伊与原新のレビュー一覧
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【科学の暴走と、命を守った科学の物語】
小手鞠るい 『わたしが戦場にいる』
村田喜代子 『新古事記』
平井美津子 『原爆孤児』
そして本書を読み継いで点と点が線で結ばれたように改めて歴史は地続きで繋がっているのだと感じた。
『新古事記』でオッペンハイマー率いる錚々たる科学者たちによるマンハッタン計画の近視眼的な暴走が、広島・長崎で原爆孤児を、ビキニ環礁の悲劇を生んだ。
彼らは「放射能の闇」を甘く誤認していたのだ。
この放射能の闇に「科学の遠視眼」で立ち向かったのが、『翠雨の人』猿橋勝子さんだ。
物語の後半、アメリカのフォルサム博士との実験勝負は手に汗握る白熱もの!
「負けるな!頑張れ」と感情移入してしまうほど。
だけど、この勝負にもし負けていたらというifの世界を想像すると恐ろしい。
核実験をする国は増え、被爆者、環境汚染が進み食の安全も脅かされ世界規模で大変な事態になっていたのではないだろうか?
世界を救った彼女の成果はあまりにも大きい。
「元始、女性は太陽であった 」で有名な平塚らいてうとの繋がりも見逃せない。
これは本書には描かれていないのだが、調べると『原爆孤児』に登場する山口勇子さん(『おこりじぞう』の作者)と猿橋さんが平塚らいてうさんと手を取り合い平和活動をしていた事実に驚いた。
「自分のためではなく、誰かを、未来の命を守りたい」という想いが生む優しさと強さは、まさに最強。時代を引っ張った女性たちの美しい連帯の歴史にも胸が熱くなった。
この物語はただの伝記ではない。科学は進み、一発の核の威力も増している。今の核の抑止力に傾倒しつつある世界への警鐘でもあると思う。
人と核は共存できない。核と戦争のない世の中になるよう切に願う。
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猿橋勝子さんの物語
まったくその分野がわからないまま、読みました
まだまだ男尊女卑時代に、戦争や戦後の中で研究を進め、女性科学者の地位向上のために力を尽くされた方だと、初めて知りました
当時は二十歳ぐらいで見合いをし、結婚して家庭に入ると言う親や周りの考えの中でも
一生続けられる仕事を持ちたいと考える勝子
心から情熱を注げる職業に就きたい…
そんな中、吉田彌生医師にして東京女子医学専門学校の創設者の記事を読み憧れを抱くが、そのことを親には言い出せず生命保険会社へ就職する…
と、科学者になるまでは迷いや不安などが所々に見え隠れします
『雨とはなんだろう。なぜ降るのだろう』
幼い頃の不思議を科学を通して知ること
そして、恩師三宅先生に出会えたこと
いい人生だったと思います
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ネタバレ柳田岳人
ガッくん。都立東新宿高校定時制の二年生。ごみ収集業者で働いている。読み書きに難がある学習障害。父親は大手電機メーカーに勤める会社員。母親は専業主婦。
三浦孔太
東新宿高校を中退後、大麻の売人のようなことを始めている。岳人の不良仲間。
朴大成
東新宿高校を中退後、大麻の売人のようなことを始めている。岳人の不良仲間。岳人を応援している。
藤竹叶
三十四歳。東新宿高校の定時制に赴任した理科教師。科学部を作る。
佐藤
岳人たちが一年生のときの担任。メンタル不調で休職。
長嶺省造
東新宿高校定時制の二年生。七十代くらいのやせこけた男。
四、五十代の女
東新宿高校定時制の二年生。黙々とノートを取っている。
越川アンジェラ
ママ。東新宿高校定時制の二年生。夫と二人でフィリピン料理店「ジャスミン」を切り盛りしている。フィリピン人の母と日本人の父を持つ。漢字が苦手。
正司麻衣
東新宿高校定時制の二年生。現役のキャバクラ嬢。娘がいる。
武井
柳田が働くごみ収集業者の同僚。
アンジェラの夫
日比のハーフ。商業高校を出ている。
アンジェラの娘
栄養士の専門学校に通う。アンジェラが定時制に通うのを応援し、店を手伝っている。
池本マリ
東新宿高校定時制の二年生。アンジェラの友達。中学を卒業してすぐ定時制に入った。十六歳。ホテルや病院の清掃を請け負う会社で働いている。母親がフィリピン、父親が日本人のハーフ。中学三年のとき、いじめられていたことが原因でカッターナイフを振り回す事件を起こした。
黒田玲奈
全日制の黒髪ロングの女子生徒。ペンケースを無くし、自分の席を使っていたマリを犯人扱いする。
倉橋
幼いころのアンジェラが小学校に通えるように手配してくれた恩師。
名取佳純
一年生。保健室登校をしている。起立性調節障害。母と姉の三人暮らし。父は佳純が七歳のときに出て行った。
佐久間理央
真っ赤に染めた髪。サイドを大胆に刈り上げたアシンメトリーのショートヘア。年齢不詳。養護教諭。元看護師。
松谷真耶
一年生。佳純の友達。全日制の高校を中退して入り直した。佳純より一つ歳上。母親と二人暮らし。
長嶺江美子
長嶺省造の妻。入院している。
木内
英語教師。五十代のベテラン。
嶋野
省造にとって生涯の恩人。特殊なばねを専門に製造する「シマノ発條」の社長。
丹羽要
全日制の二年二組。窓際の最後列の席。コンピュータ部の部長。
山崎
要の前の席。
河本
全日制の一年生。コンピュータ部。
津久井
数学教師でコンピュータ部顧問。
衛
要の弟。
相澤努
宇宙科学研究所、宇宙航空研究開発機構〈JAXA〉の研究部門の一つ。太陽系科学研究系の准教授で、惑星物質科学を専門としている。藤竹とは東都大学時代の同期。
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大人が青春を始めるのは難しい。
使える時間は限られ、気力体力の衰え、そして人との距離感にも慎重になる。
現実では特に人間関係がボトルネックとなりそうだが、作中のようにいざ気の置けない仲間が集まると、青春は若者も真っ青な速度で動き始めるのかもしれない。
金銭面の問題や制約にぶち当たっても、大人なら知識と経験で乗り越えられる。
課題を一つ一つクリアしていく描写が、あまりにも楽しそうでならなかった。
本作には過去の青春にまつわる謎もある。
蓋を開けるとあまりに壮絶な内容で、個人的に受け止め切れない部分もあったが、久志がポジティブに捉えているのは、そういう考え方もあるのかと目から鱗だった。
流星群観測シーンで、皆がそれぞれが何を考えていたのか。
本書を通して最高の夏を一緒に過ごしたメンバー達の今後についても、想像が膨らむ。 -
Posted by ブクログ
自然や科学を題材にしながら、青春時代の思い出と45歳になった登場人物たちのリアルな現在が丁寧に描かれており、さらにミステリ要素も加わって最後まで一気に読み進めた。
物語の結末だけで終わるのではなく、その先も続いていくであろう現実との向き合い方まで描かれていたことが特に印象に残った。過去の出来事は変えられないが、その経験をどう受け止め、これからの人生に生かしていくかは自分次第なのだと感じた。どれだけ時間が過ぎても、人とのつながりや青春時代に得たものは決してなくならない。過去を大切にしながらも前を向いて生きることの意味を考えさせられる一冊だった。