伊与原新のレビュー一覧
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伊与原新さんの猿橋勝子さんの評伝小説ですね。
評伝としたのは、フィクションでありながら、猿橋勝子博士の史実に基づいて書かれているからです。
何より、日本の女性科学者として、初の博士となり、「日本婦人科学者の会」の創立者の一人として、女性科学者の地位と育成に尽力された足跡を描かれた素晴らしい小説です。
題名で、気象予報士の話だと思っていましたが、そうではなく、気象庁の初の女性研究員となり、師匠の三宅泰雄と共に、放射能の環境への影響の研究で世界的に認められ、気象庁の初の女性職員になり、数々の功績を残された日本の誇る女性科学者の物語でした。
伊与原新さんの、読み易い軽妙でいて、真実を伝えて行こうとされる努力を汲み取る事が、読みながら感動へと導かれました。
地球科学の先駆者として、三宅泰雄教授と猿橋勝子博士を宣揚された功績は大きいと思います。
もちろん、伊与原新さんも地球科学の博士ですから、この小説は、伊与原新さんでなければ書け無かったと推察します。
次作がますます、期待に膨らみます(=^・^=) -
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地震・津波に屈しない科学者たちの熱い思い
東日本大震災をきっかけに「津波監視システム」の運用の実現するために動き出す物語。
東日本大震災が来る予知ができなかった悔しさ。
その思いが遠ざかる(ある種の諦め)上層部のもどかしさが、物語には滲み出ていた印象があった。
準平が天木にいった「津波から人々を守るために、やれることがある」は非常に刺さった箇所。
地震は予知はできないから諦めるのではなく、「事前に防ぐ」事はできる。
数多ある地震のデータベースは、地層・断層から見えてくること、そして歴史を辿れば周期ごとが見えてくる。
地震は未知であり、地震が引き金とある津波だって未知。そんな未知なるものから逃げるのではなく
武智、準平、汐理、照井、李、そして瀬島だけでなく、いろんな人たちと協力しあいながら、私たちのために津波監視システムの運用までを常に戦う想像するとなると
彼らの思いが胸を高鳴らせ熱くさせる。ここまでやり抜こうとするのは科学者の鑑だと思うのです。
ご存知の通り、日本は地震に見舞われていることが多い。
巨大地震がいつきてもおかしくない中、私たちも地震への備えを怠らず
そしてシステムを作り上げた彼らにも敬意を払いつつ、過ごしていけたらと。 -
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この本を見つけたのは偶然東小金井の尾花屋という可愛い古本屋さんでした。お嫁さんと孫2人と買い物の途中立ち寄った先で見つけました。あゝ私に見つけて欲しく一番上にさりげなくおかされていたんだね。宮沢賢治は私の中で一番好きかもな作家であり何回でも再読しては又違う想像しては楽しんでいる。
伊与原新初めて読む作家ですが「青ノ果テ」なんて素敵な言葉!賢治が創る造語はとても綺麗で中でも薤露青は想像力が掻き立てられますね。七夏は絵に描くつもの夜になりかけの空の深い青が中々決まらないと言うと文緒は薤露青ですねとすぐ答える。いったいどんな色なんだろうか?そしてカンパネルラが死なない銀河鉄道の夜を一回読んでみたいものですね。
花巻農芸高校地学部の夏先輩と転校生と三人で自転車旅に出る壮多!突然姿を消した七夏。彼等は見たことの無い景色をいくつも見て繰り返す季節をいくつも経て今は想像も出来ない場所に辿り着き夏は又何度もやって来る。青はまだまだ果てないのだ。 -
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花巻農芸高校という、宮沢賢治が教えた学校をモデルにした物語。深澤という転校生はなぜ花巻に来たのか、主人公壮太の幼なじみ、七夏を知っているのか、地学部に入って何がしたいのか。
高校生にしては宮沢賢治や地学に知識がありすぎる三井寺や文緒という脇役に助けられながら謎解きが始まる。七夏はどこかに行ってしまい、壮太は怪我で鹿踊りのレギュラーからハズれ、才能ある他の部員の存在に怯える。自分には鹿踊りしかないのか、花巻に残るという選択肢しかないのか。そんな中、イーハトーブとはどこか、銀河鉄道の夜の舞台はどこか、地学部3人の巡見の旅が始まる。
個人的には三井寺部長が、伊与原作品での舞台回し役である博学オタクで、読んでいて安心する。高校生とは思えない落ち着き、実は車椅子の弟がいて、自分が自由に石掘りをしていることに少し罪悪感を抱いているけれど常に笑顔という、なんと素敵なキャラ。
物語は、ジョバンニとカンパネルラ、ザネリのその後を想像させるような設定で胸が詰まるが、どんな人もザネリにもカンパネルラにもなりえる、そこをどう納得して生きていくか。なくなってしまった人の記憶が薄れる時に自分も記憶と再度思い出したときの記憶ともうごちゃ混ぜになって何が真実だったか、声はどんなだったか思い出せないと思う時があるが、その記憶を覚えていない人にとってそのなくなった人の存在を確かめる方法はあるのか。そんな切ない足掻きも描かれていた。また地方に住まう高校生としての虚いというか、いつか都会に出るのか、自分はここに残るのかという決断を高校で決めなければいけないというところに同じ地方のものとして共感しつつ、鹿踊りという心の拠り所を再発見できた壮太が羨ましくもあった。 -
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思いがけず良い本に出会った。主人公たちが抱える静かな絶望、人との出会いによって少しずつ見えてくる希望が美しかった。
どれも面白かったけど、3作目の伝書鳩のお話は、今まで全く知らなかった鳩の習性に目から鱗でした。鳩は「磁場が見える」なんて。私と同じ街中にいる鳩がそんなSFみたいな世界の中で生きているなんて、なんだか不思議。
2作目の「クジラたちは人間が想像できないような内向きの精神世界や知性を発達させてるのかもしれない」というのにもときめいた。
私が悩んだりしてるのは所詮「人間界」の中の常識基準で、もっともっと世界は広いし、奥深いと思うと、なんだかスッとする思い。
解説にて、「本作は科学とその制度の外部に置かれてきた女性への言及がある」ということが書かれていた。私は読んでいる間そのことに気づききれなかったので、はっとする思いでした。
研究とアルバイトを両立する優秀なベトナム人の留学生、電車内で子連れを迷惑がられるシングルマザー、赤の他人ながらそのシングルマザーを支えようとする博物館の非常勤職員。
女性の社会進出のあり方について火種になることが多い現在、あり方に正解なんてなくて、ただただ個々人が求める社会との携わり方が実現して欲しい。 -
購入済み
途中まで、みんな頑張れ~って気持ちで読んでいたのに、最後の数ページで急に泣かせに来る。いきなりの感動ターンにびっくりした。45歳になっても昔の仲間と集まって何か1つのことに向けて頑張る。いつの間にか知らない人たちも巻き込んでみんなが一つになる。なんてことない日常にも感動が転がっていること、忘れずにいたい。
あと、星空をひたすら眺めたくなる本だった。