伊与原新のレビュー一覧
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大人になった今、
展望台を作るために
高校の同級生が再集結する
大人の青春小説
『展望台づくりをきっかけに
何十年越しに明らかになる、
同級生たちの過去や抱えていた悩み』
『人生の折り返し地点で、
このままの生活でもいいのか?
とつい考えてしまう葛藤』など、
“目を背けたくなるような苦い現実”を
“濁すことなく”描かれています。
こういった普通の青春小説ではなかなか見られない
描写がすごく好きです
また、過ぎた青春をただ取り戻そうとするのではなく、
“あの夏を超えてやろう!と展望台づくりに取り組む姿”にこれが大人の青春小説か!面白いなと感じました
“大人になった今”だからこそ
でき -
Posted by ブクログ
研究者である著者でしか書けないであろう(言い過ぎ)、研究に向かう科学者たちの思考や姿勢が反映された描写は、同じ理系の者として深く理解できた。(工学部の森さんも同様のテイストを醸し出しているので、唯一無二とは言えないのが残念だが)。猿橋賞の名前だけは知っていたが、その設立に結びつく猿橋さんの話にはぐいぐい引き込まれた。
特に印象に残ったのは、「(前略)核兵器とそれのもたらす災害について、誰よりよく理解しているのは我々科学者であり、科学者には等しくそれを全人類に伝える義務があります。科学者のもっと尊い職務は今や、人類の幸福と平和に貢献する事であり、科学を人間の殺戮と文明の破壊につかわせないことな -
Posted by ブクログ
花巻農芸高校という、宮沢賢治が教えた学校をモデルにした物語。深澤という転校生はなぜ花巻に来たのか、主人公壮太の幼なじみ、七夏を知っているのか、地学部に入って何がしたいのか。
高校生にしては宮沢賢治や地学に知識がありすぎる三井寺や文緒という脇役に助けられながら謎解きが始まる。七夏はどこかに行ってしまい、壮太は怪我で鹿踊りのレギュラーからハズれ、才能ある他の部員の存在に怯える。自分には鹿踊りしかないのか、花巻に残るという選択肢しかないのか。そんな中、イーハトーブとはどこか、銀河鉄道の夜の舞台はどこか、地学部3人の巡見の旅が始まる。
個人的には三井寺部長が、伊与原作品での舞台回し役である博学オタ -
Posted by ブクログ
第二回目伊与原さんブームということで、こちらの本。短編集で、人生に迷える人+行きすがりの理系(の特定の分野に詳しい人)という設定がもはや安定。まだ初期の本を読んでいないが、後書きでの逢坂さんとの対談を読むと当初は理系知識の謎解きトリックミステリー派だったということで、まあそれはネタ作りに疲れそうだなあと思ったので、この程度の軽いトリックが読んでいる側にも負担がなくてありがたい。
一番よかったのはエイリアン食堂(だったか)で、読者からの反応もよいとのことに納得。つくばで食堂を営む父娘のもとに訪れる、非正規雇用?の学者さん。彼女が持っているルーペ(それを持っている限り自分の立ち位置を確認できる) -
Posted by ブクログ
思いがけず良い本に出会った。主人公たちが抱える静かな絶望、人との出会いによって少しずつ見えてくる希望が美しかった。
どれも面白かったけど、3作目の伝書鳩のお話は、今まで全く知らなかった鳩の習性に目から鱗でした。鳩は「磁場が見える」なんて。私と同じ街中にいる鳩がそんなSFみたいな世界の中で生きているなんて、なんだか不思議。
2作目の「クジラたちは人間が想像できないような内向きの精神世界や知性を発達させてるのかもしれない」というのにもときめいた。
私が悩んだりしてるのは所詮「人間界」の中の常識基準で、もっともっと世界は広いし、奥深いと思うと、なんだかスッとする思い。
解説にて、「本作は科学とそ