加藤周一のレビュー一覧

  • 羊の歌 わが回想

    Posted by ブクログ

    戦前の幼少から少年、戦中の青年、戦後の壮年期を通して虚実入り交じった、戦後知識人の代表格である著者自身の自伝的回想録。
    東京渋谷近辺の街の風景を10代の目を通して繊細に描かれる戦前。
    闇のように人々が押し黙るなかで、医局に勤め研究を続けながら日本の古典文学を貪るように読み漁った戦中。→
    広島での原爆症の調査を経て、フランス留学から欧州を彷徨する中で自身が京都で出会った日本の美と西洋の文化芸術との邂逅によって慧眼を身につけ、その後文学批評に於いて卓抜な視点で時代を牽引するきっかけとなった戦後。
    その後の著作を読む上でも重要な作品。

    0
    2025年09月20日
  • 羊の歌 わが回想

    Posted by ブクログ

    ノブレス・オブリージュ?

    裕福な環境に生まれ、幼少時より誰に請われるでもなく自ら知を求め、深めていく姿に真の豊かさを見る思いがした。
    第二次世界大戦以前。
    大正8年生まれの筆者の母が持つキーツの詩集。
    帝大卒の医師である父。
    そんなインテリ層の家庭環境にあった筆者ですら近づきつつある戦の影に対し鷹揚であったことに殊更戦争の恐ろしさを感じた。

    立原道造と出会いは一体どんなだったのだろうかと、ちょっと胸がときめいたりもした。

    興味深い部分があまりにも多いので、何時でも読めるよう電子図書も購入することにした。

    0
    2025年04月08日
  • 羊の歌 わが回想

    Posted by ブクログ

     1919年に生まれの評論家、作家、医学博士。前から気になり読んだ。加藤は生まれながらにしてヒューマニズムを身につけていた。
     この本は生まれて8月15日のポツダム宣言受諾の日までの自伝です。戦前、軍国主義を嫌悪し太平洋戦争を覚めた眼でみていた。12月8日の開戦の日、新橋演舞場で文楽を観てたと言う。医者の家庭に生まれ、日比谷の一中、一高、東京帝大医学部を出たエリートだけど文学に親しみ多くの本を読んで高校大学で沢山の後に有名になった文学青年と交流している。フランス文学に傾倒した話、祖父が明治の始め軍人になり、後に実業家でひとやまあてたが事業が不振になり身を落としていくが、父が東京帝大出のやはり医

    0
    2024年05月29日
  • 都鄙問答

    Posted by ブクログ

    都鄙問答(とひもんどう)
    著:石田 梅岩
    訳:加藤 周一
    中公文庫 968

    都鄙とは、都会と田舎ということです

    本書は石門心学の祖である、石田梅岩が、問答という形でその教えを広めるために使ったテキストです。
    宋学(=朱子学)をベースとしていて、神・儒・仏を日本の古典を読み、まとめ上げた書であるが、その根底には 心を知るという、三教を共に悟る教えが中心になっている

    いままで、全集の中ぐらいにしかなく、文庫になってようとはおもってもいませんでした。
    2021に中公文庫の古典シリーズの1つとして発行されていました。
    丹波の山村で生を受けた梅岩は、隠遁の学者、小栗了雲に出会って、性理の蘊奥を極め

    0
    2024年01月17日
  • 日本文化における時間と空間

    Posted by ブクログ

    時間と空間のとらえかたについて、日本の文化(絵画、和歌、俳句、演劇)からその特徴を捉えようとする本です。まず時間について、世界には(1)はじめと終わりのある時間(ユダヤ教)、(2)円周上を無限に循環する時間、(3)無限の直線上を一定の方向に移動する時間、(4)始めなくおわりのある時間、(5)始めがありおわりのない時間、の5類型がある。そして古事記から始まる様々な例をひもとき、例外はあるものの、日本は(2)(3)の無限の時間の概念が主流だと主張しています。そこでは時間の分節化が難しく「いま」の連続で時間が流れゆくとのこと。

    ついで空間についてですが、こちらは(1)開かれた空間、(2)閉じられた

    0
    2023年05月06日
  • 文学とは何か

    Posted by ブクログ

    20世紀最大の評論家、加藤周一氏の名前が受験国語で頻繁に登場したのは、少し前の時代のこと。『雑種文化』で、文学史の教科書にも名前が載る氏が31歳での執筆のこの書は、1971年に出版された。センター試験では、1991年度の追試験の評論の問題として、この本の最終章である「文学の概念についての仮説」から引用され、出題されている。先日、書店で眺めていた書棚にこの本の背表紙を偶然見つけ、入試問題として授業で何度も扱った一節を含む同書の全体に、あらためてふれてみた。そして、少なからず驚かされた。
    それは、氏の文章が、広汎な知識の引用と、鋭い論理展開に特徴づけられながら、実際には、ひどく読み易く平明だという

    0
    2022年09月05日
  • ひとりでいいんです ―加藤周一の遺した言葉

    Posted by ブクログ

    憲法、戦争から始まり、政治、経済、財政、映画
    芸術、民族などなど。様々な話題を縦横無尽に語り尽くす内容です。とにかく話題の守備範囲は広く、それに対する深度が感じられます。

    一方で東南アジアなど理解が浅いと自認する内容には深入りしない思慮深さがあり、知性というか伝聞ではなく自分で見聞きした中で得た知識や経験に基づく話に説得力を強く感じました。まさに論語の「わからないことはわからないとし、知らないことは知らないとし、知ることを知るとす」を体現されています。

    1
    2021年11月07日
  • 羊の歌 わが回想

    Posted by ブクログ

    昭和の偉大な知識人ということで、読んでみた。幼少期から徹底して客観視ができていた筆者の目を通して、戦争に向けて進んでいく日本をシニカルに捉えている。いわゆる、真面目なインテリだったのだと思う。今でいうところのオタク、やガリ勉、の部類なのだろう。文章も歯切れよくわかりやすい一方で、エッセイらしく多分に筆者の考察が入る。極めて科学的、文学的な要素の融合した文章だと感じた。続編も読んでみたい。

    0
    2020年10月02日
  • 海の沈黙・星への歩み

    Posted by ブクログ

    映画にもなりましたが、終始静かな作品で心に残ります。レジスタンス、運動に加われなくとも、私達に出来る、出来たのは、海よりも深い沈黙を徹すこと。

    0
    2020年06月17日
  • 日本文化における時間と空間

    Posted by ブクログ

    第2部以降を読んで
    2部は空間の話。古来よりムラ社会である日本において、内部の人とは対等だが、外部の人に対しては上に見て従うか、あるいは見下すかの二択であったことが例示される。例えば、ムラにおいて官吏は従う対象で、旅芸人は見下す対等だったように。あるいはかつては属国として従っていた中国を、アヘン戦争後は急に見下したように。
    前に仕事で話した大企業のお偉方が、外国人のコミュニケーションと日本人のそれを比較して言っていた、「結局日本人は対等な話はできないんですよ。目上が目下に論説をぶつ。目下はうんうん頷いて聞く。それしかできない。」という話と重なる。
    外交の場面でも、日本は包括的な問題解決において

    0
    2019年09月29日
  • 羊の歌 わが回想

    Posted by ブクログ

    はじめはのどかな回想のように思ったが、徐々に戦争へと突き進む日本の姿が旧制中学校の学生だった著者の目を通して描かれる。今の日本の姿と似ていないか。既視感があるエッセイに背筋に冷たいものがはしる。同じ轍を踏まぬようとの著者の語りかけが聞こえるようだ。

    0
    2019年08月17日
  • 海の沈黙・星への歩み

    Posted by ブクログ

    フランスを愛し、フランスに憧れた他国人が、戦争という非常時において挫折し、希望を失って去っていくまでを、抑えた筆致で描いている。これは、「暗殺された愛」という言葉で表現されている。「星への歩み」では、主人公を殺すのは敵国人ではなくフランス人である。それが一層悲壮である。
    (2016.2)

    0
    2016年02月23日
  • 続 羊の歌 わが回想

    Posted by ブクログ

     久しぶりの加藤周一氏の著作です。
     だいぶ以前に「羊の歌」は読んでいるのですが、本書は、いつかは読もうと思っていた「続編」です。
     本書での加藤氏の回想は、「終戦直後の東京の風景」から始まります。この終戦直後の東京の風景は、その後の加藤氏の思想の原点を規定するものだったようです。
     本書では、加藤氏がヨーロッパで暮らしていた頃のプライベートな交流の様子も詳しく語られています。また、医者の道を捨て、文筆に生きることにした瞬間も明らかにされています。そこにはやはり“戦争”がありました。
     時々思い出したように読みたくなるのが加藤氏の著作です。

    0
    2013年03月17日
  • 羊の歌 わが回想

    Posted by ブクログ

    昭和の偉大な頭脳が自らの人生を振り返り、その中から時代を考察する内容。今まで読んだ本の中で、一番美しい日本語のエッセイだと思います。何度も読み返したい一冊。

    0
    2011年12月16日
  • 続 羊の歌 わが回想

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    [ 内容 ]
    すべての自由を圧殺していた軍国主義は、一九四五年八月十五日突然崩壊。
    著者は本郷の医学部にもどり再び研究生活に入る。
    やがて戦後文学の出発となった「一九四六年文学的考察」の発刊、フランス留学、アジア・アフリカ作家会議への参加と著者の足跡は広がり、折から起った日米安保条約反対の大運動はすべての日本人を巻きこんでゆく。

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)

    0
    2011年05月10日
  • 羊の歌 わが回想

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    [ 内容 ]
    「現代日本人の平均に近い一人の人間がどういう条件の下にでき上ったか、例を自分にとって語ろう」と著者はいう。
    しかし、ここには羊の歳に生れ、戦争とファシズムの荒れ狂う風土の中で、自立した精神を持ち、時世に埋没することなく生き続けた、決して平均でない力強い一個性の形成を見出すことができる。

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・

    0
    2011年04月28日
  • 加藤周一著作集 4

    Posted by ブクログ

    著者の代表作である『日本文学史序説』の前半部分にあたる、古代から近世初頭までを収録しています。

    本作は、批評家である著者によって書かれた、日本文学史の全体像の概説です。専門分化のいちじるしい現代では、特定の専門領域をもつ文学研究者がこうした試みをおこなうことはほとんど不可能となっています。日本文学の研究者である小西甚一には、『日本文学史』(1993年、講談社学術文庫)という、ひろく読まれている名著がありますが、これは「文芸」という観点に限定して、日本文学史をたどる内容となっています。また、批評家で詩人でもある大岡信にも『あなたに語る日本文学史』(2023年、角川ソフィア文庫)という作品があり

    0
    2026年01月23日
  • 加藤周一著作集 1

    Posted by ブクログ

    文学にかんする著者の論考を収録しています。サブタイトルの「文学の擁護」というタイトルの論考では、ラブレーやモンテーニュをもふくむ「文学」の概念をめぐる考察です。著者は、プルーストの『失われた時を求めて』のなかの「ジルベルトは、政府があまりにしばしば変るので誰も敢えて同盟を結ぼうとしない国々のようであった」という一文を手がかりに、具体的なものを掘り下げることで現実全体を批判的に超えようとする文学の意義について考察しています。

    また本巻には、著者の比較的若いころに書かれた、フランス文学にかんする批評も収録されています。とくに著者が関心を向けているのは、ルソーに代表されるロマン主義と、その伝統に対

    0
    2026年01月21日
  • 海の沈黙・星への歩み

    Posted by ブクログ

    かなり前に古本屋でこのタイトルかっけーみたいなノリで買ったんだけど(ちゃんと当時の岩波の帯もついてる!)寝かせに寝かせて今読みました。たぶん抵抗文学は初めて読むかもしれない。

    海の沈黙を読んだ時に、切ない最後だが最後に姪がご機嫌ようと返事をしたところで少しは彼の光になったのではないかと思った。
    星への歩みはわたしにとっては少し難解で、一度読んでえ??と思い再度読んだらやっぱりそうでとてもとても悲しかった。星への歩みってそういうことかー。

    悲しいにしても、対照的な2作品だと思った。
    わたしは日本人だし西洋人の感性を持ち合わせていないのできっと読み取れていない情報や意味が沢山あるのだろうとは思

    0
    2025年07月23日
  • 最終講義 挑戦の果て

    Posted by ブクログ

    戦前から戦後、現代に至るまで各分野の知の巨人らが述べた良書である。
    多様な著者の文学研究以外の物理学や法学、社会学など様々な研究で得られた知見と知のバトンを次世代に受け継ぐ本である。
    興味があれば、中学生からでも読み始めている人は多いだろう。研究者とは「研究しない自由はない」と本著で述べている通り、全ての学問に対する研究に責任があると説く。第一線で活躍していた研究者の言葉を聞き、現代の価値観や様式、世界規模での情勢をその時の生きた時代の研究者へバトンは渡され、人類は発見と修正を繰り返しながら前に進んでいく。世界は広い、本著でも紹介されきれない研究者は山ほどいるだろう。そして、今生きる現代の次世

    0
    2025年07月19日