相場英雄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
相場英雄『マンモスの抜け殻』文春文庫。
コロナ後の介護業界の闇を描く社会派ミステリー。
『都心の限界集落』、『マンモスの抜け殻』とは言い得て妙である。今の日本では、少子高齢化、空き家問題、介護問題が騒がれている。高齢化が進み、介護施設に入所させようにも、比較的安い特養老人ホームはどこも一杯で入所待ちが数百人というのもざらだ。
本作では一つの殺人事件を切っ掛けに、こうした社会問題の裏側に潜む闇を描いている。なかなか真相が見えぬままに進行するストーリー。結末は予想を大きく裏切り、遣る瀬無い思いが去来する。
高齢化と人口減少が進む都心の限界集落と呼ばれるかつてのマンモス団地、富丘団地で83歳になる飲食店コンサルタント、飲食店と介護施設経営の藤原光輝が団地の12階通路から突き落とされて殺害された。
事件を担当することになった警視庁の仲村勝也は捜査の過程で二人の幼馴染と再会する。その二人の幼馴染とは、事件の直前に被害者と揉めていた美人投資家の松島環、介護施設で不正請求に手を染めた石井尚人だった。
重要参考人となった友を救うため、仲村は若手の関と共に捜査に奔走する。
少しずつ見えて来る事件の裏側。予想もしない犯人の姿……
本体価格920円
★★★★ -
Posted by ブクログ
政界の裏工作よりも、掴んだネタに振り回される主人公たちのサスペンス劇場になっている2作目。これは期待できない流れか、と思っていたらラストはきっちり与党の頭上に爆弾が落ちる豪快なオチ。それだけでなく、未来も導いてくれそうな素晴らしいストーリーだった。これ、上下巻でも良かったくらい。
仲間だったのに裏ボス感をにおわせる官房長官。その一言がなかなか奥深い。
── この国は低成長ながら均衡を保っています。政治が腐敗していようと、人心が乱れたりしていない。平穏な暮らしを少しずつ変えていくつもりだった─
これが与党目線か。不祥事をもみ消しまくって何をのたまっとる!と拳を固めることもなく、裏金なんて他人事のわたし。作者の思い描いたテーマは、この辺かもしれないと思う。不満はあってもクーデターなんて起きない。引き換えに腐敗の自浄作用もない。政治の競争力低下が、日本の立ち遅れの要因なのか。
果たしてこれでいいのか。なら私はどうすればよい。
せめて未来世代を守るための票を、腐らずに投じるしかないんだろうけど。なぜか倦怠感しかない。 -
Posted by ブクログ
トップリーグとは官邸付きの記者の中の、選ばれし数人のことを指すらしい。ラグビーかと思った。
ニュースだけでは薄っぺらに見える閣僚の動きが窺い知れる。ブンヤ目線のためヒリヒリした時間感覚で話が進み、まるで疾走するように読み終わった。
──日本は先進国の中でも一番成熟した国家となりました。(中略)誘導する利益や利権がなくなった途端、かつての派閥は急激にその機能を失ったのです。(中略)負の対応を押し付け合うのが、現在の政治の最大のテーマです─
高齢化によってセンセ方のつな引きはさらに空虚を増しているという見方。現実でも裏金と増税メガネのニュースしか見ない。池上彰さんの言葉では税金の使い道を決めるのが政治家。パイが減れば、それは自然の結果だと思える。
主人公の前に、未来の保育政策と過去の汚職事件のスクープが秤にかけられるというストーリー展開には、こうした報道の在り方に再考を促していると読めた。
汚職のニュースはお腹いっぱい。ただの消費コンテンツで、どうせ選挙には落ちないし。報道こそもっと未来像を描いてほしい。 -
Posted by ブクログ
大量の国債発行がもたらす財政破綻、ハイパーインフレがテーマのフィクション小説。大規模金融緩和で銀行の経営が厳しくなり、不正融資やリスクを伴う投資をするようになる。営業ノルマに追われた銀行員の自殺がリアル、、、
『現代の徳政令』で生き残るべきではない中小零細企業をも救済していたことは知らなかった。
財政破綻の危機が本当にあるのかどうかは疑問。
過去これだけお金をばら撒いてもインフレは起こっていなかった(直近のコストプッシュインフレは除く)。
不発弾のようにいつかいきなり爆発するリスクがあるということなのか?正しい答えは多分誰にも分からないが、皆が考え続けることが重要。 -
Posted by ブクログ
相場英雄『イグジット』小学館文庫。
これは、経済ホラーサスペンス小説と言っても良いのかも知れない。
はっきりとした結末は用意されておらず、前半で自殺した地方銀行の女性行員についても深堀りは無く、どうにもスッキリしない。ただ日本政府と日銀への不満と日本経済の未来に不安を煽るだけの小説であった。
今年、ついに日本はドイツにも抜かれ、GDPで世界4位に転落する見込みである。円安は止まらず、昨日1ドル150円台に突入した。バブル経済崩壊後、30年間も経済成長に伸び悩み続け、世界一の財政赤字を抱える日本に出口はあるのだろうか。
出版社の言論構想社で営業を担当していた池内貴弘は急な異動で出版社の顔とも言える月刊誌の経済担当になる。なかなか記事を書けずに戸惑う中、都内に住む叔母から不動産運用に関する相談を受ける。叔母の元に池内のかつての恋人で仙台の地方銀行に勤める千葉朱美が叔母に家の裏の空いている土地にマンションを建てることを勧めると言うのだ。
池内は千葉朱美と面会し、不動産運用の内容を確認すると、その直後に彼女は自殺してしまう。池内は周辺取材から地方銀行で彼女が置かれた苦境と過酷なノルマがあったことを知る。そして、彼女が最後に頼ったと言う金融コンサルタント会社コールプラニングの古賀遼という人物と面会する。
金融界の掃除屋と呼ばれる古賀遼は何故か池内を気に入り、池内の日本経済の疲弊の裏側をレクチャーし、池内の友人の実家の危機に手を差し伸べる。その後、池内は古賀遼が政界の重鎮の命を受け、日銀総裁人事にも関与していたことを知る。
先週、タイに出張することになり、円をバーツに両替するついでに4年前の中国出張で余った人民元を円に両替したところ32.000円にもなった。確か4年前は20,000円程度だったはずだ。今回の出張費が丸々浮いたのは助かったが、如何に円が弱くなったかを実感した。
最近、値上りを痛感するのが書籍の価格だ。少し前まで1冊700円程度で購入出来た文庫本が今では1冊900円である。海外翻訳物だったら、1冊で1,200円から1,500円は覚悟しないといけない。上下巻なら2,400円から3,000円だ。もしかしたら、本を買って読むという時代は終わったのだろうか。
また、銀行も金利など殆どゼロなのに休日だ、深夜だと言って、ATMの利用料をやたらと取り始めた。また自分が利用している岩手の地方銀行に至っては外資に身売りしてしまい、ダイレクトメールなどは熊本の会社にアウトソースしている。その地方銀行にはかなりの額の定期預金をしていたので危機感を覚え、解約した。熊本からのダイレクトメールに高齢者の間は詐欺ではないかとちょっとした騒ぎになったようだ。
バブル経済崩壊後に政府と日銀は企業ばかりを優遇し、見掛けだけの経済成長を演じて来た。そこに東日本大震災という自然災害と原発事故が重くのしかかり、ひと息ついたところに新型コロナウイルス感染禍が始まり、アベノミクスなる愚策が経済成長にとどめを刺した。散々無駄金をばら撒いた安倍が退いたと思ったら、何を言っているのか解らない菅が後を継ぎ、何も出来ぬままに消えてしまう。
そして、次に現れた史上最悪の岸田という税金の海外バラマキ無駄遣い男が火に油を注ぎ、日本経済を大炎上させた。そんな岸田を支持する国民が居るというのだから全く不思議だ。
瀕死状態の日本にはかつてのような繁栄は望めない。頼むから自分が死ぬまでの後20年か30年ばかりは何とか保てって欲しいと願うばかりだ。
本体価格930円
★★★★