伊与原新のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
フォローさせていただいているプッチさんの感想を読んで読む事にした初めての伊与原作品。
泣きました。最後の最後の修の言葉に自然と涙が溢れました。
恩田陸先生の夜のピクニックを読んだ時にも思いましたが、青春時代にちゃんと青春しなきゃだめですよね、うん。
私今49歳。まさにこの主人公達と同じような思いを抱いて暮らしています。サラリーマン。家族あり。仕事に不満はないけれど、理由もなくこのままで本当にいいのかな?なんて思いながら暮らしてます。青春時代を思い出す事はあまりないけれど、近年高校時代の友達と30年ぶりくらいに会うようになりました。おんなじ!オオルリの仲間とおんなじ!とか思いながらの一気読み。
素晴らしい読書体験ありがとう。伊与原先生ありがとう。プッチさんありがとう。 -
Posted by ブクログ
読書備忘録1016号。
★★★★★。
ほんま文句なし!
やっぱり、伊与原さんはフィクション小説が良い!
前作も素晴らしかったけど、今作もまったく負けてない!
続編ですが、前作からの登場人物のストーリーではないんですね。
前作から6年後。みんな卒業してしまいましたが、それでもここまでワクワク感満載のストーリーに仕上げるとはっ!天才か!
前作の東新宿高校定時制科学部は廃部になっちゃってるんです。
今回、新たな科学部を作る話で部員がひとりひとり加わっていく章立て構造は一緒なんです。
前作は顧問の藤竹先生が、ひとりひとり部員をスカウトして科学部という星を作っていきました。
今作は伝説の科学部というレガシーの引力に引き寄せられてメンバーが集まり新たな星を作る訳です。
先に列挙しちゃいますが、個人的に響いたポイントっす!
★前作は藤竹が生徒を集めて星が出来た!
★作られた星はしっかり引力を持って復活した!
★星に引き寄せられる生徒たち!
★半端ないロケット!日本から世界へ!
★小児病院の子供たち!病魔を乗り越えて行く星となれ科学部!
★定時制の抱える社会問題!副校長のあざとさ!
★一期生たちの悩みと頑張り!
★かつての百瀬の教え子たちの支援!胸アツ!
★淡路洲本高校の実話がベース!
各章備忘と行きましょう!
【コズミック・ガール】
飯星佐那。どうやら前作幕張メッセの会場にいたという設定のようです。
訳あって超進学校の桜霞女学院から東新宿定時制に転校してきた。
東新宿高校で科学部作りたい!私の師はカール・セーガンだ!
学校で浮きまくる佐那!笑
やる気なし担任教師、里仲遥香は冷めた目で見る。
同級生の間宮みちるの協力のもと、倉庫に眠っていた伝説の科学部が作った重力可変装置を使い科学部復活をプレゼンする!
果たしてプレゼンは成功するのか!いやいや完全に失敗やろ。
【ピタゴラ・ボーイ】
佐那のプレゼンを最前列で見てて、ひとりウケまくって拍手をしていた1年生のデブ。尾上翔太。
科学部オモロそうだけど、自分頭悪いし、家庭環境が許さん。
佐那は翔太を科学部に勧誘する為に翔太の家に。
そこには、とんでもないピタゴラスイッチが!こいつ天才か!
一方、副校長の百瀬は、やる気なし子教師遥香に科学部顧問を打診する。貴女が適任だと。そして顧問をやってくれたら全日制の高校への異動を約束しようと条件を付ける。
翔太の父親の説得に成功して部員候補は2人になった。あと1人!
【ロケット・センパイ】
片倉理。
小児がんからの入院で長期病欠していた。やっと復活できた。
ん?遥香先生の目がキラキラしている?なんで?やる気なし子先生がどうして?笑
早速科学部へ!
実は彼、病院に入院中に名取佳純と接触を持っていた!
これで3人!晴れて科学部復活!
自分が入院していた小児病院でペットボトルロケット実験をしよう!
みんな喜ぶぞ!と。
【ギーク・チャイニーズ】
楊宇辰(ヤンユーチュン)。
ちょっと天才。オタク。マニア。
出自の関係で日本人に恨みを持つ。
ただ、ペットボトルロケットの常識を超える実験をしている科学部の活動が気になってしゃあない。
最後に背中を押したのはボイジャー1号からの「ペイル・ブルー・ドット」。
ホントに世界各国の首脳に見せたいわ!ペイル・ブルー・ドット!
【レジェンダリー・ガイズ】
柳田岳人登場!
大学4年。地球物理学を専攻する為に国立大学大学院を受けるが失敗。
なんたらって障害がありましたよね。文字が読めないとかの・・・。
自分たちを捨てた藤竹に恨みを持つも、今頑張っている科学部を支援することに。
そして自分も科学部に感化され大学院を諦めないことに!
そして、妻を亡くし生きる希望を失っていた長嶺製作所の長嶺も巻き込んで!
科学部は全国大会で優勝して全世界大会に出ることを目標にした!
【リリーフ・ベスティ】
間宮みちる。部員ではないけど!部員!笑
科学部のロゴをデザインする。
将来はクリエイターになるのが夢!
何かを生み出すのがクリエイター。科学部も一緒。気になってしゃあない!
訳あって科学部を退部することになった理に代わり正式に科学部に!
大会で優勝する為には、実験の独自性が必須だ。
ペットボトルロケットの固体燃料を植物由来にしたらどうだ!
料理部女子も協力しながら研究を進める!
答えは凍り豆腐だ!
【スマイル・プリンシバル】
副校長百瀬。
科学部の活動を支える影の支援者達!
百瀬の教え子たちの物語・・・。
そして定時制高校を取り巻く厳しい社会環境と、百瀬の覚悟。
胸アツ。
【ドリーム・ローンチ】
今明かされるトップ・サイエンス・ハイスクールへの応募と挫折。
怒りと意趣返し・・・。
そしてロケット発射実験の成功と国際大会へ!
伊与原さん!
続編求む! -
Posted by ブクログ
すごくわくわくしたし、感動した。
今作は学生の自主性が大人を巻き込みながら
加速していくパワフルな物語だった。
それぞれ得意なことを持ち寄って
自分達にしかできないことをする。
現代の学生らしくネットを駆使して
コミュニケーションをとり、情報を集め、
自分たちでどんどん進める力がある。
全力で行動する学生に感化され教師も変わる。
コミュニケーションのとりかたを学ぶのも
本気で何かに取り組む事も、夜間学校でだって
自分たち次第で何でもやれる。
いまの時間は今しか無いんだから
楽しまないともったいない、だね。大人でも。
前作の登場人物たちが関わってくれたのも
周りの大人のサポートも、全部素敵だった。 -
Posted by ブクログ
伊与原新の『翠雨の人』を読んだ。
時代は戦前。 主人公はマリー・キュリーに憧れる少女、猿橋勝子。
猿橋勝子は、地球化学者として海洋の放射能汚染などの研究に取り組み、その道に一生を捧げた女性だ。
とにかく努力の人だと思った。
『板上に咲く』の棟方志功のように、貧乏ではあっても天才的な才能で道を切り開いていくというのとは少し違う。
勝子は師の教えに従い、ひたすら真面目に研究を続け、努力を重ねて自分の道を切り開いていく。
しかも、今とは比べものにならないほど、女性が研究者として生きていくことが難しかった時代だ。
アメリカの水爆実験によって第五福竜丸が被爆したことは知っていたが、その後、日本の研究者たちが放射能汚染を調査し、その中で猿橋勝子が重要な役割を果たしていたことは知らなかった。
歴史上の出来事として知っていることでも、その裏側には名前も知らなかった人たちの地道な研究や努力がある。
本書を読んで、改めてそんなことを感じた。
この本はたくさんの人に読んでもらいたいと思うが、特にこれから自分の道を切り開いていこうとしている女性に読んでもらいたい一冊だと思った。
また少し横道にそれるが、本の中に『タイガー計算器』という、今では聞き慣れない名前が出てきた。
勝子が、腕が痛くなるほどハンドルを回して計算したと書かれている。
「タイガー計算器って、どんなものだったのだろう?」
調べてみると、数字をセットして横のハンドルをガチャガチャと回し、歯車を動かして計算する機械式計算機だった。
足し算や引き算だけでなく、掛け算や割り算もでき、電卓のない時代には役所や会社、研究機関などで広く使われていたという。
今なら100円ショップでも電卓が買える。
それを考えると、重い機械のハンドルを何度も回しながら研究の計算をしていたのだから、隔世の感がある。
考えてみれば、計算する道具もずいぶん変わった。
そろばんや計算尺、タイガー計算器から電卓、関数電卓へ。
私が大学時代に使った関数電卓から、その後はBASICでプログラムを組めるポケットコンピューター、PC-9801、MacやWindows、そして今ではスマートフォンへと進化した。
建築の世界なら、大工さんが使う差し金も、一種のアナログ計算機のようなものだろう。
『翠雨の人』に何気なく登場したタイガー計算器から、そんな「計算する道具の歴史」にまで思いを巡らせてしまった。
それにしても、腕が痛くなるほどタイガー計算器を回しながら、一つ一つ数字を積み重ねていった勝子。
そう考えると、彼女の「努力の人」という印象が、ますます強くなった。
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高校3年生の夏、文化祭で巨大な空き缶タペストリーを作った仲間たち。あれから28年。それぞれに事情を抱えた彼らが再び集まり、今度は手作りで天文台を建てる。
いいなぁ、そんなことあったら。
歳を重ねるにつれて、若い頃のように強い感情を誰かにぶつけることは減っていく気がする。大人だからこそ言えないこともあるし、今さら蒸し返さなくてもと飲み込んでしまうことも増える。
でも、この物語の彼らは、天文台を作りながら少しずつ本心を言葉にしていく。長い間できていた心の溝が埋まり、昔の傷が癒え、止まっていたものがまた動き始める。
天文台作りが仕事を好転させる気づきにつながったり、誰かとの関係を変えたり。45歳になっても、何かを一緒に作ることで人生が少しずつ良い方向へ動いていく。その感じがとても好きだった。
星空、流星群、オオルリ、ミニFM。
物語を彩るものがどれも爽やかで美しく、読んでいるこちらまで澄んだ夜空の下にいるよう。派手な奇跡ではなく、人生は途中からでも少し軌道を変えられると静かに思わせてくれる、大人の青春小説だった。
そして何より、表紙がとても美しい。