伊与原新のレビュー一覧
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就活、家族、故郷…。向かうべき先や帰るべき場所を失ったとき、自分は戸惑い、立ち尽くしてしまうかも知れない。それでも、自分以外の他者と触れ合うことで、自分を形作る輪郭とその奥深くに眠る「核」を呼び起こし、再び前に踏み出すことができる。
伊与原さんの作品は、そんな変化の激しい時代への科学がもたらす処方箋と言えるでしょう。
どんな状況にあっても、前に踏み出す原動力は「自然の摂理を明らかにしたい」という好奇心。
10億年も前から地球の中心に積もる、鉄の雪。自分の中にも芯があるとしたら、そこにも何か降り積もっているだろうか。少しずつでも、芯は大きくなっているだろうか。
行先に迷ったとき、自らに問いかけた -
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伊与原新さんの科学エンターテイメントユーモアミステリーですね。
池ノ端環は、ひょんなことから『国立自然史博物館』に職を得て、1ヶ月。まだ自分の職場をよく理解しているとは言えない。
環の所属は、植物研究部の「多様性解析グループ」だ。だが環は、学生時代を含め、植物そのものを使って研究した経験がない。
そもそも環は生物学を専攻していない。出身は理学部の情報科学科で、持ち合わせている知識は数学とプログラミングに偏っている。
国立自然史博物館の植物研究部でDNAバーコーディングの技術開発チームを立ち上げることになり、計算機科学の専門家を一名募集があり、運良く採用された。コンピューターオタクで片付 -
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伊与原新さんの科学サスペンスミステリーですね。
実はこのミステリーは、江戸川乱歩賞に投稿して、惜しくも受賞を逃した作品を加筆訂正して、デビュー前から温めていた作品との事です。ですから、伊与原新さんの科学ミステリーの『原点』の作品ですね。
「帝都工科大学アストロバイオロジー研究センター」のセンター長の笠見教授が、実験室で死亡した。
どうやら有毒ガスを吸った為と思われるが、死因に不審な点がみられる。同時に同センターが、研究中の火星の隕石に「FFP(捏造・改ざん・盗用)」の疑いが有るとメールが、科学雑誌社と大学の関係者に送られてきていた?
帝都工科大学の大学本部の研究公正委員会が開かれて、 -
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ネタバレ夏も終わるけど、25年ナツイチなので読んでみたり。
伊与原先生の本は初めてだけど、ポップな表紙とは裏腹に博物館的な知識の語り方が良かったなー。
環と箕作のスタンスの違いは、分類学と博物学のそれだと思っていて。
前者は分類付けし整理することに意味がある。いわゆる体系化だな。あるモノがある場所に置いてある(ある生物がある名前である)ことには理由がいる。
後者は集めてこの場所に止めることに意味がある。今の私達の基準ではゴミになるものかもしれなくても、捨てずに意味付けをされるまで待ち展示すること。
デコボココンビに見えるけど、意外と似た者同士な二人だったりするのだな。
と、ところでその…、環さんと -
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以前『月まで3キロ』を読んで、傷ついた登場人物たちが、揺るぎない科学の事実と知識に触れて、少し立ち直るエピソードに感動したことを思い出し、今年の夏が終わるタイミングで購入した。
各編で登場する科学の知識がとても素敵な表現で紹介されている。“銀の雪”とか、“ガラスを纏った細胞”とか。それぞれの分野に詳しい登場人物が、出会った人に分かり易い言葉で語る場面も好きである。科学の知識にちょっぴり触れて、自分の身の上に照らし合わせて小さな発見をし、勇気を得てまた歩き出す。大げさなことではなく、「地に足の着いた」人生を歩むことも大事で尊く感じた。有名人でも成功者でもなく、普通の人達に、静かにエールを送ってく -
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ネタバレなんやいうたら血液型で話題振ってくるヤツが嫌い、朝から星占いやってる民放テレビが嫌い、黄色い財布もってるヤツなんか敬遠する。でも乳歯が抜けたら「ネズミの歯になぁれ」と放り投げるし、流れ星見たら「金くれ金くれ金くれ」と唱えるし、トイレとか耳の裏とか綺麗にしてたら人生エエことが起こりそうな気がする…。
エセ科学で年寄りや無学なヤツ相手に暴利むさぼる連中の考え方はキラいやけど、かといって科学的論理的じゃないからと冷たく切って捨てる言動のヤツとも仲良くしたくない(スポック氏を除く)
そういう矛盾した一面を持っている人々は、この本を読んで楽しめると思う。ただ主人公格の登場人物があまり魅力的じゃないね -
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18歳の夏に一緒になってひとつのことをやり遂げた仲間たちと、45歳の夏にもう一度集まって天文台作りに挑む、大人の青春物語という感じ。かつての仲間の1人だった恵介の過去の謎がミステリ要素として上手く織り込まれているのも面白かった。
18歳でもそれぞれに悩みや葛藤を抱えているのは勿論だけど、大人になっても自分と比べて友人が羨ましく見えたり、未来への希望を失ったり、色々あるよねぇ..と久志や千佳に共感したり。でも自分で何も行動はせずに家族や今いる環境を言い訳にするのは違うよね。千佳の「この夏を28年前と比べる必要などない。」というセリフが印象的だった。 -
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この夏愉しんできた伊与原新さんの作品も、7冊目になりました。(もう秋ですね、暑いですが汗)
今回は今まで読んできた中でも、また一味違った味わいがありました。
長編作品では化学ミステリの要素があるものや、短編集では人間味ある温かな作品を読んできましたが、今作では過去、現在、そして未来へと続いていくような、温かなヒューマンドラマになっていました。一気読みでした。
登場する主な人物は、高校三年生の夏に文化祭で出展する作品を一緒に作った仲間六人です。作品は空き缶で作った“オオルリ”のタペストリー、青春の思い出ですね。
そこから皆大人(45歳)になり、それぞれ人生に悩みを抱えながら折り返し地点を過ぎ -
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伊与原新さんの日常の謎、お天気ミステリーですね。
エンターテイメントユーモアミステリーでもあり。
探偵の右田夏生が小学生の頃、転校生の菜村蝶子に出会った。
蝶子は、変わり者で、天気に関心を持っている。
蝶子は言う。
「お天気って、面白い」
「天気予報は嫌いだったんじゃないんか」と夏生。
「面白いのは、雲とか風とか雨のこと。
天気予報は、どうでもいい」
「お天気は、誰もえこひいきしない」
そして、夏生は何でも引き受ける探偵になり、蝶子は気象予報士になり、「ウェザーコム」という気象情報会社に就職した。
「右田探偵事務所」に持ち込まれる仕事に行き詰まると、夏生は蝶子に助け