相場英雄のレビュー一覧
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ネタバレ「日付は止まったまま。日付が変わらずとも、沿岸の人間はなんとか生きていかなければならんのです。」
物語の主人公と同じように、被災地を自分の足で歩き回り、自分の目で見、被災者に寄り添って、被災者の言葉に自分も同じように傷つきながら筆者が集めたエピソードの数々は、とてもリアルで胸にずしりと来るものがある。東日本大震災という一個の事実に対し、被災した人の数だけの真実があることをひしひしと感じた。
絶望し、打ちのめされて、途方に暮れてもなお、懸命に前を向いて行こうとする被災地でさえ、容赦なく貧困ビジネスや詐欺、役人の不正や私欲に走るNPO団体が横行するのは、本当に許しがたい。
ミステリーとしてはいま -
Posted by ブクログ
選挙開票直後に当確を打つ「ゼロ打ち」に社運を賭けた大和新聞は、社会部の片山を政治部に友軍させ速報に注力させる。
一方で衆議院東京1区に出馬する候補者を助けるため、某代議士秘書の中村は神津と共に選挙戦に取り組むが…。
ピンク歯の病死で見つかる都議、突然外部から来たのに選挙戦を取り仕切る中杉は都知事や区長と謎のパイプを持っていた。
主に片山と中村の別々の視点から描かれていくが、ある時2つの視点が交差して謎の正体が朧げに見えてくる。
しかし事件の闇は深く小説の終わり方も含みがあり、それまでの物語をより現実的な落し所となっていた。
政治の力に抗う困難さを、ため息をつきながら見せつけられた一冊だった。 -
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外国人による強盗殺人と思われていた事件の再捜査を命じられた継続捜査班の田川。
愚直に聞き込みを行ううちに初動捜査からの大きなズレがあることが発覚する。
捜査を進める田川、オックスマートを支える滝川、オックスマートへの恨みを果たすため取材を続ける鶴田
それぞれの視点から事件の真相が明らかになる。
2年前の殺人事件、大型ショッピングモール進出による地方経済の衰退、食品偽造…これらが交わったときに明らかになる真実は衝撃
滝川の裏にチラついていた協力者の正体にも驚かされた……
後味悪いかと思ったけど、ラストは救いのある終わり方でよかった!と思ったものの、エピローグはかなり辛くなってしまった…
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面白すぎる…
強盗殺人かと思われていた事件が、蓋を開ければBSEに関わる、ここまで大きな事件になるなんて予想してなかった笑
食品偽装の闇をテーマにした作品は初めてだったので斬新でした。
中盤から後半に掛けての情報収集からの畳み掛けが、読むスピードを加速させました。
たしかに、惣菜の安さには何かしら理由があると言う事は分かってても買ってしまう、この人間の心理を付いてやりたい放題やる企業の闇を感じました。
最後もやるせないなあ…、、そこの繋がりは分からなかったし、赤間の想いを考えると心が苦しくなりました。
面白すぎたので、続編も読もうかな。 -
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怪事件に挑む捜査員達、現代社会の問題、その現代社会の中で生きる人達の問題、そういうようなモノが交錯し、所謂「ミステリー」の枠を踏み出した、独自な大きな存在感を放つ小説かもしれないと思った。
冒頭、何人かの男女の日頃の様子を綴ったプロローグが在る。そして本編に入って行く。
本編冒頭、警視庁捜査一課の捜査員である田伏刑事が特捜本部の会議に出ている。中野坂上で25歳の女性が刺殺された事件の捜査会議である。事件発生から数日、捜査の進捗が芳しくない。捜査会議に捜査一課長の上田が現れ、捜査員達を督励する。その上田が田伏に声を掛けるのだが、田伏の事情が示唆される。事情で田伏は現場を少し離れていて、今般の一件 -
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所謂「就職氷河期」というような頃に社会に出た人達の中に見受けられる、過酷な情況と、その過酷さが拡がり深まるような様、そういう様子に翻弄される人達という様に、田川刑事達は出遭ってしまうことになる。「非道?」というやり方まで出て来る。本当に「何時の間にかそういうことになってしまった?」という様子である。
捜査活動中に耳目に触れた事柄は、殆ど悉く手帳に書き記し、ドンドン分厚くなってしまう手帳の頁を繰りながら考えるという流儀で、田川刑事は丁寧に事件を、そして仲野定文の来し方を探る。そして話しの発端に関わった木幡刑事も活動に参加し、仲野定文の身に何が起こったのかを探って行くことになる。そして家電や自動車 -
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『ガラパゴス』というのは少し不思議な語感の題名かもしれない。
ガラパゴス諸島―「ゾウガメの島々」という意味らしい…―という南米の東太平洋上の島嶼が在って、大陸と陸続きになった歴史を持たず、島々の生物は飛来したか海を渡って漂着したものの子孫に限られ、他では見受けられない固有種になっている様子が多く見られるのだという。但し、主に19世紀頃から多くの人々が入り、外来の生物も持ち込まれ、様子が変わってしまったということも在るようだ。
このガラパゴス諸島の名から転じて「ガラパゴス」という言い方が在る。周囲から隔絶した環境の中で独自に進化しているかのように、様々な国や地域での基準を外れてしまったような状態