【感想・ネタバレ】覇王の轍のレビュー

あらすじ

新幹線神話の虚実を暴く!

警察キャリアの樫山順子は、北海道警捜査二課長に突如、着任することになった。歓楽街ススキノで起きた国交省技官の転落事故と道内の病院を舞台とした贈収賄事件を並行して捜査するなか、「独立王国」とも称される道警の慣習にも大いに戸惑う。

鉄道・警察・官邸《魔のトライアングル》に埋もれた真実を、樫山は見つけ出せるか。ベストセラー『震える牛』『ガラパゴス』に連なる、待望の新シリーズが始動。

「いまや自民党政治そのものが崩壊しつつある。それを予言するかのような読後感を覚えた」――ノンフィクション作家の森功氏も絶賛!

「日本列島改造論」から半世紀、新幹線神話の虚と実――

※この作品は過去に単行本として配信されていた『覇王の轍』 の文庫版となります。

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Posted by ブクログ

あくまでフィクションではあるものの、出てくる会社のモデルはJR北海道。一利用者としては、利便性があって安ければ良いと思ってはいるが、根底に安全があってのものなんだなと改めて再確認した。この事件そのものにモデルはないかもしれないが、似たようなケースはいくらでもあり得ることではないかと想像した。最後のクライマックスのシーンでは全く想像していなかった登場人物の裏切りにかなり驚いた。

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

相場英雄『覇王の轍』小学館文庫。

骨太の社会派警察小説。

先に読んだ高村薫の合田雄一郎シリーズ『我らが少女A』よりは遥かに面白い警察小説であった。『我らが少女A』は主人公の合田雄一郎が積極的ではないし、未解決殺人事件も有耶無耶にされて消化不良も良いところだった。

では本作の方はと言えば、現代社会に巣食う巨大組織による犯罪や重大事故の隠蔽や官僚天下り、贈収賄、政治のパワーゲームといった日本社会の闇に真っ向から斬り込み、二転三転するストーリーが非常にスリリングで面白かった。


清廉潔白、潔癖、実直の警察キャリア官僚の樫山順子が着任したばかりの北海道警捜査二課で、国交省のキャリア技官の稲垣達郎のススキノの風俗ビルからの転落死に警察組織による事件の隠蔽の端緒を見出す。

そんな中、道内の病院を舞台とした贈収賄事件が佳境を迎え、贈賄側と収賄側の同時逮捕のための捜査が進行する。樫山は2つの事件の捜査に関わるうちに贈収賄事件が国交省キャリア技官の転落死が関係していることに気付く。

贈収賄事件は当事者たちの逮捕により、立件へと進むが、国交省キャリア技官の転落死はさらに北海道新幹線工事に関わっていたベテラン職人の不審死事件へとつながっていく。地方新聞の記者の木下、部下の伊藤の協力により、全ての謎を解き明かし、証拠や証言を集めた樫山であったが、あと一歩のところで捜査に待ったが掛かる。


東北新幹線の開業は地方と東京との距離を縮めた反面、地方に数々の犯罪を呼び込んだというマイナスの面がある。新幹線は東北からさらに北海道へと延伸している。北海道への移動は飛行機を利用した方が遥かに利便性がある。事実、新幹線は仙台や盛岡で大半の乗客を降ろし、北海道へと新幹線で向かう乗客はかなり少ないようだ。かつて、田中角栄が提唱した日本列島改造論が今でも生きているのだ。北海道新幹線がどんなに赤字を出そうが、一度決めた新幹線の延伸は止められないのだ。そして、そこには様々な政治的なパワーゲームや贈収賄といった悪事が存在していることは想像に固くない。

本体価格950円
★★★★★

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2025年05月16日

購入済み

よくぞここまで書き抜いたと

感じた。
旅することが多く整備新幹線は幾度も経験したが、乗車率の低さ、駅周辺の活性度をつぶさに見ると費用対効果に疑問を持ってはいた。それだけに読み出したらほぼ一気飲みだった。今、物価対策としておこめ券が急浮上しているが、この不自然さに政府とJAの関係性を連想してしまった。

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2025年12月05日

Posted by ブクログ

北海道に赴任した樫山さん。転落死に着目し、その背後にある国家絡みの闇を捜査していく。
東京、札幌、旭川、場面は目まぐるしく変わっていくが、ストーリーはすごく分かりやすく入ってくる。
個人的には伊藤さんの存在には驚かされた⋯

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2025年06月06日

Posted by ブクログ

『震える牛』、『ガラパゴス』、『アンダーグラウンド』の『田川シリーズ』からのスピンオフ。

警視庁捜査1課・樫山順子は、急遽、北海道警捜査2課に課長として、赴任することに。

着任早々、贈収賄事件が。
一方で、国交省のキャリアがススキノのビルから転落死していたことを知る樫山。
事故として処理されていたが、不可解な点が…
JE北海道の北海道新幹線の建設現場で不可解な死を遂げた作業員がいたことも…
つながり始める…
裏で蠢く何かが…

樫山が真相に辿り着くかと思えた時…

まさかあいつが…
あっという間に、だったが、何かモヤモヤ感が残る…
本当の悪がやられなくて…
やりかえそうな感じは伺えるんだけども。

樫山もまた帰ってくるんだろう、ひとまわり大きくなって。

続編が楽しみだ。


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2025年06月01日

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