られたメダルをかけてあげたという話は涙。信仰によりすがる以外に理不尽極まりない状況を受け入れがたかったということはあるのかなとら感じた。
* 「藍を継ぐ海」はウミガメをめぐり、故郷や生きていく場所は自分で選んで良いという話。地球半周くらい?しながら旅するウミガメの不思議さに改めてすごいなと感じた。おじさんの義雄が体が万全でない中沙月を育てていることを想像して泣けてきた。 -
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伊与原新さんの長編で、実在されていた猿橋勝子さんの研究者としての人生をつづったフィクション
実際にあったことをもとにして書かれた小説は、やはり読み応えがあります
私は科学というものにさほど興味もなく過ごしてきたので、猿橋勝子さんという方を、知らずに過ごしてきました
それが、この本の存在を知り、メディアで取り上げられるようになって、女性研究者の第一人者としてこんなにも活躍された方がいたのかと、今も感慨深いです
女性の立ち位置が、男性と同様になったのかといえば、まだまだだと思います
それでも、この猿橋勝子さんのように、第一人者として活躍し、駆け抜けた人がいたからこその、今の社会
なんとも力強い物語でした