相場英雄のレビュー一覧
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うつ病の母を抱え、バイトを掛け持ちして学費と生活費をやり繰りする大学生・理子、老舗百貨店で左遷されたのち、懲戒解雇に追い込まれた元やり手バイヤー・小島、警視庁サイバー犯罪対策課に中途採用された元SE・長峰巡査部長。
3人の目線で進むそれぞれの日常が交わる時、ある作為によって始められた恐ろしいゲームの全貌が明らかになっていく。
広がり続ける格差、一度堕ちると這い上がれない現代社会。そこから生まれる怨嗟と無敵の人による無差別犯罪。ネットに蔓延る誹謗、中傷と無責任な煽動。現代日本の様々な問題をこれでもかと盛り込んで澱んだ気分にさせるのは相場英雄の真骨頂。
〈他責は男性特有〉と言い切るのはどうだか -
Posted by ブクログ
どの世界にもある「対立、対局的思考」それに手柄やプライドが加味されるとなればなおさらの事。
主人公片桐に取り、「見立て捜査班」で体験していく新旧対立は人生をとした重要な分かれ目になっていくことを感じられる。
かつて、同様の時間を過ごしてきたであろう「大林と稲本」
終始、地味、セピア色の情景は昭和時代を思わせるような空気感。
確かに、稲本が言う「心眼」の技は一理ある・・だが、それで失ったものは後悔しないのであろうか。
家庭を壊し、家を捨て・・一方は手柄を立て、陽を見る歩みをたどる。
「棺を覆いてその人を語れり」は大げさだろうが、いま一つ共感を持てなかったストーリーだった。
男性はともすると、 -
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金融界のフィクサーとして裏の仕事をする古賀遼。
『不発弾』の古賀遼、と、気づく。
仙台あけぼの銀行の行員である元恋人の死をきっかけに、苦境に喘ぐ地銀の取材を開始する月刊誌『言論構想』記者・池内貴弘。
金融コンサルタントとして取材した古賀が伝説のフィクサーと知り、池内は取材を進める。
その最中、日銀副総裁の不倫スキャンダルが発覚。
事態は政界をも巻き込んだ金融危機へ…
度重なる金融緩和政策や国債発行で日本は、もはや『ノーイグジット』とされる危機、瀕死の状態であると気付く。
池内や堀田が日銀のクーデターを記事にしようとするが…
結局、池内の元恋人の自殺の原因もよくわからず。
ただの銀 -
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警視庁刑事部捜査共助課第二捜査共助係2班の活躍を描く警察小説。
いわゆる見当り捜査の活動を配属新人の成長を通して描いています。
自分が見当り捜査を知ったのは今野敏さんの「機捜235」で、直近の東野圭吾さんの「魔女と過ごした七日間」でも取り上げられていましたが、共に間接的でした。
本作は見当り捜査そのものを描いているので勉強になりました。
ただ、見当り捜査の王道である地道な捜査はメインではないこと、三つの班があるのに係長の川勝が二班にばかり関わっていること、p78で稲本の約束も間違えていることなどから、著者にしては深堀が足りないのが不満です。
「ナンバー」のように、一つの課もしくは一つの係をし -
Posted by ブクログ
社会派の熱い作品が多い作家さんだと勝手に思っていたが、今作は警察小説。
しかも花形的な部署ではなく見当たり捜査班に焦点をあてた物語である。
街頭に立ち、道ゆく人の顔をひたすら見続けて指名手配犯を炙り出すのが見当たり捜査班。
新米刑事の片桐は、先輩の検挙に立ち会うことがあっても自分ではなかなか犯人を見つけられないでいた。
その中で、ベテラン刑事・稲本は常に単独行動で圧倒的な結果を残す。
彼の動きを探り、教えを乞うが素気無くされる片桐。
心眼で物事や人を観察しろ。と聞いたのだが…
そんな中、新たに就任した捜査一課長は、ハイテク捜査を実施し、立て続けに指名手配犯を逮捕する。
前時代的な捜査手法は