相場英雄のレビュー一覧
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樫山順子シリーズ第2弾
覇王の轍に続く今作で完全にお気に入りのシリーズになっちゃった。
今回は地方創生という名のもとの闇を描いたものであるが、巻末の参考文献を読むまでもなく日本を壊した男こと兵頭のモデルは竹中平蔵、リエゾンのモデルはパソナということはすぐにわかったが妙にしっくり来るのはリアルの世界でもそう変わらないのかなと思ってしまう。
樫山のキャリア然としない現場至上主義と青臭くいたいという心意気と相手に寄り添う姿に今回も心打たれたし、古賀の今までの贖罪の意味もあるのだろうが終の住処を守りたいという魂の叫びにもとても引き寄せられるものがあった。
そして何よりものすごく緻密なスキームと『勝負の神様は細部に宿る』を地でいくごとくの丁寧な筆致が素晴らしい。
文中の「雇用は増えても派遣社員」という言葉は地方創生なんてまやかしなのかなと思わせられてしまう。
古賀を主役としたスピンオフを出して欲しいなと思ったら既に出てたし、読んでもいた(^_^;) -
Posted by ブクログ
相場氏の小説は可視化されていない社会問題を暴いています。
食品偽造問題の「震える牛」、格差社会の有り様を浮き彫りにした「ガラパゴス」
そして本作は移民者家族との教育格差を白日のもとに晒します。
中国人は中間層も含めて本国での加熱する教育問題を避けるために、海外の大学
に進学し、その国の企業に就職する層が増加しています。
いわゆる富裕層であれば米国や欧州を目指し、中間層であれば近い日本を目指す
と言われています。
当然学費はそれなりにかかりますが今の日本は安いです。たとえ最近法改正され
た準備金3,000万円であっても払えない額らしいです。
そういう留学生は日本語はもちろんのこと、他の国へ短期留学までして多言語を
卒業するまでに身につけてしまいます。
日本の普通の学生は、そんな彼ら彼女らと就職活動で争うことになります。その
時に圧倒的な力の差を見せられた時に人はどう行動するのでしょうか。
社会派ミステリー作家による「今のニッポン」を知る一冊です。 -
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この作品はフィクションです。
でも、本当にそうなんだろうか?
と思わせるぐらいリアリティに溢れた内容で、その凄さに、そして恐ろしさに震えた。
2013年の作品なので13年も前になるけれども、今現在のリアルにも実はどこかでひっそりと起こっているのではないかと疑わしく思ってしまう。
この小説を読み終わったら、もう外食や、スーパーで惣菜やお弁当が買えなくなってしまうかもしれない。
社会問題をテーマにした作品は、その話自体はフィクションでも、実際にどこかで起こった事件、事故を基に書かれていると思うので、その作品が投げかけてくるもの、訴えてくるものはとても身近なものであるから、すぐに話に入り込めるし、いろいろと考えさせられるところがあるから結構好き。
そして悪いことをするのは、大抵大手大企業とそこから賄賂をもらう地元大物政治家であり、問題を解決しつつ、彼らをギャフンと言わせる展開にスッキリするラストという安定の展開だから好き。
でも、この作品はそれだけではない、事件を捜査、調査する人間の意地や執念みたいなもの、最後まで読みきれない展開等々、旨味がとめどなく溢れてくる。
そして「震える牛」のタイトルの意味が分かった時の衝撃。
本当に最高の読書時間を堪能させてもらいました。
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相場英雄『心眼』実業之日本社文庫。
見当たり捜査班に配属された若手刑事の苦悩と成長を描いた警察小説。
テレビのドキュメンタリーやドラマなどで見当たり捜査という手法があり、専従する警察官が居ることも知っていた。見当たり捜査とは数百人もの指名手配犯の顔写真や特徴を頭に入れ、街角に立ち、ひたすら指名手配犯を炙り出すという神技のような捜査方法である。
相場英雄はこの見当たり捜査をテーマにしながら、見当たり捜査とは対極にある顔認証技術や防犯カメラによるリレー捜査を描いており、なかなか面白いストーリーになっている。また監視社会の是非についても触れており、興味深い内容となっている。
個人的には人間の眼や判断力は、まだまだITやカメラなどよりも優れていると思う。最近の製造業では作業者による最終検査をAI技術を駆使したカメラによる画像検査に全て置き換えようとしているが、それが正解とは思えない。機械は0・1判定には優れているが、曖昧な領域についてはまだまだ人間の眼と判断力の方が優れているように思う。
見当たり捜査班の新人刑事である片桐文雄はなかなか指名手配犯の確保が出来ず、半ば焦りを感じていた。上司の稲本は部下指導も行わず、次々と見当たり捜査で実績を上げていた。片桐は稲本に教えを請うために自宅に押し掛けたり、行き付けのジャズ喫茶に顔を出したりするが、稲本は全く相手にしてくれなかった。それでも、片桐は密かに稲本の足跡を辿るうちに稲本の捜査手法の一端を知ることになる。
そんな中、かつて稲本とコンビを組みながら袂を分かつことになった大林が新たな捜査一課長に就任する。大林は顔認証や監視カメラによるリレー捜査などハイテク捜査に力を入れ、マスコミに見当たり捜査班不要論をぶちまける。大林のやり方を良しとしない稲本をはじめとする見当たり捜査班のメンバーは大林の鼻を明かそうと、一丸となり、指名手配犯の逮捕に邁進するが……
定価968円
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ネタバレ外国人実習生の方の待遇の酷さというのはなんとなくニュースなどで聞いたことがある、くらいの認識でしたが…こんなことが本当に起きていたら嫌だけど、あるかもしれないよなぁと思わせるようなリアリティのある描写でした。ガラパゴスの時もそうでしたが、これからは違う意識でニュースを見ることになりそうです。
今回は短い期限付きで、自分のペースで捜査できない緊張感や焦りを田川の言動から度々感じられてこちらも少しドキドキしました。ヘソのくだりって実際にある話なんでしょうか。気になる。
少し前にサドンデスを読み終えたところだったので、ちょっとニヤリとしてしまうところがありました。タイミングよく読んでいた私を褒めてあげたいです。 -
Posted by ブクログ
KIDの続編。
元自衛隊員で、現在は個人で警護を請け負う城戸。
カナダに住む娘からのお願いで、カナダの大学院生・真衣の警護をすることに。
台湾から沖縄、そして東京、長野…
公安、中国のスパイからの手に汗握る逃亡劇に一気読み。
真衣が狙われる理由がなかなか明かされないままなのが、ページをめくる手を止めさせてくれない。
派手なアクションシーンは少なめだけど、日本が決してやらないと言っている武器の輸出を食い止める為に公安が必死なのが、今の日本の状況にマッチしている気がして、本当にこんなことが小説の中だけであって欲しいと思いながら、読み進めた。
日本にスパイはいないと表向きは言われているが、世界は諜報合戦。今、この時にも戦争は起き、世界の情勢はグラグラ揺れている。
日本もいつ渦中に巻き込まれてもおかしくはないと、今一度心に刻もうと考えさせられる。
久しぶりに相場作品、面白いって思えた。 -
Posted by ブクログ
台湾に住む元自衛官城戸護という人物が主人公です。
自衛隊退官後はアジアを訪問する旅行者やプロ
スポーツ選手のボディガードを請け負っている
彼に、実の娘から友人のガードを依頼される。
その友人は日本人と台湾のハーフであり、現在は
カナダ在住の大学院生という。
彼女は自分のルーツである台湾と沖縄に行きたい
と願うが、いきなり台湾で何者かが狙撃をして
くるという事態に陥る。
その狙撃は警告のようなものであったが、沖縄で
は明らかに中国が彼女を追っていることが分かっ
てくる。
中国は彼女の何を狙っているのか。
さらに日本の公安も「ブラックスワン」という一つ
のキーワードを手掛かりに彼女を追ってくる。
一人の大学院に通う若い女性研究者が世界を揺る
がす秘密を握っているというのか。
ボディガードである城戸護にさえ真実を語ろうと
しない彼女を守ことができるのか。
登場する施設や名所も実在しているが故に、
リアリティのある社会派ミステリーの一冊です。