あらすじ
すべての自由を圧殺していた軍国主義は、一九四五年八月十五日突然崩壊。著者は本郷の医学部にもどり再び研究生活に入る。やがて戦後文学の出発となった「一九四六年文学的考察」の発刊、フランス留学、アジア・アフリカ作家会議への参加と著者の足跡は広がり、折から起った日米安保条約反対の大運動はすべての日本人を巻きこんでゆく。
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Posted by ブクログ
久しぶりの加藤周一氏の著作です。
だいぶ以前に「羊の歌」は読んでいるのですが、本書は、いつかは読もうと思っていた「続編」です。
本書での加藤氏の回想は、「終戦直後の東京の風景」から始まります。この終戦直後の東京の風景は、その後の加藤氏の思想の原点を規定するものだったようです。
本書では、加藤氏がヨーロッパで暮らしていた頃のプライベートな交流の様子も詳しく語られています。また、医者の道を捨て、文筆に生きることにした瞬間も明らかにされています。そこにはやはり“戦争”がありました。
時々思い出したように読みたくなるのが加藤氏の著作です。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
すべての自由を圧殺していた軍国主義は、一九四五年八月十五日突然崩壊。
著者は本郷の医学部にもどり再び研究生活に入る。
やがて戦後文学の出発となった「一九四六年文学的考察」の発刊、フランス留学、アジア・アフリカ作家会議への参加と著者の足跡は広がり、折から起った日米安保条約反対の大運動はすべての日本人を巻きこんでゆく。
[ 目次 ]
[ POP ]
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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
下巻では、太平洋戦争の終結から、三年にわたるフランスへの留学を経て、日本に帰国するまでが語られています。
京都にひとりの女性をのこしてヨーロッパに留学した著者は、フランスで華々しく活躍する芸術家や詩人たちとの交流を通じて、あたらしく精神の洗礼を受けます。やがて帰国を決意したとき、著者はもはや、京都の女性と生活をともにすることはできないと悟っていました。
やや私小説的な展開があり、また著者のヨーロッパ体験についての叙述も読みごたえがあって、たのしめました。福沢諭吉の『福翁自伝』にはおよばないかもしれませんが、我が国の自伝文学の傑作のひとつに数え入れられるのではないでしょうか。