相場英雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
相場英雄『血の雫』幻冬舎文庫。
500ページ超えの社会派警察ミステリー小説。2021年10月新刊の幻冬舎文庫ミステリフェアの1冊。
元SITのベテラン刑事と元IT企業のSEという変わり種新人刑事のコンビが、インターネットを駆使し、劇場型犯罪を繰り広げる狡猾な犯人と対決する社会派警察ミステリー。途中までは傑作の予感もしたのだが、またまた東日本大震災の原発事故の避難民問題が描かれると一気に気持ちが冷めてしまった。
途中までは良い調子でストーリーが展開し、これは傑作ではなかろうかと読み進めば、前触れも無く唐突に『ひまわり』の正体が明らかになり、さらには無理矢理こじつけた感のある原発事故の避難民 -
Posted by ブクログ
東京都知事選を間近に控えた東京。
そんな中、外資系大手広告代理店のオメガエージェントに勤務する矢吹はバンクーバーで、ケビン坂田と会い、60憶の契約を締結して来ることを会社から厳命を受けていた。
たった数ヶ月の仕事で、60憶。仕事の内容は矢吹には一切明かされず、無事契約は成立し、ケビン坂田は来日する。
ケビン坂田が命名したプロジェクトネームは「レッドネック」。意味は「米南部の保守的な貧困白人層」。
彼は日本にも多く存在する低所得低学歴の人々を、SNSなどを駆使し、都知事選の投票数を操作しようとしていた。
これまで、様々な社会問題を取り上げて来た作者。
前作は巨大マーケット企業の闇を取り上げていた -
Posted by ブクログ
国の経済のひっ迫状況を描く社会経済小説。
安倍政権下を彷彿させる現在進行的な物語で、連載時機を見ると途中から新型コロナの影響も取り入れていると思われます。
国債のマイナス金利は衝撃的なニュースではありましたが、それをベースにここまで物語を膨らませるのはさすがだと思います。
主人公の一人の古賀は「不発弾」から繋がっているので続編とも言えます。
営業部門から編集部門に移動になった出版社の池内が経済素人なので、読者にも金融危機についてかみ砕いて説明されるのでわかりやすいと思います。
あの宰相の孫の財務大臣は優秀だと思っていましたが、この小説ではちょっと持ち上げすぎかも。
古賀の年齢も年齢だけに続編 -
Posted by ブクログ
ここ数年の政権の意向、経済の実態のリアルな部分にフィクションを組み合わせた小説。超低金利で商売が行き詰まった地銀、金融緩和を日銀にあの手この手で強制する政権。副総理兼財務大臣から裏の仕事を頼まれるフィクサー古賀と経済をネタにしようとする月刊誌記者池内を中心に物語は進む。
既に知っていることが少なくなかったので「ガラパゴス」のような衝撃はなかったけれど、日銀や地銀の現実、フィクサーは本当にいるのかも知れないと思わせてくれた。小説としてはまあまあ。
ただ、副総理は現実の人物に似ていて、もしかしてこの人はこんなに優秀なのかと、(誤解?させてくれた)