相場英雄のレビュー一覧
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食品と大型SC
本作では、流通大手の店舗大型化と地方商店街の疲弊をリンクさせて、大型店舗の画一的なつくりが結果として町の色を消したと訴えている。一方、タイトルの通り、BSEを巡る風評被害や食品偽装など、流通の前段階に対する不信感、そうした動きに流通も加担しているのではないかという疑念が本作を読むにつれ脳裏に浮かぶ。
さて、以上2点を消費者という観点で整理すると、全く違った結論となる。すなわち、前者は消費者が選択できる一方で、後者は選択の余地がない。
後者は業者の行為は悪そのものであり、情状酌量の余地はない。
しかし、前者は大型店舗が一方的に批判されるべき筋合いではないと思う。こうなってしまった原因は、消費者の -
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「極限まで推し進められた自由市場主義は、恐ろしく偏狭で、近視眼的で、破壊的だ」
企業とは個人の集合体に過ぎず、集合体を構成する個人のために本来は存在する。
ところが、次第に集合体はそれ自身の身を守るため構成員を犠牲にするようになる、経営層すら例外なく。
政治家が念仏のように言う「安心安全」
企業による偽装や隠蔽が表に出て「食の安全」が担保されなくなったとき、それを招いていたのは必ずしも“企業”だけではない。
“美食”と“お得”を使い分けるメディアたち
ここぞとばかりにアピールする政治家たち
嬉しそうにして行列をつくり、得意げにSNSにアップする消費者たち
物語は社会派警察小説の王道をい -
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相場英雄『サドンデス』幻冬舎文庫。
異常なほどの経済格差、格差社会の中で受けるストレスがSNSでの暴言やバッシングといった悪意に変わり、やがてそれが殺意や無差別殺人といった犯罪へとつながる。
そんな現代社会の抱える病巣を見事に描きながら、その裏で金持ちと社会からはみ出した者たちにより繰り広げられる殺人ゲームをテーマにした社会派警察ミステリー小説であった。
父親と離婚して、慰謝料の支払いを打ち切られ、鬱病に悩む母親を抱えて極貧の中、アルバイトに明け暮れながら大学に通う高梨理子はある日、バイト先のガールズバーで裕福そうなミカコという女性の紹介で会員制のラウンジで働き始める。
理子が一変し -
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■サマリー
・キーワードは、BSE、食品の安全、地方都市の
経済衰退
・キーワードを殺人事件に絡めた社会派ミステリー
・メモ魔の田川警部補が鑑取りと地取りで真相を
暴く
■所感
相場英雄さんの作品を読むのは、これが2作品目である。
私も大層なメモ魔であるが、この物語に出てくる
田川警部補はさらに上をいくメモ魔である。
パンパン手帳を片手(背広のポケット)に、犯行に
つながるであろう手がかりをメモ、メモ・・・。
田川警部補が行う捜査は、鑑取り、地取りである。
鑑取り(かんどり)とは、被害者や被疑者の関係者を
たどる聞き込みをさし、地取り(じどり)とは、犯行現場の周辺から、遺留品などを捜索 -
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「不発弾」の古賀遼と「覇王の轍」の樫山順子が合流。
山梨の田舎の広大な耕作放棄地の活用を巡り進行する贈収賄やそれに連なる巨大な利権疑獄。
隣村に隠遁していた古賀と県警刑事部長に就いていた樫山が協力して闇に切り込む。
中央政財界の登場人物のモデルが容易に想像できるのは前作などと同様。
新自由主義を唱え歴代の政権に取り入り、その後人材派遣会社の経営にも携わりフィクサーとも呼ばれた、小柄で一見柔和な顔付きのかの人物も登場する。
小さい方の贈収賄事件のからくりが古賀の助言により明らかになる場面は普通に行確捜査していれば容易に解明されるだろうにと若干鼻白んだが、過去に関わりのあったフリー記者も取り -
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よくぞここまで書き抜いたと
感じた。
旅することが多く整備新幹線は幾度も経験したが、乗車率の低さ、駅周辺の活性度をつぶさに見ると費用対効果に疑問を持ってはいた。それだけに読み出したらほぼ一気飲みだった。今、物価対策としておこめ券が急浮上しているが、この不自然さに政府とJAの関係性を連想してしまった。