中山祐次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレあとがきが驚いた。
普通に物語自体も面白く、15年目になる中堅医師、私から見たらベテラン医師のいろんな葛藤の物語。泣くな研修医シリーズの最後の方よりもよっぽど面白かった。
大変だよなあーとつくづく思う。延命措置をするべきかしないべきか、本人の意志確認ができず、家族もいなかったら、医師がするしかない。
さまざまな要素を勘案して、でも迅速に、そしてその行為は不可逆的だ。
だから大抵はというかほとんど?延命するのだろう。
90過ぎたら自分の意思表示をしておくだけでも、お医者さんの精神負担を減らせるのかなと思ったり。
あとがきはすごくズントキタ。
作者の思いがやってきた。
これを書きたかったのかと -
Posted by ブクログ
患者にとっては、新人であっても一人前の医師として命を預ける存在。
大学で学んだことだけではなく、実際の経験を経て成長する医師の姿が描かれていて、さすが筆者が現役外科医ということで、とてもリアリティのある内容だった。
「『優しい嘘』 これはね、人を助ける嘘なのよ。」
「『優しい嘘』を言った人には大変な重荷がのしかかることになるの。」
ベテラン看護師の言葉。
いろんな経験を乗り越えたからこそ言えることなんだろうな。
医師としての厳しい現実、人の死や苦境を目の当たりにしながら研修医が成長していく姿に感動。
続編がシリーズ化されているので楽しみだ。 -
Posted by ブクログ
医師でありながら作家でもある方々の医療小説9編。
私の知っている作家さん以外にこんなに多くの医師作家さんがいることに驚きました。どれも医師であるだけに小説の内容は臨場感が溢れていて迫力がありました。
中山祐次郎さんの『救いたくない命』は救急で運ばれてきた患者が犠牲者15人以上を出した通り魔事件の犯人と知り、葛藤をしながらも必死に命を救う姿に京アニ事件を思い出しました。
南杏子さんの『空中テント』は家族の介護の経験がある人は共感出来るはず。
どれも本当に良い作品ばかり。若手医師の過酷な労働時間、医療ミスの隠蔽、不都合な論文を闇に葬る等、医療小説が好きな人なら興味のある内容ばかり。でも朝比 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ中山祐次郎さんの文庫最新刊。中山祐次郎さんフォローしているのですぐ買いました。
タイトルが「救いたくない命」なので、最初に出てくる、無差別殺人の犯人のその後をもう少し詳しく描いてほしかったのだけど、これって、剣崎啓介と松島直武の日々を描いた6つの短編を集めた1冊、っていうことだったみたい。
「救いたくない命」はあくまでその中の1作ってことか。
ま、そういうテーマならこれからもいくらでもこの連載続きそう。
「泣くな研修医」シリーズの雨野先生の恋愛も気になるけど、こちらの剣崎先生も40歳になって、「これからの外科医としての生き方」を考え始めているので、誰とどうなるか、これからもフォローしていきます -
Posted by ブクログ
『泣くな研修医』シリーズでお馴染みの、現役医師であり作家の中山祐次郎氏の著書。
中堅外科医を主人公に添えた、医療系人間ドラマ。
本作は外科医の日常や外科医故の葛藤を、医師目線で描いていました。
やはり現役の医師だからこそ、医療場面の描写がかなりリアルに感じられたこと。また主人公の剣崎と、その名パートナーの松島の個性がうまく融合する事で、物語への没入感を生んでいて、かなり熱中して読むことができました。
最後にあとがきで、外科医としての実力も人間性も素晴らしいと認めた同期がいたこと。そんな同期と最後までうまく関係性を築くことができず、お互い離れることを選んだこと。そして、そんな同期との思い出に -
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泣くな研修医シリーズの3作目。前作から2年が経ち、できるようになったことが増えた分色々なことを考えてしまうようになった5年目医師と、先輩・同輩・後輩医師、患者との成長物語です。
前作の衝撃のラストから時は経って、外科医の雨野先生は5年目の医師に。前作で研修で回ってきていた西桜寺先生は、最終的に外科を選んで雨野先生の後輩として戻ってきた。中堅医師として先輩医師の佐藤先生に頼り切るばかりでなく、自分でも少しずつ自信が出てきているような様子も伺える。
そんな中、今回のキーパーソンとなる患者は二十代の末期癌患者の女性の、向日。本来医師と患者は一般の友人のような関係を築いてはいけないのだが、ひょ -