相場英雄のレビュー一覧
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購入済み
震える牛も凄かったですが、こちらも凄かったです。語彙と表現力が足りないので、この衝撃をうまく文章に出来ないのが歯がゆいです。
自分の知識がニュースで何となく知った気になっていただけだった事がよく分かりました。
今、仕事があって健康保険を使えて住む所がある事の有り難みをすごく感じました。 -
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相場英雄『ガラパゴス 上』小学館文庫。
あの社会派ミステリーの傑作『震える牛』に続く、シリーズ第2作。
今回、取り上げられるテーマは『雇用』である。タイトルの『ガラパゴス』と『雇用』とがどう結び付いていくのか、この先が興味深い。また、埋もれた他殺事件の背後に見え隠れする大企業と急成長した人材派遣企業、悪徳刑事の姿……こちらはさらに気になる。
切れ者であるが故に窓際に追いやられた警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一は同期の木幡祐司の依頼で不明者リストに目を通すうちに自殺処理した案件が他殺だと看破する……
作中に登場する自動車メーカーや電機メーカーはあそこだろうなと容易に連想出来る。今や多くのメーカーは固定費である社員を極限まで削り、変動費という形で派遣や請負社員を雇うことで生産や利益の調整を行っている。企業存続のために海外企業に事業を売却したり、工場閉鎖を行うメーカーも多い。もはや労働者にとって雇用はおろか最低限の生活が出来る保証はなくなったのだ。政府が失業率を下げるという数字だけの馬鹿なまやかしを行った結果なのだろう。 -
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相場英雄『復讐の血』実業之日本社文庫。『鋼の綻び』を改題、大幅加筆修正、文庫化。警察小説と金融小説とが見事に融合した面白い作品。さらに日本人が決して忘れることの出来ないあの大事故までもが物語に絡み、思いも寄らぬ展開が待ち受ける。
新宿歌舞伎町で起きた金融ヤクザの惨殺事件から物語は始まる。殺人を教唆した金融ブローカー・矢吹巽と加害者のホストは『棄民』という言葉でつながる。一体、何に対する復讐なのか、どういう手段で復讐を果たそうとするのか。
相場英雄の小説は、市勢の人びとをないがしろにする巨悪の正体を静かな怒りをもって描いたものが多く見られる。この作品もまた『棄民』として政府に切り捨てられた市勢の人びとの怒りを代弁しているかのようだ。 -
購入済み
食品と大型SC
本作では、流通大手の店舗大型化と地方商店街の疲弊をリンクさせて、大型店舗の画一的なつくりが結果として町の色を消したと訴えている。一方、タイトルの通り、BSEを巡る風評被害や食品偽装など、流通の前段階に対する不信感、そうした動きに流通も加担しているのではないかという疑念が本作を読むにつれ脳裏に浮かぶ。
さて、以上2点を消費者という観点で整理すると、全く違った結論となる。すなわち、前者は消費者が選択できる一方で、後者は選択の余地がない。
後者は業者の行為は悪そのものであり、情状酌量の余地はない。
しかし、前者は大型店舗が一方的に批判されるべき筋合いではないと思う。こうなってしまった原因は、消費者のニーズに流行があるからではないか。つまり、古くは商店街の人情味が好まれ、その後大型店舗が流行したにすぎない。今また消費者のニーズが多様化するにつれ、商店街の良さも見直されている。
とはいえ、潰れた商店街には苦しみを味わった店主たちが大勢おり、その人たちを置き去りに議論しようとは思わないが、そうした人たちの救済と流通業の在り方とは分けて議論すべきだと言いたいのだ。 -
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警察キャリア・樫山順子シリーズ。
今回は、山梨県で地方創生に絡む贈収賄事件を追う。
かつて金融ブローカーとして暗躍していた古賀が、裏の仕事からきっぱり足を洗い、余生を過ごすために移住してきた地は、甲府市からもかなり離れた村だった。
樫山が、古賀と接触してから以降、この地方創生に何かあると感じて、中盤以降から読み進めるペースも早くなるほど面白くなる。
まさか、地方創生が隠れ蓑だったとは…
簡単にはいかない地域再生をこんなふうに利用していたとは思いもよらなかった。
小説とはいえ、実際これに似たようなことがあったのでは…と予感される。
体質の変わらぬ自治体をなんとかしようとするものの、地方ではノウハウもなく結局は東京のコンサルタントや専門業者に環流し、再生が頓挫することになるという…なんとも酷い話である。
樫山だけでは突き止められなかったこの事件は、古賀の手助けもあってのことだが、部下の浅野や池内記者も多いに活躍していたと思う。
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最近AI流行や高市早苗、トランプの登場によって、日経平均のボラティリティが大きくなっている。NISAなど個人投資家が取引に参加しやすくなった分、そこで翻弄されている人間も増えているように思う。
そうした時期にこの本を読んで分かったのは、バブルは今の流行りがとは全然レベルが違うということだ。日本全体が金融取引に熱狂した当時と比べれば、現在の日経急騰、AIや半導体株による変動の影響は一部分の話でしかない。
冒頭が長くなってしまったが、本自体については、最初から最後まで一気に読んでしまいたくなる疾走感のある書きっぷりで、冒頭から一気に世界観に引き込まれた。実際の事件をモチーフにしているためか、物語にリアリティが感じられたのかもしれない。
特筆すべきは、バブルが起こった理由とこの国の本質が物語を通して示唆されている点だ。
前者は、当時の会計制度の欠陥、今の市場では考えられないようなガバガバな規制や大蔵省を中心とした護送船団方式といった社会構造に起因したもの。そして、巨額の金を手に入れたいという欲、巨額の負債を表に出せないという保身、そしてご恩に報いたいという縁など個人に起因するものがある。
こうした複雑な要因が絡み合いバブルが発生し、金融という深い闇から抜け出せなくなったのがまさに古賀という存在だった。
しかし、上記の中でも核となるのは「縁」である。人間関係から生じる縁によって古賀はコールマンという存在となり、最終的には縁(人間関係)によってどんどん大きな存在となってしまった。コールマンとして他者から求められる、他者の期待に応える、この繰り返しによって古賀に頼ればなんとかなるというある種の理想が形成され、抜け出せなくなる。人は縁によって成長し、縛られていく。国が人によって動くなら、縁はこの国を縛っている。縛ることで、この国が成立している。
そして、あえてその縁の中で特に重要な決定力を持つ人がいるとするなら、それが柔らかい手を持つ人間なのかもしれない。 -
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高田馬場を舞台に、ベテランの仲村と警務課志望の新人・井上というコンビが事件に向き合っていく物語。
作中で描かれる高田馬場の急激な中国化は、現実の街の変化そのままでとても臨場感がありました。
中国人男性が殺害され、田舎から出てきた苦学生の麻奈という女の子が自首してきます。とても殺人を犯すようには見えず、犯行自体は認めるものの動機を頑なに語らない彼女に対し、二人がゆっくりと、しかし確実に真相へ迫っていく展開が非常に好みでした。
相棒の井上も、はじめは今どきのやる気がない新人刑事でしたが、捜査を通じて最後には頼もしく成長していく姿が印象的です。仲村とのコンビシップも良かったので、また別の作品で彼らの活躍が見られるかもしれないと思うと今からとても楽しみです。
作中で井上刑事が成長していく過程や、地道な聞き込みで少しずつ真相のパズルが埋まっていくテンポ感など、作品の魅力がしっかり伝わる素敵な感想です。
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ネタバレおもしろかった。
警察小説だから証言者など含め登場人物が多いのと、主に3人の視点で描かれるので、章が変わるたびにこれは誰視点だ?この人は誰だっけ?と考える手間がちょっとめんどくさかった。
けど話自体はめっちゃおもしろい。
社会問題も盛り込まれていて、人ごとではなく完全に自分たちの身に降りかかっている出来事として読めた。
これを読んだら肉を食べられなくなるという触れ込みで、そんなことないだろ〜と思いつつ読み始めたけど、実際に読んでみるとスーパーで手に取る商品の価格帯は変わるだろうなと思った。
加工食品が具体的にどう怪しくて危ないのかがよくわかる。
エピローグ、被害者視点で事件直前が描かれてるのはきつかったけど、その分すごく良い締め方だと思った。
なぜこのような使命に燃えた誠実な人が死ななければならないのかと。
その一方で自分の立場を守ることばかり考え、私利私欲に走った権力者たちは旨みを得るだけ得て逃げ切る、という構図が腹立たしく、完全にスッキリとはさせてくれない結末なので、逆にもやもやと心に残り続ける作品だと思った。 -
Posted by ブクログ
第一印象として、
「タイトルがもっと興味をそそられるようなものだったら、もっともっと人気というか話題になっているだろうに、もったいないな。すごく面白いのに」
という感じ。
とはいえ、このタイトルの「マンモスの抜け殻」は、当然のことながら、物語に深い関係があり、40年前に起こった出来事と一緒に最後まで核を成している。
それは、今も昔も変わらない社会問題であり、そこに絡むお金の話でもある。そして、近い将来、自分が直面するだろう問題でもある。
1つの殺人事件が起き、犯人を突き止めていく話は、それだけでも面白い。
そこに身近な社会問題が絡んでくると、一気に自分ごととして読んでしまうから、さらに熱心になって読んでしまう。
とても身近なことなのに、何も知らない自分は関心しっぱなし。
面白くて、さらに勉強にもなる。
だから、このジャンルは堅いけど、一度読み始めると止まらない。
だから、この小説に限らないけど、あとはタイトルだけもっと手に取りやすいそうなのでお願いします。