伊与原新のレビュー一覧

  • 藍を継ぐ海

    Posted by ブクログ

    収録された5編、どれも展開の運びが見事だった。地質や隕石、絶滅種といった硬質な題材から入りながら、いつのまにか人の営みの話へと滑らかに移り変わっていく。派手な仕掛けはないのに先が気になって仕方なく、一編ごとに違う土地・違う人生を歩いた読後感がある。捨て回がひとつもない短編集は貴重だ。全編を通して、その土地に積もった時間の厚みが静かに残る。

    0
    2026年08月03日
  • コズミック・ガール 宙わたる教室

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『宙わたる教室』で、全日本高校生サイエンスコンテスト優秀賞を受賞した東新宿高校定時制科学部は、顧問の藤竹先生がいなくなり廃部していた。小5の時、彼らの発表に感動して一緒に写真を撮った飯星佐那は、進学校で不登校になり転校してきたこの学校で科学部を復活させようと、クラスメイトから嫌味を言われても諦めずに仲間を集める。映像制作が得意な赤髪鼻ピアスのみちる、勉強は苦手だが手先が器用な翔太、病気による休学により2歳年上で穏やかな理、日本に来た時いじめに遭い、日本を嫌っている宇辰など、個性的なメンバーと協力し、コンテストでの優秀賞以上受賞とその先の国際学生科学賞(アメリカ!)を目指し進む。廃棄ジャガイモで

    0
    2026年08月02日
  • オオルリ流星群

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    高校最後の夏、みんなで作った巨大なオオルリの空き缶タペストリー。天文学者になった彗子(スイ子)が地元・秦野に帰ってきたのをきっかけに、45歳になったメンバーが再び集まる。

    彼女が始めようとしていたのは、手作りの天文台づくり。「そんなの無理でしょう」と思いながらも、それぞれの理由を胸に秘めて手伝う同級生たち。

    特に刺さったのが「四十五歳定年制」という考え方。若い頃に思い描いていた未来の自分と、今の自分。そのギャップに気づかないふりをして、なんとなくやり過ごしてしまう感覚に、すごく共感した。誰かと比べたり、周りの評価に影響されたりして、しあわせの基準も少しずつ変わっていってしまう。

    一度区切

    0
    2026年08月02日
  • 宙わたる教室

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    自分好みの小説に出会えた。
    映画で言うと、私は「天使にラブソングを」が好きだ。自分に自信を失っていた者たちがあるきっかけで生きがいを見つけ出し、自分の可能性に気づき、活躍する。バラバラだった人間関係にやがて絆が生まれる…そういった前向きで希望のある話が私は好きなんだなと改めて思った。

    0
    2026年08月02日
  • 宙わたる教室

    Posted by ブクログ


    伊与原新さんの理系派小説。
    NHKドラマは飛び飛びで見ていて、改めて読んでみるといろんな発見がありました。

    高校の頃にこういう先生に出会えたらよかったな。
    大阪の定時制高校にヒントを得たノンフィクション的な要素もあり、定時制に通う学生ひとりひとりが抱える背景の深刻さにもリアリティを感じます。
    それでも、もしかすると自分の第一歩が、この宇宙につながっているとすれば、こんなに夢のあることはないですね!

    0
    2026年08月01日
  • コズミック・ガール 宙わたる教室

    Posted by ブクログ

    宙わたる教室も読んでいたので、科学部のみんなに会うことができて嬉しかった〜。
    人はいつからでも学べる、挑戦できるっていうことに胸が熱くなった。
    学べるって、本当にありがたいことなんだよね、当たり前のことじゃないんだよね。
    小児科病棟のくだりは、以前自身が小児科で勤務していたこともあり、子供達に夢を見せてあげれたこと、special thanksになっていたこと、とても嬉しかった。
    これもドラマ化しないかな〜絶対みる!

    0
    2026年08月01日
  • コズミック・ガール 宙わたる教室

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    定時制に通う生徒には、多かれ少なかれ問題を抱えているものが多い。仲の良かった友達を亡くしたもの、父親にこき使われているもの、日本人が大嫌いなものなど事情はそれぞれ。今回の主役は、進学校をやめて東新宿高校に入った飯干佐那。
    佐那は、小学生の頃、藤竹先生率いる東新宿高校科学部の全日本高校生サイエンス大会を観に来ていた。
    それが元で、科学部再興を目指す。藤竹なき東新宿高校では、以前の科学部は影も形もないなく、1から部を作り上げなければならない。
    努力はすれどなかなか仲間は集まらない。そんな中、副校長の百瀬が佐那の担任里仲に取引を持ちかけ、顧問になるように差し向ける。
    同じクラスのみちる、工作が得意な

    0
    2026年07月31日
  • 青ノ果テ―花巻農芸高校地学部の夏―(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

     岩手の農芸高校を舞台に、宮沢賢治の世界観と自らのルーツを探っていく一夏を描いた作品です。

     物語は、東京から転校生がやってきたところから回り出す。主人公は小さい頃から花巻の伝統芸能である鹿踊りに熱を入れてきた高校二年生の壮多。この夏も八月に行われる全国高校総合文化祭への出場を目指して練習に取り組んでいる最中だった。そんなところにやってきた転校生の深澤は、壮多から見れば妙に鼻につく男で、幼馴染の七夏には近付けたくない。そう思っているのに、イギリス海岸へ深澤を案内することになったところから事態は動き始め、そこで出会った先輩と深澤、七夏は地学部を立ち上げることに。怪我で鹿踊り部の練習に参加できな

    0
    2026年07月31日
  • 宙わたる教室

    Posted by ブクログ

    いくつになっても、学ぶことはできる。また、あらゆる事情があって学べない人もいるけど、手を差し伸べる人がいれば戻れる場所がある。戻れる場所がどんな人にも届く社会であって欲しい。涙が出た。続編も読みたい。

    0
    2026年07月29日
  • オオルリ流星群

    Posted by ブクログ

    たまらなく良かった!1971年生まれのワタシなので、この歳で読むとグッと来る。加えて登場人物達もほぼ同年代なのが、さらに迫るものがある。オススメ!

    0
    2026年07月28日
  • 宙わたる教室

    Posted by ブクログ

    序盤、苦手なやさぐれ主人公でクライム&バイオレンスで挫折しかけたけど本筋が始まったら面白すぎて一気読みしてしまった

    0
    2026年07月27日
  • 八月の銀の雪(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    地震、鯨、レース鳩、珪藻、偏西風といった理系の題材で描かれる短編集。

    現実世界のものを参考にして書いているから、まずはこの作品を楽しんで気になったら参考文献を読んで楽しめるというお得感。特に「玻璃を拾う」でモチーフとなった珪藻アートはすごく気になった。川に行って珪藻を観察してみたい。
    文体はかなり淡々としていて難しい言葉も少なく読みやすい。それでいてうまく理系の題材を取り入れて心を揺さぶる文章になっていて自分の好みだった。他の作品も読んでみたい。

    0
    2026年07月26日
  • 翠雨の人

    Posted by ブクログ

    戦中戦後にこんなに素敵な研究者がいたとは。
    猿橋賞のことも猿橋勝子さんのことも一切知らなかった私ですが、すっかり勝子さんのファンになりました。
    「なぜ雨は降るのだろう」という素朴な疑問を持ち続け、研究を重ねてこられた姿はとてもかっこよかったです。
    単身でアメリカに渡られて、ただ1人で自分のやるべき研究を全うされたこと。すごいことを成し遂げられたにもかかわらず、奢ることなく粛々と自分の道を歩まれた人生。
    感動の一冊でした。

    0
    2026年07月22日
  • オオルリ流星群

    Posted by ブクログ

    伊予原さんの作品を読むのは3冊目。良いペースで読み始めたものの、途中から「これはいつもの『優秀だけど不遇な科学者の冷静だけど思い切った行動に、周囲のもやもやとした感情を抱えた人たちが影響され、やがて喪失から回復し、一歩前に踏み出す物語』というやつか?」と、やや食傷気味に。
    と思ったら、最後は胸が熱くなっていっぱいになった。謎がかっていた伏線の回収も見事で本当にやられた。
    おそらく自分は、本作のような「理屈とか将来のためとか損得ではなく、目の前にある物事に一生懸命取り組む」というもの全てに感動してしまうのだと思うが、本作はそれに加えて「その姿を必ず誰かが見ていてくれている」という要素が加わってい

    0
    2026年07月20日
  • 月まで三キロ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    雪のお話がすきでした。
    ずっと静かなトーンだからこそ、人の感情の起伏がじわじわと伝わってくる。とても好きな作品でした。
    アンモナイトの話もすき。
    またこころがきつい時に読みたいなぁ。
    人っていいなって思える

    0
    2026年07月18日
  • 藍を継ぐ海

    Posted by ブクログ

    感動させてやろうとか、温かい気持ちにさせてやろうという下心がない物語で、気持ちが凪いでいく。
    登場人物を通して、こんな小さなところまで見つめる視点が温かい。
    と思えば目の前のちっぽけなことではなく、広い視野で物事を見せてくれる。
    日本なのに、知らないことばかり。
    今日も知らない物語がどこかで紡がれているんだろうな。

    0
    2026年07月16日
  • 藍を継ぐ海

    Posted by ブクログ

    5つの短編からなるお話でした。どの話も人の営み、先人の知恵、世界の広さを伝えてくれるもので、心が温まる物語に仕上げられていたと思います。希望を感じられる終わり方になっているのも良かったです。特に『祈りの破片』は涙が止まらなくなるくらい感動する物語に仕上げられていたと思います。良い読書時間でした。

    0
    2026年07月15日
  • 藍を継ぐ海

    Posted by ブクログ

    全国各地の心温まる5作でした。
    自分的には北海道の隕石の話と徳島のウミガメの話がとってもよかった。自分もこの先の人生どうしようか何も決まっていないけど、気に入った場所で自分のしたいことをしようと思えた。

    0
    2026年07月12日
  • 藍を継ぐ海

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    伊与原さんって
    元○○○○だったらしく、
    その科学・地学の知識と物語りが
    鮮やかに融合して、
    心地よく読めました。

    地質、生物、天文、地磁気
    のことが、下地になっていますが、それが
    じょうずに人間ドラマに織り込まれています。
    伊与原さんならではの作品だと思います。

    装丁のブルーも、タイトルの「藍」とマッチ
    していて、綺麗な素敵な仕上がりに
    なっています。

    五つの物語りは、それぞれ違うモチーフで
    一冊にまとまっていますが、
    しっくりと まとまっていて、
    座りがよい感じです。

    私のお気に入は、
    表題作でもある【藍を継ぐ海】です。

    ウミガメやシャチやクジラなどは、
    人間にはわからない磁気を

    0
    2026年07月11日
  • 宙わたる教室

    Posted by ブクログ

    本作は以前からタイトルだけは知っていたが、読んだことはなく。
    ネトフリで、NHKドラマを見かけて、観てみたら、ものすごく面白くて感動した。
    これは、原作も読んでみたい!と、手に取ったのがこの本。

    原作とドラマは、少し違っていたが、やはり感動する小説だった。
    自分は、家庭の事情で合格をしたのに大学に行かれなかった。
    代わりに、働きながら大学の通信教育部で大卒資格をとった。
    昼間の普通の大学生には「通信教育部なんて」と、馬鹿にされながらスクーリングに通ったなー。
    この本を読みながら、そんな昔のことを思い出した。
    通信教育部にも、さまざまな年齢の方がいた。
    この定時制のように。
    学ぶことはいつでも

    0
    2026年07月08日