中山祐次郎のレビュー一覧
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シリーズ『泣くな研修医』の六作目。
医師になって七年目、今一つ殻を破り切れない自分を自覚していた主人公雨野は、島の診療所へ半年の派遣要請を受けることに。島にいるのは先任の医師と自分の二人。医療設備はあっても、人手が足りない。ひとたび天候が荒れれば物資も医療資材も輸血も届かない、陸から切り離された島の診療所。今までとは違い、外科だけではなく、内科、眼科、整形外科、はたまた婦人科と、ありとあらゆる診療科の患者がやってくるその場所で、雨野が得るものは何なのか。
前作、医学生の視点に戻った主人公雨野が、今度は外科医としての立場から島の診療医として患者に向き合う一冊でした。総合診療とも言えるあり -
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「泣くな研修医シリーズ」第6弾。
雨野隆治31歳。外科医。牛之町病院から離島の診療所へ派遣される。
消火器外科という専門分野ではそこそこの経験を積んで自信もつけてきたが、離島では外科のみならず内科、産婦人科、小児科、果ては精神科まで様々な病気に対峙することになる。
大きな手術はできない、輸血もままならないなど、やれることが限られる中で最善を尽くす雨野。
人間関係にも恵まれ、医師としての自分の行く末にも思いを馳せることになる経験。
どこにいても、人柄が良くて真面目な雨野は人に好かれ、仕事に力を発揮できるんだろう。
今回は医療的な面白みが少なく、その分離島医療の問題とか、ちょっとしたミステリ -
Posted by ブクログ
「泣くな研修医シリーズ」第5弾は、雨野隆治が一浪後、薩摩大学医学部に入学し、医学部での6年間を経て、牛之町病院に研修医として赴任するまでを描く。
牛之町病院での研修医生活、その後の外科医としての日々を描いてきた4話の後、何故今頃入学式シーンから始まる?と唐突感は否めないが、医師の生活の前にある医学生としての生活を覗き見ることができて良かった。
医師を目指すものとして勉強はもちろんのこと、倫理的にも精神的にもこれほどハードな学生生活を送っているんだと知り感慨深い。
解剖の緊張感、初めての白衣と聴診器を手にする高揚感、そして国家試験のプレッシャー、昨年研修医となった息子もこんな思いで6年間を過 -
Posted by ブクログ
「泣くな研修医シリーズ」第4弾。
雨野隆治30歳。牛之町病院の外科医。手術もだいぶ手慣れてきた。
そんな矢先の血管結紮失敗。外科医を辞めようかとまで悩み、鹿児島の実家へ。一回の失敗でいきなり辞めようか…となるのかとちょっと疑問もあるが、まあ、そういう医師もいるのかな。
頑張れと励ますでもなく、ただ奄美の歌を歌い、辞めてもいいよとさりげなく告げる母の想いが泣ける。
天涯孤独で、自分を責めるように生きてきた老女・上田の治療拒否からの死、家庭がいながら孤独に最期を迎えた下澤の死、そして、雨野と凛子の友達である葵の死。
それぞれの生き様、死に様に深く思いを馳せる雨野は、まだ人の死に慣れることはない