相場英雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
相場英雄『不発弾』新潮文庫。
大企業や大手金融機関が抱える『不発弾』。いつそれらが爆発し、多くの犠牲者を出すのだろうか……決して創作や虚構とは思えない迫真の経済小説。
大手電機企業が発表した巨額の不適切会計に絡み、背後で暗躍した古賀遼という男の数奇な人生と企業の不正を暴こうとする捜査二課の小堀秀明の闘いの行方は……
あのバブル崩壊を経験してもなお虚業の中に利益を見出だそうともがき続ける日本経済。大企業はピラミッドの僅かなトップだけが生き残るために玉ねぎ経営を続け、実体経済から離れつつある。
本作に登場する三田電機のモデル企業と思われる東芝の不適切会計だけでなく、シャープの身売りや、NE -
Posted by ブクログ
知能犯と対峙する警視庁捜査二課を描いた『ナンバー』『トラップ』につづくシリーズ第三弾らしい・・・ひえ~、知らずに読んじゃったよ~~(^_^;)
しかも、シリーズ初の長編・・・あらららら。
捜査において、ミスを犯した警視庁捜査二課の第三知能犯捜査係(三知)は解体され、捜査員はそれぞれ所轄署に異動となっているということらしい。
そのうちの一人が、万引き犯の話から詐欺事件の手がかりをつかむ。捜査を進めると、別の犯罪の影が見えてきた。
震災後の福島を舞台にした、許されざる犯罪。
営業損失補償金詐欺、原野商法詐欺、厚生年金贈収賄、そして原発廃炉をめぐる汚職事件へと繋がっていく。
バラバラになった仲 -
Posted by ブクログ
ネタバレ公安VS刑事課、警察小説でよくある対立軸を煽ったパターンの小説である。
小説としては力ずくでグイグイ読ませるタイプ。浅めの伏線張っておいて回収シーンでグイグイアクション押しするタイプというのかな。俺はこういうのも結構好きである。
ただ、荒っぽいの好きとはいえ、さすがに荒っぽすぎる伏線もあって、冷静に思いだすと「それはやりすぎだろ」ってのもいくつかあるよなぁ。
左翼ビラ巻いたヤツを見せしめとはいえ、あのタイミングで拘束せんやろし(戦中の特高とダブらせてる?)、公安側主人公の奥さんも浅はか過ぎて、あの対応は女性蔑視と取られても仕方ないんじゃないかなぁ。
深く考えずに読んだら楽しい読書時間が過ご -
Posted by ブクログ
犯人を追う刑事と、事実を世に伝える新聞記者との関係性をベースに進む推理小説的要素よりも、東日本大震災の現地の事をつぶさに伝え、風化させないというメッセージが多分に含まれている物語。
東北地方に訪れる機会がなく、現地のことは今も昔も殆ど知らないのですが、阪神大震災のときには大阪に住んでおり神戸の惨状も身近なものとして感じた記憶が蘇ります。
復興を支える県職員が殺害される事件を負う中で、被災地の状況だけでなく、被災者の皆様の声などもお聞かせいただき、ご家族やお仲間を失われた方の辛い思いを伝える著者の現地に対する気持ちが強く感じられました。
無責任な頑張れという言葉、言葉の使い方の難しさが一番