青柳碧人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ相変わらずすいすいと読み進めることができて、なおかつ知的にも満足させられる作品シリーズである。
今回のテーマはフェルマーの最終定理。
数学に詳しくない人でもなんとなく耳に覚えはあるかもしれない。自分は数学なんてからっきしだったが、それでもうっすら聞いたことはあるのである。
個人的には定理の内容そのものよりも、それに付随する証明するには余白が狭すぎるとか言ってしまうくだりなんかが記憶に残っているのだが、肝心の中身はさっぱりである。そんでもってこの定理の中身そのものは、正直言って事件とはあまり関係ない。
だが、そこかしこに散りばめられた数学ネタや知識が、なんだか読み終えた自分を2レベルくらい上げてくれたような気にさせてくれるのである。
個人的にはミステリーの中で数学をうまく絡めたマステリーとでも呼びたくなるシリーズなのである。 -
好き!
数学嫌いな人でもついつい浜村渚の数学の世界に引き込まれてしまう・・・そんな本です。
後々あかされる武藤龍之介の過去にもすごく胸を打たれました。
個人的にはキューティー・オイラーが大好きです!
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購入済み
この本を読んで数学が好きになった。数学が苦手な人でも、物語の内容を楽しめるので是非お勧めした作品です。
特に今プログラミングが義務教育化してこうとしているので、そういう人にもいいかもしれません。
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Posted by ブクログ
瀬戸内海に浮かぶ島で起きた事件が「黒い三角定規」に関係しているようだ、との事で現地に向かう渚ちゃん達御一行。なのに岡山県警の寺森に別の島の数学好きしかいない数学要素満載の「ホテル・ド・フェルマー」に連れて行かれここで起きた密室状態での転落死事件とホテル前オーナーが残した遺産の在処の謎に挑む事になる。今回は簡単な謎々から結構難しめの数学ネタも出てくるけど数学好きの皆様の愛に溢れた解説が丁寧で楽しく読める。謎はパズル的要素強めだけどその分上手く数学と絡み合っており理解した瞬間のスッキリ感が気持ちいい。学生時代に読んでいたらもう少し数学好きになれたかも、と思える一冊。
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
スクラップを免れて逃げて来たAI搭載の玩具と、様々な事情で外の世界にいられなくなった人間の住む町「バッハ・シティ」
そこでパン屋を営むベイカー。外の世界では弁護士をやっていた。
町で、女子高生ミズキを保護する。
ひょんなことから玩具の弁護をすることになり、ミズキは助手に。
前半はミズキが大活躍だけど、最後にはベイカーもかっこいいところを見せる。
ファンタジーだけど、トリックは筋が通っている。
この小説の設定だからこその仕掛けが満載でワクワクした。
出てくる玩具がみな個性的で、名前や設定もクスッと笑えたりして楽しい。 -
Posted by ブクログ
中学生の浜村渚が数学テロリスト集団、黒い三角定規に挑む計算ノートシリーズ9巻目。
対策室の武藤は渚に、横浜で開催される謎解きイベントへの参加を誘われる。
ただしそのイベントは、黒い三角定規の前総統ドクターピタゴラスの研究室出身者が主催者だった。
謎を解いて先へと進んでいった先で見つけたのは、水槽に浮かぶ主催者の死体だった。
黒い三角定規の総統アドミラルガウスはレンガ倉庫に人質を取り、リーマン予想を研究する謎の数学者の論文を要求した。
虚数iと1の虚数3乗根ωを用いた複素数平面で浜村渚が事件に迫る。
ほか、正方形の面積を用いて二次方程式を解くアラビア数学に鳥取砂丘で挑み、
名刑事の引退直前の事件では友愛数が使われる。
全3編。
二次方程式では解の公式が一般的な解法だけど、公式丸暗記でなぜそうなるかはわからないんだよね。
というか、覚えてないし。
今回紹介されてる二次方程式を正方形の面積を用いた解法は、ビジュアル的に分かりやすい。
この解法を利用して、さらに平方根を計算する方法が巻末に紹介されている。
へぇ~こんな解法があるのか。正方形の面積でザクっと差っ引くのね。
とまぁ、毎回新しいことを学べる楽しいシリーズ。
次巻も期待。 -
Posted by ブクログ
数学教育の復活を目指すテロ組織「黒い三角定規」と闘う中学2年生浜村渚の活躍を描くシリーズ5さつめ(第6弾)です。
今回は第log10000章(つまり第5章)で浜村渚が修学旅行で京都に来ました。
オビに「京都の町は碁盤の目。二次関数の舞台になっちゃうんです♪」とありますので、やや展開が読めてしまうキライもありますが、京都の通り名に詳しくない方には、楽しめるかもしれません(詳しい方は、途中でだいたい想像つくかも)。
今回特に楽しめたのは、第log100章(つまり第2章)『鳩の巣が足りなくても』でした。
ここでは、「黒い三角定規」のメンバとして、中高一貫校の数学教師を解雇されたぽっぽ・ザ・ディリクレが登場します。
ディリクレと鳩の巣と言えば……、そう、「鳩の巣原理」ですね!
「鳩の巣原理」とは、
「n個の鳩の巣にn+1羽以上の鳩が入ろうとすれば、少なくとも1つの巣には鳩が2羽以上入らなければならない」
という原理です。
言ってみれば、「当たり前」となってしまう(だからこそ“原理”)話なのですが、これが数学では強力な論法として登場します。これを初めて用いた数学者がディリクレなのです。
本書では、この原理の証明は載っていませんでしたが、あえて証明してみましょう。
このような当たり前と思える事柄の証明に力を発揮するのは、「背理法」です。
そのために結論の「少なくとも1つの巣には鳩が2羽以上入る」を否定してみましょう。「すべての巣には鳩が1羽以下しか入らない」となります。
すなわち、n個の鳩の巣のそれぞれには、鳩が1羽いるか全くいないかになりますので、鳩の総数を考えるとそれはn羽以下になります。
ところが、問題の設定では鳩はn+1羽以上いることになっていますので、これは矛盾です。
よって、結論を否定した「すべての巣には鳩が1羽以下しか入らない」とした仮定が誤りであったことになりますので、「少なくとも1つの巣には鳩が2羽以上入る」が成り立つことになります。
この「鳩の巣原理」を使うと
「座標平面上にA~Eまでの5つの格子点(x座標,y座標が共に整数である点)が存在するとき、A~Eの中に中点も格子点になるようなペアが少なくとも1つは存在する」(P.145)
というような結構難しい問題も解決できちゃいます。ぜひ、考えてみてくださいね。
なお、浜村渚はこの「鳩の巣原理」の中にある一種の“やさしさ”で事件を解決してしまいます。
「そもそもディリクレは『鳩の巣原理』とは言わず、『部屋割り論法』と言っていたんだけどなぁ」というゲスな突っ込みを入れていた私は、この数学愛にやられてしまいました。
確かに気がつかなかったなぁ。
他には、難関中学入試では押さえておきたい「パップス・ギュルダンの定理」なども登場しますが、個人的に気に入った小ネタは、
「バナッハさんとタルスキさんに頼んだら、もう1個(バランスボールを)増やしてもらえるかもしれません」
という渚のセリフ(P.53)です。バナッハ・タルスキの定理が現実世界で実現できたら、スゴイでしょうねぇ。
ややネタバレになりますが、物語としてはキューティ・オイラーがいよいよ「黒い三角定規」と袂を分かつ展開になっていることも気になります。もともとキューティ・オイラーはテロ組織に似つかわしくなかったのですが、これからは「黒い三角定規」から独立したキューティ・オイラーと渚の絡みも楽しみです。
さらに、今回の解説はなんと、あの結城浩さんです。結城さんの「浜村渚の数学ノート」への見方もわかって面白いです。
ミルカさんと浜村渚の「夢のコラボ♪」が見られる日も近い? -
Posted by ブクログ
数学大好きな中学2年生 浜村渚がテロ組織『黒い三角定規』に立ち向かう物語4さつめ(実は5巻目なのだが)です。
今回も、それぞれの章は常用対数を用いて表され、各章の小節番号は√で表されるという凝った部分は相変らずですが、第log10000章(つまり第4章)『オペラ座の未知数』の小節番号には驚かされました。
はじめから順に
440.000,493.883,523.251,587.330,659.255,698.456,783.991,880.000
となっています。
この数列を見ただけで瞬時に「ハハァ~ン あれだな」と察しが付く人は相当鋭いか、病的なマニアでしょう。私はこの目次を5分間ほど見つめて、何とか目星を付けました。
全部で8つの数字であること、第8項が初項のちょうど2倍になっていること、ちょっと等比数列っぽいところなどがヒントです。
このように今回も、目次から楽しませてくれます。
詳しいストーリの紹介は控えさせていただきますが、この物語が進むにつれて、浜村渚も成長しているのだなぁと感じたところが随所に見られました。
1つ目は、第log10章の確率を考えるときの前提である『同様に確からしい』という仮定についての説明です。
渚は、この表現は「確率っていう不確かな問題を心の底から楽しむために、私たちがしなければならない宣言」と言っていますが、なかなか見事な解釈です。
この表現は、例えばサイコロの6通りの目が「どれも同程度出やすい」ということは、
「そうではないかも知れないが、『それにひじょうに近い』ことは確かなので、かりにそうだと定めて(仮定して)、計算を始めよう。」(『数学文化』第19号「統計はここがおもしろい」野﨑昭弘)
という内容と同じです。
今の学校教育では、確率と言えば、単に「ある事象の場合の数/すべての事象の場合の数」と定義されるものと教えられることが多いのですが、ここには確率を考えるところの精神が明確にされており、すばらしいと言えます。
2つ目は、第log100章の『2通りの箱が折れる展開図』です。
これは「あとがき」で著者も述べているように、『数学セミナー』2012年11月号にも紹介されているものです。物語の中で触れられている『3通りの箱が折れる展開図』については、この『数学セミナー』に詳しいのですが、実はこの記事は“特集「この10年で解決した問題」”の中の1つです。
つまり、渚はこのような最近の数学事情にもかなり精通してきているということが明らかになっているのです。
3つ目は、第log1000章での教育についての言及です。
この世界ではもともと「心を尊重し他人を慈しむ人間性を否定する」との理由で理系科目を教育から追放しようとする文部科学省と、それに対抗し、理系科目復活を目指すテロ組織『黒い三角定規』が対立しているのですが、今回、そのどちらでもない「第三の道」が提示されている部分があります。
渚の親友、長谷川千夏(通称:セチ)はテロリストに
「大人たちってどうしてすぐ、教育を自分たちだけのものにしたがるの?」
「どうして、役に立つものと立たないものを、勝手に決めたがるの?」
「私たちだって、大人と一緒に未来を作りたいんだ!」
と叫びます。
それを聞いた武藤刑事は「教育というのは本当は、大人と子どもが一緒になって、同じ『未来』という方向を、真剣なまなざしで見据える姿勢を育てるためのものなのではないだろうか」と考えます。ここには、文科省の道でもなく、『黒い三角定規』の道でもなく、そこから止揚された教育の方向性が示されていると思います。
このように、物語が進むにつれての浜村渚とその周辺メンバの成長はなかなか見ものです。今後につながる展開もほのめかされていますので、続編に期待大です。
また、初めて「参考文献」が示されたのも嬉しい配慮です。
ますます面白くなる物語世界からもう目が離せません!