伊与原新のレビュー一覧

  • 宙わたる教室

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    序盤、苦手なやさぐれ主人公でクライム&バイオレンスで挫折しかけたけど本筋が始まったら面白すぎて一気読みしてしまった

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    2026年07月27日
  • 八月の銀の雪(新潮文庫)

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    地震、鯨、レース鳩、珪藻、偏西風といった理系の題材で描かれる短編集。

    現実世界のものを参考にして書いているから、まずはこの作品を楽しんで気になったら参考文献を読んで楽しめるというお得感。特に「玻璃を拾う」でモチーフとなった珪藻アートはすごく気になった。川に行って珪藻を観察してみたい。
    文体はかなり淡々としていて難しい言葉も少なく読みやすい。それでいてうまく理系の題材を取り入れて心を揺さぶる文章になっていて自分の好みだった。他の作品も読んでみたい。

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    2026年07月26日
  • 翠雨の人

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    戦中戦後にこんなに素敵な研究者がいたとは。
    猿橋賞のことも猿橋勝子さんのことも一切知らなかった私ですが、すっかり勝子さんのファンになりました。
    「なぜ雨は降るのだろう」という素朴な疑問を持ち続け、研究を重ねてこられた姿はとてもかっこよかったです。
    単身でアメリカに渡られて、ただ1人で自分のやるべき研究を全うされたこと。すごいことを成し遂げられたにもかかわらず、奢ることなく粛々と自分の道を歩まれた人生。
    感動の一冊でした。

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    2026年07月22日
  • オオルリ流星群

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    伊予原さんの作品を読むのは3冊目。良いペースで読み始めたものの、途中から「これはいつもの『優秀だけど不遇な科学者の冷静だけど思い切った行動に、周囲のもやもやとした感情を抱えた人たちが影響され、やがて喪失から回復し、一歩前に踏み出す物語』というやつか?」と、やや食傷気味に。
    と思ったら、最後は胸が熱くなっていっぱいになった。謎がかっていた伏線の回収も見事で本当にやられた。
    おそらく自分は、本作のような「理屈とか将来のためとか損得ではなく、目の前にある物事に一生懸命取り組む」というもの全てに感動してしまうのだと思うが、本作はそれに加えて「その姿を必ず誰かが見ていてくれている」という要素が加わっていて、ますます心を動かされた。
    伊予原作品、まだまだ読んでみたい。

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    2026年07月20日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    雪のお話がすきでした。
    ずっと静かなトーンだからこそ、人の感情の起伏がじわじわと伝わってくる。とても好きな作品でした。
    アンモナイトの話もすき。
    またこころがきつい時に読みたいなぁ。
    人っていいなって思える

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    2026年07月18日
  • 藍を継ぐ海

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    感動させてやろうとか、温かい気持ちにさせてやろうという下心がない物語で、気持ちが凪いでいく。
    登場人物を通して、こんな小さなところまで見つめる視点が温かい。
    と思えば目の前のちっぽけなことではなく、広い視野で物事を見せてくれる。
    日本なのに、知らないことばかり。
    今日も知らない物語がどこかで紡がれているんだろうな。

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    2026年07月16日
  • 藍を継ぐ海

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    5つの短編からなるお話でした。どの話も人の営み、先人の知恵、世界の広さを伝えてくれるもので、心が温まる物語に仕上げられていたと思います。希望を感じられる終わり方になっているのも良かったです。特に『祈りの破片』は涙が止まらなくなるくらい感動する物語に仕上げられていたと思います。良い読書時間でした。

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    2026年07月15日
  • 宙わたる教室

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    本作は以前からタイトルだけは知っていたが、読んだことはなく。
    ネトフリで、NHKドラマを見かけて、観てみたら、ものすごく面白くて感動した。
    これは、原作も読んでみたい!と、手に取ったのがこの本。

    原作とドラマは、少し違っていたが、やはり感動する小説だった。
    自分は、家庭の事情で合格をしたのに大学に行かれなかった。
    代わりに、働きながら大学の通信教育部で大卒資格をとった。
    昼間の普通の大学生には「通信教育部なんて」と、馬鹿にされながらスクーリングに通ったなー。
    この本を読みながら、そんな昔のことを思い出した。
    通信教育部にも、さまざまな年齢の方がいた。
    この定時制のように。
    学ぶことはいつでもできるし、学ぶことは楽しい。
    小説の中の彼らは、この経験を轍にして、いろいろな未来を見ることができる。
    なんだか、羨ましくなってしまった。

    あとがきで、モデルとなった学校があるのを知り、指導をしていた3人の先生に拍手をしたくなった。
    モデルの方々は、小説のようなタイプではなかったかもしれない。
    けれど、学生たちの未来を大きく開いたのは一緒だろう。
    良い小説だったなー。。

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    2026年07月08日
  • 宙わたる教室

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    様々な背景と事情の中で定時制高校に通う人たちが、教師の導きで科学部の一員となり、教室で「火星のクレーター」を再現する実験にぶつかっていく物語。
    とてもいいお話だった。

    昔々、高校生の頃、私が通っていた学校にも定時制の課程があり、2年生の時には同じ教室を使っていた。
    ある朝、黒板に「ちゃんと掃除をするように!」みたいなことが書いてあり、ほとんど掃除のようなことをしていなかった私たちは教室がきれいだったのは定時制の人たちが掃除していたお陰だったことに気づかされ、それからはしっかり掃除をして帰るようになったのだった。
    そこから私たち全日制と定時制の人たちとの黒板を介した交流が始まって……みたいな佳い話にはならなかったのだが(ならんかったんかい!?)、まあ、純で素直な高校生だった時代のお話。
    物語の中で、ペンケースを盗られたと思い込んだ全日制の女子が黒板に暴言を書いたり同じ席の昼夜の生徒間で机の中にメモを入れてやり取りをする場面を読んで、そんな昔を思い出した。
    なので、古き時代に生きた私の感覚だと、定時制と言えば、何らかの事情で進学せずに働いている人が学びに飢えて通ってくるというイメージだったのだが、この本を読めば、『授業中のリスカなんてありふれてるし、暴行事件も多い』とか『虐待を受けていたり、育児放棄に近い状態で育ったりした子どもたちが毎年何人も入ってくる』など書いてあって、世の中が変わったことを今更ながらに知った。

    そんな高校の4人の生徒、なにをやっても負のスパイラルから抜け出せない不良の岳人、夫と二人で料理店を切り盛りするフィリピン人のアンジェラ、起立性調節障害を抱え保健室登校を続ける佳純、かつて中学を出てすぐに集団就職で上京してきた長嶺。
    章ごとにそれぞれが定時制に通ってくる背景が知れていく。高校に通えず働くしかなかった長嶺とその妻の学び直しの話にグッとくる。
    生徒たちの身上と科学知識が溶け合って進む話は山あり谷あり、分かり易い展開だしちょっときれいすぎる感じもするが、ぶつかり合いながらも少しづつ前に進んでいく姿にはとても好感。最後の学会でのプレゼンの場面にはじんわりと感動が広がる。
    作者さんのあとがきを読んで実話を下敷きにした話だということに驚いたが、『定時制の一年次というのは毎年、混乱のうちに終わってしまう』と言われるような環境でも、人間の可能性を信じて仕掛けた教師の方々を素晴らしいと思った。

    本筋とはあまり関係ないのだが、、、第一話には、またしてもディスレクシアが登場。今年読んだ本だけでも3例目。こういうことを通してこの障害に対する理解が広がり、努力していないと決めつけられる人が少しでも少なくなると良いなと思った。

    オポチュニティの轍、なかなか味わい深い絵面。

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    2026年07月04日
  • ブルーネス

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    専門用語で想像出来ないものだらけだった。本当に直木賞か疑った。でも、この作品に引き込まれてしまった。登場人物が素敵で、映画で観てみたい。もう少し話を続けて欲しいとさえ思った。
    文庫本で読んで、解説が分かりやすかったのも、嬉しかった。しばらく余韻を楽しむことができた。い〜い作品です。お薦めします。

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    2026年06月25日
  • ブルーネス

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    地震について真摯に向き合う人々の話
    出てくる人がみんな真剣。
    地震って怖い、予想しようといろいろ研究しているにも関わらず、まだ納得のいく結果が出せない。
    武智先生のひたむきさも、それに引き込まれる準平もかっこいい。いろいろな人を巻きこむ熱意が先生にはあるんだなと。
    市川君の話のところは悲しくなった、あの地震で市川君と同じ境遇に陥った子たちがたくさんいるのでは、、、と思った。

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    2026年06月25日
  • 翠雨の人

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    猿橋賞、の猿橋勝子さんの物語。
    賞の名は聞いたことがあるけれど、猿橋勝子さんのフルネームも人生も何も知らなかった。読み終えた今、何故今まで何も知らなかったのかと不思議になるほど偉大なことを成し遂げた化学者である。

    ただ目の前の仕事に苦労を厭わずひたむきに取り組む姿は、ある意味、世界の中のひとつの歯車のようだなと思う。一人で完結しない生き方で、世界全体を一歩進めるために生きてらっしゃったのだなと。いや、ただの歯車として働くうちに、一歩を進めていたということか。地道に集めたデータで立ち向かっていく姿に心から感動する。

    他方、科学は公平かといえば、主義によって絶対的な結果がねじ曲げられることもあるのかもしれない。勝子の受けた困難さから、今の超不穏な世の中で、あり得る現実に恐ろしくなりもした。


    ぶわっと泣いてしまったところ。
    単身アメリカで奮闘する勝子への手紙で、部下の奈良岡が語る言葉、「……あなたの面倒くささは、世界に通用します。面倒くささはすなわち、真面目さであり、粘り強さであり、正しさです。……」

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    2026年06月25日
  • 翠雨の人

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    猿橋勝子という方を初めて知った。女性である事が、障害となる中、科学分野で戦中も一心不乱に邁進。そして戦後に花開く。素晴らしきかな。この物語を知る事が出来、幸せ。

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    2026年06月27日
  • 翠雨の人

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    ネタバレ

    化学者(特に海水雨の放射線)として有名な猿橋勝子先生の伝記でした。少し難しいところもあり、読むのに時間がかかりましたが、最後まで読み切りました。特に第4章の終わり方がきれいでよかったです!

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    2026年06月22日
  • 翠雨の人

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    伊与原新さんの猿橋勝子さんの評伝小説ですね。
    評伝としたのは、フィクションでありながら、猿橋勝子博士の史実に基づいて書かれているからです。
     何より、日本の女性科学者として、初の博士となり、「日本婦人科学者の会」の創立者の一人として、女性科学者の地位と育成に尽力された足跡を描かれた素晴らしい小説です。
     題名で、気象予報士の話だと思っていましたが、そうではなく、気象庁の初の女性研究員となり、師匠の三宅泰雄と共に、放射能の環境への影響の研究で世界的に認められ、気象庁の初の女性職員になり、数々の功績を残された日本の誇る女性科学者の物語でした。
     伊与原新さんの、読み易い軽妙でいて、真実を伝えて行こうとされる努力を汲み取る事が、読みながら感動へと導かれました。
     地球科学の先駆者として、三宅泰雄教授と猿橋勝子博士を宣揚された功績は大きいと思います。
     もちろん、伊与原新さんも地球科学の博士ですから、この小説は、伊与原新さんでなければ書け無かったと推察します。
     次作がますます、期待に膨らみます(=^・^=)

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    2026年06月19日
  • 磁極反転の日(新潮文庫)

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    ネタバレ

    <poka>
    結論:反転しても大丈夫です!心配不要です。
    <だいこんまる>
    盛り上げるだけ盛り上げてハッピーエンドって、ハリウッドではよくあるパターンだね

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    2026年06月07日
  • ブルーネス

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    地震・津波に屈しない科学者たちの熱い思い

    東日本大震災をきっかけに「津波監視システム」の運用の実現するために動き出す物語。

    東日本大震災が来る予知ができなかった悔しさ。
    その思いが遠ざかる(ある種の諦め)上層部のもどかしさが、物語には滲み出ていた印象があった。

    準平が天木にいった「津波から人々を守るために、やれることがある」は非常に刺さった箇所。
    地震は予知はできないから諦めるのではなく、「事前に防ぐ」事はできる。
    数多ある地震のデータベースは、地層・断層から見えてくること、そして歴史を辿れば周期ごとが見えてくる。
    地震は未知であり、地震が引き金とある津波だって未知。そんな未知なるものから逃げるのではなく
    武智、準平、汐理、照井、李、そして瀬島だけでなく、いろんな人たちと協力しあいながら、私たちのために津波監視システムの運用までを常に戦う想像するとなると
    彼らの思いが胸を高鳴らせ熱くさせる。ここまでやり抜こうとするのは科学者の鑑だと思うのです。

    ご存知の通り、日本は地震に見舞われていることが多い。
    巨大地震がいつきてもおかしくない中、私たちも地震への備えを怠らず
    そしてシステムを作り上げた彼らにも敬意を払いつつ、過ごしていけたらと。

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    2026年05月19日
  • ブルーネス

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    いっちょ、みんなをびびらせてやろう
    の一言にチームがそれまで取り組んだことに対する自信が見て取れて、とても興奮しました。

    サイエンスの世界にも、主義主張がそれぞれあって、予算が取れる、協力を募れるというところはとても人間臭いものなんだと改めて認識しました。

    とても面白かったです

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    2026年05月17日
  • コズミック・ガール 宙わたる教室

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    ネタバレ

    定時制高校科学部を舞台とした『宙わたる教室』の続編『コズミック・ガール』。

    科学がテーマですが、人との出会いによって人生が救われる物語でもあります。

    人との縁も星の重力ように、引きつけられて集まることで輝くのかもしれません。

    新生科学部メンバーは科学と出会い、どん底から這い上がっていくのですが、それは科学だけじゃなく、人との出会いこそが大事なんです。

    佐那ちゃんに出会ったことで岳人もかつての情熱を取り戻し、宇辰は犯罪を犯さずに済んだんですから。

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    2026年09月19日
  • 青ノ果テ―花巻農芸高校地学部の夏―(新潮文庫nex)

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    1番好きと言っても過言ではない本。たしかに宮沢賢治を知っていないと十分に楽しめない節もあるが、あまり知らずに読んだからこそ今まで触れてこなかった分野に興味が持てた。一夏の青春を存分に感じさせてくれる。定期的に読み返したくなる本。

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    2026年04月07日