青柳碧人のレビュー一覧

  • 霊視刑事 夕雨子1 誰かがそこにいる

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    霊が見える刑事と洞察力や刑事としては素晴らしいが組織の中で浮いてしまう刑事。ありそうなはなしだなーと読み始めたけど、読み始めると凄く楽しかった‼︎霊と会話できるからこそ解決できるストーリーがフィクションらしくて好き。

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    2022年05月30日
  • 霊視刑事 夕雨子2 雨空の鎮魂歌

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    夕雨子と野島のコンビが様になってきた。警視庁の有原が突っかかってきてうっとしいが、野島は平気の平左で、夕雨子と二人で独断独行。夕雨子が見える霊さえも自分の部下のように使いこなすところなど最高。野島が左遷されることになったきっかけの事件の関係者が標的となった事件が次々と起こり、展開に目が離せない。重くなりそうでいてそうでなくホロっとさせてくれる。今回は野島の気がかりは解決されたが、次巻は夕雨子の過去のことが大いに関わってくるようだ。野島最高、夕雨子も感化されていくのがこれまた最高。

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    2022年03月04日
  • 浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理

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    ネタバレ

    相変わらずすいすいと読み進めることができて、なおかつ知的にも満足させられる作品シリーズである。
    今回のテーマはフェルマーの最終定理。
    数学に詳しくない人でもなんとなく耳に覚えはあるかもしれない。自分は数学なんてからっきしだったが、それでもうっすら聞いたことはあるのである。
    個人的には定理の内容そのものよりも、それに付随する証明するには余白が狭すぎるとか言ってしまうくだりなんかが記憶に残っているのだが、肝心の中身はさっぱりである。そんでもってこの定理の中身そのものは、正直言って事件とはあまり関係ない。
    だが、そこかしこに散りばめられた数学ネタや知識が、なんだか読み終えた自分を2レベルくらい上げてくれたような気にさせてくれるのである。
    個人的にはミステリーの中で数学をうまく絡めたマステリーとでも呼びたくなるシリーズなのである。

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    2022年02月14日
  • 浜村渚の計算ノート 2さつめ ふしぎの国の期末テスト

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    懐かしい数式や公式が出てきてそういえばそんなだったと思い出しながら...
    不思議の国のなぎさが一番面白かった。まさか数学的要素があったとは思わないし、一番ファンタジー色濃くて好きな話。

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    2022年01月24日
  • 浜村渚の計算ノート 4さつめ 方程式は歌声に乗って

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    モンティ・ホール問題の『絶対に変えたくなる性格』と『絶対に変えない頑固な性格』という例えが分かり易かった
    ディオファントス知ってるけど二次方程式とかだと思ってた
    展開図苦手 2・3通りてすごない?

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    2022年01月17日
  • なかよし 2021年10月号 [2021年9月3日発売]

    ネタバレ 購入済み

    楽しみだった

    るきあ、波音たちにバレないようにって言ったのに何故、もう人の姿になってるのー!!そして、あんまり話しが進んでない…

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    2021年09月03日
  • 浜村渚の計算ノート(1)

    好き!

    数学嫌いな人でもついつい浜村渚の数学の世界に引き込まれてしまう・・・そんな本です。
    後々あかされる武藤龍之介の過去にもすごく胸を打たれました。
    個人的にはキューティー・オイラーが大好きです!

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    2021年03月09日
  • 浜村渚の計算ノート 2さつめ ふしぎの国の期末テスト

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    ネタバレ

    数学ネタのお話は問答無用で面白い気がします。
    日本では現実で理系科目への扱いが悪くなってきており、現在ではないにせよ数十年、数百年後には物語のバックグラウンドとして設定された世界が現実化されないかとても心配になります。今回の話は、不思議の国のアリスを先に読んでおいた方がより楽しめるかなと思いました。

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    2020年12月27日
  • 猫河原家の人びと―花嫁は名探偵―(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

     探偵一家に逆らって、絶対に探偵になる事を拒んでいた友紀だったけど、しっかり探偵の卵になってましたね。
     そして、まさかの姉かおりの結婚!お相手も中々の個性派で、お似合いでした。

     湯けむり温泉宿の殺人事件、まさかそんな理由で犯人のメインイベントが台無しになるとは!私的にお気に入りのシーンでした。

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    2020年11月24日
  • 浜村渚の計算ノート 2さつめ ふしぎの国の期末テスト

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    数学エンタメとして楽しく読める作品。「麗しのルイ嬢」では累乗がテーマ。3のマイナス1乗が即座に答えられなかった自分に凹んだ。数学者でもあったルイス・キャロルに敬意を表して書かれた「不思議の国のなぎさ」は、オチが落語的で、そこもエンタメだな~と思うところ。n進法は、答えを示されれば納得なのだが、その規則性に気付くには柔らかい思考が必要。エピローグは一筆書き問題。トポロジーの原点だが、今後の展開に出てくるかな?

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    2020年09月05日
  • 浜村渚の計算ノート

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    この本を読んで数学が好きになった。数学が苦手な人でも、物語の内容を楽しめるので是非お勧めした作品です。
     特に今プログラミングが義務教育化してこうとしているので、そういう人にもいいかもしれません。
     

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    2020年04月26日
  • ヘンたて 幹館大学ヘンな建物研究会

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    ネタバレ

    表紙がpomodorosaさんの大学生ものということで『BISビブリオバトル部』シリーズと似た印象。変な建物の間取りが謎に関係してくるので見取り図がないと理解するのが難しそう(あって助かった)。逆に解決編の見取り図は見ないように注意しなくてはいけない。恋愛展開はちょっと性急すぎるのでは?と思ったけれど、続刊でそれなりの展開があるのだとしたら、大きなフックになっているのではないかと予想する。第一話のトリックが好き。トマソンの本を読んでみたくなった。

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    2020年04月18日
  • 浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理

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    瀬戸内海に浮かぶ島で起きた事件が「黒い三角定規」に関係しているようだ、との事で現地に向かう渚ちゃん達御一行。なのに岡山県警の寺森に別の島の数学好きしかいない数学要素満載の「ホテル・ド・フェルマー」に連れて行かれここで起きた密室状態での転落死事件とホテル前オーナーが残した遺産の在処の謎に挑む事になる。今回は簡単な謎々から結構難しめの数学ネタも出てくるけど数学好きの皆様の愛に溢れた解説が丁寧で楽しく読める。謎はパズル的要素強めだけどその分上手く数学と絡み合っており理解した瞬間のスッキリ感が気持ちいい。学生時代に読んでいたらもう少し数学好きになれたかも、と思える一冊。

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    2019年12月04日
  • 浜村渚の計算ノート

    hfc

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    数学好きには良いと思う

    数学史の話を主に、数学の話にも触れつつ話が展開していく様子は、
    他に見られない感じでなかなかおもしろい

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    2019年11月25日
  • 新鮮 THE どんでん返し

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    今回はフレッシュな若手作家の書き下ろし作品を集めたどんでん返しアンソロジー3冊目で根が素直な私はものの見事に騙されましたね。ちなみに天祢さんと水生さんは女性です。『密室竜宮城』青柳碧人:ミステリ童話「浦島太郎」の意外な真犯人は?『居場所』天祢涼:前科持ち男の切ない人生物語。『事件をめぐる三つの対話』大山誠一郎:読者も犯人も同時に騙される!『夜半のちぎり』岡崎琢磨:最後の一行にぞっとします。『筋肉事件/四人目の』似鳥鶏:二度読み必至!仰天の技巧派ミステリ。『使い勝手のいい女』水生大海:バスルームにびっくり!

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    2019年03月03日
  • 玩具都市弁護士

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    ネタバレ

    面白かった。

    スクラップを免れて逃げて来たAI搭載の玩具と、様々な事情で外の世界にいられなくなった人間の住む町「バッハ・シティ」

    そこでパン屋を営むベイカー。外の世界では弁護士をやっていた。
    町で、女子高生ミズキを保護する。

    ひょんなことから玩具の弁護をすることになり、ミズキは助手に。
    前半はミズキが大活躍だけど、最後にはベイカーもかっこいいところを見せる。

    ファンタジーだけど、トリックは筋が通っている。
    この小説の設定だからこその仕掛けが満載でワクワクした。

    出てくる玩具がみな個性的で、名前や設定もクスッと笑えたりして楽しい。

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    2018年11月10日
  • 浜村渚の計算ノート 8さつめ 虚数じかけの夏みかん

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     中学生の浜村渚が数学テロリスト集団、黒い三角定規に挑む計算ノートシリーズ9巻目。

     対策室の武藤は渚に、横浜で開催される謎解きイベントへの参加を誘われる。
     ただしそのイベントは、黒い三角定規の前総統ドクターピタゴラスの研究室出身者が主催者だった。
     謎を解いて先へと進んでいった先で見つけたのは、水槽に浮かぶ主催者の死体だった。
     黒い三角定規の総統アドミラルガウスはレンガ倉庫に人質を取り、リーマン予想を研究する謎の数学者の論文を要求した。
     虚数iと1の虚数3乗根ωを用いた複素数平面で浜村渚が事件に迫る。

     ほか、正方形の面積を用いて二次方程式を解くアラビア数学に鳥取砂丘で挑み、
     名刑事の引退直前の事件では友愛数が使われる。
     全3編。

     
     二次方程式では解の公式が一般的な解法だけど、公式丸暗記でなぜそうなるかはわからないんだよね。
     というか、覚えてないし。

     今回紹介されてる二次方程式を正方形の面積を用いた解法は、ビジュアル的に分かりやすい。
     この解法を利用して、さらに平方根を計算する方法が巻末に紹介されている。
     へぇ~こんな解法があるのか。正方形の面積でザクっと差っ引くのね。

     とまぁ、毎回新しいことを学べる楽しいシリーズ。
     次巻も期待。

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    2017年10月28日
  • 浜村渚の計算ノート 7さつめ 悪魔とポタージュスープ

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    「1+1=2になるのはどうしてなのか」「マイナス×マイナス=プラスになるのはどうしてなのか」といった、誰しもが疑問に思ったことを分かりやすく解説していて、しかもそれをうまいこと話の中に盛り込んでいて、とても楽しく読めました。こんな風に教えてもらえたらもっと数学が楽しくなったのかなあとか思いました。

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    2017年09月30日
  • 浜村渚の計算ノート 5さつめ 鳴くよウグイス、平面上

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    数学教育の復活を目指すテロ組織「黒い三角定規」と闘う中学2年生浜村渚の活躍を描くシリーズ5さつめ(第6弾)です。

    今回は第log10000章(つまり第5章)で浜村渚が修学旅行で京都に来ました。

    オビに「京都の町は碁盤の目。二次関数の舞台になっちゃうんです♪」とありますので、やや展開が読めてしまうキライもありますが、京都の通り名に詳しくない方には、楽しめるかもしれません(詳しい方は、途中でだいたい想像つくかも)。

    今回特に楽しめたのは、第log100章(つまり第2章)『鳩の巣が足りなくても』でした。

    ここでは、「黒い三角定規」のメンバとして、中高一貫校の数学教師を解雇されたぽっぽ・ザ・ディリクレが登場します。

    ディリクレと鳩の巣と言えば……、そう、「鳩の巣原理」ですね!

    「鳩の巣原理」とは、

    「n個の鳩の巣にn+1羽以上の鳩が入ろうとすれば、少なくとも1つの巣には鳩が2羽以上入らなければならない」

    という原理です。

    言ってみれば、「当たり前」となってしまう(だからこそ“原理”)話なのですが、これが数学では強力な論法として登場します。これを初めて用いた数学者がディリクレなのです。

    本書では、この原理の証明は載っていませんでしたが、あえて証明してみましょう。

    このような当たり前と思える事柄の証明に力を発揮するのは、「背理法」です。

    そのために結論の「少なくとも1つの巣には鳩が2羽以上入る」を否定してみましょう。「すべての巣には鳩が1羽以下しか入らない」となります。
    すなわち、n個の鳩の巣のそれぞれには、鳩が1羽いるか全くいないかになりますので、鳩の総数を考えるとそれはn羽以下になります。
    ところが、問題の設定では鳩はn+1羽以上いることになっていますので、これは矛盾です。
    よって、結論を否定した「すべての巣には鳩が1羽以下しか入らない」とした仮定が誤りであったことになりますので、「少なくとも1つの巣には鳩が2羽以上入る」が成り立つことになります。

    この「鳩の巣原理」を使うと

    「座標平面上にA~Eまでの5つの格子点(x座標,y座標が共に整数である点)が存在するとき、A~Eの中に中点も格子点になるようなペアが少なくとも1つは存在する」(P.145)

    というような結構難しい問題も解決できちゃいます。ぜひ、考えてみてくださいね。

    なお、浜村渚はこの「鳩の巣原理」の中にある一種の“やさしさ”で事件を解決してしまいます。

    「そもそもディリクレは『鳩の巣原理』とは言わず、『部屋割り論法』と言っていたんだけどなぁ」というゲスな突っ込みを入れていた私は、この数学愛にやられてしまいました。

    確かに気がつかなかったなぁ。

    他には、難関中学入試では押さえておきたい「パップス・ギュルダンの定理」なども登場しますが、個人的に気に入った小ネタは、

    「バナッハさんとタルスキさんに頼んだら、もう1個(バランスボールを)増やしてもらえるかもしれません」

    という渚のセリフ(P.53)です。バナッハ・タルスキの定理が現実世界で実現できたら、スゴイでしょうねぇ。

    ややネタバレになりますが、物語としてはキューティ・オイラーがいよいよ「黒い三角定規」と袂を分かつ展開になっていることも気になります。もともとキューティ・オイラーはテロ組織に似つかわしくなかったのですが、これからは「黒い三角定規」から独立したキューティ・オイラーと渚の絡みも楽しみです。

    さらに、今回の解説はなんと、あの結城浩さんです。結城さんの「浜村渚の数学ノート」への見方もわかって面白いです。
    ミルカさんと浜村渚の「夢のコラボ♪」が見られる日も近い?

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    2017年08月16日
  • 浜村渚の計算ノート 4さつめ 方程式は歌声に乗って

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    数学大好きな中学2年生 浜村渚がテロ組織『黒い三角定規』に立ち向かう物語4さつめ(実は5巻目なのだが)です。

    今回も、それぞれの章は常用対数を用いて表され、各章の小節番号は√で表されるという凝った部分は相変らずですが、第log10000章(つまり第4章)『オペラ座の未知数』の小節番号には驚かされました。
    はじめから順に
     440.000,493.883,523.251,587.330,659.255,698.456,783.991,880.000
    となっています。

    この数列を見ただけで瞬時に「ハハァ~ン あれだな」と察しが付く人は相当鋭いか、病的なマニアでしょう。私はこの目次を5分間ほど見つめて、何とか目星を付けました。
    全部で8つの数字であること、第8項が初項のちょうど2倍になっていること、ちょっと等比数列っぽいところなどがヒントです。

    このように今回も、目次から楽しませてくれます。

    詳しいストーリの紹介は控えさせていただきますが、この物語が進むにつれて、浜村渚も成長しているのだなぁと感じたところが随所に見られました。

    1つ目は、第log10章の確率を考えるときの前提である『同様に確からしい』という仮定についての説明です。
    渚は、この表現は「確率っていう不確かな問題を心の底から楽しむために、私たちがしなければならない宣言」と言っていますが、なかなか見事な解釈です。
    この表現は、例えばサイコロの6通りの目が「どれも同程度出やすい」ということは、

    「そうではないかも知れないが、『それにひじょうに近い』ことは確かなので、かりにそうだと定めて(仮定して)、計算を始めよう。」(『数学文化』第19号「統計はここがおもしろい」野﨑昭弘)

    という内容と同じです。
    今の学校教育では、確率と言えば、単に「ある事象の場合の数/すべての事象の場合の数」と定義されるものと教えられることが多いのですが、ここには確率を考えるところの精神が明確にされており、すばらしいと言えます。

    2つ目は、第log100章の『2通りの箱が折れる展開図』です。
    これは「あとがき」で著者も述べているように、『数学セミナー』2012年11月号にも紹介されているものです。物語の中で触れられている『3通りの箱が折れる展開図』については、この『数学セミナー』に詳しいのですが、実はこの記事は“特集「この10年で解決した問題」”の中の1つです。
    つまり、渚はこのような最近の数学事情にもかなり精通してきているということが明らかになっているのです。

    3つ目は、第log1000章での教育についての言及です。
    この世界ではもともと「心を尊重し他人を慈しむ人間性を否定する」との理由で理系科目を教育から追放しようとする文部科学省と、それに対抗し、理系科目復活を目指すテロ組織『黒い三角定規』が対立しているのですが、今回、そのどちらでもない「第三の道」が提示されている部分があります。

    渚の親友、長谷川千夏(通称:セチ)はテロリストに
     「大人たちってどうしてすぐ、教育を自分たちだけのものにしたがるの?」
     「どうして、役に立つものと立たないものを、勝手に決めたがるの?」
     「私たちだって、大人と一緒に未来を作りたいんだ!」
    と叫びます。
    それを聞いた武藤刑事は「教育というのは本当は、大人と子どもが一緒になって、同じ『未来』という方向を、真剣なまなざしで見据える姿勢を育てるためのものなのではないだろうか」と考えます。ここには、文科省の道でもなく、『黒い三角定規』の道でもなく、そこから止揚された教育の方向性が示されていると思います。

    このように、物語が進むにつれての浜村渚とその周辺メンバの成長はなかなか見ものです。今後につながる展開もほのめかされていますので、続編に期待大です。

    また、初めて「参考文献」が示されたのも嬉しい配慮です。
    ますます面白くなる物語世界からもう目が離せません!

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    2017年08月16日