伊与原新のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
女性科学者に与えられる「猿橋賞」は知っていた。しかし、猿橋勝子さんの業績等はよく知らなかった。
1920年生まれで、第六高等女学校を経て、帝国女子理学専門学校(現東邦大学理学部)の第1期生として入学した。在学中より中央気象台(現気象庁)研究部の三宅泰雄氏の指導を受け、卒業はそこに就職した。もともと彼女は物理が専門だったのだが、三宅に師事後は地球化学を専門とするようになった。
戦後の1954年のビキニ水爆実験による「死の灰」による大気・海洋汚染の研究以後、三宅と大気及び海洋の放射能汚染の調査研究を行った。その研究成果は部分的核実験禁止条約成立に繋がることになる。
東京大学から女性初 -
Posted by ブクログ
花巻農芸高校という、宮沢賢治が教えた学校をモデルにした物語。深澤という転校生はなぜ花巻に来たのか、主人公壮太の幼なじみ、七夏を知っているのか、地学部に入って何がしたいのか。
高校生にしては宮沢賢治や地学に知識がありすぎる三井寺や文緒という脇役に助けられながら謎解きが始まる。七夏はどこかに行ってしまい、壮太は怪我で鹿踊りのレギュラーからハズれ、才能ある他の部員の存在に怯える。自分には鹿踊りしかないのか、花巻に残るという選択肢しかないのか。そんな中、イーハトーブとはどこか、銀河鉄道の夜の舞台はどこか、地学部3人の巡見の旅が始まる。
個人的には三井寺部長が、伊与原作品での舞台回し役である博学オタ -
Posted by ブクログ
第二回目伊与原さんブームということで、こちらの本。短編集で、人生に迷える人+行きすがりの理系(の特定の分野に詳しい人)という設定がもはや安定。まだ初期の本を読んでいないが、後書きでの逢坂さんとの対談を読むと当初は理系知識の謎解きトリックミステリー派だったということで、まあそれはネタ作りに疲れそうだなあと思ったので、この程度の軽いトリックが読んでいる側にも負担がなくてありがたい。
一番よかったのはエイリアン食堂(だったか)で、読者からの反応もよいとのことに納得。つくばで食堂を営む父娘のもとに訪れる、非正規雇用?の学者さん。彼女が持っているルーペ(それを持っている限り自分の立ち位置を確認できる) -
Posted by ブクログ
思いがけず良い本に出会った。主人公たちが抱える静かな絶望、人との出会いによって少しずつ見えてくる希望が美しかった。
どれも面白かったけど、3作目の伝書鳩のお話は、今まで全く知らなかった鳩の習性に目から鱗でした。鳩は「磁場が見える」なんて。私と同じ街中にいる鳩がそんなSFみたいな世界の中で生きているなんて、なんだか不思議。
2作目の「クジラたちは人間が想像できないような内向きの精神世界や知性を発達させてるのかもしれない」というのにもときめいた。
私が悩んだりしてるのは所詮「人間界」の中の常識基準で、もっともっと世界は広いし、奥深いと思うと、なんだかスッとする思い。
解説にて、「本作は科学とそ -
購入済み
途中まで、みんな頑張れ~って気持ちで読んでいたのに、最後の数ページで急に泣かせに来る。いきなりの感動ターンにびっくりした。45歳になっても昔の仲間と集まって何か1つのことに向けて頑張る。いつの間にか知らない人たちも巻き込んでみんなが一つになる。なんてことない日常にも感動が転がっていること、忘れずにいたい。
あと、星空をひたすら眺めたくなる本だった。 -
Posted by ブクログ
伊与原新さんの科学エンターテイメントストーリーですね。
抜群に面白いです。
科学ファンタジーとも言えます。
映画化して欲しい作品ですね。
東日本大震災から三年立った。
行田準平は、海洋地球総合研究所(MEIメイ)の岸壁に佇んでいた。すると、四十歳位の男に声を掛けられる。準平が落ち込んでいるように見えたようだ。
実は、MEIに勤務するプログラムディレクターの武智要介から、面接に来るように誘いを受けていたのだが、迷っていたのだ。
男は、瀬島と名乗って名刺をくれた。瀬島も自分の会社の人員を募集中との事だったが。(後に、この瀬島がとんでもない経歴の持ち主で、この作品の重要人物になる。)