伊与原新のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
無さそうだけど有りそうな、有りそうだけど無さそうな博物館の裏庭を散策したような気分になれる不思議な物語。数々の事件を通して、環が箕作の有能なパートナーに成長を遂げるどころが面白かった。
個々の事件の中では、藍を継ぐ海の中でも取り上げていた、ニホンオオカミについての話と、異人類たちの子守唄が特に好きです。前者は、ニホンオオカミの特徴としての送りオオカミと狼犬の話題が再び(あくまでも読んだ順です。)取り上げられています。もしかしたら伊与原さんの、箕作先生たちに任せるなんてもったいない、自身のライフワークにしようなんて考えているのかな。また異人類たちの子守唄は、デニソワ人という初めて聞く人類の先祖が -
Posted by ブクログ
初めましての作家さんですが、ブグログ内では高評価の作品が多いようですね。
まずは学園(!?)ものから。
舞台は岩手県
登場人物は花巻農芸高校、地学部の生徒たち
彼らが宮沢賢治のゆかりの地(主に銀河鉄道の夜)を自転車で巡る旅に出る。
その様子が描かれる中で、高校生ならではの心の揺れがとても良く伝わってきた。
とにかく宮沢賢治の事が物凄く詳しく書かれていて、詳しく知らない私としては、そこは少しだらけて読んでしまったような。(申し訳ない)
でも、地学部の鉱物採取のところはちょっぴり興味を持って読めました。
いずれにしても、この2つのことに関しての情報量が多くて、とても良く調べられて書かれているの -
購入済み
幻想的な表紙に惹かれて購入。どのお話も科学チックで面白かった。きっとその専門か少し詳しい人じゃないと完全に理解できないような深いところまで描写されてて、作者の頭の良さというか、探求心というか、そういうものをすごく感じた。1話目のダメコンビニ店員だと思われていたベトナムの留学生が実は大学院で地震の研究をしてたというギャップと、そして第一話の主人公がちゃんと自分の進むべき道を再確認できたような結末が一番お気に入り。地球の中心に降る雪、なんてロマンチックな表現なんだろう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ科学を物語にしてくれて感謝です。
論文に知的興味を持てない自分には大変ありがたい。
『八月の銀の雪』
地球の内核に降る鉄の結晶。清田の心の核に、堀川の言葉が欠片になって降り積もったのだろう。こうやって人はお互いに与えあったもので核を作る。なんて優しい願いが込められてるんだろう。
学生街の大学生が「アフィリエイトが〜」と友達と話していたので、この話の内容はきっと今でも進行形。
『海に還る日』
小学生の時、何かの影響か、はたまた現実逃避か、鯨になりたかった時期があったことを思い出した。それで頑張ってロバート・シーゲルの『歌うクジラシリーズ』を読んだ。殆ど内容覚えて無いけど、氷の下を命がけで泳ぐ -
Posted by ブクログ
『波はしぶきを上げることもなく、突堤の左右に広がる岩場を静かに洗っている。洗濯板のように削られたその地層を見ながら、池上が言った。「こんな風に、柔らかい層が浸食を受けてひだ状になってるのが、竜串のポイント」「確かに、このあたり全部、砂泥互層[タービダイト]だね」』―『第四章 海の魔法』
時差のある場所との行き来に本を読む。前回はボール・オースターの分厚い一冊で持ち運びに難儀した。それを踏まえて今回は文庫本を持参。久しぶりに伊予原新の小説を読む。行きの便で読み終わりそうな気配がしたので半分辺りで止めておく。案の定、帰りの便ではあっという間に読み終えてしまう。予備の一冊は預け入れのスーツケース