【感想・ネタバレ】浜村渚の計算ノート 5さつめ 鳴くよウグイス、平面上のレビュー

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Posted by ブクログ 2017年08月16日

数学教育の復活を目指すテロ組織「黒い三角定規」と闘う中学2年生浜村渚の活躍を描くシリーズ5さつめ(第6弾)です。

今回は第log10000章(つまり第5章)で浜村渚が修学旅行で京都に来ました。

オビに「京都の町は碁盤の目。二次関数の舞台になっちゃうんです♪」とありますので、やや展開が読めてしまう...続きを読むキライもありますが、京都の通り名に詳しくない方には、楽しめるかもしれません(詳しい方は、途中でだいたい想像つくかも)。

今回特に楽しめたのは、第log100章(つまり第2章)『鳩の巣が足りなくても』でした。

ここでは、「黒い三角定規」のメンバとして、中高一貫校の数学教師を解雇されたぽっぽ・ザ・ディリクレが登場します。

ディリクレと鳩の巣と言えば……、そう、「鳩の巣原理」ですね!

「鳩の巣原理」とは、

「n個の鳩の巣にn+1羽以上の鳩が入ろうとすれば、少なくとも1つの巣には鳩が2羽以上入らなければならない」

という原理です。

言ってみれば、「当たり前」となってしまう(だからこそ“原理”)話なのですが、これが数学では強力な論法として登場します。これを初めて用いた数学者がディリクレなのです。

本書では、この原理の証明は載っていませんでしたが、あえて証明してみましょう。

このような当たり前と思える事柄の証明に力を発揮するのは、「背理法」です。

そのために結論の「少なくとも1つの巣には鳩が2羽以上入る」を否定してみましょう。「すべての巣には鳩が1羽以下しか入らない」となります。
すなわち、n個の鳩の巣のそれぞれには、鳩が1羽いるか全くいないかになりますので、鳩の総数を考えるとそれはn羽以下になります。
ところが、問題の設定では鳩はn+1羽以上いることになっていますので、これは矛盾です。
よって、結論を否定した「すべての巣には鳩が1羽以下しか入らない」とした仮定が誤りであったことになりますので、「少なくとも1つの巣には鳩が2羽以上入る」が成り立つことになります。

この「鳩の巣原理」を使うと

「座標平面上にA~Eまでの5つの格子点(x座標,y座標が共に整数である点)が存在するとき、A~Eの中に中点も格子点になるようなペアが少なくとも1つは存在する」(P.145)

というような結構難しい問題も解決できちゃいます。ぜひ、考えてみてくださいね。

なお、浜村渚はこの「鳩の巣原理」の中にある一種の“やさしさ”で事件を解決してしまいます。

「そもそもディリクレは『鳩の巣原理』とは言わず、『部屋割り論法』と言っていたんだけどなぁ」というゲスな突っ込みを入れていた私は、この数学愛にやられてしまいました。

確かに気がつかなかったなぁ。

他には、難関中学入試では押さえておきたい「パップス・ギュルダンの定理」なども登場しますが、個人的に気に入った小ネタは、

「バナッハさんとタルスキさんに頼んだら、もう1個(バランスボールを)増やしてもらえるかもしれません」

という渚のセリフ(P.53)です。バナッハ・タルスキの定理が現実世界で実現できたら、スゴイでしょうねぇ。

ややネタバレになりますが、物語としてはキューティ・オイラーがいよいよ「黒い三角定規」と袂を分かつ展開になっていることも気になります。もともとキューティ・オイラーはテロ組織に似つかわしくなかったのですが、これからは「黒い三角定規」から独立したキューティ・オイラーと渚の絡みも楽しみです。

さらに、今回の解説はなんと、あの結城浩さんです。結城さんの「浜村渚の数学ノート」への見方もわかって面白いです。
ミルカさんと浜村渚の「夢のコラボ♪」が見られる日も近い?

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Posted by ブクログ 2016年08月21日

今回もまたおもしろい数学の定理たちが登場して、勉強にもなるし、楽しめるしでよかったです。
鳩の巣定理はすごく綺麗な証明方法だと思いました。
(2014/04/25)

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年05月24日

俺内で妹にしたい子ナンバーワン、浜村渚ちゃん。
計算ノートシリーズは6冊目です。

このシリーズ楽しいなぁ面白いなぁで済ませてきたけど昨今の事件から科学は暴走しやすい、ということに今更ながら注目してみた。

このシリーズの世界では、全てを正しいか正しくないかで科学分野は人間教育にふさわしくない、よっ...続きを読むて義務教育で科学分野を教えることを禁止する。
禁止された数学復権のために数学テロを起こす集団、黒い三角定規と、それを解決する浜村渚の話が物語の主題である。

さて、科学は暴走しやすい、と書いた。昨今の事件とはもちろんSTAP細胞の論文偽造の話である。

この事件で科学分野全体の権威は地に落ちただろうし、多額の税金を投入して科学分野を発展させなければいけないのか、という追及もされるだろう。

自分も一時期は理系の大学院に身を置いていた。
うちら理系からすると「駅前でアンケート取って卒研にするクソ文系ども」という感覚である。
少なからず理系学生は文系をそう見ていると思って間違いない。
人文科学分野の研究に証明のプロセスはあるのか。それが無ければ研究とは言えないだろ、と。

理系の研究は証明して立証しなければ、その研究に価値はないのだ。
価値の無い研究には予算がつかないのはもちろん、研究者として生きていくことができない。
ゆえに、捏造、科学の暴走はなくならない。細胞関係だと数年前だが韓国のファン・ウソク教授も同じようなことやっていた。

今回のはエリート研究者(少なくとも理研のリーダーはエリートだろ)を袋叩きにして笑いのネタにして研究者の地位から引きずり落とされた。
そんなことをしなくても、結果を出せない研究者は研究から追い出されることになる。

結果のための研究である。
これではねつ造はなくならない。

この「計算ノートシリーズ」読んでると、研究の前段の勉強することの意味を考えさせられる。
勉強に楽しさを見出したからこそ研究者は研究者になったんだろう。

STAP細胞にしても、最初から全てがねつ造だったとは思えない。
最初に「ん?」と最初の取っ掛かりがあったから研究が始まったんだろう。
STAP細胞は無かった、ということに収まりそうだが、最初の取っ掛かりすらもなかったことにするのは残念だ。

「ドクターなんか進んだら人生詰むから、マスターで就職しておけ」
理系学生の不文律である。
残念極まりない習慣、制度だ。

試験のための勉強、結果のための研究を続けているうちに、いつか何かのツケは払うことになるだろう。


以下、本作のあらすじ。

数学テロ組織、黒い三角定規の総帥ドクター・ピタゴラスが病死したことから話は始まる。

新たな総帥、黒い三角定規の中でも過激派のアドミラル・ガウスが更なる数学テロを企てる。

鑑識課23半のメンバーが何者かに拉致された。
助け出すには数字の魔法陣を解かなければいけない。
失敗した解放を正解にするために渚が作った魔法陣は。

かつて熱心な教育でクラスをまとめ上げていた数学教師が職を失い、黒い三角定規のメンバーとして学校に戻りテロを起こした。
その教室に、危険をわかっているのかいないのか単身乗り込む渚ちゃん。
「巣箱の数よりもたくさんの鳩がいるなら、どこかの巣箱には二羽以上の鳩がいる」
単純明快、当たり前な「鳩の巣理論」で「ランダムな5つの自然数の差は必ず4の倍数になる」ことを証明できる。すごい。

山道を迷い込んでたどり着いた館のゲートは奇妙な放物線を描いていた。
不気味な図形に囲まれたパップス・ギュルダン荘の謎を渚が明らかにする。
図形の体積は「(回転する図形の面積)×(その図形の重心が一回転した距離)」でも表せる。

京都で連続殺人事件が起こった。
事件現場には京野菜が残されるという奇妙さだ。
京都の通りの碁盤の目を駆使した二次曲線の接戦が交わる場所には何があるのか。

次巻にも期待。

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Posted by ブクログ 2014年04月28日

数学を愛する中学二年生の少女、浜村渚が(警察と共に)数学テロリストに立ち向かう、シリーズ第六弾です。前の巻の終わりに、テロリスト集団「黒い三角定規」を率いていたドクター・ピタゴラスの死が知らされます。ドクター・ピタゴラス亡きあと、組織は新たな代表をたて、さらに数学テロを推し進めていくのですが、新たな...続きを読む代表となった人物は、なんと武藤刑事のかつての知り合いだった…。というところから始まり、浜村渚の数学愛があふれた内容となっています。
数学は相変わらずまったく分からないし、数式を見てもちんぷんかんぷんなのですが(笑)、図や表に助けられ、各章での言いたいことは何となく分かりました。黒い三角定規と関係なく数学を愛する人も登場し、数学を愛する人=テロリスト、ではないことが明示されます。当たり前ですが、大事なことですよね。
ドクター・ピタゴラスに従っていた人々が、全員新しい指導者に忠誠を誓ったわけではありません。黒い三角定規の組織は今後どうなるのでしょう。続きが気になる六巻めでした。

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Posted by ブクログ 2014年03月31日

ややこしいながらも面白い。相も変わらず、数学は難しいが、物語と絡ませることに非常にわかりやすく、興味を持てた。次巻もすでに楽しみである。

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Posted by ブクログ 2014年03月16日

相変わらず、渚ちゃんには感心させられる。数学に関する知識は勿論のことだけど、その好きって気持ちで相手を変えることができるんだから凄い。
渚ちゃんみたいになりたかったな、と今更ながら。

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Posted by ブクログ 2014年03月15日

自分の大好きなミステリーシリーズ。
ストーリーものでありながら、
章ごとに短編としても楽しめます。

「鳩の巣原理」が個人的には好き。
当たり前、も数学では大切なんだな。
ぽっぽ。

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Posted by ブクログ 2020年10月07日

「魔方陣」、「鳩の巣原理」、「回転体」、「二次関数」などが登場。
やはり今作でも、渚の数学好きならではのセリフや、「これでだめならこうしてしまえ!」という発想の転換の面白さが光る。

数学の美しさにこだわった短編が並んでいる。

『京都、別れの二次関数』は渚の修学旅行先が舞台。
修学旅行の定番、渚の...続きを読む「恋バナ」なんかも聞けちゃったりします。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年09月23日

魔方陣、鳩の巣原理、さらには京都市街地を座標化した上での二次関数の話…。6巻にもなるのに数学を用いたトリックの話は尽きない。

むしろ癖のあるキャラが続々登場するわ、過去に出てきた数学のトリックの応用みたいな話も出てくるわで、徐々に面白くなっていく感じ。

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Posted by ブクログ 2016年07月05日

後書きを読むと、数学ガールの結城先生は、まだ本音では、このシリーズを認めてないのかな?
丁度、イチローの日米通算安打記録を認めないピートローズのように。
確かに大学レベル以上の高等な数学も扱う数学ガールに対して、浜村渚の扱う数学は、少し数学をかじった者にとっては常識で初歩的なものばかり。
しかし、数...続きを読む学ガールが淡い青春物語を絡めた「数学解説書」なのに対し、浜村渚は数学を使った「ミステリー小説」だ。分野も違えば読者ターゲットも違う。
この作品の妙味は、毎回、事件に数学がどんな風に関わってくるのかという奇想天外なアイデアの斬新さと、結城先生も指摘した鳩の巣原理のオチのように、テロリストをも改心させる浜村渚の数学愛に溢れた解釈の面白さにある。

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Posted by ブクログ 2016年02月11日

読んでて、数学嫌いながらも、ほーってなる。渚ちゃんみたいな子が周りにいたら数学好きになりそう笑 数学とほかのいろんなことを関連づけているのがいつもすごいと思う。鳩の巣論、これを読んですぐあとの数学の授業で説明されて、渚ちゃんだーって思いました笑

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Posted by ブクログ 2015年09月15日

面白かった。   
二次関数すら覚束なくなっていた自分の頭に絶望した。  

簡単な数学の問題集でも買おうかしら。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年04月16日

青柳碧人による数学ミステリシリーズ第6弾。
さすがにややネタが尽きてきたのか、息切れしてきたのか、はたまた趣向を変えてみたのか、テロ組織「黒い三角定規」に関わりのないエピソードも含まれていて、これまたベタな展開で道に迷って怪しい建物にたどり着くという、ホラーなどでおなじみのシチュエーションにニヤリと...続きを読むさせられた。
一方で、ドクター・ピタゴラス亡き後の黒い三角定規がどんなことをしていくのかにも注目が集まる。特に、初期からの登場キャラクターたちが新体制の中でどんな位置付けになっていくのか、興味は尽きない。
もちろん、本題(?)の数学ネタも小難しい話かと思いきや、相変わらずとてもわかりやすく解説され、例によってそれがちっとも説教くさくなく、それでいてきちんと腑に落ちる。それだけでなく、こんなに数学って面白いんだよね、という気にさせられるのだから、やっぱり作者はすごいと思う。

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Posted by ブクログ 2015年01月19日

ドクター・ピタゴラスの死から始まって、敵である黒い三角定規のメンバーがすっかり入れ替わってしまった感じ。このシリーズも第2ステージに入りましたね。
今回は鳩の巣原理が面白かった。すごく簡単で当たり前な原理だけど、すごく奥が深い。勉強になりました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年07月06日

浜村渚の計算ノート、第6弾。
未だに面白さは健在。物語的にも、数学の魅力的にもね。
私は完全文系人間なので、読んでて全く理解できない箇所もあるけど、「数学ってすごい!」と思わせる箇所もあって、読んでいて楽しいのがこの本の魅力だね。
そして、何よりこのシリーズで一番好きなのは、渚の数学愛あふれる説教の...続きを読む場面。これはやばいね。泣きそうになりますよ。

メランコリア星人デューラー編
・「ホントに綺麗な正式な魔方陣は、nマスの中に1からnまでの数字を一つずつ入れるっていう決まりになっている」という図表をみて、とても感心した。
縦、横、ナナメをどれを足しても15になる。これはすごい。「魔方陣」という名称は、魔法みたいにすごいからつけられたのかな?
・小顔マッサージをして武藤さんに返答を期待する渚が可愛すぎるだろ・・・。

ぽっぽ・ザ・ディリクレ編
・鳩の巣原理「n個の鳩の巣があって、m羽の鳩がいて、mがnより多かったら、少なくとも1つの巣には、鳩が2羽以上入らなければならない」というのは、ふーんと思ったが、この原理の応用は難しくてついていけそうにない。
ただ、数学がキレイで奥深いことだけは分かる。
・泉川が黒い三角定規に加入したいと、先生にメールを送ったとき、先生がすぐに「それは考え直せ」と送ったのが先生の人の好さを表している。
・渚が「鳩の巣原理です!」と声をあげ、「鳩の巣原理は、『鳩の数より鳩の巣が少なくても、外に追い出される鳩がいてはいけない』っていうことを前提にした原理なんです」と説明したのは、思わず「なるほど」と声に出してしまった。
確かに渚の言う通りだ。ディリクレが、鳩の巣が足りなくても鳩を追い出すことなんか初めから考えてない、として、今中を迎え入れる説得につなげる。数学のごとく、論理的で美しい。
最後に今中が改心するのは出来すぎていると思ったけれど、渚の数学愛が人の心を動かす様を見れて感激だよ。

パップス・ギュルダン荘編
・回転する図形の面積×図形の重心が一回転した距離で体積を出せるというのは面白い。というか、よくこんなこと考え付くよね数学者は。

京都で修学旅行、二次関数編
・渚がカンノくんを諦めると。そして「渚がホントに好きなのは・・・」って!これ期待していいんじゃないですか武藤さん!!! 歳は離れているけどお似合いっすよ!!


てか解説の人自分の本の宣伝するなよww

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Posted by ブクログ 2014年05月24日

log100.とlog1000.がホロリときましたよ。
そして遂にlog10000.で渚が……!きたあー(ラブコメ脳)!

でもどこがいいのか、こうなるとわからないね彼!

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Posted by ブクログ 2014年04月05日

メインは京都の話なんだけど、個人的にはパップスギュルタンの話好きだなぁ
しかしキューティーオイラーが…
どうなるんだこの先、そして渚の恋の行方は…

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Posted by ブクログ 2014年03月18日

なんだか違和感を覚えるなぁと思ったのですが、なるほど、日常の謎系の雰囲気を出しながら人が死ぬというギャップがあまりぴんとこないようでした。あと、同じようなパターンがシリーズを通じて続いていくから若干マンネリ化してるのかも、とか……若干動きはあるとはいえ……
ともあれ、浜村さんの数学愛は今回も多くの人...続きを読むを救いますし、おもしろいことにはかわりはないです。

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Posted by ブクログ 2014年03月16日

浜村渚が京都で大活躍するお話。
京都の街が碁盤の目のようで、それがxy平面に…
っていうのは、なんとなく想像つきました。
が、この本はどちらかというと謎解きと一緒にストーリーを楽しめるので、
あー、そうだろうなーと思っても面白かったです。
今回もまた動きますね。
次回が楽しみです。
それにしても、キ...続きを読むューティーオイラー…
友達になりたい…

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Posted by ブクログ 2018年10月10日

数学にからめた事件に無理があるように感じるようになってきた。それほどキャラクターに感情移入できないし、次はどうかな。

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