伊与原新のレビュー一覧
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地球の磁極反転に端を発するSFパニック小説
SF小説というよりは、実際に起こり得るif小説という方が適切だと思う
磁極反転に関しては、小説の中だけの荒唐無稽なものではないし、その影響もちゃんと科学的見地に基づいている
地磁気の減少が観測され、78万年ぶりに磁極反転する予測が出される
地磁気の磁極が反転する現象は地球の過去において何度も起こっているありふれたものだが、電子機器を前提にした現代においては甚大な被害をもたらす
東京で赤いオーロラが観測されたり、通信障害、電子機器の故障、人工衛星の落下など様々な影響が発生する
週刊誌お抱えのフリージャーナリストの浅田柊は地磁気の減少による影響を煽 -
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ネタバレ伊予原新の未読作品
作者18番の理系エンタメ小説で、本筋は殺人事件の半便探しだが、語られる舞台は壮大。地球生物起源説に話が及び、ことがことならSF作品としての展開もできただろうに。
日本の研究機関に対する予算配分の少なさ等に触れており、少々語るすそ野を広げすぎたか…。探偵役の天才教授百地の天才っぷりも、とってつけたような感じがするし。粗削りさは否めないかな。
それにしても、日本の教育研究分野への資本投下の少なさはなんとかならんもんかなぁ、と思う。消費税も上がり、他の税金も結構持ってかれてると思うのに、年金も足らん、保育予算も足らん、ライフラインの維持費用も足らん、文化への投資も足らん…。ほ -
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★「そう、挑戦です! わたしたちリケジョへの!」(p.35)
【感想】
・続編希望。このキャラクタたちとはまた会いたいものです。
【一行目】
やっぱり六等分だろう。
【内容】
・幽霊と量子力学。
・地球外知的生命体とFM放送。
・チェシャ猫と偽薬。
・星の王子さまと赤い月。
▼簡単なメモ
【浅尾朋香/あさお・ともか】律の高校時代の同級生。特に親しくはなかったが大学に残っているうちに交流が増えた。理緒にプリズムをプレゼントしてくれた。認知科学で「幻視」を研究テーマにしている。
【いじめ】《解決に必要なのは、同情じゃなくてノウハウだ。》p.19
【エクル】九歳の律が北海道の大学に入院し -
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ニセ科学と呼ばれるものは世の中に溢れているし、自分が信じているものもあるだろう。科学的根拠に基づいたものをと思っても、結局は自分が信じたいものを信じている。
被災者の一縷の望みをも食い物にするような手法は許せないが、人は昔から非科学的なものに拠り所を求めてきた。
「科学は人のよりどころはならない、科学は人を幸せにするための営みではないのだから。ただ、科学はこの世のすべての人間に等しく同じものを見せる」
科学者であっても、真摯に真実と向き合うのは難しいかもしれない。感情や解釈が介在して、導き出される結論にも色が付く。ではどのように向き合えばいいのだろう。一般の人々にしたら情報を選別するだけで -
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ネタバレ人見知りで理系大学院研究生女子の主人公と彼女が家庭教師として教えている生徒理緒のコンビが理系にちなむ?日常の謎を解くミステリー連作集。
謎解きそのものはお手軽ミステリーだが、謎解きに関わる蘊蓄が少々手ごわい理系知識。ガモフが愛読書だったり、シュレディンガーの定理が「基礎」知識だったり、お手軽ミステリーを嗜もうとする文系娯楽小説好きにはハードル高すぎ(笑
と言っても、その辺は読み流して一切問題無し。ちゃんと人間味も溢れてるし、恋愛要素や人情やらもしっかり楽しめるし、特に最終篇は理系の人が主人公の人情噺です故ご安心を。
本筋と関係ないのだが、タイトルもうちょっとなんか可愛げあるのにして欲し -
Posted by ブクログ
ネタバレ謎の設定が弱いのだけども、キャラが生き生きしていて序盤は引き込まれるように読んだ。
が、中盤以降、ちょっと弛んでいる感じで辛い。
また、ミステリ、謎の要素が少し薄く、知りたいという面では訴求力になっていない。
2010年の時点で衰退した日本を想定して書いているのだけど、日本が先進国の地位から転落しているにもかかわらず、日本の国籍、パスポートが価値をもっていたり、未来の設定にザラツキを感じた。3等国になったらななったで、もっと徹底的に惨めな日本国を書いて欲しかった。
ひとりの人間の中にもうひとつの人格を作るというアイデアはSFではよくあるもので、電子技術、バイオ科学などで説明できる設定を作ること -
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読書録「博物館のファントム」4
著者 伊与原新
出版 集英社文庫
p54より引用
“ 現代の自然科学において、「博物学」と
いう学問分野はもう存在しない。もちろん、
「博物学科」を設置している大学もない。あ
らゆる自然物の収集と分類を目指した博物学
は、自然科学の発展とともに、動物学、植物
学、地質学などの分野に解体されてしまった。
学問の細分化は、現在もますます進む方向に
ある。森羅万象に精通した「博物学者」など、
今や歴史上の存在でしかない。”
目次より抜粋引用
“呪いのルビーと鉱物少年
ベラドンナの沈黙
送りオオカミと剥製師
マラケシュから来た化石売り
死神に愛された甲虫”