あらすじ
夜の教室で科学に挑む、大ヒットドラマ原作
定時制高校の科学部に集った年齢も経歴もバラバラの生徒たち。すれ違いながらも壮大な“実験”にぶつかっていく彼らを描く青春小説。
単行本 2023年10月 文藝春秋刊
文庫版 2026年3月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
★4.7
まず、主要人物である5人の生徒と1人の教師、
どのキャラもそれぞれに個性的かつ魅力的である。
そしてストーリー上、誰一人として欠けてはいけない事が分かる。そこがまた良い。
各章ごとに、登場人物が順にフォーカスされ、
その人物の目線で物語が描かれていく構成であり、その為、年齢性別性格などキャラクター性はバラバラなのに、皆それぞれに感情移入する事が出来る。
そして科学部の仲間たちと夜間の教室で実験や研究作業をする描写に、
学生時代に、文化祭の準備で夜の時間まで教室に残って仲間達と作業した時の、あのどこか高揚感があってエモい、青春の懐かしさを思い出した。
続編の発売も決定しているということで、早くも
非常に楽しみである。
Posted by ブクログ
学校課題図書で読みたかった本。文庫になったタイミングで読んだ。純粋に学びたいという気持ちがあってもできないことは社会的な損失なのかもしれない。同じような人が集まる組織はいつか駄目になるのではないか?色々考えさせられる本でしたよ。
Posted by ブクログ
ドラマは観ていませんが、定時制高校勤務経験があるので気になっていた小説。
途中何度も泣きそうになりながら読みました。
家で読んでいたら泣いていたと思います。
「いい思い出なんか何ひとつなくても、引きこもってても、学校へ行きたい気持ちはなかなかゼロにはなんねーんだよ」というような一節はかつてうけもっていた生徒を思い出しました。
ぜひ色んな人に勧めたい1冊です。
Posted by ブクログ
再読して科学部の面々の思いが熱くよみがえりまた感極まる。不器用で劣等感を持つ孤独な少年・岳人が、星や宇宙への純粋な情熱を通して世界とつながるところは砂嵐に耐えながらも長きに渡り任務を続けた火星探査機オポチュニティの健気さに似ていてさらに愛おしい。科学は特別なエリートだけのものではない、誰でも宇宙に手を伸ばせる…「どんな人間でも、その気にさえなれば、必ず何かを生み出せる。」─ この言葉に何度も励まされる。本当の居場所、夜の教室の科学部がこれからもずっと続いていくといいな、と静かでじんわりとあたたかな余韻に包まれるのです。
Posted by ブクログ
ドラマがとても面白かったので、原作を読むのを躊躇していた。本と映像とを比べて、あっちの方が良かった、悪かった、みたいなことを考えてしまったら勿体ないきがしていたから。しかし、文庫になって初めの方を少し読んで、やめられなくなったので買ってしまった。で、一気に読んだ。ドラマとおんなじ雰囲気だった。登場人物のほぼ全員がピッタリすぎてドラマを作った人たちの本気を感じた。相澤さんだけ、ドラマ側がスマートになってて笑った。
Posted by ブクログ
何歳になっても、何かに夢中になれるっていうのはすごく素敵。
年齢もバックグラウンドも違う人たちだけど、その多様性があるからこそ、生み出せるものがある。
続編が出るとのことで、次はどんなものが生み出されるのか楽しみ。
Posted by ブクログ
教室に火星を作る——。
新宿の定時制高校の夜の教室に、年齢も境遇もまったく異なる生徒たちが集まる。彼らは理科教師・藤竹のもとで科学部を立ち上げ、「火星を教室に再現をしてクレーターの実験をする」という途方もない目標に挑む。
この物語の魅力は、「学びとは何か」を根本から問い直している点だ。AIが知識を瞬時に提供できる時代に、なぜ人は自らの手で実験し、仲間と議論し、失敗を重ねる必要があるのか。藤竹が生徒たちに見せるのは、答えではなく「問いの立て方」であり、知識の伝達ではなく「その気にさせる」技術だ。それはまさに、AIには代替できない教育の本質とも言えるかもしれない。
著者の学術的バックグラウンドが、作中の実験描写に揺るぎないリアリティを与えている。クレーター生成実験の手順や学会発表の緊張感は、「科学をやったことのある人」にしか書けないものだ。実在の定時制高校での活動に着想を得た物語でもあり、フィクションでありながら地に足がついている。
この小さな科学部の物語は、学ぶことの原初的な喜びを思い出させてくれる。火星の夕焼けが青いように、学びの景色もまた、思いもよらない色をしている。