伊与原新のレビュー一覧
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とても頭の悪い感想だけど、これは頭の良い人が書いた本だ…というのが第一の感想で、読後に著者について検索してみたら、東大卒・博士号取得・専攻は地球惑星物理学…と出てきたので、やはり、と思った。
5篇の短篇集なのだけど、総じて「研究者視点」で書かれている印象。理系の小説という感じ(またしても頭の悪い感想。笑)
余談だけど去年だったかNHKで放送していた「宙わたる教室」がこの方の原作だと知って、おぉ!と思った。このドラマ観ていたから。そしてまたしても納得。地学×ドラマで面白かったから。
小説に話を戻すと、表題作はウミガメの産卵に1人の少女の孤独を絡めた切なくて爽やかでウミガメの生態も知れるという -
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就活、家族、故郷…。向かうべき先や帰るべき場所を失ったとき、自分は戸惑い、立ち尽くしてしまうかも知れない。それでも、自分以外の他者と触れ合うことで、自分を形作る輪郭とその奥深くに眠る「核」を呼び起こし、再び前に踏み出すことができる。
伊与原さんの作品は、そんな変化の激しい時代への科学がもたらす処方箋と言えるでしょう。
どんな状況にあっても、前に踏み出す原動力は「自然の摂理を明らかにしたい」という好奇心。
10億年も前から地球の中心に積もる、鉄の雪。自分の中にも芯があるとしたら、そこにも何か降り積もっているだろうか。少しずつでも、芯は大きくなっているだろうか。
行先に迷ったとき、自らに問いかけた -
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猿橋勝子さんの人生を知ることができました。科学者として、自分を信じ一途に未知の学問分野を切り拓く姿は、一人の女性の生き方として、尊敬すべきだと思います。
戦時中の研究生活で“戦争のための研究はしたくない”という思い。彼女の研究への純粋さと意思の強さを感じさせるものでした。
戦後、放射性物質の検出に携わり、核実験抑止につながる研究成果を後世に遺した道のりを、記憶に留めておきたいと思います。
表紙の紫陽花が描かれた中での女性の絵は、猿橋勝子さんの美しい心がそのまま投影されていると感じます。
マリー・キュリーに憧れて科学者になった猿橋勝子さん。彼女に憧れる若者が多く輩出されることを願います。 -
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伊与原新さんの科学エンターテイメントユーモアミステリーですね。
池ノ端環は、ひょんなことから『国立自然史博物館』に職を得て、1ヶ月。まだ自分の職場をよく理解しているとは言えない。
環の所属は、植物研究部の「多様性解析グループ」だ。だが環は、学生時代を含め、植物そのものを使って研究した経験がない。
そもそも環は生物学を専攻していない。出身は理学部の情報科学科で、持ち合わせている知識は数学とプログラミングに偏っている。
国立自然史博物館の植物研究部でDNAバーコーディングの技術開発チームを立ち上げることになり、計算機科学の専門家を一名募集があり、運良く採用された。コンピューターオタクで片付 -
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伊与原新さんの科学サスペンスミステリーですね。
実はこのミステリーは、江戸川乱歩賞に投稿して、惜しくも受賞を逃した作品を加筆訂正して、デビュー前から温めていた作品との事です。ですから、伊与原新さんの科学ミステリーの『原点』の作品ですね。
「帝都工科大学アストロバイオロジー研究センター」のセンター長の笠見教授が、実験室で死亡した。
どうやら有毒ガスを吸った為と思われるが、死因に不審な点がみられる。同時に同センターが、研究中の火星の隕石に「FFP(捏造・改ざん・盗用)」の疑いが有るとメールが、科学雑誌社と大学の関係者に送られてきていた?
帝都工科大学の大学本部の研究公正委員会が開かれて、