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Posted by ブクログ
犯人を追う刑事と、事実を世に伝える新聞記者との関係性をベースに進む推理小説的要素よりも、東日本大震災の現地の事をつぶさに伝え、風化させないというメッセージが多分に含まれている物語。
東北地方に訪れる機会がなく、現地のことは今も昔も殆ど知らないのですが、阪神大震災のときには大阪に住んでおり神戸の惨状も身近なものとして感じた記憶が蘇ります。
復興を支える県職員が殺害される事件を負う中で、被災地の状況だけでなく、被災者の皆様の声などもお聞かせいただき、ご家族やお仲間を失われた方の辛い思いを伝える著者の現地に対する気持ちが強く感じられました。
無責任な頑張れという言葉、言葉の使い方の難しさが一番心に残りました。
Posted by ブクログ
登場人物たちの人間関係に違和感があると思っていたら、シリーズものでした!
そんなシリーズものなのに、東日本大震災を下敷きとしたミステリー。
しかし、とくにミステリーとして面白いところはなく、物語の主軸は東日本大震災の復興に伴うところ。
それがあまりにリアルで、ミステリー要素はおまけです。
トリックなんかも、なんだかなって感じ...
震災の復興に尽力してきた宮城県庁の課長の早坂が他殺体で発見されます。
恨まれることなどなかった早坂がなぜ殺されることになったのか?
大和新聞の遊軍記者の宮沢賢一郎がこの事件を追うことに。さらに、早坂のメモには、警視庁捜査二課の田名部の名前が残されていました。
で、田名部と宮沢が事件の真相を追っかけることになっていきます。
そして、復興予算を食い物にする組織の存在が明らかになっていきます。
殺害のトリックはおいておいて、被災地の真実、事情、苦悩、被災者の想いがリアルに語られています。
それだけでお腹いっぱいの物語。そして胸が熱くなる物語。
もう、あれから10年以上。風化させていはいけない!
お勧めです
Posted by ブクログ
東日本大震災を背景にした社会派ミステリー小説とのことですが、本書の読後感として、フィクションとノンフィクションの比重、バランス、両立など、いろいろと考え込んでしまいました。
震災を背景にした小説は他にも読んでいますが、本書の特徴は、(被災2年後の)改善されない圧倒的で生々しい描写のリアルです。これらは、実際に現場に何度も足を運び、取材を重ねなければ絶対に書けない部分だと思います。
これに対し、被災地復興に尽力する県職員が殺害されるミステリー部分は、少し奥行きに欠けるような印象を受けました。「虚構を遥かに超越した現実」の扱いが強過ぎた感が歪めません。読み手の感想が分かれるところではないでしょうか。
発刊が震災2年後で、著者が伝えたかったのが「東日本大震災の傷がまだ癒えない被災地の現状」だとすれば、ノンフィクションで十分伝わったのでは、と思いました。ただ、被災者の弱みに漬け込んだ不正・詐欺は断固許さない!という怒りの感情をミステリー仕立てにしたとすれば、それも十分頷けます。
被災者に寄り添った描写、当事者の本音、被災地の書店やグルメ情報など、惹かれる要素も多くありました。単行本解説の作家・石井光太さん、文庫版解説のさわや書店・松本大介さんの文章もよい味を出しています。
Posted by ブクログ
『震える牛』がすこぶる面白かった相場英雄。単発ものだと思って読み始めたら、みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎シリーズでした。東日本大震災の被災地で起きた殺人事件。宮城県庁震災復興企画部の特命課長が殺害され、被害者と面識のあった宮沢が事件を追う。被災地の義捐金目当ての詐欺の真相に迫るという本作は、実際にあってもおかしくはない話。ただ、事件の舞台に無理やり被災地を当てた感が強く、ならば純粋に被災地を描く小説を書き上げてもよかったのではないかと思ったりもして。しかも犯人が最初から怪しすぎるのはいかがなものか。が、トリックはそれなりに面白く、被災地を舞台にして何か書き上げることはできないかと考えた著者の心意気にも感じ入るところはあります。
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