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現代の文化的創造は、歴史の真実に正しく立脚することによってはじめて可能となる。著者は、原始いらいの日本の文化の流れを、その担い手、文化的伝統の形成過程、海外の文化との交流などの視点からとらえ、その中から私たちが二一世紀に向けて真に継承すべきものを明らかにする。英訳されて海外にも広く紹介された旧著の全面改訂版。
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Posted by ブクログ
第2版を購入 日本文化の発展を「歴史の上部構造」として捉え、土台となる生産力や生産関係との自律的な動きを綜合的に把握する試み。本書の特色は、単なる文化財の紹介ではなく、なぜその時代にその芸術が生まれたのかを「社会構造(労働、格差、権力)」から読み解く点にある。著者は戦前の国家主義的な歴史観を排し、...続きを読む人類の歴史を生産用具の発生(石器時代)から説き起こす。 縄文から弥生、古墳時代へと至る過程で、生産力の停滞と呪術の支配というアンバランスな構造を指摘。大和政権の成立に伴い、大陸文化の摂取が「王権の権威」を装飾する役割を担ったと論じる。特に律令国家の成立期においては、膨大な物資と労働力を集中させるシステム(一種の奴隷制社会)が、飛鳥・白鳳・天平の絢爛たる仏教芸術を可能にしたことを強調する。 天皇の司祭的性格については、弥生時代の「王」は政治的君主というより農耕儀礼を司る巫祝(マジシャン)としての性格が強く、それが後世の祭祀大権に温存されたとする。この視点は、政治決定が儀礼権威に依存しやすい構造を示唆する。 文字文化においては、万葉仮名から片仮名・平仮名への簡略化こそが、日本人が外来文化(漢字)を自らの思考ツールへと作り替えた画期的な歴史的意義であると位置づける。天智・天武期にかけて漢字の「音」を利用する万葉仮名の使用が本格化し、後の仮名発明へと繋がる知的基盤が整えられた。 家族史では、古代の「妻問婚(母子同居・父子別居)」は女性の強い独立性を保持しており、後の家父長制的な家族観は「古来の伝統」ではないと指摘。この整理は、後世の規範を古代に遡らせない注意として重要。 その後、文化のにない手が貴族、武士、町人へと移行するにつれ、外来文化の「日本化」が進み、生活と芸術が融合した独自の伝統が形成された過程を詳述している。文様の伝播では、忍冬唐草文様をエジプト・ギリシアを源流とし、シルクロードを経て日本へ到達した世界的な文化伝播の証拠として提示し、日本文化を閉鎖系ではなく接続系として位置づける。 天智期関連では、大化の改新を律令を継受した集権国家建設の出発点として位置づけ、中大兄皇子の主導権に言及。また、「天皇」号や「日本」国名の定着過程を天智朝前後に置き、白村江後の対外緊張を体制整備加速の外因として読む枠を示す。さらに天武・持統期の白鳳様式を「律令権力確立期の意気が高揚していた時代」とし、薬師寺三尊像や法隆寺壁画に代表される健康的で充実した大陸様式の受容が見られる。 注意点として、著者は「唯物史観(マルクス主義史観)」の影響を強く受けており、文化を「経済的土台の上に立つ上部構造」として分析する。そのため、律令文化を「人民の犠牲の上に立った特権的文化」と切り捨てるなど、現代の価値観による断定的評価が含まれる。著者の社会批判的・進歩主義的なバイアスを認識しつつ、事実関係(遺跡、作品、文献)の記述を抽出して参照するのが安全。 岩波新書で平易な文章、初学者向け。服飾、住居、性道徳、宗教心など、当時の生活感を構築するための基礎知識が網羅されている。飛鳥時代の宮廷人が感じた「伽藍への驚異」や、江戸時代の「木綿が肌を変えた感動」など、解像度の高い歴史描写が可能になる一冊。
読み方含め知らない単語が多く、調べながら読んだら時間がかかった。様々な日本文化の発展について、フラットな視座からの考察、批評が書かれているように思える。ある時期の文学について、そこまで言っちゃう?と言いたくなるような酷評も面白い。 文化的側面からの日本史、もっと深く調べてみたいと思える良本だった。
やはり、面白い! 歴史上の事柄であれ、 歴史上の人物であれ、 そのコトやモノのことだけではなく、 その時代に発生したもの その時代を覆っていたもの その時代の海外の文化の潮流 その時代だからこそありえたもの それらを踏まえた上で そのコトやモノを考察していく その思考がとても、面白い! 十何年ぶ...続きを読むりに 読み返したのですが やはり、面白い! 巻末の「索引」を改めて眺めてみる、 やはり、面白い!
日本は朝鮮半島に進出して、弁辰の地を領有し、韓民族による政治統一を抑え、任那に官家を置いてこれを統治し、さらに民族国家を形成している新羅・百済両国をも服属させたのである。 p.22 これほんまに? 『万葉集』の和歌はたしかに伝統芸術であるが、不定型の耳できく歌謡を、五七調定型の目で読む長歌・短歌の...続きを読む形にまですすめたのは、五言または七言の定型をもつ漢詩の影響なくして考えられたであろうか。 p.74 五言七言と五七五のあいだに何か関係はあるかと思ったことはあったけど、ルソーやったかの著作にもあるように、言葉は音楽と関係が深いだろうし、そうなると何らかの旋律や調子がウタにはもとからあったのだろうと思う。 大野晋がタミル語との関連性を説く中で、タミル語にも五七五の調子で読まれたウタがいくつもあると書いていたが、タミル語から来たかどうかはともかく、五七五は五言七言よりまえにあったのではないかと思う。そもそも中国のそれは、五言か七言かで、五言と七言が同じ詩の中にでてくるわけではない。 日本素晴らしい、日本一番、という昨今の風潮の中ではともすると客観的に日本を見つめ直すことの大事さを忘れがち。教科書や他の書籍などで良いように捉えられている文化や所謂偉人についても違った角度から考察されており、ときにかなり辛辣に批評をしているところが、人によっては受け入れがたいかもしれないが、言っていることは至極真っ当。ただ、部分的にそれが行きすぎていたり、どうしても筆者個人の政治的思想に偏った見方をしていたりするところもあり、そこは読む側が時代背景や周辺知識をどれくらい理解しているかによると思う。 とまれ、内容自体は全体的にはやはりとても啓蒙に富んでおり、啓発されることが少なくなかった。
「昔の学者さん」って感じの堅苦しい文章だった。 内容理解より文章理解に時間をくってしまうのが難点でしたが、充実した本でした。 もうちょいフラットな文章にしてたら、減った分の文字数をもっと沢山の資料の紹介に回せられたんじゃないか?とは思う。ところどころに入る著者の思想もいらないんじゃないかな?内容がい...続きを読むいだけに、そういう意味でもフラットな本であって欲しかった。
思想史家の家永三郎が、古代から江戸時代に至るまでの日本の文化史を新書一冊の分量で概観することができる本です。 全体を通して平易に書かれており、日本文化史の概要を得るのに有益な本だと思います。ただし、マルクス主義歴史学の影響を感じるような叙述がところどころ見られます。政治や生活といった領域と比べると...続きを読む、文化史という領域ではマルクス主義歴史学の偏りがとくにめだって現われるように感じるのですが、本書もその弊を完全に免れているとはいいがたいのではないかという気がします。
[ 内容 ] 現代の文化的創造は、歴史の真実に正しく立脚することによってはじめて可能となる。 著者は、原始いらいの日本の文化の流れを、その担い手、文化的伝統の形成過程、海外の文化との交流などの視点からとらえ、その中から私たちが二一世紀に向けて真に継承すべきものを明らかにする。 英訳されて海外にも広く...続きを読む紹介された旧著の全面改訂版。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
よくある新書に出てくる あ、これダメだ、難しそう!!という本。 タイトルだけでそう思ってしまいました。 でも、読みやすくて、いろいろな知らない歴史を たくさん紹介してくれたことに驚き。 こういう本を読めたことにただただ感謝です。 どうして男尊女卑が生まれてしまったのか、 そして日本の芸術に関して...続きを読む… 人は必然的に知や自分らの立場を 求める生き物だということを知りました。 そして、封建社会という不条理が 自由を求める人を苦しめ、 志半ばで死刑という形で 残酷にその命を散らさねばならなかったことを 忘れてはいけませんね。 歴史はいらないものじゃないですね。 どうすればいい? ということを考える上でも、大事ですもの。
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