【感想・ネタバレ】最終講義 挑戦の果てのレビュー

あらすじ

日本を代表する「知の巨人」たち、その学問の総決算ともいえる最終講義を精選したアンソロジー。「挑戦の果て」篇では、学問シーンを牽引してきた学者たちの研究人生を、感慨とともに振り返った講義を収録。冒頭に各講義の要約を付し、難解な講義も概要をつかみやすくした。推薦・松岡正剛

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Posted by ブクログ

戦前から戦後、現代に至るまで各分野の知の巨人らが述べた良書である。
多様な著者の文学研究以外の物理学や法学、社会学など様々な研究で得られた知見と知のバトンを次世代に受け継ぐ本である。
興味があれば、中学生からでも読み始めている人は多いだろう。研究者とは「研究しない自由はない」と本著で述べている通り、全ての学問に対する研究に責任があると説く。第一線で活躍していた研究者の言葉を聞き、現代の価値観や様式、世界規模での情勢をその時の生きた時代の研究者へバトンは渡され、人類は発見と修正を繰り返しながら前に進んでいく。世界は広い、本著でも紹介されきれない研究者は山ほどいるだろう。そして、今生きる現代の次世代の優れた研究者も生まれ始めているだろう。この連鎖は昔も今も未来も変わらない。
研究ということを人類が放棄しない限り、未来永劫続くだろう。
本著は主に今研究している人とこれから研究者になろうとしている次世代への期待を込めた良書であり、知的発見と好奇心をくすぐられる内容となっている。研究という中だけでは留まらず社会貢献をしてその研究が生活に浸透したとき、誰かの心に知的好奇心に響いたとき、研究という知の結晶のバトンは繋がれていくのだ。

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

本書に掲載された最終講義について一言ずつ。

桑原武夫…仏文学者以上に隲蔵さんの子息、というイメージが強い。垣根を越えた研究という事では共同研究も論語の著作も同じなのかも知れない。

貝塚茂樹…大学者一族の一角、湯川秀樹は弟。東洋史学者の模範的な最終講義だと思う。

清水幾太郎…60年安保前後で言論が大きく変わった、という印象の人だが、コントに興味を持つ面白い講義だった。

遠山啓…存じ上げない方だったが、数学論がほんのちょっと分かった気がした。

芦原義信…ゲシュタルト心理学から都市空間を観るのは面白い。

家永三郎…教科書検定裁判の人、として子供の頃から名前は知っていた。大人になってから読んだ戦争責任は興味深かった。

猪木正道…独裁とは、その独裁を必要としないような状態を作る為の非常手段である、か。

梅棹忠夫…民博の父。関西のアカデミズムを代表する1人。

江頭淳…慶応と奥さんが大好きな人だったんだな、と思う。奥さんを亡くして生きる糧を見失ったのか。

木田元…ハイデガーがほんのちょっと分かった気がした。メルロ=ポンティという響きが何か好き。

加藤周一…在校生だったのに何故この最終講義の存在を知らなかったんだろう…

中嶋峰雄…この方も存じ上げなかった。文明の衝突論を批判しているが、ここに来て又衝突論の有用性が唱えられている。難しい。

日野原重明…おじいちゃんアイドル、というイメージが強すぎたが、後生に残る医学者なんだよな。

ジュンク堂書店大阪本店にて購入。

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2024年07月17日

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