伊与原新のレビュー一覧
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1編目「陶芸と地質学」のコラボ。
伊予原さんの科学と人間関係のケミストリーにいつも魅了される。
自分の知らない世界の扉をいつも開けてくれる。
3編目『祈りの破片』
大坪係長いいこと言う。マニュアルという名の安全な浮き輪でぷかぷか浮いて過ごしている地方公務員が多いことを知っているからこそ、グッときた。
「ただマニュアルがあっても仕方なか。引き継ぐのはマニュアルやのうて、担当者の思いったい。マニュアルに思いが込められとるなら、それば汲み取ってうまかこと運用するとが、地方公務員の腕の見せ所ぞ。」
4編目『藍を継ぐ海』
ウミガメ生態の神秘さに感動。泳ぐ力のない子カメたちは、藻や流木に隠れ、地球の -
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科学をテーマにした短編集だが、難しい説明は少なくとても読みやすかった。作者が理系出身ということもあり、科学的な話も自然に物語の中に溶け込んでいて、すんなりと理解できて読み進めやすかった。
どの話も人生につまずいた人や迷いを抱えた人が登場し、科学や自然との出会いをきっかけに少しだけ前を向く姿が描かれている。
特に「エイリアンの食堂」が一番好きだった。宇宙という遠い存在と、食堂という身近で温かい場所が結びついているところが面白く、人と人とのつながりの大切さを感じられる話だった。
最後の「対話」でも描かれているように、伏線や会話の運び方などにミステリ作家らしさを感じる文章で、短編ながら読者に考 -
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実家の薬局を継いだものの四十五歳を過ぎ 漠然とした不安を抱えて日々を送っていた久志。
東京の制作会社を辞め 司法試験に向けて勉強をしている修。
なんとなく教員を続けている千佳。
高3の文化祭に出す巨大空き缶タペストリーを作ったメンバーだ。
ある日 メンバーの一人でブレーンでもあった慧子が国立天文台を辞めて地元に帰ってきた。個人で天文台を建てるといい その計画に久志たち三人は協力を申し出る。
久し振りに集まるが その場にいない
メンバー、恵介と梅ちゃんのことが彼らの間に影を落とす──。
本来 研究とは孤独な作業だと思う。
でも 私が読んだ伊予原さんの作品は、ひとつの研究テーマがあって -
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6編からなる短編集
〈月まで三キロ〉
表題作。人生に絶望し、死に場所を求めて
青木ヶ原に向かおうとタクシーを拾う主人公。
タクシー運転手は彼を、月に一番近い場所へと
案内する。
運転手は二度と息子には会えない。だが、自分の
父親はまだ生きている、すべてを失ったわけでは
ない。いきなりじわじわとくる話だった。
悲しいけれど、月がとても綺麗だ
〈星六花〉
後輩の美彩と、知人の紹介で男性二人と
食事会に行った、主人公の千里。
そこで気になる男性と出会う。
気象庁東京管区気象台 気象防災部 技術課
技術専門官という肩書きを持つ男性、奥平潤
彼にときめく千里だが、彼には秘密があった。
二人には、生涯の友 -
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文系の私には言葉が難しく、途中挫折しそうになり、前半を読んでる途中で長期のブレイク。
が、再び読み始めてから後半は、難しい言葉はサラッと読んでもおもしろく、特に「四〇二号室のプロフェスール」は、途中ブレイクを入れた時には思いもよらなかった展開で、最後まで読んで良かった!と思えた。
「虹のソノリティ」の、色覚や共感覚についての話は、たまたま仕事で関わってちょっと知ってる分野だったこともあり、おもしろかった。
チェシャ猫の話は、興味深かった。何を根拠に何を信じるか。人それぞれに判断基準があって、思考は他人に侵されるものではない。
のだけれども、さて、何が正しいのか。
私のようにリケジョじゃな