相場英雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
相場英雄『アンダークラス』小学館文庫。
『震える牛』『ガラパゴス』に続く田川信一刑事を主人公にした社会派警察小説シリーズの第3弾。
低賃金で過酷な労働を強いられる外国人技能実習生の問題を殺人事件に結び付けたのには些か強引のように感じた。勿論、低賃金労働者は日本の重大問題であるのだが。
タイトルの『アンダークラス』は下層階級を指し、派遣労働者、さらには過酷な労働を強いられながら僅かな報奨しか手に出来ない外国人技能実習生などを意味している。そして、同時に日本国民全員の近未来の姿を示しているのだ。
世界各国の労働者の賃金は上昇しているのに、日本だけが横這い、若しくは下降を示している。これには様々な要因があると思うが、利益ばかりを追求する企業が、一時の利益獲得のためにメインの事業でさえも売却したり、労賃を固定費から安い変動費に変えるため、非正規労働者を産み出し、正社員を切り捨てて非正規労働者を大量採用したことが大きな原因であろう。
低賃金の非正規雇用は若者たちの未来を奪い、結果として少子高齢化に拍車を掛けた。
秋田県能代市で、老人施設入居者の85歳女性の死体が近隣の水路から発見される。容疑者は施設で働いていたベトナムからの外国人技能実習生のアインで、老女から自殺の幇助を頼まれたと主張する。
キャリアの樫山順子からの依頼で捜査に加わった警視庁継続捜査班の田川信一は、死体の手の形を見て、自殺幇助ではなく、明らかな殺意を持った殺人の疑いを抱く。捜査を進めるうちに捜査線上に浮かび上がったのは、流通業界の覇者として君臨する世界的IT企業サバンナだった。
本体価格940円
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Posted by ブクログ
久しぶりに推理小説(警察小説)を読んだ。相場英雄氏の著書を読むのは2回目で、「震える牛」を読んだことがある。いわゆる社会派、現代社会の裏の部分のやるせなさを炙り出す。
本書は軽く読めるが、テーマは重い。日本で非正規雇用者が増えて、低賃金で働くことを余儀なくされるその人たちの生活がひっ迫しているということが根本にある。
ある非正規雇用者が自殺に見せかけて殺されていたことが分かった。彼はどうして殺されたのか。日本の組織や企業の闇の存在がある。弱い立場の人間は、もみ消されてなかったことにされる。
「そんなことあるかな?」と疑問に思う設定もいくつかあったが、最後まで楽しく読めた。警察小説は、最後に容疑者を刑事が追い詰めていくところが大好きだ。
馴染みが無い沖縄宮古島の風景が小説内に出てきて、インターネットで見てみたら本当にきれいな場所で、いつかぜひ行ってみたいと思った。