相場英雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
相場英雄『アンダークラス』小学館文庫。
『震える牛』『ガラパゴス』に続く田川信一刑事を主人公にした社会派警察小説シリーズの第3弾。
低賃金で過酷な労働を強いられる外国人技能実習生の問題を殺人事件に結び付けたのには些か強引のように感じた。勿論、低賃金労働者は日本の重大問題であるのだが。
タイトルの『アンダークラス』は下層階級を指し、派遣労働者、さらには過酷な労働を強いられながら僅かな報奨しか手に出来ない外国人技能実習生などを意味している。そして、同時に日本国民全員の近未来の姿を示しているのだ。
世界各国の労働者の賃金は上昇しているのに、日本だけが横這い、若しくは下降を示している。これには -
Posted by ブクログ
久しぶりに推理小説(警察小説)を読んだ。相場英雄氏の著書を読むのは2回目で、「震える牛」を読んだことがある。いわゆる社会派、現代社会の裏の部分のやるせなさを炙り出す。
本書は軽く読めるが、テーマは重い。日本で非正規雇用者が増えて、低賃金で働くことを余儀なくされるその人たちの生活がひっ迫しているということが根本にある。
ある非正規雇用者が自殺に見せかけて殺されていたことが分かった。彼はどうして殺されたのか。日本の組織や企業の闇の存在がある。弱い立場の人間は、もみ消されてなかったことにされる。
「そんなことあるかな?」と疑問に思う設定もいくつかあったが、最後まで楽しく読めた。警察小説は、最後に容疑