【感想・ネタバレ】浜村渚の計算ノート 5さつめ 鳴くよウグイス、平面上のレビュー

あらすじ

浜村渚が修学旅行で大冒険! 京都で謎の連続殺人事件が発生。現場には、なぜか京野菜が撒かれていたのだ。テロ組織『黒い三角定規』の不気味な影がちらつく中、渚&親友のセチが真相を見抜く! 魔方陣を使った謎解き合戦、鳩の巣原理を操るテロリストとの対決なども加えた、傑作4篇を収録。累計50万部突破の大人気シリーズ第6弾。文庫書下ろし

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Posted by ブクログ

ネタバレ

俺内で妹にしたい子ナンバーワン、浜村渚ちゃん。
計算ノートシリーズは6冊目です。

このシリーズ楽しいなぁ面白いなぁで済ませてきたけど昨今の事件から科学は暴走しやすい、ということに今更ながら注目してみた。

このシリーズの世界では、全てを正しいか正しくないかで科学分野は人間教育にふさわしくない、よって義務教育で科学分野を教えることを禁止する。
禁止された数学復権のために数学テロを起こす集団、黒い三角定規と、それを解決する浜村渚の話が物語の主題である。

さて、科学は暴走しやすい、と書いた。昨今の事件とはもちろんSTAP細胞の論文偽造の話である。

この事件で科学分野全体の権威は地に落ちただろうし、多額の税金を投入して科学分野を発展させなければいけないのか、という追及もされるだろう。

自分も一時期は理系の大学院に身を置いていた。
うちら理系からすると「駅前でアンケート取って卒研にするクソ文系ども」という感覚である。
少なからず理系学生は文系をそう見ていると思って間違いない。
人文科学分野の研究に証明のプロセスはあるのか。それが無ければ研究とは言えないだろ、と。

理系の研究は証明して立証しなければ、その研究に価値はないのだ。
価値の無い研究には予算がつかないのはもちろん、研究者として生きていくことができない。
ゆえに、捏造、科学の暴走はなくならない。細胞関係だと数年前だが韓国のファン・ウソク教授も同じようなことやっていた。

今回のはエリート研究者(少なくとも理研のリーダーはエリートだろ)を袋叩きにして笑いのネタにして研究者の地位から引きずり落とされた。
そんなことをしなくても、結果を出せない研究者は研究から追い出されることになる。

結果のための研究である。
これではねつ造はなくならない。

この「計算ノートシリーズ」読んでると、研究の前段の勉強することの意味を考えさせられる。
勉強に楽しさを見出したからこそ研究者は研究者になったんだろう。

STAP細胞にしても、最初から全てがねつ造だったとは思えない。
最初に「ん?」と最初の取っ掛かりがあったから研究が始まったんだろう。
STAP細胞は無かった、ということに収まりそうだが、最初の取っ掛かりすらもなかったことにするのは残念だ。

「ドクターなんか進んだら人生詰むから、マスターで就職しておけ」
理系学生の不文律である。
残念極まりない習慣、制度だ。

試験のための勉強、結果のための研究を続けているうちに、いつか何かのツケは払うことになるだろう。


以下、本作のあらすじ。

数学テロ組織、黒い三角定規の総帥ドクター・ピタゴラスが病死したことから話は始まる。

新たな総帥、黒い三角定規の中でも過激派のアドミラル・ガウスが更なる数学テロを企てる。

鑑識課23半のメンバーが何者かに拉致された。
助け出すには数字の魔法陣を解かなければいけない。
失敗した解放を正解にするために渚が作った魔法陣は。

かつて熱心な教育でクラスをまとめ上げていた数学教師が職を失い、黒い三角定規のメンバーとして学校に戻りテロを起こした。
その教室に、危険をわかっているのかいないのか単身乗り込む渚ちゃん。
「巣箱の数よりもたくさんの鳩がいるなら、どこかの巣箱には二羽以上の鳩がいる」
単純明快、当たり前な「鳩の巣理論」で「ランダムな5つの自然数の差は必ず4の倍数になる」ことを証明できる。すごい。

山道を迷い込んでたどり着いた館のゲートは奇妙な放物線を描いていた。
不気味な図形に囲まれたパップス・ギュルダン荘の謎を渚が明らかにする。
図形の体積は「(回転する図形の面積)×(その図形の重心が一回転した距離)」でも表せる。

京都で連続殺人事件が起こった。
事件現場には京野菜が残されるという奇妙さだ。
京都の通りの碁盤の目を駆使した二次曲線の接戦が交わる場所には何があるのか。

次巻にも期待。

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2014年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

京都の碁盤の目のような区画を座標にする発想に目から鱗。これなら一次関数も二次関数も楽しくできたかもしれない。個人的に、古典大好き文系人間としては、被害者たちの名前や会社名が枕詞や歌人、百人一首が元ネタになっていたのに気づいてクスッとなった。

0
2022年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

魔方陣、鳩の巣原理、さらには京都市街地を座標化した上での二次関数の話…。6巻にもなるのに数学を用いたトリックの話は尽きない。

むしろ癖のあるキャラが続々登場するわ、過去に出てきた数学のトリックの応用みたいな話も出てくるわで、徐々に面白くなっていく感じ。

0
2017年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

青柳碧人による数学ミステリシリーズ第6弾。
さすがにややネタが尽きてきたのか、息切れしてきたのか、はたまた趣向を変えてみたのか、テロ組織「黒い三角定規」に関わりのないエピソードも含まれていて、これまたベタな展開で道に迷って怪しい建物にたどり着くという、ホラーなどでおなじみのシチュエーションにニヤリとさせられた。
一方で、ドクター・ピタゴラス亡き後の黒い三角定規がどんなことをしていくのかにも注目が集まる。特に、初期からの登場キャラクターたちが新体制の中でどんな位置付けになっていくのか、興味は尽きない。
もちろん、本題(?)の数学ネタも小難しい話かと思いきや、相変わらずとてもわかりやすく解説され、例によってそれがちっとも説教くさくなく、それでいてきちんと腑に落ちる。それだけでなく、こんなに数学って面白いんだよね、という気にさせられるのだから、やっぱり作者はすごいと思う。

0
2015年04月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

シリーズ第5(6?)弾目
度は修学旅行先で活躍。
「鳴くよウグイス、平面上」と京都の町が碁盤目になっているので
ある程度予想はついてましたが、面白かったです。
黒い三角定規の分裂、キューティー・オイラーの今後、
など物語の展開も面白く(?)なってきました。

ただこの話は、人がバンバン死ぬのと
中学生に学校休ませすぎのがとても気になる。

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2014年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【収録作品】プロローグ/log10.『遊星よりの問題X』/log100.『鳩の巣が足りなくても』/log1000.『パップス・ギュルダン荘の秘密』/log10000.『京都、別れの二次関数』/エピローグ

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2014年03月18日

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