加藤周一のレビュー一覧
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買ってから気付いたのだが、先日角川ソフィア文庫から刊行された岡潔『春宵十話』『春風夏雨』に続くシリーズで、装丁が可愛い。
最初は、随筆のような体裁から、ずどーんと文学論が来たので、なかなか重かった。
しかし、文学とは何か、というあやふやな境界線を明確にしようと試みる、その姿勢にも方法にも脱帽である。これが31歳の時だなんて、絶対、追い付けない。
一回性の生を語りながら、それが普遍的であること。
分かっているけれど表現できないものを、分かりやすく説明されたときの感動ってこういうことを言うんだな、としみじみ頷いた。
京都の庭の美しさのくだり(ちなみにブルーノ•タウトが引用されていたのは個人 -
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著者があげている日本文学の主な特徴で、印象的だったものは、3つある。
1つは、体系だった思想を持たず、部分から入る。
2つめは、新を取り入れる場合、旧を新に変えるのではなく、新をアレンジして旧に加える。
3つめは、求心的で、都会で起きたことを都会にいる作者が書いて、その読者も都会で享受する。
ああ、やはり日本人は昔から、理屈ではなく、周りの雰囲気や空気で行動するのだと思った。
さらに、私が全体を見通すのが苦手なのも、都会と田舎なら都会に惹かれるのも、日本文学・読者の何よりの証拠なのかもしれないと感じた。
本書は歴史の教科書のように、丁寧にその時代の状況を述べ、その時に表された文学作品 -
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ネタバレ[ 内容 ]
すべての自由を圧殺していた軍国主義は、一九四五年八月十五日突然崩壊。
著者は本郷の医学部にもどり再び研究生活に入る。
やがて戦後文学の出発となった「一九四六年文学的考察」の発刊、フランス留学、アジア・アフリカ作家会議への参加と著者の足跡は広がり、折から起った日米安保条約反対の大運動はすべての日本人を巻きこんでゆく。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!) -
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ネタバレ[ 内容 ]
「現代日本人の平均に近い一人の人間がどういう条件の下にでき上ったか、例を自分にとって語ろう」と著者はいう。
しかし、ここには羊の歳に生れ、戦争とファシズムの荒れ狂う風土の中で、自立した精神を持ち、時世に埋没することなく生き続けた、決して平均でない力強い一個性の形成を見出すことができる。
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・ -
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難しそうだと思い読み始めたのだが、案外読みやすく、そしておもしろい。歴史的な背景や人物、主要な作品に関する基礎知識はやや必要だと思うが、それとても高校で学んだ程度、「そんなのあったな〜」「そんな人いたな〜」、つまりは聞いたことがあるくらいのレベルで十分ついていけると思う。
さすがは20世紀を代表する知の巨人で、扱う内容が高度で複雑でも、なぜかすんなりと読めてしまうから不思議だ。きっとその理由は主題の明快さにある。「日本固有の土着世界観」という観点が最後までぶれない。この明確な主題に導かれて、読者は安心して知恵の大海に漂うことができる。
分厚いし、一見難しい文字ばかり並んでいるけど、敬遠せずに -
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著者の代表作である『日本文学史序説』の前半部分にあたる、古代から近世初頭までを収録しています。
本作は、批評家である著者によって書かれた、日本文学史の全体像の概説です。専門分化のいちじるしい現代では、特定の専門領域をもつ文学研究者がこうした試みをおこなうことはほとんど不可能となっています。日本文学の研究者である小西甚一には、『日本文学史』(1993年、講談社学術文庫)という、ひろく読まれている名著がありますが、これは「文芸」という観点に限定して、日本文学史をたどる内容となっています。また、批評家で詩人でもある大岡信にも『あなたに語る日本文学史』(2023年、角川ソフィア文庫)という作品があり -
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文学にかんする著者の論考を収録しています。サブタイトルの「文学の擁護」というタイトルの論考では、ラブレーやモンテーニュをもふくむ「文学」の概念をめぐる考察です。著者は、プルーストの『失われた時を求めて』のなかの「ジルベルトは、政府があまりにしばしば変るので誰も敢えて同盟を結ぼうとしない国々のようであった」という一文を手がかりに、具体的なものを掘り下げることで現実全体を批判的に超えようとする文学の意義について考察しています。
また本巻には、著者の比較的若いころに書かれた、フランス文学にかんする批評も収録されています。とくに著者が関心を向けているのは、ルソーに代表されるロマン主義と、その伝統に対 -
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かなり前に古本屋でこのタイトルかっけーみたいなノリで買ったんだけど(ちゃんと当時の岩波の帯もついてる!)寝かせに寝かせて今読みました。たぶん抵抗文学は初めて読むかもしれない。
海の沈黙を読んだ時に、切ない最後だが最後に姪がご機嫌ようと返事をしたところで少しは彼の光になったのではないかと思った。
星への歩みはわたしにとっては少し難解で、一度読んでえ??と思い再度読んだらやっぱりそうでとてもとても悲しかった。星への歩みってそういうことかー。
悲しいにしても、対照的な2作品だと思った。
わたしは日本人だし西洋人の感性を持ち合わせていないのできっと読み取れていない情報や意味が沢山あるのだろうとは思 -
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戦前から戦後、現代に至るまで各分野の知の巨人らが述べた良書である。
多様な著者の文学研究以外の物理学や法学、社会学など様々な研究で得られた知見と知のバトンを次世代に受け継ぐ本である。
興味があれば、中学生からでも読み始めている人は多いだろう。研究者とは「研究しない自由はない」と本著で述べている通り、全ての学問に対する研究に責任があると説く。第一線で活躍していた研究者の言葉を聞き、現代の価値観や様式、世界規模での情勢をその時の生きた時代の研究者へバトンは渡され、人類は発見と修正を繰り返しながら前に進んでいく。世界は広い、本著でも紹介されきれない研究者は山ほどいるだろう。そして、今生きる現代の次世 -
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儒教に神道や仏教も取り込んで商人に求められる心構えを説き、後に心学といわれるようになった。
商人に求められる心構えというが、個人的には商人だけでなく、多くの方々に当てはまることでなないかと思う。
読書は読んだ量ではなく、内容を理解していることが必要である(自分の中で組み替えられる。石田梅岩は自分の中に取り込むことができ、あらゆる例え話で先人の言葉を解説することができている)。
親孝行が大切である(親が望むことを実行する)。
倹約、仕事に励むことの必要性
そして何よりも、人の心を知るのが大切であると説いている。
人の心は空のようであり、体は大地のようである。
心は形がないから掴みにくい -
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本書に掲載された最終講義について一言ずつ。
桑原武夫…仏文学者以上に隲蔵さんの子息、というイメージが強い。垣根を越えた研究という事では共同研究も論語の著作も同じなのかも知れない。
貝塚茂樹…大学者一族の一角、湯川秀樹は弟。東洋史学者の模範的な最終講義だと思う。
清水幾太郎…60年安保前後で言論が大きく変わった、という印象の人だが、コントに興味を持つ面白い講義だった。
遠山啓…存じ上げない方だったが、数学論がほんのちょっと分かった気がした。
芦原義信…ゲシュタルト心理学から都市空間を観るのは面白い。
家永三郎…教科書検定裁判の人、として子供の頃から名前は知っていた。大人になってから読 -
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本書は小論8編が収録されたもので、まず「日本人とは何か」という短い小論(1958年)からはじまります。断片的な理解になりますが、著者が主張せんとしていることは、(多くの)日本人は超越的・普遍的な価値観ではなく、経験的・実践的な感覚に大きく依存することです。そして仏教、キリスト教、さらに古代ギリシャから西欧近代の思想・哲学など普遍的な思想は外来種として日本に来ますが、これらは日本人に根付いたとは考えられない(もちろん一部の例外はあるものの)、という主張です。しかし、本居宣長のような国学こそが日本だ、という主張も間違っていることになります。外来思想が混じってこその日本文化であるからです。
本書で -
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商売は立派な営みであり、営利追求は賤しいものではない。商人の儲けは侍の俸禄と同じ。※石田梅岩の思想はカルヴァン派の役割を果たし、日本の近代化を円滑にした(Bellah, 1957)。▼宇宙のありかたにかなった私心のない態度が大切。お金や商品を使って、社会の適切な運営に寄与することが大切。石門心学。石田梅岩ばいがん『とひもんどう』1739
大乗経典は釈迦の教えにさまざまな学説が加えられて成立。上座部の方が比較的初期仏教の原形をよくとどめている。大乗非仏説論。富永仲基とみなが・なかもと『出定後語しゅつじょう ごご』1745
※既存の宗教権威の否定。
※懐徳堂。大坂。町人によって建てられた学校。家 -
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羊の歌 加藤周一
1945年を今の自分と同い年で迎えた加藤周一の回想録。東大医学部卒の医学博士ながら、文学を中心に評論の世界でも有名な加藤周一が生まれてから終戦までを回想した自伝である。一高→東京帝大の日本における超エリートかつ実家も渋谷の開業医という加藤の並々ならぬ人生の前半の記述である。今回私が本書を手に取ったのは、10代後半から20代にかけて戦争を経験し、自分と同じ学年である26歳で終戦を迎えた若者が、当時の日本の雰囲気をどう感じていたのかということを少しでも追体験できればと思ったからである。本書にもあるが、徹底して精神論を嫌う加藤は戦争に対して極めて否定的かつ悲観的であるという姿勢が -
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この春、突然「日本の名著」シリーズに入っていた加藤周一訳・解説の「富永仲基・石田梅岩」(1984)の半分が文庫本になった。何故今なのか?何故本来加藤が好きだった富永仲基ではなく、こちらの方を復刊したのか。
帯を読めば、編集者は本気で現代に石田梅岩を再評価させたいと思っているようだ。もしかしたら、渋沢栄一ブームを見越してのことかもしれない。
曰く
「ウェーバー、ドラッカーよりも200年早い経営哲学」
「起業家必読」
「生産と流通の社会的役割を評価、利益追求の正当性を説いた商人道の名著」
とのことである。
石田梅岩1744年没。中百姓次男として生まれる。11歳で丁稚奉公、商家としては成功しなか