司馬遼太郎のレビュー一覧
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「御為」
という至上の(もしくは無意味な)目的もしくは正義の名のもとに、人殺しであろうが物盗りであろうが、すべてゆるされるというふしぎな時代がはじまっているのである。
正義の時代というべきであった。
日本人に「正義」を教えたのは、強烈な観念論である水戸学であったろう。
幕末、革命の必要が成熟しつつも、普遍的な革命思想や哲学が入らず、結局、世界史の流れとは無縁の、手持ちの水戸学的尊王攘夷でもって革命思想の代用とせざるをえなかった。
その「正義」のもとに文久年間には天誅が流行して佐幕派ーー開国主義者ーーが暗殺され、のちには攘夷御用という御用盗まで流行して江戸、大坂の富家をおびやかした。と -
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「イノサンよ、新薬についてちゃんとした本がないと、蘭方の医者が迷うのではないか」
と、関寛斎が伊之助に話したことから、この両人の関係が密接になった。寛斎は伊之助の実力に敬服していたが、ひとつにはこういうかたちで伊之助を解放しようと思ったのにちがいない。
関寛斎からこの著作についてすすめられたとき、伊之助はしばらく否とも応ともいわず、斜視の視線を宙に遊ばせていた。
寛斎からみれば、無感動な横っ面がとげをふくんでそこに存在している感じで、なにか不調和なのである。
(考えているのだろう)
寛斎は推量したが、
(これが、ひとに嫌われるもとでもあるのか)
とも思い、さらに考えてみた。寛斎の思案 -
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「人間は、本来、猛獣かひどく気味のわるい動物だったかもしれん」
と、いった。そのくせ人間は虎のように一頭で生きるのではなく、群居しなければいきてゆけない動物なのである。群居するには互いに食いあっては種が絶滅するから食いあわないための道徳というものができた。道徳には権威が要るから、道徳の言い出し兵衛に権威を付け、いやがうえにもその賢者を持ちあげてひろめた。しかし道徳だけでは、事足りない。人間の精神は、傷つけられやすく出来ている。相手を無用に傷つけないために、礼儀正しい言葉使いやしぐさが発達した。人間にとって日常とはなにか。仕事でも学問でもお役目でもなく、それぞれの条件のもとで快適に生きたい、と -
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【感想】
大久保利通の若干の狡猾さはあるものの、彼とて親友の西郷を出し抜く事に心を痛めているような描写もあり可哀相だなと思った。
しかし、後年にも語り継がれる西郷の偉大さからは想像できないほど、晩年(というか明治時代)の西郷は愚鈍な人間っぷりだった。
それもそのはず、西郷には桐野利秋というフィルターがかかっていたからねぇ。
優秀な人材はもちろん、些細な情報からでさえ彼は蚊帳の外になってしまった。
YESマンで周りを固めた「お山の大将」になってしまえば、こうも愚かになってしまうのだろう。
そう思えば、自民党圧勝のこれからの日本がどうなるのか、先行きが怪しく感じてしまう・・・
あと個人的に、今 -
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1965年連載の、司馬遼太郎さんの小説。舞台は幕末。主人公は架空の人物です。珍しいですね。
司馬さんの小説の中では、「初期の終り」みたいな時期でしょうか。
#
主人公は天堂晋介。長州藩士。と言っても下層、ほぼ農奴のような出身。
この人が、実は超絶な剣の使い手。
高杉晋作に見いだされ、幕末の混乱期の京都で、「長州の殺し屋」として新選組などを向こうに回して、殺人を繰り返す大活躍…という内容。
史実で、「薩摩の中村半次郎」「土佐の岡田以蔵」は「人斬り」として有名ですが、長州藩はそういう人物が伝わっていない。
そんなところに着目して書かれた小説なのでしょう。
なんだかんだと土方歳三あたりと -
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1965年連載の、司馬遼太郎さんの小説。舞台は幕末。主人公は架空の人物です。珍しいですね。
司馬さんの小説の中では、「初期の終り」みたいな時期でしょうか。
#
主人公は天堂晋介。長州藩士。と言っても下層、ほぼ農奴のような出身。
この人が、実は超絶な剣の使い手。
高杉晋作に見いだされ、幕末の混乱期の京都で、「長州の殺し屋」として新選組などを向こうに回して、殺人を繰り返す大活躍…という内容。
史実で、「薩摩の中村半次郎」「土佐の岡田以蔵」は「人斬り」として有名ですが、長州藩はそういう人物が伝わっていない。
そんなところに着目して書かれた小説なのでしょう。
なんだかんだと土方歳三あたりと -
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【あらすじ】
西郷隆盛と大久保利通―ともに薩摩に生をうけ、維新の立役者となり、そして今や新政府の領袖である二人は、年来の友誼を捨て、征韓論をめぐり、鋭く対立した。
西郷=征韓論派、大久保=反征韓論派の激突は、政府を崩壊させ、日本中を大混乱におとしいれた。
事態の収拾を誤ることがあれば、この国は一気に滅ぶであろう…。
【内容まとめ】
1.もはや西郷vs大久保の一騎打ち。誰も間に入れない。
2.公卿はこの2人の前では無能
3.明治初期の時代、薩摩隼人がヤバすぎる。能力が高すぎる
【感想】
この時代において、薩摩隼人の影響力の高さは半端がない。
そしてその勇ましさはもはや野人。怖すぎる・・ -
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ネタバレこれまでの蔵六には、情熱の対象が明確であった。人間ではなく、科学と技術である。かれは、オランダ文字をたどることによって、この未見の世界をすこしずつひらき、かれの頭のなかに、ほかの日本人にはない風景をつくりあげた。そこにはニュートンの力学であり、解剖台上の臓腑があり、蒸気機関のパイプとメーターがあり、そして曠野に進退する大群と砲声があり、このかれの頭脳のなかの風景のなかにかれは棲みに棲んで、飽くところを知らなかった、自然、生きた人間どもの誰彼に興味を薄くしかもたなかった。
そういう蔵六のことをお琴は、
「とんぼ獲り」
と、規定してしまっているが、蔵六にすれば、かれは自分の頭脳のなかの風景を追