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Posted by ブクログ
数学大好きな中学2年生 浜村渚がテロ組織『黒い三角定規』に立ち向かう物語4さつめ(実は5巻目なのだが)です。
今回も、それぞれの章は常用対数を用いて表され、各章の小節番号は√で表されるという凝った部分は相変らずですが、第log10000章(つまり第4章)『オペラ座の未知数』の小節番号には驚かされました。
はじめから順に
440.000,493.883,523.251,587.330,659.255,698.456,783.991,880.000
となっています。
この数列を見ただけで瞬時に「ハハァ~ン あれだな」と察しが付く人は相当鋭いか、病的なマニアでしょう。私はこの目次を5分間ほど見つめて、何とか目星を付けました。
全部で8つの数字であること、第8項が初項のちょうど2倍になっていること、ちょっと等比数列っぽいところなどがヒントです。
このように今回も、目次から楽しませてくれます。
詳しいストーリの紹介は控えさせていただきますが、この物語が進むにつれて、浜村渚も成長しているのだなぁと感じたところが随所に見られました。
1つ目は、第log10章の確率を考えるときの前提である『同様に確からしい』という仮定についての説明です。
渚は、この表現は「確率っていう不確かな問題を心の底から楽しむために、私たちがしなければならない宣言」と言っていますが、なかなか見事な解釈です。
この表現は、例えばサイコロの6通りの目が「どれも同程度出やすい」ということは、
「そうではないかも知れないが、『それにひじょうに近い』ことは確かなので、かりにそうだと定めて(仮定して)、計算を始めよう。」(『数学文化』第19号「統計はここがおもしろい」野﨑昭弘)
という内容と同じです。
今の学校教育では、確率と言えば、単に「ある事象の場合の数/すべての事象の場合の数」と定義されるものと教えられることが多いのですが、ここには確率を考えるところの精神が明確にされており、すばらしいと言えます。
2つ目は、第log100章の『2通りの箱が折れる展開図』です。
これは「あとがき」で著者も述べているように、『数学セミナー』2012年11月号にも紹介されているものです。物語の中で触れられている『3通りの箱が折れる展開図』については、この『数学セミナー』に詳しいのですが、実はこの記事は“特集「この10年で解決した問題」”の中の1つです。
つまり、渚はこのような最近の数学事情にもかなり精通してきているということが明らかになっているのです。
3つ目は、第log1000章での教育についての言及です。
この世界ではもともと「心を尊重し他人を慈しむ人間性を否定する」との理由で理系科目を教育から追放しようとする文部科学省と、それに対抗し、理系科目復活を目指すテロ組織『黒い三角定規』が対立しているのですが、今回、そのどちらでもない「第三の道」が提示されている部分があります。
渚の親友、長谷川千夏(通称:セチ)はテロリストに
「大人たちってどうしてすぐ、教育を自分たちだけのものにしたがるの?」
「どうして、役に立つものと立たないものを、勝手に決めたがるの?」
「私たちだって、大人と一緒に未来を作りたいんだ!」
と叫びます。
それを聞いた武藤刑事は「教育というのは本当は、大人と子どもが一緒になって、同じ『未来』という方向を、真剣なまなざしで見据える姿勢を育てるためのものなのではないだろうか」と考えます。ここには、文科省の道でもなく、『黒い三角定規』の道でもなく、そこから止揚された教育の方向性が示されていると思います。
このように、物語が進むにつれての浜村渚とその周辺メンバの成長はなかなか見ものです。今後につながる展開もほのめかされていますので、続編に期待大です。
また、初めて「参考文献」が示されたのも嬉しい配慮です。
ますます面白くなる物語世界からもう目が離せません!
Posted by ブクログ
今回からイラスト付き登場人物紹介がついてイメージ湧きやすくなったシリーズ5冊目。猿にテレビ局がジャックされた中で起きるクイズ対決や特殊な折り紙での殺人事件や病院での連続毒殺事件の解決に数学が貢献する。渚ちゃんの説明がとても判りやすくて数学愛に溢れていて楽しい。ルートや方程式、モンティ·ホール問題とか比較的取っ付きやすい物が多かったからかな。愛を示す事で周りがどんどん数学の魅力に気付いていく(大山さんの進化ぶり!)渚ちゃん方式は黒い三角定規達も取り込むのか?と一瞬思ったけど最後にどんでん返しが来た。どう布陣が変わっていくのか。次も楽しみ。
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