日本は朝鮮半島に進出して、弁辰の地を領有し、韓民族による政治統一を抑え、任那に官家を置いてこれを統治し、さらに民族国家を形成している新羅・百済両国をも服属させたのである。
p.22
これほんまに?
『万葉集』の和歌はたしかに伝統芸術であるが、不定型の耳できく歌謡を、五七調定型の目で読む長歌・短歌の
...続きを読む形にまですすめたのは、五言または七言の定型をもつ漢詩の影響なくして考えられたであろうか。
p.74
五言七言と五七五のあいだに何か関係はあるかと思ったことはあったけど、ルソーやったかの著作にもあるように、言葉は音楽と関係が深いだろうし、そうなると何らかの旋律や調子がウタにはもとからあったのだろうと思う。
大野晋がタミル語との関連性を説く中で、タミル語にも五七五の調子で読まれたウタがいくつもあると書いていたが、タミル語から来たかどうかはともかく、五七五は五言七言よりまえにあったのではないかと思う。そもそも中国のそれは、五言か七言かで、五言と七言が同じ詩の中にでてくるわけではない。
日本素晴らしい、日本一番、という昨今の風潮の中ではともすると客観的に日本を見つめ直すことの大事さを忘れがち。教科書や他の書籍などで良いように捉えられている文化や所謂偉人についても違った角度から考察されており、ときにかなり辛辣に批評をしているところが、人によっては受け入れがたいかもしれないが、言っていることは至極真っ当。ただ、部分的にそれが行きすぎていたり、どうしても筆者個人の政治的思想に偏った見方をしていたりするところもあり、そこは読む側が時代背景や周辺知識をどれくらい理解しているかによると思う。
とまれ、内容自体は全体的にはやはりとても啓蒙に富んでおり、啓発されることが少なくなかった。