あらすじ
火星隕石に生命の痕跡が見つかった。世紀の発見を取材する記者・小日向に"ルカの末裔"と名乗る隕石論文の偽装告発メールが届く。研究室には、偽装疑惑の教授の遺体と、方舟型に固められた隕石が残されていた。火星隕石が秘めた、地球生命の"出身地"。偽装が隠す真実とは。すべての謎の証明は"天才"百地教授に託された! 東大院卒作家が研究の栄光と暗部を描く、傑作理系ミステリ!
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地球惑星科学の知識とアカデミアを取り巻く環境を明瞭に描写しながらも伏線が紛れ込んでおり、読み進める度に物語の進行に意外性を感じることができる。巧妙なトリックの数々を駆使するミステリも良いが、読者に高度な情報を与えつつ奥行きのある物語を味わえる物語も良いなと感じた。
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鉱物のことも宇宙のこともわからない私もおいてきぼりにされることもなく読み進められました。
研究者って本当に好きな仕事を出来て羨ましく思っていたのですが、けっこう大変な仕事なんですね そして悲しかった。
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伊与原新さんの科学サスペンスミステリーですね。
実はこのミステリーは、江戸川乱歩賞に投稿して、惜しくも受賞を逃した作品を加筆訂正して、デビュー前から温めていた作品との事です。ですから、伊与原新さんの科学ミステリーの『原点』の作品ですね。
「帝都工科大学アストロバイオロジー研究センター」のセンター長の笠見教授が、実験室で死亡した。
どうやら有毒ガスを吸った為と思われるが、死因に不審な点がみられる。同時に同センターが、研究中の火星の隕石に「FFP(捏造・改ざん・盗用)」の疑いが有るとメールが、科学雑誌社と大学の関係者に送られてきていた?
帝都工科大学の大学本部の研究公正委員会が開かれて、真相解明の予備調査委員会を立ち上げることになる。そして、その委員長に天才科学者の百地教授が任命される。補助として、火星の隕石の取材をしていて、笠見教授の遺体を発見した科学雑誌『プリズム』の記者の小日向が加わることになるが…………?
素敵に面白いミステリーです。
百地教授のユニークさが、硬質な物語をユーモアを込めて和らげてくれるのが良いですね。探偵は、この百地教授、ワトスン役が小日向記者。
「火星の隕石が涙滴型磁鉄鉱、すなわち生物の痕跡があると認められる」というコンセプトで、地球の生命誕生のロマンが語られて、それがミステリーのキーワードになっています。
伊与原新さんの登場人物は、個性がしっかりしていて、物語をそれぞれもり立てるので、飽きがこないですね。それに、別の次元の科学的興味を引き当てるので、好奇心をくすぐられます。
とにかく、読み出すと止まらなくなるのが嬉しくなるのが、伊与原新さんです。
他の作品が気になって仕方がなくなる愉しい作家さんです(=゚ω゚=)
(メメさん、『ルカの方舟』夢中で読んでしまいました。これは、ますます病みつきになりますね。次に読む本が楽しみです♪)
Posted by ブクログ
科学系は苦手だが、著者の作品は知的好奇心を刺激され、読み進めるのが楽しい。専門外の一般人向けにわかりやすく且つ面白く書かれており、その手腕はお見事。今作は火星の隕石に纏わる物語。ミステリーなのでもちろん人が死ぬのだが、舞台が大学研究室が多く、主人公が刑事ではないので牧歌的な雰囲気。犯行予告やら大事な隕石が方舟の形に変形させられるやら、なかなか一昔前のミステリーっぽいことをする犯人が好き。ロマンを感じることはほぼない私が、珍しく心動かされワクワクした。
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いわゆる人類の成り立ちを巡るロマンと現実に起こる事件が絡みあいながら二転三転しながらいろいろなミステリの仕掛けもありながら解けていく様は美しいと思いました。
2893冊
今年121冊目
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2読目。大学の論文に携わる仕事に転職したので、前回はさらっと読み流していた(著書の得意分野だと思われる)研究者目線のリアルさがとても面白く感じた。
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伊予原新の未読作品
作者18番の理系エンタメ小説で、本筋は殺人事件の半便探しだが、語られる舞台は壮大。地球生物起源説に話が及び、ことがことならSF作品としての展開もできただろうに。
日本の研究機関に対する予算配分の少なさ等に触れており、少々語るすそ野を広げすぎたか…。探偵役の天才教授百地の天才っぷりも、とってつけたような感じがするし。粗削りさは否めないかな。
それにしても、日本の教育研究分野への資本投下の少なさはなんとかならんもんかなぁ、と思う。消費税も上がり、他の税金も結構持ってかれてると思うのに、年金も足らん、保育予算も足らん、ライフラインの維持費用も足らん、文化への投資も足らん…。ほんならどこに金使ってるんよ?と思うなぁ。
Posted by ブクログ
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人類史を変える謎。真相の解明は、
一人の天才科学者に託された。
この理系
ミステリがすごい!!
キーワードは「火星」「隕石」「地球外生命体」
そして「論文捏造」
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伊与原さんの作品は何作か読んでいますが、
これはミステリ+理系偏差値低めの私には
ちょっと難しい部分もあり(苦笑)、
それでもゆっくり読め進めました。
火星隕石に生命の痕跡が見つかった。
その発表が捏造だという告発メールが記者に届く。
そして研究室の教授が謎の死を遂げる。
早い段階で事件が起こり、
物語の中にぐんと引き込まれ、
そこからどう謎を解いて行くのか…
テーマは壮大だけど、
人間にフォーカスが当たると
途端に狭い世界の話のように見えて。
終盤は、愛犬の診察待ちで読んでましたが、
不覚にもあるっときて、慌てて読むのやめました。苦笑
純粋な好奇心と探究心だけで生きていけたら良いのに。
と読後に思いました。
Posted by ブクログ
初、伊与原新。
隕石と火星と40億年前のお話(違うか?)
同じ理系の人として、研究者になるほど一つの事にのめり込める事が羨ましくもあり、同時に仕事にする事の難しさと、独特の閉塞感を感じる。
少しワクワクする終わり方がイイね。
Posted by ブクログ
地球の生命起源が火星からの隕石かもっていう説。壮大なテーマがわくわくさせてくれた。教授が言ってたセリフ「宇宙は渡れない海ではないですから。」はロマンがあって素敵だな。