相場英雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
結構前からドラマ化の帯が付いていたけど、WOWOWで丁度やってたな。
全5話の内1回目だけが無料放送ということで、WOWOWに入る気がない私は、中途半端になるので見なかったけど、確かにそのくらいのドラマにすれば面白そうな題材のお話。
題名と殺された人物の職業から最初からネタはバレているような話で、複雑な構図に惑わされながらも捜査もそれほど難渋はせず、入り乱れる話をあまり上手く捌いたとも言えないけれど、そもそも「食の安全」という題材が興味をそそり、それが警察の腐敗や、地方都市を襲う大規模小売業進出の虚実や、世の中の色々なやくざな稼業などに彩られて、サクサクと進む展開は悪くない。
捜査の結末は苦々しく、成程、どこに行ってもきれいなところはないというのが世の中だけど、しかしそこで清貧に暮らす庶民の生き方を密かに愛でるラストは、スッキリしないけれど、ああ締めるしかないかな。
そんな田川の苦渋からすると、プロローグとエピローグは青臭過ぎて聊か蛇足に思われる。 -
Posted by ブクログ
樫山順子シリーズ2作目。
いやぁ、読むのに時間がかかった。
一応樫山のシリーズになっているが、もう一人の主人公である古賀が暗躍した「イグジット」も、同じように読むのに苦労した。
どうも、捜ニ関係の話は個人的に苦手みたい。
北海道警から山梨県警の刑事部長に異動した樫山。
一方、闇の金融ブローカーから足を洗い、山梨の小さな村に移住した古賀。
この二人の目線が交互に描かれるのだが、1ブロックが短くて、突然終わる感じがなかなか慣れない。
北甲州市という架空の街に突如起きた地方創生の話。
人材派遣会社の大手リエゾンと新興のホテル運営会社・箕の宿が共同で一大リゾート地を創り上げるという。
説明会に参加し、裏に何かあると思った樫山と古賀はそれぞれ調べを進めていく…
名前は全てフィクションなんだけど、思い切りどの会社を指しているか、分かってしまうし、一見うまく行ってるような熊本の半導体工場の誘致にも苦言を呈している。
地方ではどんどん過疎化が広がっており、地方創生と言われると単純に今より良くなると信じてしまうような現代に一石を投じるような内容だった。
ラストはちょっと辛かったけど、次は樫山はどこへ行き、どんな事件の裏側を暴いていくのか?
これからも活躍するのだろう。 -
Posted by ブクログ
指名手配犯を街頭で見つけ出し逮捕する、見回り班の青年の成長を描いた物語。長編の形をとってはいるが、実質的には短編の連作といったところ。指名手配されている時点で、事件は発生しているため、犯行は概要が示されるだけとなる。そのため事件の一つひとつが詳細に描かれるわけではないのだが、その真相は捻りが効いており、唸らされる。
顔認証技術は、おそらく不可逆的に発展し続けていくのだろう。社会はそれとどう折り合いをつけるのか。
著者の作品は、社会的なテーマが散りばめられていることが多く、本作も同様のDNAを宿している。
長編を読みたかったので、若干期待と違ったためこの評価としたが、面白かった。 -
Posted by ブクログ
今一つの物語
棄民という聞きなれない言葉から入りました。
中東のテロ周りに話が広がるかと思いきや、福島原発事故による棄民ということでした。
本書のテーマは福島原発事故後の政府対応に対する復讐劇。
しかし、ちょっと違和感あるのと、なんともスッキリしない。
金融ヤクザの殺害、ゴールデン街のママの死、金融庁の審議官の宮古島での失踪。
これらの一連の事件の真相は福島原発事故の棄民による政府への復讐。
その手段は金融テロ。
そして、その首謀者はダークヒーローといった感じです。
幾重にも罠が仕掛けられていて、唸ってしまいます。
しかし、全体でみると、ちょっとバラバラ感があるんですよね。広げすぎなのかもしれません。
事件の真相を明らかにするために、総理事務秘書官と警視庁捜査一課の刑事が動くわけですが、それって本当にそんなうまく動けるの?とか
金融テロってそんな簡単に起こせるの?
また、
そのレベルまで行った事象を阻止できるの?
とか、いろいろ?マークがついてしまいました。 -
Posted by ブクログ
世界情勢で全く予想されなかった事態が起こることを金融市場では『ブラックスワン』というらしいが、その正体をめぐっての逃亡劇が、スリリングで面白かった。
その正体である「全固体電池」という名前は初耳だったが、リチウム電池に変わる次世代バッテリーであり、近い将来EVなどに搭載される先端テクノロジーだという。そんなノーベル賞級の研究者が、日本と香港の血が混じった女子大学院生という設定は不自然な気がしたが、彼女の護衛を長年のスキルと強靭な肉体で守り抜く元自衛官の主人公が、実写化して欲しいほどカッコ良かった。
護衛を連れ立っての沖縄行きの目的は、那覇生まれの父方の祖母の墓参りであり、沖縄戦での痛ましい思い出を織り交ぜながら進行しているストーリーには、作者の戦争への想いが窺われた。全固体電池を戦争には絶対に使わせない、という真衣の決意にも作者の想いを感じる。
日本の公安警察もここまで進歩したのか、と思わせるほど、AIを駆使した最新システムで個人情報がつぶさに明らかになる場面は恐ろしくもなったが、その上をいく中国国家の描き方も、現実の日中米国の関係性を思わずにいられなかった。後半登場した米国のスペンサー大統領が、トランプ大統領そのものだったのも笑えた。