伊与原新のレビュー一覧

  • 磁極反転の日(新潮文庫)

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    『いい信念は合理的だから、手強い。ダメな信念は非合理的だから、やっぱり手強い』―『Phase Ⅱ 白と黒』

    地磁気の逆転について学んだのは何時の頃だったか。当時の高校地学で学んだ記憶はないが、学部移行して入った学科に古地磁気を研究している助教授が居たのでやはり大学に入ってからか。少々古臭い話だが、その先生の所属していた講座はプレートテクトニクスを認めないことで有名だった学派の流れを汲む教室であったのだが、その中で古地磁気の研究をするというのは異質であっただろう。学部生向けの論文購読を担当していたその先生は、当時は目新しかった隕石衝突による中生代から新生代への移行(あるいはKT境界問題)につい

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    2022年03月06日
  • ルカの方舟

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    鉱物のことも宇宙のこともわからない私もおいてきぼりにされることもなく読み進められました。
    研究者って本当に好きな仕事を出来て羨ましく思っていたのですが、けっこう大変な仕事なんですね そして悲しかった。

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    2021年10月30日
  • コンタミ 科学汚染

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    「ニセ科学への道は善意で舗装されている」と言われているように、最初は悪意のある人がつくったものでも、それを善と信じる人々が熱狂して広めてしまう。

    善意や正義を盾にして人を攻撃する人も、この理論によるもの。

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    2021年05月26日
  • 博物館のファントム 箕作博士の事件簿

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    お仕事ミステリの中には職業がただの背景になってしまったり、キャラクターの色づけだけでミステリ部分に何ら関与しないものも多いが、これは博物館だからこそのキャラクターと物語とミステリとなっている。
    蘊蓄ミステリとしても面白い。キャラクター小説としても面白い。博物館という空間の魅力も面白い。

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    2020年11月04日
  • 蝶が舞ったら、謎のち晴れ―気象予報士・蝶子の推理―(新潮文庫nex)

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    破天荒な気象予報士菜村蝶子と幼馴染の冴えない探偵右田夏生がひも解くミステリー。蝶子の人物造形が無茶苦茶面白い。大学院を出て、民間の気象予報会社に勤める蝶子は、いやいやながらテレビ放送のお天気お姉さんになる。ところが、ぶっきらぼうで歯に衣を着せない喋りぶりや、最後のバタフライ効果張りのとんでもない御神託などで、視聴者の人気が大爆発。そのままのつんけんした乗りで夏生に言いたい放題。夏生が持ち込む5つの謎を二人で解いていくのだが、気象のことが謎を解く手掛かりになるのだ。最後の「標本木の恋人」はなかなか感動的だ。いいねえ。ソメイヨシノは、コマツオトメとオオシマザクラの交配によって生まれたという可能性が

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    2020年03月09日
  • 磁極反転の日(新潮文庫)

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     地球物理学の本としてとても面白かった。多くの新知識を得られたのがうれしい、という小説読後の感想とはちょっと違う感じを持った。
     今まで全く興味のなかった分野で、なぜ本書を読もうと思ったのかは不明。しかし読んだらおもろかった。小説としてのストーリーの印象がかなり薄いくらいに、地磁気やらフレアだのと言った専門用語にひかれた。

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    2018年06月23日
  • 蝶が舞ったら、謎のち晴れ―気象予報士・蝶子の推理―(新潮文庫nex)

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    蝶子さんと主人公の遠慮のない関係は見ていて安心する。天気予報を見るのが少しだけ楽しみになるミステリー。

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    2016年04月05日
  • リケジョ!

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    理系大学院生の女性が留学のための資金を貯めるため、理系かぶれの小学生の女の子の家庭教師をするお話し
    連作短編理系ミステリと言うことで、ガリレオシリーズっぽいものを感じる

    最後のお話しが一番いい
    それまでにちょっと感じていた違和感が読み進めていくうちに晴れていく感じ
    伏線と気付かない程のささやかな違和感が序盤からあって
    「あ~、こーゆーキャラなんだね」と解釈していたけど、実は理由があったという構造はとても大好きだ

    この本は元々「プチ・プロフェスール」という題名の単行本を文庫化する際に改題したもののよう
    よりによって何で「リケジョ!」なんて俗な題にしたのかね?
    全部読んだら断然「プチ・プロフェ

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    2016年02月27日
  • 梟のシエスタ

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    これはまさに伊与原新ならではの大学を舞台とし作品。大学職員とか教員はあるあるって思ってそう。高校時代の友人の某国立大教授がこの作品で出てくるエピソードとほぼ同じことをぼやいていた。

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    2015年09月04日
  • 蝶が舞ったら、謎のち晴れ―気象予報士・蝶子の推理―(新潮文庫nex)

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    小説新潮で読んだこのシリーズがきっかけで伊与原作品を読むようになりました。全部読んだことあるけど、また読んでも面白かった。

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    2015年08月23日
  • リケジョ!

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    物理が全く分からないと、ついていけないところもありますが、楽しく拝読させていただきました。生物系や化学系のリケジョの話も読んでみたいです。物理苦手な方も是非読んでみてください

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    2014年03月02日
  • 翠雨の人

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    直木賞受賞第一作との帯、
    表紙の絵とタイトルに惹かれて購入

    表紙、タイトルのイメージとは
    いい意味で全く違う激しいお話だった

    激しいと言っても
    アクション、出来事がではなく
    主人公の内面が


    場面転換が映画みたいで
    ストーリーとしては朝ドラのような…
    いずれにしても
    近いうちに映像化されそう

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    2025年12月06日
  • 藍を継ぐ海

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    短編いくつかで構成されている
    読みやすく、登場人物の心情がうまく表現されている
    どうなるんだろう?というワクワク感もあった

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    2025年12月04日
  • 宙わたる教室

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    自分の置かれている状況に理解ができずに苦しんでいたところから、信じられないくらいの成長を遂げる主人公に感動を覚えた。宇宙とは誰もが興味をもつ神秘の世界で、そこに挑む主人公達に期待と羨ましさを覚えた。

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    2025年12月03日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

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    ちょっとマニアックな科学の小話的な要素があって、面白かった。火山学者のオジサンが素敵だった。何かを失ったヒトが、誰かと出会って、新しい何かを受け取る短編集。

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    2025年12月03日
  • 藍を継ぐ海

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    5つの短編集。どれも、実際の土着の忘れさられた言い伝えから、真実を探そうとする若者の物語。瀬戸内、東北、北海道、山に海に舞台は異なり、登場人物たちの言葉や生活から、その土地の空気感も感じられるような...そこに若者のひたむきな思いがのせられて爽やかな余韻が残る。

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    2025年12月03日
  • 宙わたる教室

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    ドラマを観てすごく感動したので、原作も読んでみた。自分にも何か可能性があるんじゃないかと思わせてくれる作品だった。自分が知らないだけで持ってる可能性。決めつけず、まずやってみる(手を動かす)ってことが大事だなと思った。結局は諦めたらなにも始まらないし、考えてるだけじゃなにも起こらない。自分の可能性を引き出すには、自分次第である。それと、自分と違う価値観を持つ人と関わり合うことはすごく意味のあることなんだと思った。岳人と長嶺にしろ、定時制と研究者にしろ今までその人たちが経験してきたことが自分自身の新たな発見になる。自分を守るプライドなんてクソ喰らえだって思った。ただドラマの方が1人1人のストーリ

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    2025年11月30日
  • 八月の銀の雪(新潮文庫)

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    伊与原新、短編集。

    就職活動がうまくいかない大学生・堀川。ひとり娘・果穂を育てるシングルマザー。元劇団員の派遣社員・正樹…

    生きることに辛さを抱えた人達。
    ひととのつながりから、考え方を変え、ちょっと前向きになっていく。

    堀川くんなんて、段ボールロボットの話を動画付きで、面接ですればいいのに。グエンの言うように。

    正樹もレモン農家、継ぐんだろうな。

    それぞれの話に繋がりはなく、どの話にも科学の話が違和感なく、盛り込まれている…
    どの科学の話もわかりやすくて、話を邪魔していない…

    短編って、物足りなさを感じるので、苦手だったが、伊与原新の短編はいい。



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    2025年11月30日
  • 藍を継ぐ海

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    ネタバレ

    史実を元にしたフィクションとのことだが、短編のそれぞれが本当のことと思わせるようなリアリティがあった。特に「祈りの破片」は良かった。

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    2025年11月29日
  • 翠雨の人

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    伊与原さんの新作です



    お恥ずかしい話ですが、本作で初めて猿橋勝子さんのことを知りました


    猿橋さんは日本の女性科学者の草分けで、優れた女性科学者に贈られる「猿橋賞」の創始者として知られています。


    猿橋さんの学生時代から研究の道へと進むところから、戦時中の研究、戦後の放射線汚染の調査を行い核実験の危険性を訴え続ける様が描かれています

    実話を元にしたフィクションとありますが、すごい参考文献の数で、いかに伊与原さんがこの作品と、猿橋さんと向き合ってきたかがわかります。





    女は大学に行くのも許されない時代に、科学者として生きていくことにどれほど苦労があったか、、、
    それでも生涯を

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    2025年11月29日